Never Says「Good by…」   作:らんかん

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俺が駆け回った裏で-大会の終わり

「アタシの勝ち!」

「ああ、お前!」

 

 ベンチ争いはアシェイラが勝った。

 

「くっそ」

 

 彼女がベンチに寝転がったせいで誰も座れない。みんなして芝生に雑に飛び込んで、転がったり座ったりした。

 

「あんた達遅いんじゃないの〜!?」

「ちぇっ」

「小生らは頑張ったんだが?」

「遅い方が悪い!」

 

 なんだか、もう元の場所に戻ってきたようなリラックス感があるな。

 

 全員で輪を囲むようにして、話をしよう。

 

「んー、どうする?何から話す?」

「まず、そうだな……あ」

 

 自分たちはゲームをしているんだ。その状態を確認しないと。

 

 スマホを取り出してOSGPの状況を確認する。

 

《生存者:アレイシア・ガレットピア、流神 大和、アイアンランド・プレイス、アシェイラ・ハーバス、ベロニカ・グルース》

《大会進行状況:終了(ベアトリーチェ討伐/現在運営による特別ルール施工・調査中)》

 

「つまりしばらくは帰れないってことか」

「そうだな」

「じゃあ、今までの話を聞かせてくれよ」

 

 大和に話しかける。

 

 そういえば俺、信用していたけど暫く離れて戦うことが多かった。というか後半はずっと色々なことやらせてたからな。

 

 リキッドにやられてからの話を、聞いてみることにしよう。そう伝えた。

 

「あー、じゃあそっからか。君が連れ去られた瞬間からだね」

 

 大和は、俺の願いをすんなり受け入れて話し始める。

 

 リキッドにボロ負けしてマダムヘルタの鏡にアウターヘイヴンへと連れ去れ、REXからミサイルをアリウスに撃たれた後、彼女達はマダムヘルタとルアン・メェイ両名と戦うことになった。

 

 彼女達は手強いどころか、考えればデフォルトで自分達というフルスペックキャラカードを持っているに等しい。流石に隠していたフルスペックカードを使ったものの、REXと戦いながらでは厳しかったのか決着がつかない。

 

 そうしているうちに俺を送り届けたのを確認したのか、一斉に離脱されてしまい、追えなかったようだ。

 

「あの時大虚のあれのような感じで逃げられちゃってさ。それでどうしようもないなーってなったけど、兵士達は倒せたしでいっか……と考えていたんだ」

「でも、そこからが大変だったな。何せ戦ったのがゲヘナの敷地だ。静まったタイミングで、小生らは見つかったんだ。ゲヘナの主にな」

 

 戦い終わったあとに、生き残ったゲヘナの生徒達に囲まれた大和達。長である羽沼マコトの指示だが、流石に連戦続きでは勝てないと思い戦う事はしなかった。

 

 尤もそれは早めにティーパーティーのメンバーを確保し協力してもらっていたのが大きい。結果的には『トリニティでも起こっていた問題をゲヘナに共有して協議する』と言った方向へ持っていくことに成功。

 

「アレイシアが寝てた時、私達は私達でゲヘナを味方につけようと苦心してた」

「そりゃ大変だったな」

「そうでもないよ。私達はゲヘナのメンバーがどれくらい、そして誰がそうなのかを教える代わりに協力を取り付けられた。ゲヘナそのものに害は及ぼさず、トリニティと敵対した実績を持ったアシェイラとベロニカを保持したままね」

「私も結構苦労したが、実際それに加えてアレイシアの重要性を示すファクターになれた。私とお前で、楯突いたアリウスを倒せたのも含めてな」

 

 ミサキを二人で倒した事実、トリニティ陣営の俺とゲヘナ陣営のベロニカで倒したアレが“和解”と“本当の敵”を分からせるのに十分だったらしい。

 

 結果、俺が寝てる間に事件現場から使えそうなカードを集め、ゲヘナのプレイヤーを生徒達が強襲。無理矢理ゲームオーバーさせる事に成功した。

 

「その時はまあ大変だったけど、18時くらいには終わったからね。いやあ、楽しかった」

「へー?後ろから指示出している間にあたしが何回フレスティでしばいたと思ってるのー?」

「ごめんってば。でも、私の指示的確だったでしょ?」

 

 酷使したのを謝っている。仲良くなってるなあ。

 

 ゲヘナを一度平定した後で、マコトは信用に足ると判断したのか彼女達に活動拠点をプレゼントした。勝手に空き家に住み着くよりは良いだろう、という判断。

 

「で、一度ゲヘナが直接保有しているホテルで休もうってした時に私に連絡が来たんだよ。リキッド・スネークからね」

 

 ほぼスネークに対する煽り文だったものの、プレイヤー向けには俺の生存ないし強力なフルスペックカードを持たせてアリウスへ行かせたという情報。そして、素直な協力の申し出があった。

 

 最初スネークはそれを受けるかどうか悩んだものの、ゲヘナ・トリニティ協議の上で合同対策本部を設立。両者による調査、という名目のもとで俺の救助に向かうことに。

 

「それでようやく合流できたってわけか」

「君がアツコちゃんと戦った通りにね。まさかあの時に結構体にガタが来てたとは思わなかったけど」

 

 囮として暴れる用のプレイヤーチームと、生徒達による本攻略チームに分かれての行動。これによって俺と合流したのはプレイヤーの方だ。

 

「で、そっから話をして……また別れて、だったな。俺達が向かった後、何してたんだ?」

「アリウスの生徒達がトリニティのプレイヤーを殺して戻ってきたタイミングと重なって対処に追われ続けた。手持ちをひけらかすことを承知の上で、フルスペックもミューテーションも使い果たしたぞ」

「ヌースゼロワン見たかったなあ……いやそれはそれだ。よく無事だったなそれ」

「ベロニカもアシェイラも着いてこれるほどの逸材だった。小生らに負けぬ、な」

「……ロリ巨乳好きでなければ」

「それを突き続けるのだけは勘弁してほしい」

 

 面白いな。

 

 やっぱりロリ巨乳と付き合ってるのは結構マイナスポイントなのか。でもわかるな……肉付きが良くて小さい女の子はそそるんだ。

 

 いやいやそういう話をしたいんじゃない。

 

「で、俺がそっからブルートワルツと相打ちして……の後はゲヘナに戻ってたんだよな。何をしてたんだ?」

「あたしらのとこにスタースクリームがやってきて、一度同じ場所に向かったらデータドレインによる被害者を発見したの。で、一回鏡でワープしてアウターヘイヴンに寄ってから……ブルートワルツの大行進を止めにゲヘナに戻ったんだ」

 

 随分と大移動を1日で繰り返しているあたり、相当疲れてそうだな。

 

 ブルートワルツ派閥の少女達は各々に強大な力を持って侵攻開始。出来る限りを尽くしての防衛戦をしながら、侵攻を指揮している本人に出会わないように調整していたらしい。

 

「ここからはもう言わなくても分かるね?君がブルートワルツの前に立ち塞がり、彼女を撃破。撃破したら終焉の律者とレイジを回収して合流……あとはさっきまでと同じってこと」

「そうだろうな……あ、そうだ」

「なに?」

「元に戻ったキャラ達はなんか言ってなかったか?」

 

 遺言、と言えば変だが。

 

「あるよ」

 

 大和は返事して、モニターを出す。何個かメッセージが飛び出してきて、一言が並んだ。

 

《キャリコの話をあそこまでしっかり理解していたのは面白かったぞ。今度もし会うことがあれば、信頼している武器について話したいものだ》

《お前は体術が圧倒的に足りない!今度あったらしっかり格闘術を身に付けさせてやるからな》

《案外やるね。次にもし出会うことがあれば、ヘルタ人形を一つだけプレゼントしてあげる。人を救った英雄を報いてあげるの、感謝しなさい》

《あまり話をする時間が取れず、申し訳ありません。今度は、ゆっくりお茶会でも開きましょう》

《この俺様スタースクリームの活躍を見れないなんて損してるぜオマエ。今度はちゃんとかっちょいいトランスフォーム見せてやるから覚悟しておけ!》

 

 騒がしいメンバーだな……とは思うが、ほんの少しとはいえ俺の背中を押してくれたメンバーだ。感謝の意は溢れる。

 

「いい奴らに恵まれたな」

「本当にそう思うよ」

 

 大和の言葉に頷くと同時に、レイジが肩を組んできた。

 

「いい感じにしんみり出来る冒険をしてたのか。最高だな!」

「……ああ」

 

 返事すると、そのまま浮く。

 

《通知:500th Blue Archive Outrage Story Grand Prixを終了します。プレイヤーの皆様は、暴れることなく、そのまま姿勢を楽にして任せてください。今回の勝者はトリニティ陣営大和チーム、ゲヘナ陣営アシェイラチームのみとなります。報酬は特別な事情によりありません》

 

 大聖堂がもう200mも下のところにあるくらいだ。

 

「ああ、もう終わりか」

「寂しいか?」

 

 アイアンが浮きながら寄ってくる。

 

「……祭りや大会の後ってさ、終わった瞬間まで居るとつい寂しくなっちゃうんだよ。勝っても負けても……どうしてだろうな」

「貴様は勝ち負けではない戦いや、冒険が好きなのだろう?それも結末や仲間の情緒さえ確定しない、恐ろしいほどの自由なものが。その終わりが穏やかでも、いつか遠ざかる思い出になると体感すると寂しくなる」

 

 彼の顔が思ったよりも、柔らかい表情だ。

 

「それとも、心残りが?」

「ブルートワルツやレイジの件は、俺に取っては因縁だ。ブルートワルツ自体が捕まり、処罰や対策がされていない以上はまだ続くだろうが……せめてもう少しだけ一緒に冒険したかったな。アシェイラとかも」

「アタシらのこと好きなんだー?」

「好きに決まってるだろ!戦って強いやつと戦うのって結構貴重なんだよ!」

 

 近寄ってきたみんなは笑っている。

 

 いいなあ、と思うが……そんな時間は帰れば続くじゃないか。

 

 唯一の懸念はOSGPそのものがどうなるかだが、それでも時間以外にその答えを知る手段はない。

 

《ワープを開始いたします》

 

 運営アナウンスの声が聞こえて、目を閉じる。

 

《3》

 

 身体に上昇負荷を感じて、引き伸ばされる感覚がする。

 

《2》

 

 自分に勢いがついて、段々と己が粒子になったような感じがする。

 

《1》

 

 このタイミングで周辺の音もくぐもって一瞬で押し上げられるように上に飛ぶ。

 

《ワープ開始》

 

 俺達は、自分達が戦った世界を離れて、本来の居場所_____

 

 エレクワールドへと吸い込まれていった。




どうもー、らんかんです!

Never Says「Good by…」第1章《500th Blue Archive Outrage Story Grand Prix》はこれにて終了です!お疲れ様でしたー!

まずはお礼とお願いから。

多重クロスというとんでもない地雷原なのにも関わらず、お気に入りが10で星も1個ついているというトンデモ作品です!応援してくださってる皆様、本当にありがとうございます!

ストーリー的には結構意味不明ですが、分からないことがあったら感想で聞いて頂けると嬉しいです。泣いて喜びます。後めちゃくちゃ解説します。

次に書いてた感想ですね。

僕としては結構思い通りの多重クロスを書けたのではないでしょうか。この作品はまだまだ続くので触れきれてない部分が多いですが、僕自身は終焉+起源+創世による律者ギーツを作れたのがとても満足ポイントでした。終焉の律者を持ったやつがラスボスだ!という点では多重クロスという恥も外聞もパワーバランスもない話ではインパクトはあったんじゃないでしょうか。

また、この世界に終焉の繭があるから輪廻する……を別の物語に書き換えて破壊するのようなトンチキも効かせられて僕は嬉しいです。戦闘描写も比較的満足しましたね、フィーバーブーストで王の財宝を捌いたりするのは流石に主人公。

ストーリー展開的には大反省点としてあんまり味方と協力してる感はなかったですね……もっと見せたかったけどそれはまた次の戦いで上手いことしたいなと。そこさえなんとかなれば、繋がりから世界観の提示に繋がっていくと思うので。

という感じですね!次からも頑張るのでよろしくお願いします!

そして、再三お願いしますが、感想とお気に入り!いいなって思ったら高評価!どうぞお願いいたします!

しばらくはプロットや設定を練るため未完になりますが、待っててくださいね!

らんかんでした!
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