Never Says「Good by…」   作:らんかん

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時の階段~Blue Archive 500th Outrage Story Grand Prix
天国の外の中で


「ふむ、ということはあの生徒達の中には神様が隠れていると言ってもいい、と?」

「間違いはないでしょう。神秘、こちらで言う運命力のようなものは結構感じます。ただ大体統一的というか、神秘でミルフィーユした記憶、ですがその記憶の中身に神秘がいる。が、正しい表現かもしれません」

「なるほど、色彩が星神(アイオーン)の代わりをやっていると」

「あれ、星神なんていつの間に覚えたんだ」

「ルアンからある程度の資料を貰って読んでいたのだ、今回の作戦を実行する前にな。兵士をけし掛けて控えてる時も」

「私がREXを弄り始めたタイミングも?」

「ああ」

「ふぅん……」

 

 目が覚める。

 

 機械的な駆動音と、水中に居る時のような圧力を感じて身悶え。

 

「ん、うぅ」

 

 寝起きの間抜けのような声しか出せないが、それで気づくらしい。

 

「あ、起きた」

「おはよう、よく眠れたか?」

 

 上半身を起こそうとすると、身体の痛みがない。

 

「……」

「傷がないことが不思議なようです」

「お前、は」

 

 目を擦りながら周りを見る。

 

 リキッド・スネーク、マダムヘルタ、そしてその隣にいて心配そうにしているのが_____

 

 ルアン・メェイ。

 

 どこかの一室のようだが全体的に広くは作られておらず、秘密基地と言うか心地よい圧迫感を与えるような作りになっていた。

 

「ルアン・メェイまで居るとはな____なあリキッド、お前いつ天才クラブに入ったんだ」

「天才クラブ?そんなものに入った覚えはないぞ」

「じゃあ、なんでつるんでるんだ」

「色々必要な作業の為に、説得したんだよ。お前を倒すよりも骨が折れた」

「さぞ一時間で済んだだろうな」

「は?私達そんな安くないんだけど?」

「俺はスナック感覚でそこの男にボコされたんだが?」

「拗ねるなよ」

 

 肩を組まれる。

 

 リキッドが今一番近いのがちょっと嫌だ。筋肉を見せつけてくるな。

 

「大体俺がやられて何日経った。てかここに寝かされててなんで俺は生きてるんだ」

「そこに関してはルアンから説明してもらおうか、頼めるか?」

「では」

 

 隣がルアンに変わった。

 

「まず、あなたが寝てからはそこまで経っていません。今は18時、早めの夕食を取る人が出てくるタイミングです」

「は?」

「OSGPの日常がどうかは分かりませんが、ワープ技術もあるでしょう?」

「じゃあここは」

「アウターヘイブン、と言う潜水艦です」

 

 どうやら水の中にいるような感覚は間違っていなかったらしい。

 

 アウターヘイブン、MGS4の決戦の舞台となったアーセナルギア級。

 

 その中に連れてこられたのか。

 

 まあ、ブルーアーカイブのメインキャラは大体天使みたいな奴らだからあそこを天国(ヘイブン)扱いするならここが天国の外(アウターヘイブン)なのは文字通りかもな。

 

「まあ、そっか。いやでも待て、面積とかを考慮してもやっぱりここで寝かされてるのはおかしい。集中治療室とか、それらの設備を監獄に運んでとか……あっただろなんか。ここで寝かされて急に襲われたらどうするつもりだ」

「あなた、もしかして三人に勝てると思ってる?」

「いやそれは____そうだな、勝てないかもしれない」

「素直なのは認めてあげる」

「でもそれなら尚更俺はなんで怪我治ってるんだ」

「骨に関しては軽い手術を施して、そこから治癒力を急速に高める薬を使ったんです」

「変な薬じゃないだろうな!?」

「あなたがよく知っているものですよ」

 

 ルアンの手には、黒い何かがある。

 

 チケットのような、クーポンのような。英語の文字が書いてあって______

 

 まさか!

 

地獄への回数券(ヘルズクーポン)*1

「正解です」

 

 なんてことだ、まさかまたお世話になるとは。

 

「なんで持って____ってそりゃそうだよな」

「何か、この薬に思い入れが?」

「ああ、あるにはあるが……今話すことじゃないからな。ありがとう、俺をそれで助けてくれたんだよな」

「お礼が言えたのですね」

「俺のことなんだと思ってる?」

「いえ、最初のあの言い草からはとっても自尊心が高い方だと思ってたので」

「確かに自尊心はある方だが、天才なら分かるだろ?分けて考えるの重要性」

「ふふ、そうですね」

「なあ、リキッド。少し歩き回っていいか?」

「構わんぞ。どうせお前は囚われの身だ、自由に歩き回って構わない。工作できるほどのものを持ち合わせていないしな」

 

 お言葉に甘えて立ち上がる。

 

 服はいつもの、それこそ普通のVR空間にいる時と同じもの。

 

 体が女だったり女性のものを着てることがスタートが多かったからか、自然とリラックスできている気が。

 

「どうだ?」

「おかげで普通の肉体になってるよ、最も敵か味方か分かんない奴らに拉致られてるから心の底から喜べねえけど」

「口の減らんやつだ」

「じゃ、絶句させてくれよ」

 

 俺はPCに情報確認で張り付いてるリキッドに近寄って、聞く。

 

「俺をなんでここに連れてきた?プレイヤーだったら誰でもいいというなら俺は要らないはずだ、マダムも俺のことを知っていたことも含めて気になる」

 

 リキッドは俺の方を向いた。

 

 普通の好青年みたいな笑みを浮かべて一度立ち、部屋にあるソファを指差す。

 

「あちらで話そうじゃないか」

「ああ」

 

 二人で何もすることはなく近づいて、対面に座って顔を見た。

 

 ソファはずいぶん柔らかくて革製。普通に高級、と言うべきか。

 

「まず、お前が必要だったのは伝えておこう。他のプレイヤーでは役に立たん」

「俺の何が必要なんだ?カードは持ってない」

 

 フルスペックのカードがご所望なら持ってないが、まあこいつらが手を組んでる時点でそんな陳腐なことを望んだりはしないか。

 

「カード云々ではなく貴様が必要なのだよ」

「人のことビッグボスの遺体扱いする気か?」

「そう出来てるならな」

 

 彼は至って真面目らしい。

 

「ならなんだ」

「雷電芽衣、と言う女のことだ」

 

 一瞬で後退りするように立とうとして、ソファの端に足を引っ掛けて転んでしまった。

 

 見下ろすようにリキッドが近寄ってくる。

 

「やはりな」

「あだ……」

 

 膝立ちしながら聞く。

 

「なんであれが必要なんだ。飼い主(エリシア)からの指示か?」

「違う」

 

 手を差し伸べるやつの手を借りて立ち、眼を見る。

 

「ブルートワルツというプレイヤーへのカウンターだ」

「……は?」

 

 互いに本気の眼をしてる。

 

 ブルートワルツの話が出てくる、しかもそれがもう本物だと信じざるを得ないリキッドが、天才クラブの二名と手を組むほどの状況で。

 

「あいつがなんだ」

「端的に言えば、あいつは『愛国者達』を作ろうとしている。この世界を起点として、俺達の世界を全部____宇宙ごと飲み込む、統治機構をな」

「嘘を言うな!プレイヤーにそんなことできやしない!」

 

 相手の襟元を掴んで揺さぶる。

 

「確かにブルートワルツが怪しいのはそうだ。アリウス陣営で生き残ってるって言いながらこっちのステータスでは全滅判定を喰らってて、その癖アリウスと戦ってて!だが、プレイヤーには権限はない!そんなことが出来るんだったらとっくにノーコンテストでエンドだぞ!」

「その考えを捨てきれんとはな。俺達を見ていて、まさかまだ普通の戦いをしていると」

「だが愛国者達なんて作れるものか!俺たちがいる電脳世界の管理AIをもう一個作るようなものだ、確かに愛国者達もそれに連なるAIも人の手で完成したが支配したところで何になる!大体、ブルートワルツがそれを目指す理由も」

 

『広がる、と言う行為には当てはまることが多い。私は思ったのです、アニメとかいろんな作品の世界にも宇宙や時間って概念があって、それがストーリーを作る。それを広げてるのはいつかいた私達の世界の人間でした。もしかしたら、私達の話も誰かが広げてるんじゃないかって』

 

 止まった。

 

 思い出して反芻する、あの時。

 

 宇宙のようなあの場所にいて、二人で話したあの日。

 

 あの発言はそれを作るため?

 

 何のため?

 

「どうした?」

「ああ、いや、その_____だがブルートワルツは何のために」

「その動機が知れていれば、今手伝いとしている二人の天才は解決するための手筈を立てているだろう。そうだな?」

 

 ヘルタも、話に混じるように近寄る。

 

 「ええ。私達を偉そうに出し抜いたあの少女、少なくとも周りの奴らを捕まえて聞き出したんだけど”色彩を使ってベアトリーチェを神秘的な生態サーバーにしようとしてる”んだって」

 

 ベアトリーチェをサーバーに?

 

 色彩によって変異する、その行動によってプレナパテスが降臨するのは小耳に挟んだことはある。その切っ掛けのタイミングで細工をして作ろうとしているのか。

 

 だが、それでも俺が必要な話が思い浮かばない。

 

 確かにブルートワルツと関係する人間、それも今このステージで一番関わりがあるのは確かに俺だ。

 

 俺だが、それでもそれ以上の関わりはない。

 

「あいつのことをちゃんと知っている人間なんてそれこそ運営以外に居ないだろ、そう言った探りを許すような奴らじゃないし……あんたらみたいなイレギュラーが聞くなら尚更だ。俺を捕まえたところで、大した手がかりは得られない」

「だから雷電芽衣という少女のデータを欲してるんだけど」

 

 マダムが近寄って威圧するように見てきた。

 

「持ってきてねえっつっただろ。持ってきてたとしてもしてもどうやってあれで確かめるんだ」

「彼女がキアナ・カスラナだから」

「なるほど。そりゃ確かに____はあ!?」

 

 聞き返す。

 

「ブルートワルツがキアナ!?バカ言うな!キアナ・カスラナが本当にいたとして、あれを持ってるのは一人しかいない!ましてや自立稼働させるなんざ無理だ!」

「そうね、確かに彼女のデータを持っているのは運営か、昔にいたあなたと同じレベルのバカしかいない。しかもそのデータは持っていた人間の意向で永久凍結」

 

 目の前にホログラフモニターが出てきて、ある写真が映る。

 

「これを見ても、同じことが言える?」

「あ……?」

 

 モニターに映った画像。

 

 炎の剣、しかもあのグランプリの時に見た双銃から変形した大剣を振り回してプレイヤーらしきものを一方的に蹂躙しているシーン。

 

 そして、確認された画像にあるプレイヤーの名前。

 

《プレイヤーネーム》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《キアナ=ブルートワルツ・カスラナ》

*1
忍者と極道に出てくる麻薬。身体能力を爆発的に引き上げ、動体視力、反射神経、再生力も強化。一般的な麻薬の中毒性もないが、キメてる間は目の周辺に赤いひび割れのような模様が浮かび上がる。




《余談》
どうも、らんかんです!

新章『時の階段』が始まりましたね!すでにいろんなところに喧嘩売っててさあ大変!

そもそも多重クロスオーバーを好んで漁る奴はいないので好き勝手やりますが、なんとここからはもっと好き勝手になります。ついてきてください。

前回の章では「旅する虚数」という題名だったのですが、あれは『虚数の木などのホヨバ要素の匂わせ』や『虚数の木などのある種表現された宇宙によってどんな作品も一個の世界に接続されてる』とか『その中でいろんな世界を旅するのがOSGPのプレイヤー』って表現でああなりました。

今回の時の階段は何を意味するのか、わかる人はわかるのですが_____前回REXの核弾頭でアリウスにぶっ放され爆発し、MGS3のバーチャスミッションのような引きなので分かっても何してんだお前って感想を抱かれそう(てかその次の話で銀河万丈の男と話してる時点で結構メタルギア味濃いめ、天才クラブいるのに)。てか感想抱いたら書いてください、私は喜んで見ます。

ブルートワルツはキアナなのに、何故かずっとお嬢様口調!芽衣のカードを持ってきてないのに自分自身をキーにされそうなアレイシア!崩壊シリーズの話を何くわぬ口調で続けてるけど自分の作品には全然関係ないリキッド!

舞台はブルアカ!主人公がどっか行きすぎて置いてきぼりな仲間達!ティーパーティーは何ならゲヘナの本拠地に来てるし、それを引率してるスネークの胃に穴が開きそう!助けてオタコン!

カオスな話ですが、今しばらくお付き合いください。

らんかんより。
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