『始祖の見る朝日』~ロリ鬼はなぜ、無惨様を太陽の下に連れ出したのか?~   作:この俗物怪物くん

5 / 23
前回、結婚・安定・兄乱入というカオスな展開を経て、いよいよ始まる「無惨友好度強化月間」
プレイヤーは、愛と恐怖と理不尽のはざまで、無茶なミッションをすべてノーミスでこなさなければなりません。

花火を上げろ? 雪の夜に?
25歳と3ヶ月21日の京訛りの女を連れてこい? 制限時間1時間?
――ええ、バグではありません。仕様です。

そして極めつけは、血鬼術の公開試験。
一歩間違えば“無惨に吸収される”という即死イベントを、畳一枚の酸の雨で乗り切る朱鷺ちゃん。
まさに神回。いや、神ゲー回です。


無惨様の友好度を上げよう!【難易度:人外】

さて、朱鷺(とき)ちゃんは夫・和馬との穏やかな(?)新婚生活を手に入れ、江戸での身分は安泰となりました。しかし、この『鬼滅の刃RPG』は、ここからが本当の地獄の始まりです

 

夜な夜な訪れる『お兄さま』こと、鬼舞辻無惨。彼が持ってくるのは、妹への差し入れなどではありません。友好度を人質にした、ジャンル違いの理不尽なミニゲーム(クソゲー)です

 

ちなみに、これらのミニゲームの操作説明は、無惨様ご本人がやってくれます。『いいか、朱鷺。この世の万物は全て、私の意のままに動く。貴様もそうだ。…ほら、やれ』みたいな感じです。たまに面倒になると、『やって覚えろ。二度言わせるな』とか言って説明を放棄します。本当にムカつくポイントですね!

 

 

【理不尽ミッション①:超精密ピンポイント拉致ゲーム】

ある夜、無惨は、いつものようにイライラしながら朱鷺の屋敷に現れた。

 

「朱鷺。腹が減った」

「(にこにこ〜)まあ、お兄さま。今夜のお食事は、何がよろしいですか〜?」

「25歳と3ヶ月と21日目の女で、京訛りのものだ。1時間以内に、この屋敷(江戸)に連れてこい。できなければ、お前の夫の爪を一枚剥がす」

 

出ました! 鬼畜探索ミニゲームです!」 「ここは江戸! 京訛りの女なんて、ただでさえ少ないのに、この生年月日ピンポイント指定! 開発者は何を考えているんでしょうか!

 

[ミニゲーム開始:制限時間 01:00:00]

 

「(にこにこ〜)かしこまりました〜」

 

彼女は、即座に『気配遮断(EX)』を発動し、江戸の夜に溶ける。 『暗殺術(SSS)』の索敵能力を全開にし、遊郭、料亭、長屋の情報を、超高速でスキャンしていく。

 

(探索中)

「(…この女、25歳だけど、薩摩訛り…ダメです〜)」

「(…この女、京訛りだけど、まだ24歳…惜しいです〜)」

 

残り時間、5分! もうダメか!」 その時、朱鷺は、とある武家屋敷の女中部屋に忍び込む。 そこにいたのは、故郷を思い、涙していた一人の女中。 朱鷺は、彼女の生年月日が記された雇い入れ証文を、暗闇の中で確認する。

 

…ビンゴ!!!

 

朱鷺は、音もなく彼女を気絶させ、拉致。 制限時間残り10秒で、無惨の前に差し出した。

 

「ふん。59分50秒か。まあ、及第点だ。下がれ」

 

[友好度:変動なし]

 

こなしても上がるとは限りません! これがクソゲーたる所以です!

 

 

【理不尽ミッション②:敵対的買収(物理)ゲーム】

「朱鷺。私の事業の商売敵が、最近、やけに幅を利かせている。気に食わん。懐柔しろ」

「(きょとん)…『かいじゅう』、ですか〜?」

「…(舌打ち)。手なずけろ、ということだ。私の事業に、損害が出ている。これは、お前のせいだ」

 

責任転嫁系・交渉ミニゲーム!これは、相手の弱みを握り、選択肢で追い詰めていく、アドベンチャーゲーム形式です

 

朱鷺は、その商人の屋敷に、即日忍び込む。 『暗殺術(SSS)』で、金庫から裏帳簿をあっさり盗み出す。 そして、翌日。「本草学者の娘」として、その商人の元を訪れる。

 

「おお、赤松先生のところの姫か。どうした?」

「(にこにこ〜)こちら、お義父さまからの、『元気が出るお薬』です〜」

 

そう言って、彼女は、裏帳簿の写しと、即効性の毒薬を、テーブルに並べた。 商人は、顔面蒼白になる。

 

「どちらのお薬が、お好みですか〜? ちなみに、毒薬の方は、わたくしの『お兄さま』からの、ささやかな贈り物です〜」

 

商人は、その場で土下座し、無惨の傘下に入ることを誓った。

 

[友好度:+1]

 

やった! 貴重な加点1です!

 

 

【理不尽ミッション③:季節外れのクラフトゲーム】

現在時刻、12月。真冬の夜。 無惨は、積もった雪を、不機嫌そうに眺めていた。

 

「朱鷺。花火が見たい。 今すぐ上げろ」

「(にこにこ〜)はい、お兄さま〜」

 

無茶言うなあああああ!」 「この時代、花火は『夏』のもの! 12月に花火師が営業しているわけがない! これは『クラフトミニゲーム』です!

 

朱鷺は、義父(赤松老人)の研究室(ラボ)に駆け込む。 『秘伝薬学』の知識を総動員し、硝石、硫黄、そして、燃えやすい禁忌の薬草や発光するキノコなどを、大鍋で調合し始める。

 

「(ぐるぐる〜)これと、これを混ぜて〜…あ、ちょっと火薬が足りませんね〜。和馬さまの火縄銃の火薬を、こっそり拝借です〜」

 

数分後。 彼女は、竹筒に詰めた『即席・秘伝の魔改造花火』を完成させた。

 

屋敷の庭で、点火。 ヒュルルルルル……

 

ドーーーーーーーン!!!

 

夜空に咲いたのは、花火というより、ナパーム弾の爆発に近い、凄まじい閃光と爆音だった。江戸中の犬が吠え、奉行所が火事だと騒ぎ出すレベル。

 

「…ふむ。下品だが、派手ではあるな。まあ、よかろう」 [友好度:+1]

 

 

【理不尽ミッション④:夫・出世(内助の功)ゲーム】

「朱鷺。貴様の夫(和馬)、いつまでたっても平の役人のままではないか。私の妹の夫が、その程度の地位では、私の沽券に関わる。そろそろ、出世させろ」

「(きょとん)…どうやって、です〜?」

 

『どうやって?』じゃねえよ! こっちが聞きたいわ! まさかの『政治シミュレーション』ですか!?

 

朱鷺は、数日、考えた。 そして、彼女は、とある「仕事」を引き受けた。 標的は、夫・和馬の、直属の上司。 その上司は、かねてより和馬の才能を妬み、その手柄を横取りしていた悪人だった。(※ゲーム的なご都合主義)

 

その夜、朱鷺は、上司の屋敷に忍び込み、完璧に「仕事」をこなした。(※食事済み) 翌日、不審死(※死体がないので行方不明)した上司の代わりに、そのポストに空きが出る。 大目付(朱鷺の舅)の九条は、ここぞとばかりに、息子・和馬を、その後釜に推薦した。

 

[クエスト『夫を出世させろ』クリア]

 

「朱鷺! 聞いてくれ! なぜか分からないが、俺、出世したぞ!」

「(にこにこ〜)まあ、和馬さま! さすがです〜!」

 

 

【理不尽ミッション⑤:詰みイベント・血鬼術開示】

そして、最悪のミッションが来た。

「朱鷺。貴様、血鬼術に目覚めたそうだな。私の前で見せてみろ」

 

詰んだ!!!」 「これ、初見殺しです! ここで『告解ノ雨』を見せたら、『私への攻撃か?』とみなされて、即死(ゲームオーバー)です! 拒否しても、『命令違反』で友好度大幅ダウン!

 

「…お兄さま。わたくしの術は、とっても危険なので…」

「(ギロリ)…ほう? 私が、制御できないとでも?」

 

友好度ゲージが、ガリガリと削れていく音がする!

 

やるしかない! 根性で、効果範囲を最小に絞り込め!

 

朱鷺は、覚悟を決めた。 彼女は、すっと目を閉じ、祈りのポーズを取る。 「血鬼術――告解ノ雨」

 

シーン…と。 無限城が、無音に包まれる。 しかし、何も起こらない。

 

「…なんだ? 脅かしか」 彼が、そう言いかけた、その時。 朱鷺の足元、直径10センチメートルの範囲だけ。 そこだけ、乳白色の酸の雨が降り注ぎ、畳が、音もなく、綺麗に円形にくり抜かれて溶けていくのを、無惨は目撃した。

 

「……………」

 

彼は、その、あまりにも恐ろしい術と、それを畳一枚焦がす程度に抑え込んだ、完璧なコントロール技術に、戦慄した。

 

「…ふん。…まあ、よかろう。なかなか、面白い余興だ」

 

[友好度:+10]

 

よっしゃああああ! 切り抜けたああああ!

 

こうして、朱鷺は、今日もまた、地獄の無茶振りミッションを、根性でクリアしていく。 全ては、このクソゲー上司(お兄さま)と、いつか朝日を眺める、その日ために。

 

 

 

 

 




あなたなら、どのミッションが一番理不尽だと思いましたか?
① 京訛り拉致
② 商人懐柔(物理)
③ 冬の花火クラフト
④ 夫出世クエスト
⑤ 血鬼術公開試験

ぜひコメントで教えてください。
感想欄に「推しミッション」書いてくれたら、朱鷺ちゃんの“耐久力ステータス”が上がるかもしれません
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。