Never Says「Good by…」   作:らんかん

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潜入の話

 飯の時間だ。

 

 ステーキと米とサラダをとって、そのまま空いている端の席に座った。鼻腔をくすぐる香ばしい匂いは、今すぐにでも噛みつきたくなるし、事実そうするためにそくささと座ったのだから。

 

「ここに居たか」

「リキッド」

 

 目の前には、その見た目に似合わずきつねうどんと柏おにぎりを持ってきたリキッドが座る。

 

「今からか?」

「ああ。作戦がどうたらがあるならここで聞くが」

「なら丁度いい。食べながら話そう」

 

 お互いに箸とナイフを走らせ、食べながらも作戦会議を始めた。美味い。

 

「ブルートワルツの調査についてだ、ある程度のキャラカードを与えるからアリウスに調査しに行ってくれるか?」

「アリウスに?今どうなっているかとか、そんな話か」

「その通りだ。スタースクリームはかなり序盤に連れてきたものだし、ヘルタやルアンを前に出すわけにも無用にいかないだろう。故に、お前を使うことにした」

地獄への回数券(ヘルズクーポン)と帰りの用意があればいい」

「それだけでは不安だからな、幾つかカードを用意する。それで足りるか?」

「例えば」

 

 いくつかのカードが、彼のポケットから出される。

 

「あいにくこういうものには無縁の人生を歩んできたからな、好きなのを取っていけ。全部もらって行っても構わないぞ」

「そりゃ渡すものに細工してりゃな」

 

 一つ目、これは……輝村極道。ああ、こいつはもらって行こう。地獄への回数券と、少しばかり取り回しがいい極道技巧(スキル)のコピーはあって損しない。もっとも、(ヤマイダレ)狂弾舞踏会(ピストルディスコ)もこんな状態でどこまで通用するかは分かったもんじゃないが。

 

 二つ目、五条悟……どうしようか。基本的にはノーマルのオーズでバッサバッサ切られる印象しかないんだけどな。とは言っても、ノーマルでインスタント世界斬以外は見ないから、今それが使えない以上持っていくのもあり。ただその場合は次はパルキアになるんだが……いやでも待て、スタースクリームの話を信じるのであれば恐らくはポケモンも使用可能だ。ならば使えるのではないか?持っていくか、脳の回転処理追いつかなくて反転術式で脳を治せなくなってもまあここはクーポンでカバーしよう。

 

「どうした?」

「いや、考えてる」

 

 一応他のやつを見ていくことにしよう。

 

 三つ目は、リチャード1世?うーん何だっけ、ああ、あれだ。エクスカリバーを即成できるやつ。だけど俺こいつ苦手なんだ、キャラ的な問題じゃなくて性能的に。ガウェインの後だからやっぱり一個しか手段ないも厳しいし、俊敏EXなのは嬉しいは嬉しいがOSGPだとあってないようなものだ。だって、超火力が四方八方から飛んできて加速できないから。これはナシ。

 

「それは使わないのか?」

「俺には使えないし、そもそもノーマルカードが使えなくなった以上長く戦うためにはそれこそ五条レベルのスタートが強いキャラじゃないと間に合わない。扱いやすさと死ななければ無限に強くなるからいいカード、なんだがな」

 

 しかし、今使うべきものではないのは確かで、カードは静かに指で押さえて机を滑らせるように返す。

 

 他はどうしようか?でも大体戦闘用かつ一点が極まってるようなやつなんだよな、四ノ森蒼紫、うーん_____ 

 

「これとは別に何かないか?ギルガメッシュとか、アーチャーとか、ともかく手段がたくさんある奴。国木田のやつとか。あとライダー系は?フルスペックでもあれなら回収した余りとかあるはずなんだが」

「難しい注文だな。あいにく、今回はそういうのには恵まれていないようだ。そもそもがアリウスを探索出来ていたらお前に頼まなかっただろうしな、ゲヘナとトリニティはまだ無事だ。カードの回収など、出来ても大半はもう使えなくなっているだろうな」

「ちぇっ、もう少し後に捕まっておくべきだった」

 

 ぼやいてても仕方ないが、そのぼやきがどうやら相手のツボにハマったらしい。

 

「ふ、はは……貴様は本当に面白いな。俺でなければ今頃は実験動物になっていただろう」

「あの二人は別に道徳落第点なわけじゃないだろ?それにヘルタがいるなら止めてくれる……と、信じたいものだが」

 

 ルアン単体に捕まったらどうなるかを考えれば背筋が凍る思いだ、本当に変なもの食わされてそう。

 

「残っているのはこれくらいだな」

 

 カードが一つ、彼のポケットから取り出されて俺の目の前に。

 

「これは……ああ、こっちの方がいいじゃないか!」

 

 五条のカードを戻してから手に入れたのは、ギーツのフルスペックカード。しかも一番強いIX入りときた!

 

「どこでこれを?これをつけて参加している奴はおそらく俺よりも目立つはずだ、何せデザイアグランプリを全優勝した上で本編のエンディングに辿り着く必要があるからな。妨害もあるだろうし絶対に簡単じゃない」

「それはスタースクリームが拾ってきたものだ。だが、そのプレイヤーはどうやら脱落したらしい。ディアルガも回収したが、どうやらあれの言い分を信じるならブルートワルツの毒牙に掛かったのだろう、ポケモンを使っていたが故にな」

「これだけの力を持っていたならさぞ楽しい戦いが出来ただろうに、残念なことだな」

 

 だが、今回はそもそも番外戦術前提の様な戦いを強いられている。アリウスのプレイヤーが壊滅し、本来だったら自律しないはずの他作品のキャラクターが動いていて、しかも何かしらの大きな危機のために本来だったら協力する様なこともないはずのメンバーが一致団結して解決に当たっているんだからな。リキッドが真面目に働いてる所とか見るとは思わなかったぞ。

 

 実力を発揮する前に死んでしまったこの持ち主には哀悼の意を表するが、ともかくこれでちゃんと扱えるカードが揃った。フルスペックの現地調達、という一番安定しないかつふざけているルートが正解なのは驚いたが……少なくともブルートワルツが敵になっても大丈夫な状態に、雷電芽衣を隠した状態でたどり着けるのだから。

 

「あ、ところでいつ調査に行けばいい?飯食った後に出発でも俺は構わないが」

「そうだな……スネークの事もある、正直なところ潜入するなら混乱に乗じた方がいいだろう。いや、最早今すぐに行くのも悪くはないな。ブルートワルツへの接触は早い方がいいだろうし、アリウス自治区は結構暗い。夜のうちに潜入出来るなら、その方がいいかもしれないな。データは掴んであるから、お前の方に送っておこう」

 

 少し手をつけていなかった肉をまた食べ始めると同時に、データが送られてくる。自分だけに見える様にしたスクリーンをテーブルの上に出すと、どうやらアリウスへの道が書かれていた。

 

 ほうほう……夜中に行きたくない場所を通る必要が出てくるのか、地下墓地を通ってからアリウスに、ねえ。そもそもそのルートを守ってる奴がいるのかどうか怪しいくらいだが。

 

「どうだ?1人で行けそうか?」

「人を怖がりみたいに……いやでも、幽霊に出会ったら確かに嫌だな」

 

 いやいや、それで行けませんって言うのダサいしそもそもがあまり怖くない。奴らにとっては二次元の力を容赦なく使ってくる俺らの方が恐怖だろうし。

 

「自治区に侵入するまでは問題ないだろう、設備とかも見たが恐らくはベアトリーチェはセキュリティに金をかけていない。全て兵士の目視や、安物のセンサーなどを使っている。多分移動もそこまで不自由しない。ああ、ただ黒か濃い灰色のマントをくれないか」

「それならすぐに用意させれる。軍用のポンチョになるがそれでもいいか?ポーランド軍が使用しているテントにもなる物を改良して耐弾性能を上げたものになるが」

「そいつはいい。少し重くなっても戦闘時にはどうせ麻薬キメるか変身するかで踏み倒すからな、ついでに食糧や水など数日分あると嬉しい」

「それも用意させる。他には?」

「うーん……」

 

 あとは最初に言った通り帰りの手段とかを手配してくれてればいい、そうリキッドに伝えた。

 

「そうか、ふん、案外お前は欲がないんだな?」

「OSGPはお前みたいなカリスマを持って、サバイバル知識とかにも富んでいるやつじゃないと実は生き残れないんだ。力を持って無双するを重視しすぎると自分より上の存在が来た時にそのまま計画ごと崩れるし、電脳世界極まった自分から言うのはあれだが、アナログなサバイバルが出来ないと万一の時に生き延びれない。それに十分、裏切るかもしれない相手からいいもの貰ったからな。強請るものもない」

 

 本音を言えば今すぐスネークと和解して、大和やアイアン達と合流してチームを組み、そのバックアップがあった状態で動きたいものだがそうもいかないからな。ならば、今すぐ頼める分はこれでいい。

 

 話している間に食い進めていたやつは全部胃の中に収まった。

 

「ご馳走様……よし、じゃあこれで俺は少し休んで準備するよ。ありがとうリキッド、必ず情報を掴んでこよう。ブルートワルツはどうしたいのか、ベアトリーチェは何を狙っているのか、そもそもがアリウスは今どうなっているのかも」

「期待しているぞ。まあ、貴様のことだ。笑って帰ってくるだろう……仲間に対しては真摯であると、聞いているからな」

「仲間と思ってくれているのは嬉しい事だ」

 

 そう言って、席を立ってから手を振って、トレーを持って食器を返却してから別れる。

 

 そろそろ俺らから大きなアクションを起こすべき段階に来ている。今までは受け身で情報を探っていたが、ずっとそうするわけにもいかないからな。

 

 ブルートワルツがキアナなら、果たして彼女は一体どうしてここに来たのだろうか。芽衣を狙っていると言うなら、何故そのカードを持ち合わせていない状態でも狙うのか。

 

 そもそもベアトリーチェとどう言うふうに話をつけて手を組んでいるのか、ともかくわからない事だらけだが、それを今から行って解決しようとしてるんだ。少しばかりのご褒美と一緒にな。

 

 ようやく、肩の荷が降りた様な、少しばかり軽々しい気分になった。




《簡単な解説》
(最近疲れ気味なためタメ口かつ軽い解説になります、申し訳なし)

仮面ライダーギーツのカードは少し特殊で、作品では手に入れるバックルなどもランダムなのだが、OSGPでは他のカードなどの兼ね合いでそれだと弱すぎるため任意のバックルを呼び寄せることが出来る仕様になっている。しかし、ノーマルカードは実はブーストを装着できない(ただしノーマルでも条件付きでタイクーンなら呼べる)。

ブーストレイズバックルは他のバックルと比べ単純に出力が10倍で恐ろしいくらい強いのだが、これはフルスペックじゃないと任意に呼び出せない。ギーツ系列のキャラカードは特殊で、例えば仮面ライダーギーツなら、ブースト以外を呼び出せるノーマル、フルスペックではブーストまで呼べるやつ、ブーストマーク2まで呼べるやつ、レーザーブーストまで呼べるやつ、ギーツIXまで解放済みのやつまでと結構細分化されているのだ。

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