『始祖の見る朝日』~ロリ鬼はなぜ、無惨様を太陽の下に連れ出したのか?~   作:この俗物怪物くん

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皆さん、ようこそ地獄のRPGへ。
本作『鬼滅の刃RPG:血の宿命』は、プレイヤーが“鬼”として生きる、いわば反逆のルート。
通常プレイでは決して見られない「始祖の見る朝日」――そのトロフィーを求め、私は今日もパッドを握ります。
攻略情報は存在しません。プレイヤーの運と、無惨様の機嫌だけが頼りです。
果たして、日光を克服した無惨様と、朝日を拝むことはできるのか?
それとも、パワハラひとつで私のセーブデータは塵と化すのか――。
神(開発者)すら見放したルート、いざ参りましょう。


碧い彼岸花と始祖の見る朝日

はい、どうも。今回から、超大作RPG『鬼滅の刃RPG:血の宿命』をプレイしていきます。 本作、基本は鬼殺隊ルートなんですが、今回は、取得率0.01%以下、ほぼ都市伝説とされているトロフィー『始祖の見る朝日』の獲得を目指します。

 

取得条件は、「日光を克服した鬼舞辻無惨と、友好度『親密』以上で、共に朝日を眺めること」…正気ですかね?

 

これを狙うため、我々は「鬼スタート」を選択します。 そして、このルートで最も重要なのが、最初のキャラクターメイクです。

 

性別: 女性。

(理由:無惨様の理不尽な要求を「まあ女だしな」で流してもらうため。あと、男性スタートだと友好度が『ビジネスライク』でロックされるバグがあるため、やりやすくなります)

 

容姿: プレイヤー(私)の好みで、全力でロリ系の美少女に振り切ります。 髪は白(アルビノ設定)、瞳は赤。名前は『朱鷺(とき)』。

(理由:無惨様は、強い鬼は好きですが、美しい鬼も好きです。どうせなら、庇護欲をそそる愛玩動物枠を狙います)

 

血鬼術: 【???】

(鬼スタートのクソ仕様ですが、血鬼術はガチャです。この時点では判明しません。最悪、「爪が伸びる」とかでも泣かない)

 

ステータス割り振り: 初期ポイントは、全て均等割り。いわゆる『勇者型』です。

 

「なんで勇者型?」と思うでしょう。これが、このルートのキモです。 無惨様は、ただ強いだけの脳筋も、ただ賢いだけの非力な部下も、等しくパワハラの対象にします。 彼が求めるのは、「俺の無茶振りを、文句も言わず、完璧にこなせる超有能な部下」です。 つまり、バカでもダメ、非力でもダメ、トロくてもダメ。全てが完璧で、ようやく友好度ゲージに『加点1』がもらえるかどうかのクソゲー。 目指すは、器用万能(パーフェクトサーバント)! これでいきます。

 

 

◇◇

 

 

 

さあ、オープニングです。 お、朱鷺の生い立ちが始まりました。江戸時代…隠れキリシタンの生まれ。 そして、元々アルビノだったようです。 しかし、この教団、ちょっと様子がおかしいですね。聖画の代わりに、なぜか『必殺仕事人』みたいな絵が飾ってあります。

 

どうやら、弾圧の歴史の中で、この教団の教義は「神に仇なすもの(鬼)を、神に代わって罰する(暗殺する)」という、過激なアサシンギルドに変貌してしまったようです。 朱鷺は、その生まれ持った色素の薄さを「神の使いの証」とされ、幼い頃から暗殺者としての技術だけを叩き込まれて育った、と。

 

…あ、ステータス画面が開きました。 [スキル:暗殺術(SSS)を獲得しました]

 

どこの山の翁ですか? こんなスキル、鬼殺隊でも持ってませんよ。SSSって。 まあ、いいでしょう。器用万能、幸先がいいです。

 

ムービーは、そのアジトが、当然のように無惨様本人によって襲撃され、壊滅するところで終わります。 そして、ただ一人、SSSランクの暗殺術で最後まで抵抗した朱鷺に、無惨様が興味を持ち、血を分け与える、と。 …うん、導入としては完璧ですね。

 

 

◇◇

 

 

目を覚ますと、そこは無限城。 目の前には、人間の姿をした、鬼の始祖・鬼舞辻無惨が座っています。

 

「目が覚めたか。気分はどうだ? 腹が、減ってはいないか?」

 

おっと、噂通り、チュートリアル中の無惨様は、原作より優しいです。声色が、パワハラ会議の時より3オクターブくらい高い。 朱鷺は、幼い見た目とアルビノの儚さで、小動物のようにコクリと頷く。

 

「そうか。まあ、すぐに慣れる。良いか、鬼として生きる上で、守るべきことは三つ。鬼殺隊を殺すこと、私の正体を探らないこと、そして、私の命令に完璧に従うことだ」

 

「(こくこく)」

 

「(満足げに)よろしい。貴様の血鬼術はまだ分からんが、その『気配を消す術(暗殺術SSS)』は、なかなかどうして、役に立ちそうだ」

 

(よしよし、いい感触だ。このまま好感度を…)

 

「さて、朱鷺。貴様には、早速だが、私の千年来の悲願を叶えてもらう」

 

え、もう? まだチュートリアル終わってませんよね? いきなり、あの無理ゲーを押し付けられます。

 

「『青い彼岸花』。それを探して、私に献上しろ。それこそが、貴様が私に忠誠を示す、唯一の方法だ」

 

 

 

【第一任務:青い彼岸花(難易度:Imposible)】

来ました。 原作読者ならご存知の、絶対に見つからない花。 ゲームシステム的にも、これは「プレイヤーを永遠にこき使うための、達成不可能なクエスト」として設定されています。 ここでの正解ムーブは、「承知いたしました、命に代えましても」と完璧な返事をして、好感度を稼ぐこと。

 

しかし、朱鷺のステータス画面を見て、私は固まりました。 彼女のバックグラウンド(隠れキリシタン暗殺教団)に関連する情報として、アイテム欄に、【教団アジトの地図】が追加されている。 そして、その地図の、アジトの裏手、「井戸の脇」に、花のマークが描かれている。

 

…まさか。

 

朱鷺は、無惨の目を(ロリ系美少女の特権で)うるうると見上げながら、おもむろに懐に手を入れた。

 

「どうした? 不可能な命令だと、泣き言でも言うか?」

 

「…あ、あのぅ…無惨、さま…」

 

「なんだ。ハキハキと喋れ」

 

「お探しの『お花』というのは…もしかして、これ、ですかの…?」

 

朱鷺が、小さな手で差し出したのは、一本の、青く美しい花だった。

 

「………………………………」

 

「あの、わたくしが育ったアジトの、井戸の脇に…たくさん生えてました。わたくしには、太陽の光は毒でしたから、この花も、お日様が嫌いなお友達なのだと…教団の皆が…」

(※隠れキリシタン教団、鬼とは無関係に、普通に青い彼岸花の群生地にアジトを構えていた模様)

 

「……………………(ガタッ!!)」

 

無惨様が、椅子から転げ落ちるモーションを見せています! 彼は、四つん這いになりながら、赤子の手をひったくるように、その花を奪い取った。

 

「こ、これだ…! 間違いない! この花弁の形、この色! 千年…! 千年探し求めたぞォォォ!」 彼は、歓喜のあまり、無限城を鳴動させるほどに雄叫びを上げている。 やった! ゲームクリア!

 

…かに、思えた。

 

無惨は、その花を光に透かし見る。 そして、彼の歓喜の表情が、一瞬、「?」という、非常に微妙なものに変わった。

 

「…待て。…朱鷺。この花、本当に『青い』か?」

「(きょとん)…はい。とても、きれいな『あおい』色、です」

 

「(目を細め)いや…違う…。これは…『碧い』…青緑(シアン)だ…」

 

そう。朱鷺が渡したのは、『青い彼岸花』ではなく、酷似した別種、『碧い彼岸花』だったのだ。

 

「(古文書の記述と、花を必死に見比べながら)…くっ…! 微妙に違う…のか…? いや、千年の間に呼び名が変わっただけか? これを喰らえば、太陽を克服できるのか? それとも、ただ、腹を壊すだけなのか…!?」

 

無惨様が、猛烈な勢いで混乱しています。 彼は、碧い彼岸花を握りしめ、朱鷺の肩をガシッと掴んだ。

 

「お前は!!! お前は、役に立ったのか、立たなかったのか、どっちだ!!!」

「ひぃっ!」 無惨:「ええい、ままよ! この花が本物か、あるいは偽物だとしても、本物も近くにあるはずだ! 朱鷺! お前は、この『碧い彼岸花』の研究サンプルだ! 私の側を片時も離れるな! 私の完璧な計画が、お前というイレギュラーのせいで、全く分からなくなったわ!」

 

[メインシナリオが『青い彼岸花探索』から『碧い彼岸花・真偽究明』に変更されました] [トロフィー『始祖の見る朝日』ルートが、強制的に開放されました]

 

(よっしゃあああ! 思惑通り!) こうして、千年の悲願達成(仮)の混乱に乗じ、私は、無惨様の側近兼、最重要サンプルという、最高のポジションを手に入れた。 ここからが、地獄の無惨様ご機嫌取り&護衛ミッションの、本当の始まりである。




ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。

まさかの「碧い彼岸花」というイレギュラー解釈で、無惨様が椅子から転げ落ちるとは‥。

感想をいただけると、朱鷺が次のアップデートで生き延びる確率が上がります(多分)
あなたなら、このルート、最後までプレイしてみたいですか?
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