転生オリ主が魔皇ロールする話 作:野生の生蛇
ジェーンは夜、翼を生やして空を飛ぶ。
向かう先は小都市ロイツだ。
だいたい原作通りに進み、既にアインズは聖王国に来ている。
ロイツの都市上まで来て、ジェーンはロイツで一番大きい屋敷を見つける。
急降下し、屋敷の窓に向かってダイレクトアタックをかます。
瞬間鳴り響く轟音。ガラスの破片が舞い散る。
「──こうして直接相まみえるのは初めてか? 魔皇イブ」
「──ああ、そうだとも、アインズ・ウール・ゴウン。お前の親友の娘は余の為によく働いてくれているよ」
ジェーンはニヤリと笑みを浮かべる。
部屋の中にいるのは原作通りネイア・バラハ。レメディオス・カストディオ。王兄カスポンド。聖騎士団副団長グスターボ・モンタニェスだ。
「さて、さて、余の目論見通り消耗してくれたな。こうして殺しやすく成ってくれて感謝しよう」
「ほう? 消耗したと見せかけているだけかもしれないぞ?」
「いいや、消耗しているとも……でなくば余の軍勢を人間共だけで打ち倒す事など出来なかったからな」
「だとしても──お前を滅ぼすのに問題はないさ」
「吠えるじゃないか、魔導王……ではこの都市の広場に来るといい、そこで決着を付けよう」
ジェーンはくるりと反転し、外へと歩く。
「待て!」
その姿に声をかける者が居た。レメディオスだ。
「なんだ?」
ジェーンは振り返る事無く声を出す。
「カルカ様をどうした?」
「カルカ……あぁ、聖王女か。彼女は私の城で歓待しているよ……たっぷりと、悪魔たちとね」
にたぁ、とジェーンは嫌な笑みを浮かべ、レメディオスに見せつけた。こういった表情変化も肉体操作のタレントを持っているから出来る事である。
「きっさまぁぁぁぁ!」
レメディオスは激昂し聖剣に込められた力を解放し斬りかかる。
ジェーンは右手で聖剣を弾き飛ばした。
「なんで……聖剣が……効かない……?」
「人間が作った剣程度余に通じる訳無いだろう……ではな」
ジェーンは翼を生やし、空へと飛翔していった。
■
ジェーンは広間に降り、噴水の縁に腰かけた。
周囲にはナーベラルを除くプレアデスが集まっている。
彼女たちは
レベル六十までの存在に変身でき能力を九割まで再現できる種族だ。その能力でプレアデスに化けているのである。
「んで、多分アインズ──さんは
ジェーンは憤怒の魔将と違い
単なる不可知化や不可視化であれば気の探知で探知出来なくもないが、それも相手が生命ならばという前提条件が付く。
「私は
「だな。だからルプスレギナは守らんとあかん。其処だけは気を付けないとな」
そうして会話していると向こうからアインズが歩いて来る。
「お待ちしておりました、アインズ・ウール・ゴウン様」
「……急にお前に畏まられると気味が悪いな」
「いやまぁ、ロールプレイは必須かなって」
ジェーンは軽く笑う。
「さて、戦闘といきたいが……その前に、お前たちは
「はい。その通りです。本物のプレアデスの皆さんではないので安心して殺害してください」
「待て。傭兵召喚用の
「畏まりました、アインズ様」
「では……このコインが落ちたら開始としよう」
アインズの言葉に全員臨戦態勢をとる。
アインズは密かに無詠唱化した
アインズはアイテムボックスから王国の金貨を取り出す。
そして──金貨が地面に落ちた。
「絶対無敵障壁!」
その言葉にプレアデスたちの行動が止まり、その隙をついてアインズは後ろに飛翔する。
アインズの叫んだ絶対無敵障壁という
だがジェーンは気にすることなく殴りかかる。遅れてユリも殴りに行く。
ジェーンの拳がアインズの腹骨にあたり、アインズを吹き飛ばした。
ジェーンは追撃に殴りに行くが、アインズは空へと飛んでいく。
「
のたうち回る雷の龍がアインズの指先から生じ、ジェーンに襲い掛かった。
ジェーンに甚大なダメージを与え、
それぞれ空を飛んだり地面に潜る等で回避し、ジェーンは翼を生やし空へと跳んだ。
だがジェーンは空中で滞空が出来ない。ぎりぎりアインズに拳が届かず空振りした。
「
アインズは転移魔法を唱え上空千メートルへと消えた。
「どこへ行った?!」
ユリ・ドッペルが何処に行ったと叫び、すぐさまジェーンは答えを叫んだ。
「空の上だ! ルプスレギナ! 今のうちに支援魔法を!」
「わかりましたっす!」
ルプスレギナは幾つかの支援魔法を全員を対象にしてかける。
バフの有無とは重要だ。ほんのわずかな差が勝敗を分ける事だってあるのだから。
空からアインズが降って来て途中で
空から魔法を詠唱する。
唱えるのは第十位階魔法
「
瞬間アインズの手から発動しようとしていた魔法に対しシズの弾丸が飛ぶ。
弾丸は魔法を打ち消し、アインズの魔力を無駄に消耗させた。
「は?」
アインズが間抜けな声を漏らした。
他者の魔法の発動を妨害する
ならばアインズにとっての格下であるシズの弾丸程度でアインズの魔法が妨害される訳がない。
混乱するアインズに向かってジェーンは家屋の壁を蹴って跳び、アインズの眼前まで移動した。
「しまっ」
「そぉーれ!」
ジェーンは両腕を少し肥大化させ、ダブルスレッジハンマーをアインズに向かって放つ。
アインズが地面に向かって飛ばされ、ジェーンはそれを追う。
ジェーンはこの世界に来て鍛えた戦闘術で殴り掛かり。アインズはユグドラシル時代に鍛えた技術でジェーンの拳を避ける。
ジェーンのレベルは八十あるが、それでも二十レベルの差があるのだ。肉体操作で六レベル上がっても十四レベルも差がある。
「痛いぞ、覚悟しろ──
アインズは第九位階の中でも屈指の攻撃範囲を誇る魔法を発動する。
与えるダメージは炎属性と殴打属性半分ずつの複合ダメージで、同位階の中では弱い方だが範囲だけは最高位だ。
強いノックバック効果をもち毒、盲目、聴覚消失等の複数に渡るバッドステータスを与える。
大爆発。都市の一角が消し飛び、プレアデスたちも吹っ飛んだ。
ジェーンもまた吹っ飛び、体を再生──だが視界が無い。盲目のバットステータスだ。
これが肉体的に眼球を破壊された、等であれば肉体を再生する事で治せるが魔法的効果による盲目だ。肉体操作のタレントでは治せない。
ジェーンは勘で突っ込むも当然戦闘勘が全然培われていないジェーンは家屋に突っ込んで自滅した。
アインズも魔法効果範囲に居たが高レベルとアンデッドという種族である為にバットステータスを無効化し転移魔法でルプスレギナの背後に転移した。
「
「ルプスレギナ、アウトだ──では
アインズは最上位の隠密魔法を唱え、姿を消した。
「どこへ?!」
「不可知化? けどそれなら探知できるはず──」
プレアデス・ドッペルたちはアインズを探すが探知能力に優れたルプスレギナを欠いたため探知する事は出来ない。
アインズはユリの背後に移動し
結果ユリも斬り裂かれる。虚空から現れた攻撃に対処できなかったのだ。
「ユリ、アウトだ──
そして再びアインズは姿を消す。
「ずるい! ずるいです!」
「むきぃぃい! これじゃ何処を攻撃すればいいかわからない!」
そもそもの話、プレアデスたちではアインズにダメージを通す事が出来ない。レベル六十を超えていないのだ。
だからできることはジェーンの帆さ、サポートしかない。だが肝心のジェーンも探知能力を持っていない為アインズを見つけられず戦闘が出来ない。ほぼ詰み盤面である。
そしてジェーンは再び勘でアインズの元まで跳躍し──今度は有っていた為アインズは驚いた。
「全員引け! 破れかぶれじゃごらぁ!」
ジェーンは半分素になりながら背中から大量の触手を伸ばす。
そして触手を滅茶苦茶に伸ばし滅茶苦茶に振り回す。
いわば一種の災害だ。建物が破壊され、アインズもダメージを受けた。
「勝負はここからだごらぁ!」
「乗る訳無いだろう──」
アインズは等と言いつつ、
■
「なんていう戦いだ……」
その戦いを外から見る者が居た。ネイア・バラハだ。
魔皇イブが触手を繰り出し、アインズは転移で避けるが追撃の触手が襲い掛かる。
触手の波にメイド悪魔の射撃。人知を超えた決戦だ。
「魔導王陛下……どうか勝利を──」
その後も戦いは続く。
五分程経った後だろうか、漆黒の光と炎のような赤が空でぶつかり合う。
そうして数回ぶつかり合い──遂に漆黒の光は光を失いつつ東の彼方へ落ちていった。
「……うそだ」
ネイアは薄々理解していた。あの漆黒の光こそが魔導王陛下なのだと。炎はイブなのだと。
炎がネイアたちの元に近づく。
「危なかった……本当に危なかったぞ」
そこに居たのは──ボロボロになった魔皇イブだった。
左わき腹は抉られ消え、右腕と左足が欠損している。翼もボロボロだ。
胸元には翼を象ったネックレスをかけているが、それは傷一つ付いてない。
浮遊する姿は正しく魔皇。
「魔導王陛下をどうした!」
「殺した。いや、アンデッドなのだから消滅したというべきかな?」
「嘘だ! 魔導王陛下がお前なんぞに負ける訳が無い!」
「事実だよ。貴様らにとっては無念な事に、余にとっては最高な事にな」
ニタリ、とジェーンは笑みを浮かべる。
「まったく危ういところだった。亜人を支配下に置いた意味を失う所だった……ここは魔導王に感謝し、貴様らに一つ褒美を与えよう」
魔皇が言う褒美──そのことにその場の全員が緊張する。
悪魔の言う事など碌な事であるはずがない。
「それは貴様らの命だ。貴様らの命を今は一旦預けよう……」
「なんだと!」
「今の余はこれまでに無い程に弱体化している。故、ここは撤退をさせてもらおうか」
「逃がすか!」
ネイアは魔導王陛下から借り受けたアルティメイト・シューティングスター・スーパーを持って弓矢を放つ。
放たれた矢はジェーンの左腕によって容易く受け止められた。
「これは……ルーン武器か。失われたと思ったが、まだ現存していたとはな」
「違う! これは魔導王陛下の弓だ!」
「その魔導王が持っていたのがルーン武器だという話だ、だが今の弱体化した余では危ういなぁ……」
ニタリと笑みを浮かべるジェーンに対しネイアは矢を続けて払う。
当然半分破れかぶれの矢が当たる訳がなく、全てジェーンの手で払われてしまう。
「ではさらばだ人間共。次会う時が貴様らの最後だと知れ」
ジェーンは翼を修復し大きくはためき、空の彼方へと跳んで行った。