『始祖の見る朝日』~ロリ鬼はなぜ、無惨様を太陽の下に連れ出したのか?~ 作:この俗物怪物くん
その車両には、奇妙な家族が乗り合わせていた――。
元・上弦の弐、朱鷺。上弦の参、猗窩座。
そして、累と零余子。
彼らの目的は、ただ一つ。
「魘夢の仕事を見届ける」――はず、だった。
さあ、無限列車が動き出しました! 朱鷺ちゃん一家の、地獄の家族旅行(魘夢(えんむ)の仕事監視付き)が始まりましたね。さて、この後、原作通りなら炭治郎くんたちが乗車してきて、煉獄さんと合流、そして魘夢の血鬼術に…
ガタンゴトン… 汽車の心地よい揺れ。しかし、突如、後方の車両から、ものすごく騒がしい声が聞こえてきました。
「わっしょい! わっしょい!」
「うおおおお! この鉄の獣め! 俺様が勝負してやる!」
「善逸! 落ち着け! 伊之助も! 列車だよ! 乗るものだって!」
あ! 聞き覚えのある声! 炭治郎くんたちだ! あれから数ヶ月、那田蜘蛛山での傷もすっかり完治したようですね!
伊之助くんは相変わらず列車を巨大な獣か何かだと勘違いしている様子。善逸くんは、ちゃんと刀を布に包んで隠していて偉いですね〜。そして炭治郎くんは、安定の田舎者ムーブです
彼らは、他の乗客に若干引かれながらも、なんとか列車に乗り込んできました。 さあ、ここから彼らは煉獄さんの元へ…
…って、え?
この車両の座席配置的に…煉獄さんの席に行く前に、確実に、朱鷺ちゃんファミリーのボックス席の前を通るんじゃないでしょうか!? これは…まずいのでは!?
案の定。 炭治郎たちが、煉獄さんを探して通路を進んでいると、バッチリ、目が合ってしまいました。 窓際に座る、朱鷺ちゃんと。
「(にこにこ〜)」
「(ギョッ!?)」
「(ひっ!?)」
「(ん? こいつら…どこかで…?)」
両者、同時に気づいた様子!
朱鷺は、しかし、慌てず騒がず、優雅に手を振って話しかけます。
「あらあら〜、奇遇ですわね〜、炭治郎くんたちじゃありませんこと〜」
「そうだ、娘が一人増えましたの。零余子、ご挨拶なさいな〜」
「(ビクッ)あ、あぅ…よ、よろしくお願いします…(なんで私が鬼狩りに…)」
炭治郎たちは、顔面蒼白。あからさまに恐怖と警戒を露わにしています。刀に手をかけようとする伊之助。 その時、通路側に座っていた猗窩座さまが、静かに、しかし有無を言わせぬ圧力で口を開きました。
「…おい、小僧ども。騒ぐな。他の乗客の迷惑になる」
その一言で、三人は金縛りにあったように動きを止めます。
累も、読んでいた本から顔を上げ、冷静に告げます。
「…安心していいよ。僕たちは、ここでは何もするつもりはない。ただの旅行客だ」
零余子は、むしろ炭治郎たちに助けを求めるような目で、小声で訴えます。
「そ、そうです! 私たち、ただ乗ってるだけですから! できれば、柱の方はあちらにいるので、さっさと行ってほしいです…!」
零余子ちゃん、腰が低い! 無惨様に知られたら怒られますよ!
炭治郎は、それでも疑いを解きません。
「この無限列車に出るという鬼は…あなたたちなのか!?」
朱鷺は、心底不思議そうな顔で答えます。
「あら? わたくしたちも、此処にいる以上、出ていることにはなりますけど…貴方たちが追っているという『40人以上食べた鬼』は、残念ながら、わたくしたちではありませんわ〜」
「でも、この列車にいることは確かみたいですから、頑張ってくださいましね? わたくしたちは、ただの家族旅行客(※違います)ですから〜」
その、あまりにも堂々とした嘘(一部本当)に、炭治郎たちは混乱するしかありません。 そして、朱鷺は、とんでもないことを言い出します。
「そうだわ! せっかくですから、柱の方にもご挨拶しましょうか。確か、向かいの席は空いていたみたいですし」
炭治郎・善逸・伊之助:「「「ええええええええ!!!!」」」
ですよね! 全員が唖然としています!
朱鷺は、そんな彼らを無視して、煉獄さんが座っているであろう席を指差します。
「ほら、あそこにいらっしゃいますわよ! 煉獄さ〜ん!(※なぜ知ってるの?) まち合わせの方が来てますよ〜!」
その声に、煉獄さんが弁当から顔を上げます。
「む! すまない! 少年たち! 待っていたぞ! うまい!」
どうやら朱鷺ちゃん、本気で柱にも挨拶するつもりのようです! なんで!? 敵ですよね!?
「(炭治郎に小声で)…ねぇ、あのお姉さん、やっぱり、すごく変な人だよね…?」
「(頷くしかない)」
煉獄さんの前に立った炭治郎たち。
「うむ! 君たちは、あの時のお館様の…!」
「は、はい! 鬼殺隊・竈門炭治郎です! こちらが我妻善逸と嘴平伊之助、そして箱に入っているのが妹の禰豆子です!」
「うむ! あの時の鬼だな! お館様がお認めになったこと、今は何も言うまい!」
おや? ということは、このルートでも、ちゃんと柱合裁判は開かれて、禰豆子ちゃんの存在は認められたみたいですね。よかったよかった
「で、そちらの方達は…? 君たちの知り合いか?」
煉獄さんが、炭治郎たちの後ろについてきた朱鷺ちゃんファミリーに視線を向けます。
「え、ええと…この方たちは、朱鷺さんと、猗窩座さんと、累くんと、零余子ちゃんで…」
朱鷺は、煉獄さんの前に進み出て、優雅に一礼しました。
「初めまして、炎柱様。わたくしは、この度の無限列車における鬼の狩り、それを見届けるよう仰せつかった、御方の側近。そしてこちらは、上弦と下弦で構成された、わたくしの『家族』ですわ♡ よろしくお願いいたします〜」
「………………(固まる)」
そりゃ固まりますよ! 敵の大幹部が、目の前で自己紹介してるんですから!
しかし、その硬直を破ったのは、意外にも猗窩座さまでした。
「(煉獄の弁当の食べっぷりを見て)ほう。貴殿、見事な食べっぷりだ。その集中力、闘気…素晴らしい」
彼は、なぜか人間用の駅弁を取り出すと、煉獄さんに対抗するかのように、猛烈な勢いで食べ始めました。
「む! 君もなかなかだな! うまいか!?」
「うむ! この『牛肉弁当』とやら、なかなか滋味深い!」
えええええ!? 猗窩座さま、普通に駅弁食べてる!? 鬼って、人間や獣以外は食べられないんじゃ…あ、牛肉だから大丈夫ってこと!? そうですか…!
煉獄さんと猗窩座さまが、なぜか弁当の早食い対決を始めてしまいました。 朱鷺ちゃんと累くんと零余子ちゃんは、それをニコニコ(あるいは引きつった顔で)見守っています。 炭治郎、善逸、伊之助は、もはや、目の前で起きていることが現実なのかどうか、判断がつかなくなっていました。
…うん。やっぱり、この無限列車編、何かがおかしいです!
◇◇
いやはや、どうなることかと思いましたが、煉獄さんと猗窩座さまの弁当早食い対決(引き分け)を経て、なんとか場の空気は落ち着きました。…落ち着いた、と言っていいのか、これは…?
煉獄さんは、ようやく精神の均衡を取り戻したようです。さすが柱。私(プレイヤー)だったら、このカオスな状況で立ち直るのに一晩はかかりそうなのに、大した精神力です。
「む! 君たちは、やはり鬼だな! ならば、ここで首を斬るのみ!」
炎柱としての闘気が、一気に高まります。
しかし、朱鷺は、優雅にお茶(※持参品)を啜りながら、それをいなします。
「まぁまぁ〜、煉獄さま〜。ここでやりあえば、他の乗客の方々にご迷惑になりますわよ? わたくしたちは構いませんが、貴方は『人間を守る』のがお仕事でしょう? 終点に着いてからでも、よろしいのではなくて?」
「む…! それもそうだ! よし、そうしよう!」
それでいいんですか、煉獄さん!? さすが、細かいことは気にしない!
隣で、零余子(むかご)ちゃんが、必死にフォロー(?)を入れます。
「そ、そうです! この列車の鬼の戦いには、私たちは手を出してはいけないと、御方(無惨様)から言われてますから! だから、見逃してください〜!」
「ふむ! 見逃すのは無理だな! しかし、この列車の中で、君たちから襲ってこない限りは、こちらも手を出さないと約束しよう!」
どうやら、一時的な休戦協定が結ばれたようです。まあ、朱鷺ちゃんたちの目的は、あくまで魘夢(えんむ)くんの『見届け』ですからね。ここで煉獄さんと戦うメリットはありません
その間も、伊之助くんはずっとはしゃいでいます。
「うおおお! 速えええ! 外に出て、競争してやるぜ!」
窓をバンバン叩いて叫んでいます。 猗窩座さまは、なぜかそれを微笑ましげに見ています。
「ふむ。なかなか良い気合だ、小僧。俺が鍛えてやろうか?」
「おう! やるか!」
なんか、この二人、気が合いそうですね…
とりあえず、場は落ち着きました。
炭治郎くんは、煉獄さんに話しかけています。
「あの、煉獄さん」
「なんだ少年!」
「聞きたいことがあります! 俺の父のことなんですが…病弱だったのですけど、雪の中で舞を…」
お、始まりましたね。原作通りの『ヒノカミ神楽』に関する質問です。…あれ? でも、このルートだと、那田蜘蛛山で覚醒イベントはなかったはずですが…。まあ、システムの力が働いたのでしょう。気にしないでおきましょう
煉獄さんは、原作通り「知らない!」と一蹴。「俺の継子になれ! 面倒見てやる!」と、豪快に笑っています。
その時、向かいの席に座っていた朱鷺ちゃんが、会話に割って入りました。
「あらあら〜、炭治郎くん。お父様の舞のことですの〜?」
「え!? 朱鷺さん、何か知ってるんですか!?」
「ええ。その『ヒノカミ神楽』というのは、貴方の一族に代々伝わる神楽なのでしょう? でも、元を正せば、それは『日の呼吸』…全ての呼吸の始まりとなった、最初の呼吸のことなのですよ〜」
「日の呼吸!? 知っているんですか!?」
「む!? 日の呼吸だと!?」
朱鷺は、にっこりと微笑むと、衝撃の事実を告げます。
「そもそも、貴方のご家族が襲われたのも、その『日の呼吸』と、その耳飾りが原因ですからねぇ〜」
「なっ…! なんで、そこまで…!」
「まあまあ〜、慌てないでくださいな〜」
彼女は、まるで昔話でもするように、語り始めます。
「『ヒノカミ神楽』は、その昔、始まりの呼吸の剣士、継国縁壱という方が、貴方のご先祖様に伝えたものですわ。その耳飾りと共にね」
「貴方のその黒い刀は、『日の呼吸』に適性がある証拠。だから、『出世しない』なんて言われているのですわよ〜」
「…母上。そこまで話して、よろしいのですか…?」
「ええ、知っても何も変わりませんわよ、累」
「で、なぜ出世しないかというと、簡単な話ですわ。その使い手を、わたくしたち(鬼)…特に、黒死牟さまや、御方(無惨様)が、見つけ次第、根絶やしにして回ったからですわ〜。だから、教えを受け継ぐ者が、ほとんどいなくなってしまったのです〜」
「そ、それを…どうして、俺に…?」
「現状、残りの使い手は、貴方と…あら? 禰豆子ちゃんも、使えるのかしら? ま、せいぜい、そのくらいでしょう?」
「ちょうど良いハンデ…と、異国では言うらしいですわよ? ふふっ」
炭治郎は、息を呑んだ。 そして、震える声で尋ねる。
「まさか…俺の家族は…! あの日は…!」
朱鷺は、その問いに、満面の笑みで答えた。
「ええ。御方(無惨様)と、わたくしが、殺しましたよ」
「貴様が!!」
炭治郎の怒りが、爆発した。
「しーっ! 他のお客様のご迷惑になりますわ」
彼女は、人差し指を唇に当て、静かに、しかし、有無を言わせぬ圧力で続けた。
「そうですね。貴方には、わたくしを殺す、ちゃんとした理由ができましたわね」 「『鬼だから』なんて、曖昧な理由じゃなくて…。わたくし、自分を殺しに来る相手には、ちゃんと理由が欲しいと思っているのです。だって、他の雑魚鬼と一緒にされたくはありませんでしょう?」
「あなたは………」
言葉を失う炭治郎。目の前の少女は、ただの鬼ではない。何か、底知れない、歪んだ哲学を持っている。
朱鷺は、そんな炭治郎を見て、ふっと表情を和らげた。
「でも、殺されてはあげませんわ。わたくしのこの命は、御方…いえ、狛犬くん(猗窩座)のもの。百年以上前から、そう決まっているのですから」
「永遠に、わたくしは歩き続けるのです。それが、わたくしの……いえ、貴方に言うべきではないですね」
その時、炭治郎は、朱鷺から、とてつもない悲しみと、深い自己への怒りの匂いを感じ取った。それは、家族を殺した鬼が放つ匂いとは、あまりにもかけ離れていた。炭治郎の殺気が、わずかに薄まる。
朱鷺は、そんな炭治郎の心の揺らぎを見透かしたかのように、優しく微笑んだ。
「優しい子ですね、炭治郎さん。 …敵ながら、貴方の武運長久を祈りますわ」
おや? 朱鷺ちゃん、今日はいつもより真面目で饒舌ですね。これも、炭治郎くんの『主人公補正』というやつでしょうか? それとも、彼女の中で、何か心境の変化が…?
その、張り詰めた空気を破るように、パチン、パチンという金属音が近づいてきた。 車掌が、切符を拝見しにやってきたのだ。
「切符を、拝見いたします」
おっと! 来ました! これからが、無限列車編の本番! 魘夢くんの血鬼術が発動する、重要なイベントシーンです! さあ、炭治郎くんたちはどうなる…?
炭治郎、善逸、伊之助、そして煉獄さんが、次々と切符に鋏(はさみ)を入れてもらう。 そして、車掌は、何事もなかったかのように、朱鷺ちゃんたちのボックス席へと向かった。
「切符を、拝見いたします」
「(にこにこ〜)はい、どうぞ〜」
「(無言で差し出す)」
「(本から目を離さずに差し出す)」
「(恐縮しながら差し出す)」
パチン、パチン、パチン、パチン。
…って、えええええええ!? 朱鷺ちゃんたちも、普通に切符差し出してるんですけど!? あなたたち、鬼ですよね!? しかも、無惨様の命令で見届けに来てるんですよね!?
なんで切符持ってるの!? どこで買ったの!? というか、お金払ってるの!?
もはや、ツッコミが追いつかない! 車掌は、怪しむ様子もなく、鋏を入れた切符を返すと、次の車両へと去っていった。
…うん。やっぱり、この無限列車編、何かが、根本的におかしいです!
では、この後、一体どうなってしまうのか!? また次回!
ご乗車ありがとうございました。
無限列車異聞編、ここまで読んでくださった皆様――
いかがでしたでしょうか?
朱鷺ちゃんファミリーと煉獄さんの“弁当早食い対決”、
そして、炭治郎くんに告げられた“ヒノカミ神楽の真実”。
どちらも、本作の中で“笑いと真実”を交差させた重要な転換点です。
特に朱鷺の「御方とわたくしが殺しましたよ」という台詞は、
彼女の“鬼である自覚”と“人間であった記憶”が交錯する一線。
そこに感じたものを、ぜひ教えてください。