『始祖の見る朝日』~ロリ鬼はなぜ、無惨様を太陽の下に連れ出したのか?~ 作:この俗物怪物くん
だが、それは地獄の門の鍵でもあった。
友好度が上がればミッションは減る。
しかし、ミッションが減れば、上司は退屈し、やがて不機嫌になる。
そう、これは「成果を出すほど怒られる」理不尽な職場。
朱鷺は百年の歳月をかけ、上司(無惨)の機嫌を保ちつつ、
仲間(鬼)を守り、そして物語の“原作開始”を迎えることになる。
これは、愛と忠誠と理不尽のはざまで生きる、
一人の鬼の「好感度サバイバルRPG」の記録である。
やりました! ついに、鬼舞辻無惨の友好度を『親密』まで引き上げました! これでトロフィー獲得の第一条件はクリア! …ですが、ここからが本当の地獄です!
皆さん、『親密』になったからといって、油断してはいけません! この状態の無惨様は、もはや気まぐれな暴君! ちょっとしたミスで、好感度が奈落の底まで急降下する可能性は、文字通り地雷原を裸足で練り歩くより多く存在しています!
しかも、これ以上の友好度アップも厳禁! 『親密』を超えて『愛情』まで至ってしまうと、別のシークレットルート『始祖の愛と夜明け』に突入してしまい、今回の目標トロフィーは獲得できなくなります。これもまた別のレアトロフィーですが、それじゃない!
我々がやるべきことは一つ。この『親密』状態を、原作開始時点である『大正時代』まで、ひたすら維持し続けること! これが、想像を絶する苦行なのです!
それからの日々は、朱鷺にとって、ある意味で最も過酷なものでした。
<朱鷺の表の顔>
老中・九条和馬の孫娘(…の、さらに代替わりを繰り返し、今は『曾孫娘』ということに)として、江戸(→明治→大正)の社交界に君臨。その類稀なる美貌と、お祖父様譲り(※自分)の本草学の知識、そして『お兄様』(無惨)から仕込まれた西洋文化への造詣(※接待ゴルフ含む)で、時代の寵児ともてはやされる日々。
<朱鷺の裏の顔> しかし夜になれば、『仕事人』としての顔が戻る。歴史の変わり目には、『邪魔者』となる人間が後を絶たない。士族の反乱分子、不平を抱く政敵、新政府の汚職役人…。幕府(→明治政府)からの『依頼』は、途切れることがなかった。
「(むぐむぐ…あーん、やっぱりおじさんは美味しくないです〜…。もっと、若くて瑞々しいのが食べたいです〜)」
朱鷺ちゃんの食事(捕食)も、すっかりマンネリ化してますね。でも、派手な殺しは御法度。あくまで『闇から闇へ』。鬼殺隊に存在を悟られないよう、細心の注意が必要です
<猗窩座の動向>
一方、猗窩座(あかざ)さまは、ひたすら強くなるため、修行と(彼なりの節度を持った)捕食に励んでいる様子。朱鷺との関係は、相変わらず「特別な存在」ではあるものの、それ以上でも以下でもない、絶妙な距離感を保っています。
「…朱鷺。また、強くなったな」
「(にこにこ〜)狛犬くんには、まだまだ敵いません〜」
ちなみに、猗窩座さま、やっぱり女性は絶対に食べないそうです。このブレなさ、尊敬しますね
<お兄さま(無惨)の機嫌>
そして、問題の無惨様。友好度が『親密』になったことで、理不尽なミニゲームの要求は減りました。その代わり、
「(ふらっと現れては)…朱鷺。退屈だ。何か面白い話はないのか」
「(にこにこ〜冷や汗だらだら)え、ええと、お兄さま〜。最近、西洋では『じゃず』という、賑やかな音楽が流行っているそうで…」
「…下らん」
[友好度:変動なし]
「…朱鷺。貴様の血鬼術、『告解ノ雨』。あれは美しいが、芸がない。もっと、こう…バラが咲き乱れるような演出はできんのか?」
「(む、無茶なことを…!)善処いたします〜…」
[友好度:変動なし]
「…朱鷺。…特に用はない。下がれ」
[友好度:-1]
これ! これなんです! 何もしないと、逆に機嫌が悪くなる! かといって、下手に動くと地雷を踏む! まさに『鬼滅の刃RPG:無惨様ご機嫌うかがいエディション』!
朱鷺は、百年以上の歳月を、この薄氷を踏むような関係を維持するために、神経をすり減らし続けたのです。
…そして、ついに来ました! 朱鷺ちゃんは知らないことですが、画面の右上に注目! 元号が『大正』に変わりました! 原作の時間軸に、ようやく追いついたのです!
しかし! ここからが、このルート最大の難所!原作通りに話が進むということは、これから次々と、十二鬼月が鬼殺隊に殺されていくということです! その度に、無惨様の機嫌は急降下! 下手をすれば、その八つ当たりが朱鷺ちゃんに向かい、友好度が『親密』から転落する可能性があります!
「(なんだか、最近、お兄さまのご機嫌が麗しくありませんわ〜…)」
「(イライライラ…)…使えん…。どいつもこいつも、使えん…!」
これを、いかにして防ぐか…! ここからが、私の腕の見せ所です!
ちなみに、鬼殺隊との関係ですが、朱鷺ちゃんは、実はほとんど戦っていません。 なぜなら、彼女の存在は、政府中枢に食い込む『影の仕事人』であり、そもそも鬼であるという噂すら立っていないのです。鬼殺隊の索敵網にも、全く引っかかっていません。完璧な隠密行動ですね!
そして、ある雪の降る夜。 無惨が、珍しく上機嫌な様子で、朱鷺の元を訪れた。
「朱鷺。今宵は、貴様も来い」
「(きょとん)…どちらへ、です〜?」
「…ふん。少し、鬱陶しい炭焼きの一家を、根絶やしにしてくるだけだ」
来…来ました! 原作、開幕!あの、全ての始まりの夜! 竈門家襲撃イベントです!
「(にこにこ〜)はい、お兄さま〜」
彼女は、これから起こる悲劇を知る由もなく、ただ、忠実な妹(側近)として、無惨に同行することになった。 この夜が、彼女の、そして世界の運命を、再び大きく動かすことになるとも知らずに。
◇◇
ここからは、鬼殺隊の物語が本格的に動き出します。そして、我々の前に、新たな、そして最悪の難題が立ちはだかります!
【竈門家襲撃・同行ミッション(運ゲー)】
雪が降りしきる、ある夜。 無惨が、朱鷺の元へ現れた。その顔には、珍しく、明確な「不快感」が浮かんでいる。
来…来ました! 原作、開幕! 全ての始まりの夜! 竈門家襲撃イベントです! しかし、ここには超低確率のトラップが存在します!
ごく稀に、主人公・竈門炭治郎が、この襲撃時に在宅している場合があるんです! その場合、彼も無惨様の血に適応してしまい、禰豆子ちゃんと合わせて、兄妹揃って上弦級の化け物が誕生してしまいます! これは、下手をすると無惨様より強くなり、プレイヤー(朱鷺)が彼らに取り込まれて『鬼の王ルート』に強制突入してしまう最悪のパターン!」
このルートに入ったら、トロフィー『始祖の見る朝日』は、詰みです! なので…万が一、炭治郎くんがいたら…ごめん! なんとしても、ここで殺害するしかありません! 運ゲーですが、祈りましょう!
朱鷺は、無惨と共に、雪深い山奥の、一軒の炭焼き小屋へと向かった。 扉を開けると、そこには、血の匂いが立ち込めていた。
(ドキドキ…! 炭治郎くんは…!?) …いない! よかった! 今回は、原作通り、炭治郎くんは不在のようです! これなら大丈夫! 禰豆子ちゃんに注がれる血の量は一定なので、強さが変動することもありません。
無惨は、冷たい目で、息絶えた家族を見下ろし、唯一生き残っていた少女、禰豆子に、自らの血を注ぎ込む。 朱鷺は、その光景を、ただ、無表情で見つめていた。 (…かわいそうに…。でも、これが、この世界の『物語』なのですね〜)
【原作開始後の地獄:友好度維持ミッション(超高難易度)】
さて、竈門家襲撃イベントは無事に(?)終了しました。ここから約二年ほど、炭治郎くんは鱗滝さんの元で修行に入ります。つまり、我々にとっては、比較的自由な時間…とはいきません!
繰り返しますが原作ストーリーが進むということは、これから、下弦の鬼が、上弦の鬼が、次々と鬼殺隊に殺されていくということです! その度に、無惨様の機嫌は急降下! 下手をすれば、その八つ当たりで、朱鷺ちゃんの友好度が『親密』から転落し、全てが水の泡になる可能性があります!
「(むぅ…最近、お兄さまのピリピリが、すごいです〜…)」
「(壁ドンしながら)使えん! 使えん! 使えん! なぜ私の配下は、こうも容易く狩られるのだ! 貴様もそう思うだろう、朱鷺!」
「(にこにこ〜冷や汗だらだら)そ、そうですわね〜、お兄さま〜」
友好度ゲージが、危険水域で激しく揺れ動いています!
これを、どう乗り切るか! 答えは一つ!名付けて、『守れなくても守ろうとしてボロボロになる妹!作戦』です!
具体的に言うと、無惨様のお気に入りの鬼(特に猗窩座さま!)が鬼殺隊に襲われた際、朱鷺ちゃんが『お兄さまの大切な部下は、わたくしが守ります!』と言って、身を挺して戦う(フリをする)のです! たとえ、守り切れずにボロボロになったとしても、『妹は自分のために頑張った』と無惨様に認識させられれば、友好度の低下を最小限に抑えられ、あわよくば『健気な奴め』ポイントで微増する可能性すらあります!
ちなみに、この作戦、原作時間に入るまでできなかった理由があります。それまでは、他の鬼と親しくすると『群れたな? 裏切るのか?』と判断されて、即座に無惨様に粛清されるというクソ仕様があったからです! なぜか原作時間に入ると、そのあたりがガバガバになります。おそらく、フラグ管理が複雑になりすぎるから、というのが私の推測ですね!
【芽生えた感情と、最初のターゲット】
そして、ここに来て、朱鷺ちゃんのステータスに、奇妙な変化が現れました。『他の鬼と、もっと仲良くなりたい』という、謎の欲求(バフ?)が付与されているのです
理由は不明ですが…これも、ゲーム的なフラグ管理の一環でしょうか? あるいは、百年以上、無惨様としかまともに(?)交流してこなかった反動かもしれません
「(むぅ…猗窩座さまだけじゃなくて、黒死牟さまとか、童磨さまとも、もっとお話してみたいです〜…)」
いずれにせよ、この感情は『仲間を守る』作戦と相性が良い! これを利用しない手はありません!
さて、この作戦の最初のターゲットです。誰を守るか…やはり、ここは、無惨様の覚えもめでたく、かつ、原作での死亡フラグが比較的早い…下弦の伍・累くんでしょう!
朱鷺は、蜘蛛の家族の主、累の顔を思い浮かべた。
(あの子…たしか、家族の絆に、すごく執着していましたわね〜)
(お兄さま(無惨)は、ああいう一途な子は、嫌いじゃないはず…)
「(にこにこ〜)決まりです〜。まずは、累くんと『お友達』になるところから、始めましょうか〜」
こうして、朱鷺ちゃんの、鬼殺隊の介入を阻止しつつ、無惨様のご機嫌を取り、さらに他の鬼たちとの友好度まで上げなければならないという、超高難易度・綱渡り外交が、始まりました! これぞ、RPGの醍醐味(地獄)ですね!
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!
今回は、朱鷺ちゃんがついに“親密ルート”へ突入したことで、
一見安泰に見えつつも、実は一歩間違えば即地雷な“維持地獄編”でした。
あなたなら、朱鷺ちゃんにどんな選択肢を選ばせますか?
「守る」?「逃げる」?それとも――「泣く」?
コメントで、ぜひご意見を聞かせてください。