転生オリ主が魔皇ロールする話 作:野生の生蛇
「イブ様……申し訳ございません」
ジェーンは聖王国から竜王国に向かって空を飛ぶ。
脇にはライカードを抱え、逃げ飛ぶさまは無様としか言いようがないだろう。
「何、気にするな。まだ余の命はあり、其方も生きている。ならばまだ完全な負けではない」
ジェーンはニヤリとと笑みを浮かべる。
元から負ける予定でなければ、敗北としか言いようがないだろう。
ライカードにはこれがマッチポンプ劇場であると伝えておらず、更にはナザリックの者達とも合わせていない。
存在を知るのはデミウルゴスとシャルティアぐらいの者だ。
「まだ兵力の当てはある。それに、目的も完遂している」
「主の目的とは一体……?」
「何、いずれ分かる……このまま竜王国まで飛ぶぞ」
そうしてジェーンは羽ばたき、竜王国へと飛んだ。
■
「──ここら辺でいいか」
ジェーンは途中途中ライカードの為に地上に降りて休息を挟みながら飛ぶ事数日。
目的通り竜王国の外──ビーストマンの国にやってきていた。
適当な地点に降りるとライカードを離し、歩き始める。
「これからのご予定を聞いてもよろしいでしょうか?」
ライカードは今だ主が何をするのかわかっていないと問いかける。
「まずはビーストマンを支配下に置く」
「ビーストマン……人間を主食とする亜人種ですか。良い考えかと」
「あぁ。問題はどうやってビーストマンの支配者層に会うかだが──」
そうして話していると足音が響いてくる。
「おい、人間だ!」
「へへ、逃げ遅れたのか? 俺たちの飯にはちょうどいいや」
歩いてきたのは十数人のビーストマンだ。
ライオンを二足歩行にし人の要素を足したような亜人種である。
ビーストマンを見つけたジェーンはニヤリと笑みを浮かべた。
「丁度いい。貴様らを支配下に置くとしようか──」
■
「なぁ。そろそろ魔導国に行かないか?」
元リ・エスティーゼ王国。元王都リ・エスティーゼにある最高級宿屋で。
宿の一階の酒場部分で蒼の薔薇一行は揃っていた。
「何言ってんだお前」
トンチキな事を言ったのはイビルアイであり、それに返すのはガガーランだ。
「だって、なぁ。最近依頼も減って来たし、時間も余って来たじゃないか」
──リ・エスティーゼ王国で内乱が起こった。
首謀者はモチャラスという男爵だ。彼率いる反乱軍と王国軍で戦争が起こった。
当初は直ぐに終わるかと思っていたがモチャラス側は八本指の支援を受けており、反乱が長引いてしまった。
──そこで第三王女ラナーが魔導国に助けを求めた。
結果、王国は魔導国に支配され、王国という名は消え去る事になった。
それらの一件に蒼の薔薇は関われなかった。蒼の薔薇に如何に政治的な力があると言っても所詮は冒険者だ。
一国の内乱に関わる事は許されなかったのである。
「そうねぇ。ラナーも魔導国に行ってしまったし……」
ラキュースははぁ、とため息を吐く。
ラナーが魔導国に助けを求めた見返りとして魔導国はラナーを求めた。人質を兼ねているのである・
結果ラナーはクライムと一緒に魔導国に行ってしまったのだ。
「だろう? ならばここらで一度、魔導国に行くのも悪くないと思うんだ」
イビルアイはキラキラとした目で──仮面を付けているので目は見えないはずだが──訴えかける。
イビルアイを除く蒼の薔薇一行はモモンに会いたいだけではないか、と思ったが口にはしなかった。
齢二百五十歳の御方には恋は盲目なのである。
「そうねぇ、じゃあ、行こうかしら──アインズ・ウール・ゴウン魔導国に」
■
「あれが魔導国の首都か」
「趣味の悪い像」
数日後、蒼の薔薇一行は魔導国首都エ・ランテルに来ていた。
ティアが門の前にある巨大な魔導王の像を前に趣味が悪いと一瞥する。
そしてそれは国は出さないが全員が思った事でもあった。
門前の列に並び、蒼の薔薇はエ・ランテル内に入る。
そうして講習を受け、蒼の薔薇は魔導国内に入った。
「……本当に人と亜人が共存しているとはな」
イビルアイが信じられない、と言った風に呟いた。
大通りを歩けばそこに居るのは人間と多数の種族だ。
ゴブリン、
更にはアベリオン丘陵に居るはずの
更にはスケルトン等のアンデッドの姿さえあった。
ドワーフが指揮をし、スケルトンたちが土木作業に営む姿は一瞬悪夢かと思った程だ。
事前講習で効いていた事とはいえ、世間一般の常識から外れた光景に蒼の薔薇は驚愕するしかない。
まずは宿に向かおう、という事で一行はこの都市の最高級宿屋黄金の輝き亭に向かう。
一行は不思議なものを見る目で周囲を見る。
「……アンデッドの警備兵、か」
イビルアイは
どうしたの、とラキュースが聞いて来るが何でもないと返す。
そうして歩いていると黄金の輝き亭の前まで付き──そこでばったりとある人物と遭遇した。
「モモン様!」
いの一番にイビルアイが叫びモモンに向かって抱き着く。
モモンは抱き着かれた事に驚くことなく、イビルアイを抱擁する。
「イビルアイさん、それに蒼の薔薇の皆さんも。ようこそ、魔導国へ」
「お久しぶりです、モモンさん。そしてイビルアイ、離れなさい」
ラキュースがちょっと怒気を込めてイビルアイに言い放つ。
イビルアイは渋々と言った様子でモモンから離れる。
「皆さんは何用で魔導国に?」
モモンがそう尋ねる。
「私たちは魔導国の実態を知るのと……」
ラキュースがちらり、とイビルアイを見る。
「……久しぶりに、モモンさんと会いたいと、イビルアイが」
「ちょ……!」
「そうですか、それは光栄です──そこで、時間があるなら、ちょっと私とお話でもしませんか?」