転生オリ主が魔皇ロールする話 作:野生の生蛇
「うえーんモモンガえもーん」
ジェーンはモモンガの私室に入るなりウソ泣きをする。
「どうしたんだいジェーン太くん」
モモンガも即座にこれ某猫型ロボットの奴だ、と察し付き合う。
「レベル一以下のクソ雑魚蛞蝓だと何かあったら即死しそうなんでパワーレベリングして最強になりたいよー」
「しょうがないなぁジェーン太くんは。第六階層でレベリングしようか」
「さすがモモンガえもん! 頼りになるなぁ!」
という訳で、モモンガとジェーンは第六階層に転移した。
ジェーンの立場は準ギルドメンバーだ。
NPCに対し多少の命令権限を持ち、多少は贔屓される立場である。
だが、表面上では従いはしても内心ではよく思わない者もいる。一般メイドなどだ。
無論内心で思うだけであり表に出さず行動にも移さないだけの技量は持っている。
ジェーンはそれを察している。原作知識からくるものだ。だからこそ、レベリングをしてナザリックに役立つ存在に成らねば、という思いがあった。
第六階層の偽りの空の元、何十体ものアンデッドが並ぶ。
スケルトンに
これらのアンデッドはシャルティアが
「ところで、ジェーンはクラス構成はどうするつもりだ?」
「ぼくちんとしてはモンク系統が良いかなって思うの」
「モンクか……理由を聞いても?」
「剣士とかの武器使う系は現地産の武器が弱くて話にならない。
「武器ぐらいならこちらで用意出来るが?」
「そこまでお世話になる訳にはいかないので……」
「そうか……じゃあ、始めるか──
モモンガはジェーンに多数の強化魔法を施す。
ユグドラシルの魔法は一定値の強化ではなく割合強化である為多数バフを付けてもジェーンはそこまで強くならないが、しないよりはマシである。
ジェーンは手ごろなスケルトンに近づく。
「せいやぁ!」
叫びと共に殴打。スケルトンの頭部に命中し、スケルトンは砕け散った。
そのままジェーンは何体かスケルトンを倒す。
そうしているとジェーンは「うーん」と悩みだす」
「こう、広範囲に一気に倒す事は……」
「
「いや、俺なら出来るはず──」
ジェーンは己の腕が伸びるイメージをする。
そしたら伸びた。
「パーどぅん?!」
「えっなんだそれ」
これにはジェーンもモモンガも居合わせたシャルティアとアウラも驚愕する。
人間であるはずなのにまさかの異形種みたいな事をしてきたのである。混乱しない方が可笑しい。
だがジェーンは直ぐに答えを導き出した。
「──
「タレント……百人に一人の割合で持って生まれる異能の事か。だが、ジェーンが該当するのか?」
「けどこれタレントじゃないと説明出来なくね?」
「それはまぁ確かに」
「まぁ、なんか害ある訳でもないしこのままいくべ!」
という訳で、ジェーンのレベリングが始まった。
■
それから、暫く立った。
キャラ設定考えたり、レベリングしたり、シャルティアの洗脳を防いだり。具体的には原作三巻分終わったぐらい時がった。
ジェーンはナザリックの第六階層に立ち、挑戦者を待ち構える。
ジェーンのタレントはランク付けをするならばEX──この世界全体で見ても五指に入るレベルのぶっ壊れタレントだ。
壊れ具合で言えばイビルアイをも超える。
タレント名は肉体操作。一言で言えば真人の無為転変の自分限定バージョンである。
自分の肉体を好きなように弄れる。老人から幼子まで変身でき、性別だって変えれる。
だが凄まじいのはそこだけではない。自分の体を触手の様に変え範囲攻撃や遠距離攻撃が出来る。
骨をベースに弄る事で刃を形成し斬撃を放つ事も可能。
結果的にだが、ジェーンが選んだモンクはタレントを考えれば実に相性が良かった。自分の肉体で戦う職業なのだから合わない訳がない。
ジェーンはタレントで外見を変えた。
身長百九十二センチ。細マッチョの外見に白髪赤目のイケメン。外見で言えばニーアのイブに近いというか顔がワイルド系になっただけでほぼイブである。
上半身裸に左胸には上下反対の泣いている女の顔が彫られている。
両手の十の指には豪華な指輪をはめている。これらは状態異常対策の指輪だ。
種族が人間である為状態異常は普通に聞いてしまうので対策が必須なのである。
そんなジェーンは挑戦者たち──プレアデスの面々を迎える。
フル装備のナーベラル・ガンマ。
にやにやとした笑みを浮かべるルプスレギナ・ベータ。
無表情のシズ・デルタ。
仮面である為こちらも表情が変わらないエントマ・ヴァシリッサ・ゼータ。
緊張した顔のユリ・アルファ。
微笑むソリシャン・イプシロン。
ジェーン対プレアデスの戦いを前に、観客席には各守護者や一部NPCが座っている。勿論、モモンガ改め改名したアインズもだ。
「では──試合開始!」
開始宣言をしたのはアウラである。
ジェーンは右腕を触手に変える。
射程五十メートルの太さは人間程度の長い触腕だ。
それを雑に振るう事で攻撃をする。
「せい!」
それを防ぐのはユリだ。拳を持って触手を迎撃する。
拳が当たった瞬間、ジェーンは触手から刃を生成し放つ。
流石にこれは回避も防御も出来ず、ユリは手傷を負う。
ジェーンがニヤリと笑みを浮かべると同時にエントマとシズが銃撃を放つ。
エントマは虫の弾丸を。シズは物理の弾丸だ。
ジェーンは左手を大きな盾の形状に変化し弾丸を防ぐ。
その隙をついてソリシャンが背後に回り、ジェーンの胸を素手で貫こうとする。
だがジェーンは背中に目を生成し把握し骨の刃を放つことで攻撃を防ぐ。
すかさず
流石に魔法攻撃は肉体を変化させるしか出来ないジェーンでは防ぐ事が出来ず、受けてしまう。
痛みに悶えるが、叫ぶような事はしない。
「──本気で行くぞ」
ジェーンは下半身を触手に造り替える。
十二の触手だ。五十メートルはある巨大な触手であり、ジェーンは闘技場の観客席をも超える。
最大の戦いが始まった。
■
「以外にも善戦出来ているな」
アインズは戦闘を観察しながらそう呟いた。
今はジェーンが下半身の触手を持ってプレアデスを圧倒している。
エントマとユリが前衛となり、触手を防いだり斬ったりしている。
ソリシャンは隙をついて暗殺しようとし、ナーベラルはバフをばら撒きつつ風系の魔法で触手を斬っている。
ジェーンは触手、というか肉体を器用に弄り刃の弾丸を放ち弾幕を展開していたりする。
それらに対しナーベラルが魔法障壁を展開し防いだり、エントマが盾と成る虫を召喚し防いでいる。
現状ではジェーンが優勢と言っていいだろう。だが──
「このままではジェーンは負けますね」
アルベドがそう言った。
「だろうな。ジェーンの戦闘スタイルは肉体を弄る事による攻撃だ。だがそれは、部位がダメージを受けるごとに
そう。ジェーンの肉体操作のタレントの欠点は其処だ。
体と繋がっている場合、触手の先端を斬られるだけでもHPが減少するのである。
つまりはジェーンの戦闘スタイルの場合、戦いが長引く程HPが削られ続ける。
「お、次の一手を打つみたいだな」
■
ジェーンは触手を振るい、跳躍してきたユリを叩き落とす。
触手を生やし、眼も増やし脳も増やして情報処理能力を極限まで高め戦う様は不動要塞のようなものだ。
これこそがジェーンの本気である。
ジェーンはレベルにして七十はある。そう、七十程度なのだ。
となれば、プレアデス相手に優位に立てても、勝てるかどうかは微妙な所だ。
レベル的には七しか違わないナーベラルが居る上、数でも負けている。
その為次の一手を打つ。
ジェーンは十二の巨大な触手の内二つを肥大化させる。
肥大化した触手はぶくぶくと泡のように膨れ上がる。
そして泡から人型の怪物が産まれ出る。
人間と酷似した外見だが真っ白な体。がりがりにやせ細り骨が浮き出ている。
目が縦に二つ付いた異形の顔に唇が無く白い歯がむき出しになっている。
ホムンクルスというモンスターだ。
ジェーンのクラス母体による
ホムンクルスたちは最低レベル五、最大レベル十の雑魚モンスターたちである。
だが、数だけは多い。最低でもミリ単位とはいえダメージを通せるモンスターが百体近く出現する。
「
すかさずナーベラルが第八位階の範囲攻撃魔法を放つ。
巨大な竜巻だ。雷と風の複合魔法である。
サイクロンによってホムンクルスたちはずたずたに引き裂かれ、緑色の体液をぶちまけながら死ぬ。
そしてジェーンも範囲内に入り、体が斬り裂かれる。
痛覚をオフに出来る為痛みを感じることはないが、ダメージによってHPがごりごり削られていく。
だが、動けない程削られた訳ではない。そもそも外見上の損傷──骨折や切断等は肉体操作のタレントで即座に治す事が出来る。ただ、HPは回復しないが。
故、まだ戦闘を継続する事が出来る。
残る触手を振るい攻撃をし、左腕を砲台の形に作り上げ砲撃をする。
砲弾はナーベラルに当たる直前に転移魔法で避けられ、観客席を破壊する。
下手な城壁なら破壊できる砲撃だ。喰らえば例えレベル六十三のナーベラルとて無事では済まないだろう。
巨大化に触手による攻撃に砲撃に雑魚量産に見かけだけの再生。
スペックだけを語るならば魔王を名乗ってもいいぐらいには強い。
──だが、相手が悪い。
相手はかのアインズ・ウール・ゴウンの戦闘メイド、プレアデス。
レベル差も七しかない上数で負けている以上、敗北の可能性も高かった。
──結果、ジェーンは背後から強襲したソリシャンによって首を刎ねられた。
「そこまで! 勝者、プレアデス!」
アウラが堂々と勝者側を宣言した。