Mauvelhiese ~Maliugne Lufu~   作:Elenor

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Rafïnse ~迷路~

『知りたい』ということは、人間が人間であることを叶えるためにある欲望である。言わば人間は、真理を求める動物であるのだ。そうすることによって我々は、色々な分野において足を広げてきた。

そんな「人間」という動物が、自分自身、つまり自分の起源を知りたいと思うことは至極当然のことである。他人と自分を見比べて、

「己と他は違うものである。だとしたら違いが現れ始めたのはいつからであろう」

そんなことを考える者が、少なくともいるはずである。それなのに、人類の起源を求める学問ーー仮に『人類学(ラフェンヌレティーナ)』と呼ぶことにするーーが見当たらない。それどころか、関連した書物等がどこにも見当たらないのである。私はそうして悩みに悩んだ結果、人類を名称する単語において、ある共通点を見出したーー

 

 

 この学園の図書館には、地下に何かがある。それに気づいたのは、俺が司書室の炊事場で洗い物をしているときだった。

 食器を洗っていたら洗剤が切れてしまったので予備がないかと流し台の下にある棚を開けると、下水管の奥が、貶だったのだ。普通なら壁があるはずなのに、何処かへ繋がっているような、そんな狭い道があった。

気になり始めたらそれがなんなのか徹底的に調べ尽くさないと気が済まないタチの俺は、もう片方の戸を開けた。これで人一人は入れる。でも問題なのは、下水管が邪魔だということだ。

「さてどうするか……」

俺はそう呟きながら、まずは強引に折ろうとした。当然ながら下水管は、少し凹む程度でびくともしない。

次に外せる場所を探すことにした。すると、いかにも押したら何かが起きると主張している、赤い出っ張りを見つけた。その赤いやつを押した。すると、水道管が上から飲み込まれていった。が、俺が凹ませてしまったところで引っかかってしまった。けれども俺が十分通れるぐらいの高さになっていた。

奥まで続く狭い道の床は、驚くほどスベスベだ。俺は端末機器(アーミスタル)を取り出し、

「ソルティオ サーレン ソモール スルト

ソメンノ サディアン ソルベルト」

と唱えた。風の精霊が、俺の腕を引っ張る。

階段があるところで風の精霊は俺を止め、俺は階段を降りることにした。薄暗い、何かが起きそうな雰囲気は、正直俺を怖くさせる。でも俺が気になり始めた以上、戻るわけにはいかない。

通る道の先には、俺の身長をゆうに超えるぐらいの、何も装飾が施されていないとても大きな扉が待ち構えていた。時々、扉のほうから地響くほどの衝撃音がきこえてくる。

「なんだよここ……」

そう俺がつぶやいたとき、いきなり端末機器(アーミスタル)が鳴り出したので落としそうになった。出ると、声の主は兄さんだった。

『なにやってんだよ。早く戻ってこい』

「変なところを見つけたんだ、食器を洗っていたら」

『……はあ?変なところ?いいから戻って来いよ、仕事がはかどらないんだよ』

そう言われたので言う通りにしようとすると、自分の後ろにはもう、階段はなかった。

「待って、兄さん。戻ろうとしても戻れない」

『なんでだよ。仕事したくない言い訳なんじゃねえの?』

「違うよ、降りるのに使った階段がないんだ」

目の前にあるのは、街路でいう交差点だ。右を向いても左を向いても壁のある道が続いている。

「――兄さん。どうやら俺、迷宮に来ちゃったらしい」

間違いない。学園図書館の地下は、大がかりな迷路になっている。何のためかは分からない。それでも調べる価値はありそうだ。

「兄さん。部員を全員呼んで。今から部活を始めるよ」

『待て、唐突に言うなそんなこと。せめてもう一人がその迷宮に行って、残りの奴らは食科とかの消耗品を供給するって形にしねえと』

「それもそうか……。じゃあとりあえず部員を全員、司書室に連れてきて」

『了解。連れてくりゃいいんだろ?』

そういって兄さんは端末機器(アーミスタル)を切った。

 

イオ先輩に呼ばれて、僕たちは図書館の司書室に集合した。あの部活動の部員が勢ぞろいして、僕は部活動が始まることを理解した。

「……で、イオ先輩。僕たちは具体的に何をすればいいんですか?」

「気が早い、ちょっと待て。……俺たちの部長が迷宮を発見した。入り口はこの流しの下、本来は食器用洗剤を入れる所だ」

そう言って、イオ先輩はこう続けた。

「男女一人ずつ迷宮探索をする人を決めて、残りの人で必需品、食料の補給をする。……早速だが、行きたいやついるか?」

そんなこと言っても、行きたいやつなんているはずない。そう高を括っていたけど、すぐに手を挙げたのはノラだった。

「フィーと一緒に行きたいです!」

「……待て、なんで僕が巻き込まれるんだ」

「たまには体を動かさないと。実技この頃行ってないでしょ?」

「そうだけどさ……。ノラと一緒なんてなんかやだな……」

「そう言っちゃってさぁ〜、ホントは私と一緒に行きたいんでしょう?」

「……迷宮で襲ってやる」

「あれー、図星かなぁ?って痛い痛い痛い!!耳をひねらないで!!」

……ふん、ノラのくせに生意気。

僕はふいっ、とそっぽを向いた。

「で?フィーは行くのか、行かないのか?」

「ーー行きますよ。行けばいいんでしょ、イオ先輩?」

「やった!フィー大好き!!」

ノラがいきなり僕に抱きついてきた。頭を撫でたり、僕の頬に口付けたりしてくる。

「はっ、そんなことして僕がなびくとでも思ってんの?」

「……じゃあなんで私のほっぺすりすりしてんの?」

「それはちょうどいいところにノラのほっぺたがあったからで……」

「なんで俺の周りはそういうこと平然とできるやつばっかなんだ?」

こうして僕とノラ二人は、迷宮探索をすることになった。

 

 

 

 

 

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