『始祖の見る朝日』~ロリ鬼はなぜ、無惨様を太陽の下に連れ出したのか?~ 作:この俗物怪物くん
魘夢の血鬼術に囚われ、朱鷺たちはそれぞれの「もしも」を見た。
赦しを求め、愛を取り戻し、そして、現実に泣きながら戻ってきた。
目を覚ました炭治郎と禰豆子が見たのは――
鬼でありながら、涙を流す朱鷺の姿。
「人の心に、土足で踏み入るなッ!」
鬼の涙と、人の怒りが交差する無限列車の夜。
魘夢との決戦が、今、始まる。
さて、魘夢くんの血鬼術により、朱鷺ちゃんファミリーも、鬼殺隊も、全員が夢の中…。それぞれの深層心理が映し出される、なかなか興味深いイベントでした。特に朱鷺ちゃんの夢は…プレイヤー(私)も少し涙腺に来ましたね…
…おっと? 画面が切り替わりました。炭治郎くんが、目覚めたようです! やはり、夢の中で自らの頸を斬ったのですね。さすが主人公、根性があります!
炭治郎は、はっとして飛び起きた。夢? いや、違う。鬼の気配。血鬼術だ! 隣を見ると、禰豆子が心配そうに自分を見つめている。彼女は眠っていなかったのだ。
「禰豆子! みんなを起こさないと!」
禰豆子は、こくこくと頷くと、まず自分の兄や、隣で気絶している善逸、伊之助の手首に結ばれた縄に気づいた。そして、切符にも。 彼女は、本能でそれが危険なものだと察知し、自らの血を燃やす『爆血』で、縄と切符を焼き切った。
「ありがとう、禰豆子! 助かった!」
禰豆子は、次に、向かいの席で眠る朱鷺たちの方へ、恐る恐る近づいていった。
(この人たち…鬼だけど…なんだか、さっきから、すごく悲しい匂いがする…)
彼女が、眠る朱鷺の顔を覗き込んだ、その時。
朱鷺の、閉じられた瞼から、一筋の涙が、ぽろり、とこぼれ落ちた。 そして、それは朱鷺だけではなかった。 隣で眠る猗窩座も、累も、零余子も…全員が、静かに涙を流しながら、眠っているのだ。
まるで、それぞれが、決して叶うことのない、幸福な夢を見ているかのように。
禰豆子は、その光景に、なぜか胸が締め付けられるような気持ちになり、彼らを起こすことを躊躇った。 炭治郎も、その異様な光景と、彼らから漂う、深い悲しみの匂いに、言葉を失っていた。
(…鬼も…涙を、流すのか…? あの朱鷺さんでさえも…)
その、張り詰めた静寂を破ったのは、唐突な襲撃だった! 列車の中を走り回り、乗客の手首に縄を結びつけていた魘夢の協力者たちが、目を覚ました炭治郎に気づき、襲いかかってきたのだ!
「起きたな! 邪魔するな!」
「いい夢、見させてもらうんだから!」
彼らは、乗客の精神の核を破壊するための『錐(きり)』を手にしている。傍目には、かなり怖い光景だ。
「くっ…! 君たち、目を覚ませ! 鬼に利用されているんだ!」
その、騒ぎ声と殺気に、朱鷺の意識が、ゆっくりと現実へと引き戻された。
「(…ん…うるさい…ですわね…)」
彼女は、ゆっくりと瞼を開けた。視界が、涙で滲んでいる。
(…あらあら〜。わたくし、泣いておりましたの〜? まったく、魘夢くんの術は、悪趣味ですわ…)
目の前では、炭治郎が、錐を持った人間たちと揉み合っている。 朱鷺は、その光景を、まだ夢現(ゆめうつつ)のような瞳で見つめながら、ぽつりと呟いた。
「…許せないよね…。人の心に、付け込んで…」
次の瞬間。 彼女の身体が、凄まじい速度で動いた。 バキッ! ゴッ! ドサッ! 炭治郎を襲っていた協力者たちは、何が起きたのかも分からないまま、一瞬で意識を刈り取られ、床に崩れ落ちていた。 朱鷺は、彼らの骨を折らないよう、絶妙な力加減で、的確に急所だけを打ったのだ。
朱鷺ちゃん、自力で起きました! しかも、めちゃくちゃ手際がいい! さすが暗殺術SSS!
朱鷺は、まだ頬を伝う涙を拭うこともせず、気絶した協力者たちを見下ろした。
「(ため息)…幸せな夢の中に、いたいよね。…わかります。 わたくしは…。わたくしも…狂おしいほどに、そうしていたい、と思いますもの…」
その声には、先ほどまでの冷徹さはなく、深い、深い悲しみが滲んでいた。
彼女は、炭治郎に向き直る。
「炭治郎くん…。この鬼は、下弦の壱、魘夢といいますわ。気配からして、おそらく、先頭車両に本体がいるはずです〜」
「! はい! ありがとうございます!」
「禰豆子! みんなを起こしてくれ! 頼む!」
禰豆子が頷き、眠る善逸たちを叩き起こし始める。 朱鷺は、その様子を見届けると、静かに、しかし、強い決意を込めて言った。
「炭治郎くん。貴方との約束…破らせていただきますわ」
「え?」
「わたくしも、今回は、貴方に加勢します」
「あのような、人の心をもてあそぶ鬼を生かしておいたのは、わたくしの失敗でした」
彼女の赤い瞳に、冷たい怒りの炎が灯る。
「あの鬼は、わたくしが殺(や)ります!」
「おっと! 朱鷺ちゃん、まさかの共闘宣言! これは、魘夢くんに見せられた夢が、よほど彼女の逆鱗に触れたようですね! 面白くなってきました!」
朱鷺は、列車の壁を蹴破り、屋根の上へと飛び出した。
「行きますわよ、炭治郎くん!」
「は、はい!」
炭治郎も、後を追って屋根の上へ。
二人は、風雪が吹き荒れる列車の屋根を、先頭車両目指して駆け抜ける。 そして、機関室と融合し、醜悪な肉塊と化した魘夢の本体と対峙した。
「あれぇ? 起きちゃったの? おはよう、朱鷺ちゃん、炭治郎くん」
「まだ、幸せな夢の中にいても、よかったのにぃ」
下弦の壱は、ねっとりとした声で、二人を嘲笑った。
◇◇
朱鷺(とき)ちゃん、まさかの鬼殺隊との共闘宣言! これは熱い! プレイヤーの感情移入が止まりません! さあ、舞台は列車の屋根の上! 下弦の壱・魘夢との決戦です!
列車の先頭車両。機関部と融合し、醜悪な肉塊と化した魘夢が、二人を嘲笑う。
「なんでかなぁ? せっかくいい夢を見せてあげていたのにぃ」
「(炭治郎に向かって)お前の家族を、目の前で惨殺する夢を見せることもできたんだよぉ?」
「(朱鷺に向かって)朱鷺ちゃんだって、愛しい人に会えてよかったでしょう? それとも、悪夢のほうがお好みだったかなぁ? 嫌でしょう? 辛いもんねぇ?」
「じゃあ、今度は父親が生き返った夢でも見せてあげようかぁ?」
(本当は幸せな夢を見せたあとで悪夢を見せるのが好きなんだけど…。朱鷺ちゃんはその前に目覚めちゃった。回りくどくても確実に鬼狩りを殺す予定だったんだけどなぁ…)
…と、魘夢くんの心の声が聞こえてきますね! やはり、夢だと気づかれないように、じっくり精神を破壊するつもりだったようです! 幸せな夢を見続けたいという人間の願望は、それほどまでに強い…と
その言葉に、炭治郎の怒りが再び燃え上がる。
「人の心に…!」
だが、それよりも早く、朱鷺の全身から、凄まじい殺気が放たれた!
「人の心に、土足で踏み入るなッ!! 下郎がァッ!!!」
「わたくしは、貴様を、絶対に許さないッ!!!」
彼女の手の中で、黒いナイフ『かくあれかし』が、禍々しい光を放つ!
「血鬼術――告死の鎌(こくしのかま)!!」
なんと! 大鎌に進化しています! 『告死の剣』から、さらに形状変化! これは、朱鷺ちゃんの怒りの現れか…!?
魘夢は、その変化に一瞬驚くも、すぐに愉悦の表情に戻る。 特に、炭治郎の耳飾りを見て、恍惚とした表情を浮かべた。
「(ヒヒッ…! あの耳飾り…! 無惨様が気にしていた、あの小僧だ…! こいつを喰らえば、俺はもっと強くなれる…! 上弦への、入れ替わりの血戦も、夢じゃない…!)」
炭治郎も、日輪刀を構える。
「水の呼吸・拾ノ型・生々流転(せいせいるてん)!!」
「無駄だよぉ。血鬼術・強制昏倒睡眠…囁き…」
魘夢の肉塊から伸びた無数の口が、子守唄のような、不気味な囁きを発する!
炭治郎と朱鷺は、同時に魘夢へと突っ込んでいく!
「きました! 原作では、炭治郎くんがこの囁きに何度もかかり、その度に夢の中で首を切って目を覚ますという、壮絶なシーンですが…!」
「小賢しい!!」
朱鷺が、炭治郎の前に立ちはだかり、その小さな身体で、囁きの音波を防ぐ!
「貴様の血鬼術が、二度もわたくしに通じると思うな!!」
しかし、精神攻撃は、物理的な防御をすり抜ける。 ドクン! 朱鷺の脳裏に、再び、あの幸福な夢の光景がフラッシュバックする。
(狛治「俺は、全部、受け止めてやる…」)
パリン!! 朱鷺は、自らの精神力で、その幻影を打ち砕いた!
「(歯を食いしばり)…そんなことは、分かっているんだッ!!! もう、戻らないんだ!!!」
「(今ある『幸せ』を守って、何が悪い!!!)」
「(わたくしは、もう、このザマに成り果てたんだ! 消えろッ!!!)」
彼女の絶叫と共に、告死の鎌が、魘夢の頸椎目掛けて振り下ろされる! 炭治郎も、その隙を見逃さない!
「ヒノカミ神楽・碧羅の天!!」
ザンッ!!! 二人の刃が、同時に、魘夢の頸を断ち切った!
やった! 首を落とした! …いや、まだだ!
頸を失った魘夢の肉塊が、不気味に蠢き、そして嗤う。
「アハハハハ! 無駄だよぉ! 俺は、もう、この列車と融合したんだ! この列車全体が、俺の肉体! 首なんて、もう、どこにもないんだよぉ!」
ズズズズズ…! ブチュルルル…! 列車の屋根、壁、床から、おびただしい量の肉が湧き出し、乗客たちへと迫る! 原作通りですが、何度見てもキモいです!
おいおい! みんな(善逸たち)まだ寝てるぞ! 原作だと、ここから伊之助くんや煉獄さんの見せ場その1なのに!
その時! 後方車両から、凄まじい勢いで鋼のような糸が放たれ、乗客を襲おうとしていた肉塊を、瞬く間に細切れにしていく!
「血鬼術……刻糸輪転(こくしりんてん)……!」
声の主は、累! 彼が自力で目覚めたのだ!
「…僕は…それでよかった…。愛されていれば、それで…。それなのに、僕は鬼になって…。それでも…母さん(朱鷺)は!」
彼は、朱鷺が見せた夢の中で、失われたはずの「愛」を思い出し、そして、今の「母」を守るために、覚醒したのだ!
累くん! ナイスアシスト!
しかし、列車は長い! 累一人の糸だけでは、全ての乗客を守りきれない!
「きゃあああ!」
ほら! 一番後ろの車両で、老婆が肉に喰われ…!
…あれ? 無事です。老婆の周りに、陽炎のような『霧』が発生し、肉の攻撃がすり抜けています!
「…全く。目が覚めたら、趣味が悪いったらありゃしないわ。見届け人(朱鷺たち)も、何もあったもんじゃないわね」
霧の中から現れたのは、零余子! 彼女も自力で目覚めた!
「目覚めなさい、鬼狩りたち! あんたたちの仕事でしょう!」
彼女の血鬼術『蜃』が、現実と可能性を入れ替え、眠っている善逸、伊之助、そして煉獄さんを目覚めさせたのだ!
「うおおおお! なんだこの肉は! 切り刻んでやるぜ!」 (伊之助、覚醒!)
「(寝起き)…え? なに? 肉? 気持ち悪いんだけど!? 斬る!」 (善逸、覚醒!)
そして…
「よもやよもやだ! 鬼が列車と融合するとは! しかし! 俺がいる限り、乗客は誰一人死なせん!」 (煉獄さん、覚醒!)
キタ――(゚∀゚)――!! 全員覚醒! しかも、零余子ちゃんの血鬼術のおかげ! 最高に熱いです!
炭治郎と朱鷺は、ひとまず自分たちの車両の肉を切り払い、乗客を守る。
「(舌打ち)…この鎌、殺傷能力が高すぎて、手加減には向きませんわね…!」
煉獄さんが、後方車両から叫ぶ!
「少年たち! 俺が後ろの五両を守る! 君たちは、この鬼の頸を探せ! 奴には、必ず弱点があるはずだ!」
朱鷺が、即座に反応する!
「魘夢の急所は、先頭車両だ! 機関部にあるのが、一番守りやすい! 気配も、そこが一番濃い! 行くぞ、炭治郎くん!」
「はい! 俺も、役に立たなければ! 鬼を倒さなければ!」
二人は、再び先頭車両目指して、肉の壁を切り裂きながら進む! 機関部に近づくにつれて、魘夢の攻撃は、さらに激しさを増していく! 無数の肉の触手が、二人を絡め取ろうと襲いかかる! もうダメか!
その時!
「術式展開――破壊殺・羅針!」
朱鷺たちの目の前に、雪の結晶のような陣が展開され、次の瞬間、凄まじい衝撃波が、機関部を守る全ての肉塊を、根こそぎ弾き飛ばした!
そこに立っていたのは、猗窩座! 彼もまた、自力で目覚めていたのだ!
「…ふん。手間取らせる」
彼は、朱鷺を一瞥し、そして、静かに、しかし力強く告げた。
「朱鷺は、俺が守る…。あの時(人間時代)から、そう誓っている」
猗窩座さまああああああああ!!! 最高です!! カッコよすぎます!!
これは…まさかの、上弦の参 vs 下弦の壱の戦いも見られるのか!? 無限列車編、とんでもないことになってきました!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回の章では、ついに朱鷺が“鬼殺隊側に立って剣を振るう”という転換点を迎えました。
魘夢の夢の中で見せられた「赦し」――その甘美な幻が、彼女の中で“怒り”に変わり、
それが初めて、“誰かを守るための怒り”として燃え上がる。
この章は、朱鷺の魂の再起であり、猗窩座たち“朱鷺ファミリー”が再び同じ戦場に立つという、
シリーズでもっとも感情が爆発するシーンになりました。
あなたは、朱鷺の涙をどう感じましたか?
赦しの涙? 怒りの涙? それとも、救いの涙でしょうか。