『始祖の見る朝日』~ロリ鬼はなぜ、無惨様を太陽の下に連れ出したのか?~ 作:この俗物怪物くん
鬼舞辻無惨の側近となった朱鷺(とき)は、ただ一つの夢を追い続けていた。
それは「お兄さま(=無惨様)との友好度を『親密』にする」こと。
だが、その道は地獄のように長く、そして理不尽であった。
太陽克服薬の人体実験、幕府乗っ取り計画、産屋敷暗殺ミッション…。
成果を出しても、なぜか評価は下がる。
そう、無惨様は“攻略不能上司”だったのだ。
これは、愛と忠誠とブラック勤怠のはざまで戦う一人の鬼娘の、
悲しくも笑える「好感度アップ奮闘記」である。
さて、朱鷺(とき)ちゃんは無惨様の側近(序列外トップ)という破格の地位を得ました。友好度も『信頼』まで到達! あと一歩で『親密』! ゴールは目前です! …と、思っていた時期が、私にもありました
皆さん、聞いてください。このゲーム、無惨様の友好度が『信頼』を超えると、なんと、あの地獄の無茶振りミッションの発生頻度が、激減するんです!
『え? 楽になっていいじゃん』って? 甘い! 甘すぎます! 我々の目的は、友好度を『親密』まで上げること! ミッションがなければ、友好度を上げる手段がないんですよ! これは、無惨様による『俺様への忠誠心が足りているか、常に自ら考え行動しろ』という、究極のパワハラトラップなんです!
「(朱鷺の屋敷にふらっと現れては)…ふむ。特に、お前に命じることはない。好きにしていろ」
「(にこにこ〜)はい、お兄さま〜」
「(…つまらん。何か面白いことはないのか、この娘は…)」
友好度ゲージが、じりじりと、むしろ下がっていく気配すらある!
まずい! このままではジリ貧です! 何か、無惨様の『お気に召す』行動を、こちらから仕掛けなければ!
【試行錯誤①:新薬開発! 人体実験は童磨で!】
やはり、無惨様の悲願といえば『太陽克服』! 例の『碧い彼岸花(亜種)』は量産体制に入っています。これを使って、副作用のない完璧な太陽克服薬を開発すれば、一気に『親密』まで…!
朱鷺は、義父(赤松老人)から受け継いだ(という設定の)ラボで、再び薬の調合を開始した。
「(ぐるぐる〜)今度は、腹痛じゃなくて、頭痛ですか〜。困りましたね〜」
結果①:腹痛はなくなったが、代わりに『激しい頭痛』の副作用が発生。
よし、被験体(モルモット)を呼びましょう。…もしもし、童磨殿? ええ、朱鷺です。また新しい『お薬』が…はい、すぐいらっしゃいますか。お待ちしております
無限城から、ウキウキでやってきた上弦の弐・童磨。
「やあ、朱鷺ちゃん! 新しいお薬だって? 今度はどんな効果なんだい?」
「飲むと、頭が良くなる(※大嘘)お薬です〜」
「へえ! それは素晴らしい!」(ゴクゴク)
「…あれ? なんだか、頭が…割れるように痛いぃぃぃ!!!」
はい、次!
「(ぐるぐる〜)頭痛を抑える成分を足して…あら? 効果時間が短くなっちゃいました〜」
結果②:頭痛は抑えたが、太陽克服の効果時間が『5分』に短縮。
「やあ朱鷺ちゃん! 今度は大丈夫かい?」(ゴクゴク)
(5分後、太陽の下で) 「あちちちちち! 焦げる! 俺の美しい肌が焦げるぅぅぅ!」
次!
「(ぐるぐる〜)視点を変えて、例の『止瀉薬』とセットで飲めば…うーん、なんだか、泥みたいな味に…」
結果③:副作用はほぼ消えたが、『肥溜めを凝縮したような』とてつもない不味さになり、常用不可能。
「やあ朱鷺ちゃん! 三度目の正直だね!」(ゴクゴク)
「……お゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!(嘔吐)」
…結局、半端なものしかできませんでした。童磨さんは、毎回ニコニコしながら協力してくれましたが…彼は大丈夫なんでしょうか…?
無惨様にも報告したが…
「…ふん。くだらん。あの腹痛の悪夢は、もう御免だ」
どうやら、最初の『碧い彼岸花』のトラウマが強すぎるらしく、試そうともしてくれません。
[友好度:+1]
え!? なぜか上がった!? まさか…童磨を実験台にして苦しめているのが、無惨様的に面白かったとか…? この方の思考、本当に読めません…!
【試行錯誤②:幕府乗っ取り計画!…頓挫!】
薬がダメなら、次は権力! 朱鷺ちゃんは今や老中の孫娘(三代目)! 将軍家にもお目見えできる名家の姫です! この地位を利用して、幕府の要職に、我々(鬼)の息のかかった者を送り込み、裏から日本を支配するのです! 無惨様も、きっとお喜びになるはず!
朱鷺は、新たに鬼にした(※食事に困らない程度の雑魚鬼)数名を、人間の役人として幕府に潜り込ませようとした。
「いいですこと? 貴方たちは、わたくしの指示があるまで、決して人間を襲ってはなりません。ただ、情報を集め、昇進を目指すのです〜」
「は、ははーっ!」
…三日後。 江戸城内で、役人が同僚を襲うという事件が多発。 犯人は、全員、朱鷺が送り込んだ鬼たちだった。
理由:「いや、隣のやつの血の匂いが、あまりにも美味そうで…つい…」
[計画『裏から日本を支配!』失敗] [友好度:-1]
使えねええええええ! やっぱり、鬼の本能(食欲)を抑え込むのは、禰豆子ちゃんレベルじゃないと無理なのか! 無惨様の評価も下がっちゃいました…!
【試行錯誤③:産屋敷暗殺!…逃げ足だけはSSS級!】
こうなったら、原点回帰! 無惨様の最大の敵、産屋敷を暗殺してご覧に入れましょう! これなら、文句なしの成果のはず!
朱鷺は、『暗殺術(SSS)』の索敵能力を全開にし、産屋敷の隠れ家を探し出した。 今度こそ、完璧な奇襲を…!
…空振り! 屋敷はもぬけの殻。
置き手紙:「なんだか嫌な予感がするので、引っ越しました」
なんだと!? こちらの殺気を読んだのか!?
朱鷺は、執念で、新たな隠れ家を突き止める。 今度こそ…!
…空振り!
置き手紙:「やはり胸騒ぎがするので、また引っ越しました。皆には内緒だよ」
またかよ!?
これを、繰り返すこと、三ヶ月で15回。
「(ぜえ…ぜえ…)あの、病弱なはずの産屋敷…なんでこんなに、フットワークが軽いのですか〜…?」
どうやら、産屋敷家の『未来予知』に近い直感が、異常なレベルで発動しているようです…。周りの隠たちは、最短滞在時間5分とかいう、意味不明な引っ越しに、かなり迷惑している模様。…もう、これ以上は時間の無駄ですね。諦めましょう…
【試行錯誤④:柱(?)瞬殺!…からの、ダメ出し!】
産屋敷暗殺に失敗し、江戸の町をトボトボと歩く朱鷺。 時刻は、昼間。(※太陽克服薬常用中) その時、彼女の目に、信じられない光景が飛び込んできた。
日輪刀を腰に差し、派手な羽織を羽織った、見るからに強そうな男が、白昼堂々、団子を食べているではないか!
「(…柱…? なんで、こんなところに…?)」
バグか!? それとも、隠しイベント!? いずれにせよ、これはチャンス! 柱クラスの首を献上すれば、無惨様も…!
朱鷺は、考えるより早く動いていた。 『気配遮断(EX)』からの、『暗殺術(SSS)』奥義。 男が団子を喉に詰まらせるよりも早く、『かくあれかし』が、その頸を、音もなく断ち切っていた。
[『謎の剣士』を討伐しました]
朱鷺は、その首を丁寧に風呂敷に包むと、意気揚々と無限城へ。
「お兄さま! ご覧ください! 柱らしき者の首を、討ち取ってまいりましたわ〜!」
「(チラリと首を見て)…ふん。それで?」
「へ?」
「だから、なんだと言うのだ。柱の一人や二人、私の側近たる貴様が仕留めて、当然であろう。 いちいち報告するな。目障りだ」
[友好度:-1]
理不尽んんんんんんん!!!」 「もう! この方の評価基準、どうなってるんですか!?
朱鷺は、ポカーンと口を開けたまま、無惨の私室から追い出された。 友好度『親密』への道は、あまりにも険しく、そして、理不尽に満ちている。 彼女は、ため息をつきながら、次の「お兄さまのご機嫌取り」プランを、練り始めるのだった。
◇◇
やはり、無惨様が喜ぶことといえば、強い鬼の育成! ちょうど、童磨(どうま)殿が最近、才能のある兄妹を鬼にしたという噂を聞きました。よし、この子たちを、我らが猗窩座(あかざ)さまと一緒に、英才教育して差し上げましょう!
朱鷺は、その兄妹――後の妓夫太郎(ぎゅうたろう)と堕姫(だき)――の元へ足繁く通い始めた。 猗窩座のスパルタ指導(主に兄へ)と、朱鷺の丁寧な(?)栄養指導(主に妹へ)により、二人の才能は瞬く間に開花。 なんと、わずか数年で、上弦の陸の座にまで駆け上がってしまった!
「(にこにこ〜)お兄さま! ご覧ください! わたくしが、こんなに有能な鬼を育て上げましたのよ〜! 褒めてくださいまし〜!」
「(チラリと兄妹を見て)…ふん。まあ、使えなくはないな」
「(わくわく)」
「だが、童磨が鬼にしたというのが気に食わん」
[友好度:-1]
なぜにーーーー!?? 理不尽! 理不尽すぎる! ちなみに、一緒に指導した猗窩座さまは『よくやった』と褒められていました。なんで!?
「(むぅ…お兄さまの『好き嫌い』、よく分かりません〜…)」
【ご機嫌取り作戦②:世界グルメツアー(未遂)!】
育成がダメなら、次は献上品! やはり、鬼の本能に訴えかける『美味しい人間』を捧げるのが一番では!?
「お兄さま〜。今宵は、どのような『お食事』がお好みですか〜?」
「(ため息)…そうだな…。正直、日本人の味には飽きた」
彼は、部屋にあった地球儀をくるくると回し、適当な場所を指差した。
「このあたりに、オスマン・トルコとかいう国があるらしいな。そこの人間は、きっと美味いに違いない(※完全な思い込み)。それを、今すぐ、持ってこい」
無茶振り、ここに極まれり!江戸時代ですよ!? オスマン・トルコ!? 地球の裏側じゃないですか! 船で何ヶ月かかると思ってるんですか!」
しかし、朱鷺は、健気にも(あるいは、思考停止して)、その命令を受け入れてしまった。
「(にこにこ〜)はい、お兄さま〜! いってまいります〜!」
彼女は、本気で海を渡ろうと、港へ向かって駆け出した。
…が、その腕を、無惨本人が掴んで止めた。
「…待て。…いや、やはりいい。手間だ」
「へ?」
「(なぜか少しだけ機嫌を直し)…まあ、その意気や良し。貴様の忠誠心だけは、認めてやる」
[友好度:+1]
なんで!?」 「わけがわかりません! 行こうとしたら止めて、それで友好度が上がるって! もう、この方の感情パラメータ、バグってますよ!
【ご機嫌取り作戦③:そうだ、金儲けしよう(with 玉壺)】
もう、何をすればポイントが上がるのか、さっぱり分かりません! こうなったら、無難に『活動資金』を献上するのはどうでしょう!?」 「幸い、朱鷺ちゃんは表の顔(老中の孫娘)で、莫大な資産を持っていますが、これはあくまで『人間の金』。無惨様は、鬼が生み出した富にこそ価値を見出すはず!
朱鷺は、上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)の元を訪れた。
「玉壺さま〜。お願いがあるのですが〜」
「ヒョッ? 朱鷺殿、珍しいな。このワタクシに何の用だ?」
「貴方様の素晴らしい『壺』を、わたくしに売っていただけませんか〜? それを、人間の世界で高く売りさばき、お兄さまに献上したいのです〜」
玉壺は、自分の芸術が理解され、さらに金になると聞いて、大喜び。 彼は、血鬼術で「まあ、これは失敗作だがな」と言いながら、人間が見ても普通に美しい(グロくない)壺を、いくつか作り出した。
これを、朱鷺ちゃんルートで築き上げた人脈(大名や豪商)に流します! さあ、どうなる…?
結果。 玉壺の壺(まともバージョン)は、江戸の芸術界で爆発的な人気を博した! 特に、幕府の高官たちの間で「あの九条家の姫が目利きした、世にも珍しい壺」として、投機的な価格で取引されるように!
「(大量の金塊を前に)お兄さま〜! これだけ、儲かりました〜!」
無惨は、その金塊の山を見て、実に満足げに頷いた。
「ほう。玉壺のあれが、これほどの金になるとはな。…朱鷺、よくやった」
彼は、珍しく、朱鷺の頭を優しく撫でた。
「(ぽっ…)あ、ありがとうございます〜!」
やった! 頭ポンポン! これは、ついに『親密』へのフラグが…!
[友好度:変動なし]
けっ! そうなると思ったよ! 最初からな!もう! この方の『いいね!』ボタン、どこにあるんですか!?
【最終手段?:青い彼岸花、再び!】
もはや、打つ手なし。 友好度『信頼』のゲージは、9割方溜まっているのに、最後の『1』が、どうしても上がらない。 朱鷺が、途方に暮れていた、その時。
「……朱鷺よ、命令だ」
「は、はい!」
「青い彼岸花を探している猗窩座が、どうにも手間取っている。鬱陶しい。貴様も手伝え。見つけてこい」
で、出たーーー! 無理ゲー再び!もう、探すだけ無駄だって、分かってるじゃないですか!
しかし、命令は絶対。 朱鷺は、猗窩座と合流し、二人で、当てもなく日本中を探し回る羽目になった。 数週間が経過。成果は、もちろんゼロ。
「(はぁ…狛犬くんと、二人きりなのは嬉しいですけど…お花、見つかりませんねぇ…)」
「…くだらん。こんなもの、本当に存在するのか…」
二人が、とある山奥の、月明かりが差し込む沢で休憩していた、その時。 猗窩座が、ふと、崖の上に目をやった。
「…ん? あれは…」
崖の上に、月光を浴びて、青白く輝く、一輪の花が咲いていた。 それは、彼岸花によく似た、しかし、見たこともない色合いの花だった。
「ま、まさか…!」
奇跡、起きた!? いや、待て! あの色は…!
二人は、崖を駆け上がり、その花を手に取った。 それは、『青い』というよりは、『蒼(あお)い』…淡く、儚げな、水色に近い色合いだった。
「こ、これです! きっとこれですわ、狛犬くん!」
「…そう、なのか…?」
「ええ! わたくしたちの、愛の力が見つけたのです!」
「(愛…?)」
いや、愛の力とかじゃなくて、多分、ただの低確率ドロップです!ていうか、またしても亜種! 今度は『蒼い彼岸花』ですか!
朱鷺と猗窩座は、なぜか二人でハイタッチし、喜びのあまり、その場で謎のダンスを踊り始めた。
…まあ、本人たちが喜んでいるなら、いいか…
とりあえず、無限城に持ち帰り、無惨様に献上する。
おお! ついに見つけたか! …ん? …蒼い…? いや、しかし…この形状は…
はい、またこのパターンです! 無惨様、本物を見たことがないので、『蒼い』のが正しいのか、『青い』のか、『碧い』のか、完全に混乱しています!
「(花を食い入るように見つめながら)…まあ、よかろう! これが本物か偽物か、あるいはただの色違いか! いずれにせよ、希望には違いない!」
彼は、久しぶりに、心の底から上機嫌だった。
[友好度:+5]
ゴ、ゴゴゴ、5アップ!? ここに来て、まさかの大幅加点!これで…ついに…!
[鬼舞辻無惨との友好度が『親密』になりました]
やったあああああああああああああああ!!!!ついに! ついにやりました! 長かった! 本当に長かった!
朱鷺は、歓喜するお兄さま(無惨)の隣で、ただ、きょとんとしていた。 (…結局、お花の色が、決め手だったのですか〜…?)
何はともあれ、これでトロフィー獲得の第一条件はクリア。 残るは、無惨様が(おそらく『蒼い彼岸花』で)日光を克服し、そして、共に朝日を眺めるだけ! ゴールは、もうすぐそこだ!
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
「無惨様の友好度を上げる」という、いかにも報われなさそうな目標に、
朱鷺ちゃんがここまで本気で挑むとは、作者の私も思っていませんでした。
無惨様の評価基準、まるでAI上司のアルゴリズムみたいですよね。
成果を出しても減点、失敗しても「忠誠心」として加点。
一周回って、推しの理不尽を愛でるという新しい悟りの境地に
たどり着けた気がします。
ぜひ、コメント欄でご意見をお聞かせください!
朱鷺ちゃん、次はどんな理不尽に挑むべきか――
あなたの一票で決まります。