「ブルートワルツ!」
「お久しぶりですわ、アレイシア」
見覚えしかない少女。
ブルートワルツが、歩いてきた。
「やっぱり居たのか。いや、やっぱりってのもおかしいが」
「お知り合いですか?」
「ああ。多分、俺が一番知ってるプレイヤー。知名度とかなんとか関係なく」
「あら、嬉しいことをおっしゃいますのね。そちらは桐藤ナギサですか?」
「今一緒に動いてる。アリウスのサオリ?からはお前が居るって聞いたが……」
「アリウスの協力者やってますの。でも、ちょっとおイタが過ぎましてね。少しだけ躾をしなければなりません」
「俺達の敵になることは変わらないか」
「私は嬉しいですわ、味方になったらアレイシアとの糸が切れてしまいそうで」
怖いことを言うな、と口から漏れてしまう。
嬉しそうにしているこいつはなんなんだ。
「ふふ」
「なんで笑ってんだマジで……ともかく手伝ってくれるんだな?」
「ええ」
左手に取って取り出したのはゼロノスベルト。
「あ?それって」
「カードはあと2枚、多いのか少ないのか分かりませんわ」
「いや少ないだろ」
「活動はそこまでしていないのに多いですわね。2枚____」
個人的には多いらしい。腰に巻きつけて、カードを取り出す。
俺もショットライザーを取り出した。が_____
ちょっと気になるな。もしこの中にゲヘナの人間が居れば、そいつを炙り出して国際社会の混乱ないし介入に使える。
ショットライザーをカードに戻して、もう一つ取り出した。
「ん?それは?」
それは金色の手、刃の掌から出ているもの。
「テガソードだよ」
ああ。
ブルートワルツが驚くのも無理はない。
まさかOSGPで“チーム戦で持ってきたらマジで怒られるレベルのキャラカード”を持ってくるやつが居るとは思わないものな。
そう、これは戦隊シリーズの変身アイテム兼武器。
「ブルートワルツは正確な味方じゃないが、アリウスの躾をしてもゲヘナが勢い付くのは得はしないだろう。そうじゃないと俺らに協力する意味はない」
「ベイトするんですの?」
「ああ」
指輪を取り出して、構える。
「ナギサ、ロックブーケ以外にカードはあるか?」
「島津豊久のものなら」
「随分好戦的だな」
「あの大太刀はかなり頑丈で扱いやすいので人を斬るのには困りません」
「じゃ、決まりだな」
俺が
「行くぜ……!」
「ええ、いつでも」
「よろしくてよ」
ナギサはカードを投げて装備を召喚し、ブルートワルツはベルトの上部パーツをスライドさせる。
「エンゲージ!」
そして俺が指輪をテガソードのパーツに嵌めた。
《クラップユアハンズ!》
ギターが鳴り始めたらリズム良く手を叩く。
叩くたびにギターの音が鳴り、何となくだが力を感じてきた。てか楽しい。
「楽しそうですわね」
「だろ」
後半はまず目の前に大きく円を書いてから左腰のあたりでクラップ。そしてもう一回は頭上に円を書いてからクラップ。
これで完了!スイッチを押して____
「変身!」
「変身」
ブルートワルツもカードを挿入。
《ALTAIR FORM》
まずは彼女。
普通に装甲が付いてから、頭のレールに二つの牛のパーツが火花を散らしながら付着して変形。そのまま仮面ライダーゼロノスに変身。
そして俺。
顔を覆うような金色の枠とラインが付いて、そのまま装着すると一気に変化。
《ゴジュウウルフ!》
俺はめでたく、ゴジュウウルフに変身した。
「Arrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrraaaaaaaaaaaaaa!」
とんでもなく巻き舌の遠吠えをして身体を大きく広げて構える。
ゼロガッシャーをサーベルにして構えるブルートワルツ。
腰の大太刀を引き抜いて鋒を向けて命を切り落とそうとしてるナギサ。
「先陣を行くぞ!」
思い切りジャンプして窓ガラス破壊しながら庭の方に降りて襲いかかる。
アリウスの奴らは乱戦を予想しているのか同じ手段を使ってくるが、関係ない。テガソードで関係なく殴りつけていく事で、相手が切り替える前にしばき倒してカードも奪う。
ライドプレイヤーが後ろからハンマーで襲ってきたら、ハンマーを蹴りで弾いてからテガソードでブッ刺す。狩人がチェーンソーで襲ってきたら持ち手を刃でボロボロにしながら全力で弾いて破壊してそのまま腹を切り裂く。ネロのレッドローズを振り回すやつがいたら、空中にジャンプしてから刃を振り回す前に腹に深く蹴りを入れてダウンさせる。
人数が多い分波状攻撃が仕掛けられているものの、そもそも近寄ってしばくが当たり前の装備じゃ間合いという概念を守る前に近づいて出来うる限りの暴力を尽くすのが当たり前。
その結果幾つか本来は近づいたら行けないレベルのものがあったとは思うのだが、使い方を実践する前のアリウス生をボコボコにして地面に減り込ませながらカードを奪うという厄災になって行った。
「ナギサ!そっちは!?」
「いやあ何度ぶつ切りにしても数が多くて」
ナギサも俺と同じ戦い方がこの場合有利だと判断したのだろう。
仲間を撃つわけには行かないと思っていたのだろうが、それは当然『相手の仲間の懐に潜り込んでぶった斬る』という行為を誘発するもの。
示現流の叫び方はしないにしろ、その戦い方は紛う事なき鬼神。横凪を雑に繰り返して相手の胴体を真っ二つにしながら進む。
「処理が追いつきませんね」
「ブルートワルツ!」
「こっちも同じようなものですわ〜」
サーベルで斬ってはいるが、恐怖を植え付けるのが前提なのかナギサと違って殺すまでは行ってない。
全体的に動きがスマートだ。
攻撃を避けるのもデンプシーロールを素早くしたものを多用し、何なら身体を逸らすだけの行為を繰り返しながら剣でオーバーキルになるなら拳を腹に捩り込むという動きで黙らせていく。
「流石だ!」
「あなたこそ」
OSGPらしい世界ごちゃ混ぜ乱闘はやはり楽しいものだ。
さて、戦っていると当然人数が減っていく。
「お目当てのものは見つかりそうですか?」
「いいや全く!」
そう答えた瞬間。
「隙あり」
「あぁ!?」
後ろ手のテガソードで受け止めて反転する。
「おいおい居るじゃねえか!」
プレイヤー反応。
「あっちゃーバレた?アタシ結構頑張ったんだけどなぁ」
弾き飛ばしてから、相手を見る。
どうやらフレイムスティーラーのカードを使用しているらしい。儀礼剣と砕けたヘリオスで一発で分かった。
しかしフルスペックカードか、厄介だな。
「かのザクレウスの半神を素早く仕留められるくらいに早くて強いのをあっさり防いじゃうなんて。流石はあのOSGP優勝者ってだけあるね」
「御託はいい」
「しかも戦隊モノのノーマルカードで!いやあ、凄いなあ」
わざとらしい言い回しで若干苛ついてきたが、乗せられるのも良くないだろう。
まだアリウスの生徒も残っている、対処しながら話すのは流石にきつい。
その上でフレイムスティーラーも襲ってくる。
ヘリオスでの攻撃をテガソードの面で受けて流して、召喚してきた影を斬り払いながらその影から奇襲してくるアリウスの生徒を蹴飛ばして対処。
同じような影に襲われている二人は、撃ち抜いたり周りと一緒に撫で斬りして始末するなど中々油断も容赦もない。
流石に手を変えるべきか。
「少し扱いやすいものに変えるか」
無闇矢鱈に変身できない。
やってくるプレイヤーの剣戟を躱しながら、指輪を取ってセット。
《センタイリング!》
テキトーにクラップして起動。
《ゴーカイジャー!》
今度はゴーカイジャーに変身。
相手は儀礼剣との長短二刀流、こっちはサーベルと銃のバランススタイル。一度テガソードを非表示にして、銃と剣で上手い事攻めていこう。
相手は素早く、その上で勢いよく剣を振る。薙ぎ払いが非常に多く突きもそれに次いで多用してくるもののその回避で影の攻撃もついでに避けてカウンターしながらゴーカイガンの銃撃で消す。
「うぐ」
相手はちょっと痛そうだ。
システム上フレイムスティーラーは自分の分身を出して、それを破棄された場合その数に応じたダメージが必ず入るようになっている。
「どうした、種火の盗人としては上手く動けるが戦士としたら不十分だな」
「何を!」
カスライナのフルスペックカードはファイノンと合体して初めて壊滅としての機能を見せる。ファイノンそのものもフルスペックカードしかないため、おそらくは足りなくてフレイムスティーラーとしての運用しか出来ない。
怒った相手は自分の痛み関係なく突撃してくる。周りが見えていないのだろう、アリウスのメンバーはゆっくりと撤退中。
ならばこの段階で仕留める。
銃弾を自分の頭上に撃ちながら、必要数撃った後にサーベルを左手に持ち替えて相手の剣と鍔迫り合う。
「く、う……!」
「甘いな」
右手にテガソードを戻してそのまま腹を突こうとすれば当然相手は空いている手の儀礼剣でガード。
だがもう遅い。
相手へのダメージがかなり蓄積しているのか鍔迫り合いで押せている。それに戦隊はこれでも特撮ヒーロー、身体的な能力の強化も当然ある。
砕けたヘリオスを持っている相手の腕をテガソードで突きをしていた右手を振り回して下から弾く。
「な」
そのまま鍔迫り合いしていたサーベルに力を入れて無理やり弾きに抵抗して振り下ろす事で相手を斬りながら前へ抜けた。
当然目の前の敵は痛みに耐え、反撃しようと思った。
そのタイミングで____
「遅い」
上に撃っていた銃弾が相手に降り注ぎ、そのまま爆散。フレイムスティーラーの姿は剥がれ、悪魔のような姿をした少女が現れる。
これで一連のバトルは終えたか。しばいたやつは後で片付けるとして、ゲヘナのプレイヤーがやっぱり紛れ込んでいた。
「よし、これで終わりか」
変身を解除。他の二人も元に戻った。
そのタイミングで大和も声を出してくる。
「ようやく準備が終わったよー!」
「そうかー!すぐに逃げるぞー!」
そう返答すると、既に踵を返している少女が一人。
「……行くのか」
「ええ、少し表に出過ぎましたから。アリウスには釘を早く刺しておくべきでしょう?」
「____そっか」
出来ればブルートワルツの方の事情を聞きたかったが、騒ぎは大きくなってきている。
「大丈夫ですかナギサ様ー!」
「留学生の方もいらっしゃるのでしょう!?どこに居られますかー!」
「お迎えに来られたくないのでしょう?」
「だけど」
彼女の立ち位置がやっぱり理解出来ないのもあって引き止めようとするが、そんな俺の肩に手が掛かる。
「今は逃げるしかないでしょう。さあ、行きましょう」
ナギサからだ。
しかし、彼女の言う通り。俺の疑問の為に不必要な追跡は危ない。それに追跡したところで人質とって隠れるまでは行かないだろう。運ぶのに人はいる。
「……わかった」
もう黒煙の向こうへと消えたブルートワルツのことは一旦忘れて、俺はゲヘナからの刺客を担ぐ。
大和が通路の方に出てきてハンドサインを出しているのを頼りに、俺らはこの場を離脱した。
《余談》
どうもらんかんです。
昨日お気に入りが増えて嬉しい嬉しい。ですがこれを書いている時にはもう7;34です。ええ、これ前にもやったな。
今回の余談は『この作品での戦隊の活用法』です。
この前、話数で言えば第八話の時には「この作品だとライダー以外扱いにくいし戦隊に至ってはフルパワー出すまでの制約とリターン合ってないからピックしたらトロール同然」って話をしています。
ですが、それを知っておいて主人公アレイシアはゴジュウジャーになって大立ち回り。しかも彼はベイトでピックしてるんですね。
あんまり見ないですが、前述する戦隊の欠点はみんな知っているのを逆手にとって雑魚だとかトロールだとか認識して攻撃してくるプレイヤーを逆に倒すみたいな動きを取ることが可能です。
ただ、基本的には何でやってもいいというわけではありません。戦隊全部カス!っていうのは余程やってるプレイヤー以外は思っていますし、事実である部分も多いですが一部戦隊ヒーローは覆せたり。
それはゴジュウやゴーカイ、ゼンカイにドンブラと言った「他の戦隊を使える戦隊」です。
実際今回アレイシアはプレイヤーフレイムスティーラー戦までをゴジュウウルフとゴーカイレッドで切り抜けましたが、特にゴジュウジャーはこの中でライダーで言うところの並列フォームを沢山使えるため意外と多彩な戦術を取れるんですねえ。
なので、それらの該当する戦隊は『真正面の騙し討ちが出来るくらいの腕』があれば今回のような立ち回りが出来ますが、逆を言えばそれくらいの腕が無いと駄目。仮に出来たとしてもスタンドプレーで片付けられることもあったり。
そう言う作戦なのでアレイシアも「この訳わからん襲撃を掛けるやつなら大した腕や考えを持っていないだろう」「ゲヘナの尻尾を掴めればいいや」と考えた上でベイトのゴジュウウルフになって戦ったんですよ。彼は個人で見た場合最強プレイヤーとは言い難いですが、戦闘センスと躊躇しない判断の速さで戦闘では相手に能力の入れ替えが出来るほどの隙を与えずノックアウトさせ、盤面を支配する動きをするプレイヤーよりも先に盤面をぐちゃぐちゃにして近場の状況から整えていくことでの有利を作れるタイプなんですね。
そのおかげでフレイムスティーラーになれるプレイヤーの捕縛に成功したのは大きいかと。流石に今回はジャイアントキリング判定になると思います。ようやくクロスオーバー系主人公の無双感が出るようになったね(ベアトリーチェがちょっと強いのも大きいかな)
以上が今回の余談です。
少しずつUAも活気付いてきてるので、何かどでかく話を動かせたらな、と思っています。
頑張るので応援よろしくね!
らんかんでした。