時は四月!ルミの姉御の山籠り特訓も一段落ついて、ついにこの日は雄英高校の入学式!俺は灰色の制服に身をつつみ荷造りの確認をしていた……時間的にまだ余裕はあるが、大人にはなりきれないな!早く行きてぇ!
と、そんな事を考えながら朝飯のパンをくわえながら準備を進めると、不意にチャイムが鳴る。誰だ?ルミの姉御なら窓ガラス割って入ってくるだろうし……他にこんな日に訪ねてくるやつなんて……そんな事を考えながら玄関へと向かい扉を開ける。
「はい、どちら様?」
「おはよう、日向。」
「ショート!?」
「そろそろ家出る時間だろ……迎えに来た。」
「何故に!?そもそも俺の家誰から聞いた!?」
「ミルコさん。」
「姉御……!!」
あの人何勝手に人の住所教えてんの!?……いや、こいつと付き合い初めて一年。お互いの家全く知らないのも確かにどうかなって感じだが……だからって勝手に教えるかねぇ!?
「……居ない人にキレてもしゃあねぇか。」
「何の話だ?」
「こっちの話。待ってろ、直ぐに用意済ませる………………外まだ寒いだろ、コーヒーでも飲むか?」
そんなこんなで轟と電車に揺られ山道を登り、ついに俺たちは雄英高校の校舎を歩いていた。改めて考えると、まさか高校まで轟と一緒になるとは思わなんだ…………いや、友達と同じ学校行けるってのは嬉しいことではあるんだが。
しかし、こうして歩くとやはり校舎内でも視線をたまに感じる……俺に対するではなく、轟に対する視線だが。
「……?どうした日向。」
「なぁんでも。」
ぶっちゃけよう。轟は男の俺でも二度見する位には顔が良い。その際で中学では密かに轟焦凍ファンクラブなんてのもあったとか無かったとか。そのせいで轟に宛てた手紙やらプレゼントやらを俺から渡してもらおうとする奴らもいた……俺?貰った事ねぇよ。言わせんなよ。泣きたくなる……!!
まぁそんなこんなで、轟は人からよく注目を集めている……
「よく見られんな。お前。」
「親の話題ありきだろ。」
と、まぁコイツはこんな反応をする。轟がフレイムヒーローエンデヴァーの息子だなんて、言われなきゃわかんないやつのほうが大半だろうに、父親を否定してるクセに、その父親の存在に自身を結びつけてやがる。
「っと、ついたな。1-A教室。」
「行くか。」
バリアフリーとして普通に必要な扉の5倍はありそうなデカさのドアを開ける……まぁ、当然と言うかみな待ちきれないのか、結構な人数が揃っていた。
因みに、今年から定員枠が増えてABクラス共に21人となったそうだ。少子化と聞いていたが、まだまだ子供は多いようで……俺は一先席につく…………すると、俺の前に見覚えのある金髪が………
「あっ!?お前入試の時の!?」
「あ゛ァ゛!?」
顔怖っ!?なんかもう一昔前のコミックのヴィラン見たいな顔つきなんだが!?…………入試の時に一悶着あった爆弾男……そうか、こいつ受かってたのか。まぁ、こいつ個性の火力も動きヤバかったもんなぁ。改めて考えると、受かるかそりゃ。まさか同じクラスとは思わなんだが…………
「っち……テメェも受かってたのかよ……」
「おう、自己紹介してなかったな。俺は氷室日向。宜しく」
「ア゛ァ゛!?じゃあテメェかぁ!!俺と同率1位っつー野郎は!!」
「同率1位……?」
そう言えば、この前ルミの姉御が言ってたな。実技試験に同率1位が居るって……それがコイツか?すると、目の前の爆破ヘアーは俺にズイッと顔を寄せて語る。
「いいか!俺が取るのは完膚なきまでの1位だ!テメェ程度直ぐに突き放してやるからな!!」
「えっ……あぁ、うん……」
偉い地雷に絡まれた……爆弾だけに。
と、取り敢えず名前聞いときたいけど……この雰囲気、近づいたら爆発しそうだ。机に足なんか乗っけてもぉ……ブチギレやん……怖いから名前は座席表確認しよ……なるべく刺激しないようにそっと席に……
「君!机に足を乗っけるのは辞め給え!机の製作者様や先輩方に申し訳ないと思わないのか!?」
「ア゛ァ゛んな事知らねぇよ!テメェ何処中だゴルァァ!!」
「ヒーローがなんて慟哭を……俺は、私立聡明中学出身の……」
「聡明だぁ!?クソエリートじゃねぇか……テメェもぶっ潰してやんよ!!」
あぁ!起爆された!メガネかけた真面目ボーイに!辞めてくれよ!俺が気まずくなるんだよ!!……あんっ?どうした轟近づいてきて……
「……仲良さそうだな。知り合いか?」
「ちげぇが!?」
今のでそう見えたか!?お前どうした!?出会った時より天然酷くなってんぞ!?
不良と天然の間に挟まれ頭を抱えそうになると……そんな俺に助け舟を出すかのように、浮浪者のような格好をした「先生」がひょっこり顔を出し、そして言う。
「お友達ごっこしたいなら他所行きな……」
そしてお小言を一言呟いてから、自身が相澤消太と言い俺たちの担任であることと、寝袋から雄英高校のジャージを取り出して一つ指示を出し、自分は質問を受けずにさっさと去ってしまう。
「これ着てグラウンド集合な。」
ジャージ着てグラウンド?入学式じゃねぇのか?
……嫌な予感がする。前にルミの姉御に山奥に山菜採り生かされたら姉御が木陰に隠れて奇襲しかけた時位に嫌な予感する。
「日向、どう思う?」
「わっがんね。けど、なんか……碌な事じゃ無い気がする。」
そして、俺のその予感は当たる事になる。
雄英高校グラウンド。そこにヒーロー科1年A組の声が響き渡る。
「「「個性把握テスト!?」」」
なにそれ知らん。演目のパンフレットに書いてなかったんだけど、ドッキリ?
「入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになる為にはそんな悠長な行事。出る暇ないよ。」
まぁ若いうちの時間は貴重だとは言うが…………まぁ、俺入学式って苦手だから別にいいけど。椅子に座りっぱってキツイ。
「雄英は自由な校風が売り文句。それは先生側もまた然り。お前らもやっただろ?中学の頃……個性使用禁止の体力テスト。」
あぁ、やった。あの何のためにやってるのかよくわかんないやつな。もう個性なしの素の運動神経なんてあんま役に立つ場面もないのに、なんで態々統計を取りたがるのかねぇ。態々学校で大手を振ってやることではなかろうに。
「一般の実技成績のトップは……氷室と爆豪か。どっちか、個性アリで良いからこのボール。投げてみろ。」
あ、指名入った……あっ!爆豪にめっちゃ睨まれた!怖いっ!……そう言えば、なんで実技成績トップが2人いるのにどっちもA組に振り分けたんだ?バランスどうなってんだよ。……っと、そんな事はどうでもよくて……
「どっちでも良い。はよ。」
「俺がやる。」
あっ、んじゃま、爆豪が名乗り出たことだし譲りましょう……俺の個性だとボール投げの記録には期待できないし……それにどうせならこう言うのは俺の個性が目立つ種目でやりたい!!
「んじゃま……死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
そう叫びながら爆豪はボールに爆風を乗せてぶん投げる…………っ!?はっ!?すげぇなアイツ!?ボールが爆破に巻き込まれないタイミングで投げて起爆させて爆風の勢いだけを球に乗せたって事だよな!?どんだけ繊細なコントロールが必要なんだよ……意外と小技と言うか、技術があるんだな……
「己を最大限知る。それがヒーローの素地を作るための合理的手段……」
そして相澤先生がだした端末に映る数値は……705.2m。すげぇな。
「(掛け声は兎も角として)凄かったなアイツ。」
「あぁ……大丈夫だ日向。同率1位でもお前の方が凄い」
「いや、何そのフォロー……別に気にしてねぇから…………ほんの少ししか……」
「気にはしてるんだな。」
「悔しいっちゃすげぇ悔しい。」
だが、まぁこれなら確かにつまんない入学式をやるよりかはよほど良いかも知れない……クラスからも「面白そう」なんかの声が聞こえてくると、まるで獲物が食いついたかのような軽い笑みを浮かべて引っ込ませて、相澤先生が呟く。
「面白そー……ね。ヒーローを目指すための三年間。そんな腹づもりで過ごすつもりなのかい?…………そうだな、なら体力テスト最下位は見込み無しとして除籍処分にしよう。」
前言撤回!!全然良くねぇ!!!!
確かに自由が校風って言ってたけど!?自由とFREEDOMは違うだろう!?……流石に生徒からもブーイングの嵐だが……
「事故災害身勝手なヴィラン……危険ってのはどんな時も理不尽に襲ってくる。そんなピンチをひっくり返すのがヒーロー」
んっ……それは……確かに……そうか。そうだな……そんな理不尽をなんとか跳ね除けたくて、俺はここまで来たんだもんな……。
「……雄英は三年間君達に苦難を与え続ける。更に向こうへ……PlusUltraさ。全力で乗り越えてこい。」
成る程、洗礼……いや、最初の壁か。
「随分と、
「……。」
「こりゃうかうかしてると足元すくわれるな……」
こうして、初日にして除籍を掛けた体力テストが始まるのだった……………
さて、第1種目は50m走……俺は位置につくと早速個性を発動。脚のかかとから氷を形成する準備をして……スタートの合図と共に氷を勢いよく生成。
ピストン運動で突かれたのような勢いがつき、普通に走るよりも勢いよく、かつ速く跳ぶ……が、それで行けるのは精々25m付近まで……ここからは足裏から氷を生成して地面に氷の膜を張りスケートするみたいに滑る!!多分これが一番速い!!轟が不整地とかでよくやる技だ!
『4秒35』
「っし!」
最初に跳べたのが繋がったな。
……爆豪はすげぇ自慢げにコッチを見てくる。俺より速かったんだな……ははは。全く、一種目勝った程度であんなに喜びやがって……
「ふふっ……なぁに……こっから巻き返すさ……ふふ……」
「日向……悔しい時は悔しいって言ったほうが良いぞ。」
「黙れショート……!!」
次!第2種目は握力!………あれ、これ無理では?と思ったそこのお前!俺は握力計に巻き付くような氷を精製!どんどん氷の面積を増やし圧迫していけば………!!
『142kg』
此の位は行ける……!!他の奴等すげぇな100kg代がポンポン居るし……500kgって数値も今聞こえたんだが!?……今紫のポンポン頭から聞こえたタコがエロいだのの話は聞かなかったことにしよう……
「なぁ日向。」
「なんだよショート。」
「タコがエロいってどういう意味だ?」
「ズーフィリア的な意味だろ(適当)」
「なるほど。」
ん次!3種目は立ち幅跳び!!
これはさっきの50m走の応用だな。足裏から氷を勢いよく生成して跳ぶ!!……んで空中でまた氷を生成!切離して足場にすれば、俺の体力が続く限り無限に跳べるって訳だ!!……事実結構な距離に行けた。
立ち幅跳びとしてはどうなんだとは思うが……さっきの握力計で万力出してセーフだった子とかいたし個性テクニカルに使ってるからアリって事だろう!アウト出なかったし!
んで4種目は反復横跳び!
まぁ普通に足元に氷膜を張って滑るようにやる!これだけで転ばなきゃ結構数が稼げる!!
第5種目目はボール投げ。
そんな大層な事はしない……氷のバットを形成してホームランをかますだけだ。おかげでそんなに飛距離は伸びなかった……皆割と無限出したりしてるのに……悲しみ……
「日向。調子どうだ?」
「ショート……まぁボチボチ。悪い成績じゃないと信じてるけど……」
流石に成績の平均値なんか数えてねぇし。つか、さっきから轟俺のところに来すぎじゃね?……いやわかるよ。同じ中学で絡みやすいのは……けどさ、お前の距離感で来られると偶に変な目で見られるからやめて欲しい。すげぇ近いもん……初めて会ったときはここまで距離感近くなかったよね?
あれだよな、お前が俺のことお母さんみたいとか抜かし始めた時からだよな。ほんと……辞めてくれ……
「ねぇ!」
「うおっ!びっした……」
すると、突然服だけ浮いている女子に話しかけられる……透明な異形型の個性か。驚いた。
「あはは!ごめんごめん!驚かせた?」
「そりゃあもう……えっと……」
「私は葉隠透!ちょっと聞きたい事があって……二人って知り合いなの?」
あぁ、そういう事か。
「同じ中学で友達なんだよ。ライバルでもある。」
「へぇ!!……チラッと見てたけど、二人とも氷系の個性なんだよね?」
「あぁ、厳密には少し違うけど、おおよそ氷を操る個性って点では同じだ。」
俺から言うと俺と轟の個性は見た目は似てても出来ることには差異があるんだが……まぁ、そんな事を長々と語っても仕方がない。
「いやぁ!二人とも派手だよね!個性!私も頑張って目立たなくちゃ!」
「ある意味目立ちそーだけどな。」
服だけ浮いてる状態で可愛めな女の子声が響いてくるのは結構目立ちそうだが……そんな事を話していると、突然激しい風圧と風切り音が響く……
不意に音の方を向くと……そこには先ほどまであまり目立った記録を出していなかった緑髪の子がボールを投げたあとだった。指は腫れており相当きついはずだが……握り拳を握って先生に何かを訴えている。
「おぉ!あの子すごいね!700m超えたって!」
「えっ、マジか……」
良くは見てなかったが……なんだろう、これは特に理由のある根拠とかではないんだけど……なんか………………なんか凄く激アツなシーンを見逃した気がする!?!?!?!?