Never Says「Good by…」   作:らんかん

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リキッド・”ヘルタ”・スネーク

 ゲヘナ校庭。

 

 すでに乱戦を極めているこの場所で、戦っているのが沢山。

 

 だが、様子がおかしい。

 

 おそらくはアリウスの奴らか……いやそれすら怪しい。

 

 壁を這い回り、P90を持って駆け回り、その上全員女性でボディラインがきっちりあるタイプの戦闘服を着ている集団。

 

「な、何だこれ」

 

 声を出せば当然気付かれ、発砲される。

 

 だが生憎こっちはガウェインの実質幻影召喚、防御力に関してはダントツで、生きてる戦略兵器には個人火器の火力は届かない。

 

「どけ!」

 

 ガラディーンの錆にするにはオーバーキル、あとで生き残ってる気絶者がいれば捕まえて情報の足しにしたい。

 

 一度聖剣を鞘に納め、徒手格闘で進む。流石にガウェインの装備を解除すると一気に蜂の巣になって死んでしまうため、そこは外せなかった。

 

 英霊パワーで無傷のまま殴り飛ばしたり投げて気絶させたり、ともかく素手で陣形を破壊しながらゲヘナを駆け巡る。

 

 早くイロコィやティーパーティーのメンバーを探し出さないと。

 

 女を死なないように殴りながら進むが、どうも見当たらない。英霊の身体能力はたとえ学校がバカみたいに広くてもすぐに舐めまわせるほどの身体能力があるはずだ。なのにどこにも見えない。

 

「どこ行ったんだよあいつら!」

 

 銃声と銃弾が反響しまくって碌に状況確認できない。

 

 ならば仕方あるまい。

 

「うおらああああああああーっ!」

 

 ガラディーンを取り出し、地面に突き刺す。

 

 そのまま地面に爆炎を流し込み、その熱でコンクリートや石畳を溶かし、水道を急速沸騰して爆破。

 

 いかな兵士であろうとも空を飛べなかったら地面からの攻撃は避けられない。そもそもそれが日常的に出来るような世界だったら地震なんて大したものじゃないと記録されてるだろう。

 

 通称”ルルーシュ戦法”は、女性兵士を打ち上げ、溶かし、液状化した地面に飲み込む。自分はそもそも液状化して飲み込もうとする奴を蒸発させるので無傷。足元が終わってるが爆発させて上に飛べば問題なし!

 

 剣の熱波で体を浮かし、そのまま建物の上に乗る。

 

「へっ、楽勝だな」

 

 スマホを取り出して確認。

 

 プレイヤー判定となったティーパーティーの三人もイロコィも脱落していない。仲間でもあるので総合バイタリティも問題なし。

 

「だとしたらこことは関係ない遠くにいるのか」

 

「その通りだ!」

 

 声がした。

 

 剣を急いで声のした方向に向け、構える。

 

「うん?貴様は……」

 

 魔女のような見た目をした女性がそこにいるが、声は紛うことなき男。それも銀河万丈。

 

 見た目は分かる。

 

「マダムヘルタ……!」

 

 困ったな。

 

 ガウェインは間違いなく強いが、相手の方が圧倒的に強い。

 

 概念武装モリモリでもない限り、いくら円卓が一人でもどうしようもなし。ガラディーンを最大開放した一撃でどうなるか。

 

「……さてはお前、アレイシア・ガレットピアだな?」

「はっ、光栄だよ知っててくれて」

「気に食わんが今回は依頼主がいるからな、それから話を聞いている」

「依頼主?」

「エリュシオンのエリシアからな」

「待て!」

 

 一気に話が面倒になった。

 

 目の前のやつはどうやらエリシアと名乗るやつとグルらしい。

 

「エリュシオンにエリシアはいねえだろ!いるのはキュレネだ!」

「自己紹介の時にはそう言っていたからな」

「てか自認エリシアに酔うなよ!お前女に対する耐性ゼロか!?」

「俺がその程度の男だと思われたのは心外だ、兄弟との決着のために手を組んだ!この福音書(シナリオ)を動かし続ける事と引き換えにな!」

「声のせいでリキッドみたいになってるぞ」

「ああそうだ!俺はリキッド・スネークだ!正真正銘シャドーモセスで殺された、恐るべき子供達の一人だとも!」

「リキッドじゃねえか!____ああ!?」

 

 ふざけたこと抜かしやがって!

 

「キャラがひとりでに動くわけねえだろうが!」

「だったら確かめてみたらどうだ!?貴様の持っているそのスマートフォンには確認機能があるはずだ!」

「バカぬかせ!」

 

 どうせ変わんないだろう、と思うが確認。

 

《プレイヤーネーム:リキッド・スネーク》

《所持カード:マダムヘルタ(フルスペック)》

《履歴:不明》

《状態:コミュニティモード》

 

 そんなことはないはずだ。基本的にはいつ生まれ、登録され、プレイヤーなら大会参加記録が残されるはず。そうでなくてもキャラカード持ちなら何をどう使用したかのような履歴も……ない!

 

 そもそも不明って表記すら見たことない!読み込めなかったら読み込みエラーが入るし、生まれた直後で履歴なかった場合は専用のマークがつく。

 

 後モードがおかしい。

 

 コミュニティモードというのはキャラカードに喋ったりするためのAIをつけるモード。好きなキャラと話したりあんな事したりするためのものだ。

 

 だが、増やしすぎると意図しないシンギュラリティを起こす可能性があるので基本的にはコミュニティモードは特定のエリアでしか使えないようになっている。少なくともSGP・OSGPではシンギュラリティの観点からはもちろん『意図しない反逆や拒否されて使用不可に陥らない為にコミュニティモードにならない』ようになったいるはずだ。

 

 そもそもプレイヤーにそう言ったモード表示はない。

 

「どうなってやがる」

「自体が飲み込めんようだな、それで無法者共の王者とは聞いて呆れる」

「そりゃ初めてだからな……というよりだ!どうしてキャラカードが自我を持ってプレイヤーになれるんだ!?しかも、そうなれたとてどうしてそんな事をする!?」

「俺達がこうなれた理由は今話す必要はない。お前はいたく依頼主に気に入られているからな、いずれ分かることだ。俺が話したところで、大してシナリオには影響しないからな。

 それに動機についてはさっきも言っただろう。俺は兄弟……スネークを超え、親父への復讐も果たし新たな人生を歩む!あの時はFOXDIEなどというペンタゴンのつまらん小細工に阻まれたが、今回はそうはいかない!」

 

 リキッドがマダムヘルタの姿をしているのはそういうことか。

 

 身体の組成を変化させることによりFOXDIEの効果を無効にする。装備モードではなくなりきりモードを利用することで、ウイルスの発動対象から外れる事ができるらしい。

 

「この世界(ゲーム)には丁度兄弟もいる……その中にはビッグボス、親父もいる!」

「嘘つけ居ないぞ!」

「貴様は既に会っているんだよ!」

「何処の誰だよ!」

「イロコィ・プリスキンという男だ!知っているだろう!?」

「あいつはただの自認がスネークの変人だ!ヘリカルマガジンの話を人に聞くようなやつだぞ!?ソリッドだろうがネイキッドだろうがスネークだったら知ってるはずだろ!?」

「どうやらお前はメタルギアと作品をよく知らんようだな!その名前は兄弟の偽名だ!」

 

 リキッドが畳み掛けてくるせいで言葉が出なくなって来た。

 

 こいつが言うにはイロコィ・プリスキンというのがソリッド・スネークの偽名らしいがそもそも俺が良く知らないせいで嘘かほんとか不明。

 

 だが、仮にそうだったとしてもソリッド・スネークを自律稼働させる理由はないだろう。彼自身が野望や人殺しを肯定する事はない以上、悪巧みには向かない。かと言ってそのカウンターで用意するほど強くはない(単純にOSGPではメタルギアのキャラパが他作品と比べ非常に低い)。

 

 今はわからない事だらけだが、ともかくリキッドが暴れるなら止めないといけないのだけは事実だ。

 

「貴様はあまりに物を知らんな……」

「悪かったな!だが、そう考えてんなら一つ質問に答えて貰うぜ!」

「いいだろう」

「さっきシナリオを動かすと言ったが……どうするつもりだ」

 

 相手は笑って答える。

 

「簡単だ……アリウスにICBMを撃ち込む!それで話は動き出す!」

「この時点でだいぶ騒ぎになって動いてるはずだ!そんな攻撃をしなくとも」

「それでは足りないんだよ!」

 

 力説。

 

 所作も声も完全にリキッドだが見た目だけはマダムヘルタなので困りもの。

 

「エデン条約編はアリウスの本格的なテロから一気に話が動き出す。今の所大きくシナリオが逸れているが、逸れているだけで話がまだ大きく動いてはない!大きな戦争になればなるほど、物語は真相に近づく!」

「そう思ってんなら止まれよ!本当に撃ち込んだら永遠に終わらない泥沼の戦争が始まるぞ!」

「貴様は楽観視しすぎているんだよアレイシア・ガレットピア!現状すでにアリウスはキャラカードに対するガンズ・オブ・ザ・パトリオットを完成させ、その効果は出始めている!この状態が続き、発展すればアリウスは第二の『愛国者達』を手に入れたも同然の状態になるだろう!それがどういう意味か分かるか!」

「だからと言ってその為にミサイルをぶち込むバカがどこにいる!ゲヘナもトリニティも戦闘態勢になったら状況を整理する前に全てが終わるんだぞ!」

「アリウスのミサイルにより全てが始まるのがシナリオ通りなら、貴様がティーパーティーのメンバーを引き連れてるだけで停滞している状態を俺が破壊してやろう!かつて俺と親父の意志を継いだオセロットが、REXのレールガンで『J.D.』を破壊し力ある者に自由を齎そうしたようにな!」

 

 話が通じない野郎だ!

 

 どうしてこうめんどくさい奴が敵になる!

 

「好き勝手やってんじゃねえぞ!それだけは絶対に止める!」

「ならばやってみるがいい!貴様が果たしてスネークの代わりになるかどうかをな!」

 

 剣を構える。

 

 しかし、果たして俺が勝てるかどうか。

 

 話ができるこの距離では、多分マダムヘルタの攻撃よりもこっちの接近と一撃の方が早いだろう。だが、相手は少なくとも一筋縄ではいかない。中身が何しろビッグボスのクローンという高級品、戦闘能力の極みであったソリッドではないにしろ色々手を出して理解できるタイプの黒幕。

 

「この高揚感だ……!来い、アレイシア!」

「言われなくてもぶちのめしてやるよ!」

 

 俺は駆け出す。

 

 戦わねば、天秤が傾かない。戦わねば、停滞を極める。

 

 それを骨の髄まで理解した男に挑戦状を叩きつけられた俺は_____

 

 心のどこかで、笑みが溢れた。

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