「なんだ!」
「敵襲か!?」
寮は無事だがその近くは爆炎に包まれる。
上を見てみるが、煙が上がる前だからかよく見える。だが特に空中からの攻撃ではなさそうだ。空を切る音も聞こえない。
頑丈な建物ゆえすぐに崩れることはないだろうが、状況は逼迫しつつあった。
「早いよ!なんでこうなっちゃうの!」
「流石に一日目で動いてくるとは予想外だな。ゲヘナの連中か」
「アリウスがやってくる可能性もないか?」
「どっちにしろ対応するしかないだろ。俺が出る」
道路側に走って出ると、すでに大惨事。
町中を火だるまにするような奴らがやってきているが、天使の輪が見えない。
「なんだあいつら」
「見たところプレイヤーでもなければアリウスの生徒でもない、ゲヘナでもなさそうだ」
「んーでもカイザーグループがこんな益のないことするかなあ。プレイヤーとしてもゲヘナの人間が」
機械の隊列が組んでやってきている。何かを探しているようには見えないが、少なくとも放置はできない。
「ここで晒しちゃってもいいの!?」
「あれは多分この世界にないものだ。いっそここで押し返してリソースを吐かせる」
「なるほど。では、小生も。司令塔を頼むぞ大和」
「え?」
「サオリ、大和を頼む」
「ああ」
護衛をつけて完璧だろう、俺とアイアンは道を塞ぐように出る。
二人ともがカードを使うと、それぞれの装備が出てきた。
「ほう、お前はそれを持っていたのか」
「なんだよ」
俺が手に持っているのはエイムズショットライザー。アイアンが持っているのは飛電ゼロワンドライバー。
「気が合うな」
「今回のルールではキャラカードの開示は無しだ。隠すこと前提なら、指示出しやすいものをと思った。まあランペイジバルカンは使えないが」
「大丈夫か?」
「これでも激戦を潜り抜けてきたんだ、魅せるさ」
二人でプログライズキーを鳴らす。
《Power!》
《Jump!》
「ん?シューティングウルフじゃないのか」
「こういう場合は一気に蹴散らした方がいいだろ」
「そうだな」
別に制限はない。
《Authorize!》
時間もないのでそのままショットライザーにキーをぶち込んで展開*1。
《Kamen Rider Kamen Rider Kamen Rider Kamen Rider》
主張の強いショットライザーの待機音。隣でもアイアンのゼロワンドライバーから待機音が流れている。
機械の兵隊はこちらに武器を構えた。
「変身」
「変身!」
《Progrize!》
《Shotrize》
同時に変身手順を踏む。引き金を引き、キーがセットされる。
相手の弾幕は当然やってくるが、ゼロワンのライダモデル、大きなバッタがそれを庇うことで俺らの防御になる。その状態で俺のライダモデルを凝縮した銃弾が自分に着弾。変身シークエンスに入る。
その次に銃弾が止んだタイミングでアイアンも変身。
《RISING HOPPER!》
《PUNCHING KONG!》
こうしてこの世界でおそらく初めての仮面ライダーが出てきた。
俺が通常フォームだったらカッコよかったのだが、使いたい武器のことも考えればそれをするのは俺では難しい。
「行くぞ」
「ああ!」
二人で一斉に突撃。
まずは俺がタックルをかまして、とにかく相手がメチャクチャになるまで殴り倒す。俺が今使っている形態はガントレット式のグローブみたいなのが付いていて、全体的に重量があるからか威力が期待できる。
しかも剛性が非常に高い金属で作られている兵士には中々有効らしい。
「うおらぁ!」
と、その重さを持った腕を振りまくりながら相手への破壊を繰り返す。
身体を殴りつけ、歪ませ、それを抱えて振り回す。それが彼らへの牽制と攻撃になって、連鎖的に倒れていく。持ってきて正解だった、こういうことをするために持ってきたまである。
尤も、そんなルーキーを横目にスマートに戦う奴が隣にいた。
アイアンのゼロワンはあまりに素早く、的確な攻撃によって相手を爆破させて減らしている。声も上げることなく、正拳突きと前蹴りを繰り返して相手を屠る。
「ふ、はっ!」
大ぶりなモーションを取らず、宙返りなどをしないゼロワンはどうなんだとは思いつつも戦い方というのに関してはやはり強いやつ。
「俺いらねえな!」
「貴様がもっと頑張れば楽になるのだがな」
「うるせえ野郎だ!」
カードの中にはある武器が入っている。
腕を叩くと、あるものが生成された。アタッシュケースだ。
「やっぱこれかっこいいよな」
展開するとショットガンになった。
これはアタッシュショットガン、アタッシュケースに変形するバカ強いショットガンだ。
「おらあ!」
引き金を引くと、反動が強いが複数で表しきれないほどの銃弾が相手を抉る。近ければ怯むどころかバラバラになるし、そもそも遠くても当たれば損害が出る。
戦っている道路中で機械が散乱し、それが原因ですっ転びそうになるので蹴飛ばして攻撃に運用。仮面ライダーはバカみたいなスペックを持っているので、それが容易なのもいい。
《二人ともー!聞こえるー!?》
「聞こえているよ!」
「ああ」
大和の通信が飛んできた。これを聞けるのも、機械系ライダーのいいところ。
《よかった!こっちは安全なところまで避難した!全面戦争用のシェルターは快適なもんだけど、そっちはどう?》
「聞く暇があるなら情報をよこせ」
「全然余裕だ!」
《えっと今情報を見てる限りだと兵士たちはそこの近辺にしかいないみたい、完全に裏が取れたわけじゃないんだけど対応すれば収まるはず!》
「んじゃどうやってバレずにやってきたんだよ!?」
《多分カードでも使ったんでしょ!とにかく終わったら……ってきゃあ!?》
「どうした!?」
《まっずいこっちもなんか攻撃受けてるっぽい!》
あっちもピンチこっちもピンチ、最悪な状況が続いている。
だがとりあえず自分達がいる方は減ってきた。
「アイアン!移動する準備!情報もついでに聞いてくれ!」
「分かった!」
通信は聞こえているが、俺らはまずこれを片付けなければならない。
幸い戦っていた奴らは弱いのがあって、向かってはくるものの数は減っている。
「なあ知ってるか」
無論答えるわけはないだろう機械の兵隊。
当然この武器はショットガンだ、そういう機能があるのも見せた。
目の前に転がっているやつを引っ張りながら掴んで投げ、転ばせてから構える。
「終わりだ!」
引き金を引いた。
ショットガンにはスラッグ弾、というものがある。本来は小さい球を幾つにも重ねたゲージというものを撃つこの銃でも、普通の銃器のように狙撃ができるようなものをするために使う銃弾。
このアタッシュショットガンも同じようなものが撃てる機能が搭載されている。
引き金を引けばその銃弾が発射され、自分からは離れているもののすでに壊れた同胞を投げられて動けない機械の兵隊達を貫く。
結果、兵士は全員爆散。残ったやつなど一人もいない、逃げようとするような奴はすでにアイアンが倒してしまっている。早いやつには敵わないのだろう。
「よし、他には……いねえな!アイアン!終わった!」
アイアンの方を見てみると、変身解除して車に乗り込んでいる。
何をしているんだ、と思いながら自分もプログライズキーを抜いて解除してから乗り込んだ。
「大和の方はどうだって?」
「今連絡が切れているが、シェルターへの攻撃は止んだらしい。通信ケーブルが逝ったんだろう、復帰には時間が掛かるがおそらくは無事なはずだ。下手に動かなければ、な」
「その不安を煽るような言い草はやめてくれ」
彼はいろいろ話す。
俺が敵をしばいているうちに、通信状態が悪化し続けていること。まだ隙があるプレイヤーを狙うためか、自分達のところを狙っていたが恐らく他のターゲットを見つけてそっちへ行ってること。通信手段が切れる前にも見ていたら向かった方角はシスターフッドの大聖堂だからそこへ向かってほしいこと。無論後で大和も合流する、というのもあった。
「だから今向かっているのは大聖堂だ。正直あの戦闘の意図こそ不明だが、次である程度動きが固まると思っていい」
「同時多発的なテロだとは思うんだが、やっぱりやってきているのはアリウスか?サオリが騙している可能性だってるんだろう?」
「それも考えられるな」
じゃあ大ピンチじゃねえか!って言おうと思ったが、まさかこの世界を知っているやつが対策を打たないままヘマをやらかすかと言われたらそうだとは答えられない。
アイアンもそこを理解していたからか、水先案内人のプロである彼女を信じて指示通りに向かうことにした。事実、自陣営の人間を減らすのは不利につながる。慎重に動きたいところだがそれはできないのがもどかしいところだ。
「んでアイアン、目的地にはいつ着く」
「カーナビではもうそろそろだ。借りたやつには後で返さないとな。
……着くぞ」
車が止まる。
ドアを開けて外に出てみると、目の前は広い庭。その向こうに大聖堂がある。
「場所は?」
「分からないな。こっちには無かったようだから、恐らく反対側から来るのだろう」
「だといいんだが」
歩き出す。
庭はあの喧騒から遠い場所、炎の音はかすかに聞こえるがまだ平和な場所らしい。
「で、どうするよ?」
「大聖堂の方の監視を頼む。小生はあちらの方を見る」
相槌を打とうとした。
瞬間。
勢いよく車が突っ込んできた何かで爆発する。
「うわあ!?」
アイアンと別方向に飛ばされた俺は、そのまま芝生を体で舐めとるような勢いで大聖堂へと転がされた。
「あだっ……この世界なら爆発程度でどうにもならないだろうが……いたあ……」
流石に仲間を助けようと、立ちあがろうとするが力が入らない。
さっきの爆発のダメージがやけに大きい。打撲しすぎて痛みが麻痺っていたが、手に滲む液体に覚えもあった。
流血している。
ふらふらのまま立とうとして、片膝立ちになるのがやっとの俺の息に重なる音。
「いい様だな」
そんな声がした。
《余談》
どうもらんかんです!
またやってきました、余談コーナー。あ、今日は17時にもう一回更新あるよ。
今回の話題はゼロワンとバルカンが出たことでこれ!
『この作品における三大特撮の扱い』です。
みんな好きかな?基本このサイトに潜んでいる年齢で好きな奴は「とっても痛い発言」をするような正義マンになってないかな?萌え豚に進化した後もヒーローを妄信して、何かを擁護した時に無理やりヒーローに例えるバカになってないかな?そういう奴らも優しく包むのがこの作品のSGPとOSGPです。
特撮と言えば仮面ライダー、戦隊、そしてウルトラマン!ですが、この作品では『仮面ライダー以外基本価値がない』です。
え?炎上させたいの?ノーノー、実際そうです。
まあ、まず戦隊ですね。これは普通に「多人数集めないとろくな戦力にならない上に集めたところでろくな出力が出ない」が問題です。
最近の戦隊はともかくとして、昔の戦隊は合体技と合体ロボで仕留めるのが普通のムーブですよね?ですけどね、この作品、しかもメインとなる基本制限なしのOSGPでは「人数集めた後でも出力高いムーブをとるのに時間をかけすぎてまともに動けないから、なら攻撃を受ける前にハイパームテキにでもなって破壊しまくればいいんじゃ?」になってるわけですね。事実一人の出力が高いのは仮面ライダーですし。
それにこの作品はそもそも作品設定自体が究極のベーシックインカム前提で成り立っていて、全話の余談で話した腐女子夢女子みたいな体験シナリオみたいなのもあるので基本的に"俺TUEEE"が主軸なんですよ。我儘がそういうシチュに直結するのもあって、この世界では"協力"というものがゲーム以外にない。
現実ですら「平成後期以降ゲームなど一人でも打ち込めるものが多いからみんなで何かやって楽しいみたいな感情も薄れて、結果的に戦隊が興味を得難い状態」ですものね。それが昨今の戦隊終了に繋がってますし、その流れをこの作品は深く汲む形になってます。
で、次。ウルトラマン。
えー普通に扱い難いです。強いですけどね?強いんだけどね?一人で戦う用に調整されてるし。でも使うと普通に巨大化するし、ウルトラマンのステージじゃなければ手札を明かすだけ明かして被弾面積増やすだけだし。使えるとしても巨大なもの召喚されて戦う時ぐらいだから、基本的に一枠ドブに捨ててることになるんですよねえ。OSGPでは舐めプか捨てゲーだと思われます。だって情報のディスアドあまりに多すぎるもん、他人蹴落とすゲームですよ?持ってどうすんねん。
みたいなことがありますね。
そもそも特撮系を使うにあたり「一人である程度戦える装備一式」を求めるものが殆どなんですよね。全てがこの条件を揃っているならば、他に比較されるのは「その一式でどれくらいの出力が出るか」「出力が出るならどれが扱いやすいか」になるんです。戦隊は前者で、ウルトラマンは後者で仮面ライダーの採用率に負けてます。
これが理由で「仮面ライダー以外は採用されない」ということになるんですねえ。別にその二つが作品的に劣ってると言いたいわけではないです(何ならドンブラに救われた身だしウルトラマンゼロは永遠に僕の中ではかっこいい)。
って感じですね!
多重クロスオーバーは基本的に評価が低いものが圧倒的なので、別にめちゃくちゃ言おうって話ではないです。勘違いしないでね!
以上、らんかんでした。