『始祖の見る朝日』~ロリ鬼はなぜ、無惨様を太陽の下に連れ出したのか?~   作:この俗物怪物くん

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花火の夜、朱鷺は初めて「人を愛する」ことを知った。
その翌朝、彼女は「人であることをやめる」決断を下す。

これは、狛治(はくじ)が“鬼”へと堕ちた夜の物語。
同時に、朱鷺(とき)が“鬼でありながら最も人間的であった”瞬間の物語です。

血に染まった愛と、赦されぬ祈り。
鬼の始祖・鬼舞辻無惨が二人を見初めたその夜から、
新たな時代――“十二鬼月の黎明”が幕を開けます。

そして、50年後。
朱鷺は上弦の頂点に、猗窩座は忠実な戦士として。
愛は形を変え、地獄の中で息づき続ける。

さあ――この“永遠の朝”をご覧ください。


朱鷺、愛と贖罪の果て ― 猗窩座誕生編 ―

夜明けの光が、惨劇の跡地を照らし出す頃。 狛治(はくじ)は、悪夢から覚めるように、冷たい布団の上で目を開けた。隣に、朱鷺(とき)の温もりはない。 胸騒ぎが、彼を突き動かした。 彼は、よろめきながら立ち上がると、夜明け前の薄闇の中を、隣町の剣術道場へと向かった。

 

そして、彼が見たのは、想像を絶する光景だった。 道場は、まるで酸性雨にでも打たれたかのように、不気味に溶け爛れ、その中心には、無数の、原型を留めぬ亡骸が転がっていた。 その惨状の真ん中に、返り血(と、何か別の液体)で濡れた朱鷺が、静かに立っていた。

 

「朱鷺…!? これは…お前が…?」

 

朱鷺は、ゆっくりと振り返った。その顔は、涙で濡れていたが、瞳の奥には、初めて見る、冷たい光が宿っていた。

 

「…ごめんなさい、狛犬くん。…復讐は、わたくしの手で、終わらせました」

「な…!」

 

彼が言葉を失っている、まさにその時。 二人の背後に、音もなく、一人の男が現れた。 月明かりの下でも分かる、梅色の瞳。鬼舞辻無惨。

 

「…ほう。なかなか、見事な『掃除』だったな、朱鷺。貴様の視界を通して、全て見させてもらったぞ」

 

まずい! 無惨様!? なぜここに!?あ…そうか! 朱鷺ちゃんは、無惨様の『妹』設定! 常に、ある程度、視界を共有されているのか!

 

無惨は、朱鷺ではなく、血の匂いを纏う狛治に、興味深そうな視線を向けた。

 

「そして、貴様か。これほどの闘気を放つとは。…面白い」

 

狛治は、目の前の男が、全ての元凶…いや、それ以上の、人間ではない「何か」であることを、本能で悟った。 父を、慶蔵を、恋雪を奪った、この理不尽な世界の象徴。

「こんな世の中は糞くらえだ。どいつもこいつもくたばっちまえ」

彼の怒りが、再び沸点を超える。

 

「貴様あああああああああ!!!」

 

彼は、人間離れした速度で、無惨へと殴りかかった!

 

しかし、その拳が、無惨に届くことはなかった。

 

朱鷺が、信じられない速さで二人の間に割って入り、狛治の渾身の一撃を、その細い腕一本で、受け止めていたのだ。

 

「朱鷺!? なぜ…!」

「(涙ながらに)ダメです、狛犬くん…! このお方は…ダメ…!」

 

彼女は、必死に狛治を抑え込もうとする。彼を守るために。

 

無惨は、その光景を、実に愉しげに眺めていた。

 

「…ほう? 朱鷺。それほど、その男が気に入っているのか?」

 

彼は、朱鷺の耳元に、悪魔のように囁いた。

 

「ならば、どうだ? 鬼にして、永遠に、貴様の側に置いてやろうか?」

 

「……っ!」

 

彼女の身体が、絶望に震えた。 狛治を、鬼にする? 人ではなくしてしまう? そんなこと…! だが、ここで断れば、狛治は、間違いなく無惨に殺される。

 

究極の選択…! 狛治の命か、それとも、彼の人間としての尊厳か…!

 

朱鷺は、涙を流しながら、しかし、はっきりと、頷いた。

 

「朱鷺…? お前、何を…」

 

無惨は、満足げに笑みを浮かべると、狛治の前に立った。

 

「小僧。貴様の強さ、気に入った。私の血をくれてやろう」

 

彼は、自らの指先を食い破り、その血を、抵抗する狛治の口へと、無理やり注ぎ込んだ。

 

「強い鬼を、12体程作ろうと思っているんだ。 貴様には、その中でも特別な地位を与えよう。果たして、お前は、与えられるこの大量の血に、耐えられるかな?」

 

邪悪な笑みを浮かべる無惨。

 

狛治の身体が、激痛に痙攣し、骨がきしみ、肉が変容していく。

 

「ぐ…あ…あああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

だが、そんな肉体の苦痛など、もはや、何もかも失った彼には、どうでも良いことであった。 彼の意識は、朦朧とする中で、ただ一人、必死に自分の名を呼び続ける少女の姿だけを、捉えていた。

 

「(…あぁ…。朱鷺…。もう…お前さえいれば…それで…いい…)」

「(…父も、慶蔵さんも、恋雪も…もう、いない…。なら、この世界なんて…どうでも…いい…)」

「(そうだ…。俺は…強くならなきゃ…朱鷺を…守るために…誰よりも…強く…)」

 

「もう…朱鷺さえいればいい…全て…が…」

 

全てを失い、生きる事の価値と意味を一人の女に置いた狛治は、皮肉にも、その強靭な精神力によって、無惨の血に、完璧に適応してしまった。

 

かくして、人間『狛治』は死んだ。 彼は、朱鷺以外の、全ての記憶を失い、ただ、強さだけを求める悪しき鬼『猗窩座』と成り果てた。

あの日誓った「誰よりも強くなる」と言う、誰に誓ったのかも忘れた言葉と使命感だけを、その心の中に残して…

 

「…(虚ろな目で)…守りたかったものは…もう、一つしか残っていない…というのに…」

「…家族を喪った世界で…生きていたかったわけでもないくせに…」

 

朱鷺は、変わり果てた狛治――猗窩座の姿を、ただ、涙ながらに見つめていた。 そして、彼女は、静かに、しかし、鋼のような決意を固めた。

 

(狛犬くん…。いいえ、猗窩座さま…)

(わたくしが、貴方をこうしてしまった…)

(ならば、せめて…せめて、貴方のそばにいて、貴方を守りましょう)

(貴方を、愛し続けましょう。永遠に)

(そのために…わたくしは、もっと強くならなければ…)

 

朱鷺は、無惨に向き直り、深く頭を下げた。

 

「お兄さま。わたくしも、十二鬼月の設立に、尽力させていただきます。そして、必ずや、上弦の鬼となり、貴方様のお役に立ってご覧にいれますわ」

 

その言葉に、無惨は、満足げに頷いた。 有望な鬼(猗窩座)を手に入れ、さらに、最も信頼していた(利用価値のある)妹(朱鷺)が、自ら強さを求め始めた。 これ以上の成果はない。

 

[鬼舞辻無惨の友好度が20上昇しました]

 

…皮肉なものです。狛治くんの人生で最も悲劇的な瞬間が、無惨様の好感度を大幅にアップさせる結果になるとは…しかし、これで、トロフィー獲得への道は、大きく開かれました

 

朱鷺は、記憶を失い、虚ろな目で自分を見つめる猗窩座の手を、そっと握った。 彼女の、永遠に続く、贖罪と愛の戦いが、今、始まった。

 

 

◇◇

 

 

 

あれから、実に50年の歳月が流れました。江戸の世も、円熟期を迎えています。そして、我らが朱鷺ちゃんと、狛治…いや、猗窩座さまの関係も、大きく変化しました

 

現在、朱鷺は『上弦の弐』猗窩座は『上弦の参』 十二鬼月の中でも、頂点に近い地位を確立しています。

 

朱鷺は、相変わらず猗窩座のことを「狛犬くん」と呼び、病的なレベルで彼に献身していた。食事(人間)の世話から、鍛錬の相手、果ては寝床の準備まで。傍目には、痛々しいほどの一方的な愛だった。

 

猗窩座は、なぜ朱鷺がこれほど自分に尽くしてくれるのか、その理由を思い出せない。人間時代の記憶は、ほとんど失われている。しかし、朱鷺のことだけは、心の奥底で、何か特別な存在として深く刻まれているため、彼女の献身を、無下にすることなく、静かに受け入れていた。

 

「…朱鷺。貴様は、なぜ、そこまで俺に構う」

「(にこにこ〜)あらあら〜、狛犬くん。わたくしが、貴方のそばにいたいだけです〜。それ以外に、理由なんていりません〜」

「…ふん。好きにしろ」

 

一方、他の上弦との関係ですが、猗窩座さまは、特に上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)殿を一方的にライバル視しています。黒死牟殿の方は、猗窩座さまの武人としての姿勢を気に入っているようですが…。つい先月も、猗窩座さまが入れ替わりの血戦を挑んで、返り討ちにあっていましたね

 

そして、今月。上弦の鬼に、新入りが入りました

 

無限城での上弦会議。 そこに、ニコニコと胡散臭い笑みを浮かべた、虹色の瞳を持つ男が現れた。

 

「やあやあ! 初めまして! 俺は童磨! 今日から上弦の陸になったんだ! よろしくね!」

 

彼は、鬼になってわずか二年で、この地位まで上り詰めたという。

 

 

会議が終わった直後。 童磨は、その虹色の瞳を、朱鷺に向けた。

 

「ねぇねぇ、君が弐の朱鷺ちゃん? うわぁ、噂通りの美少女だねぇ! しかも、なんだかすごく美味しそうな匂いがする!」

 

彼は、扇子で口元を隠しながら、ねっとりとした視線を送る。

 

「ねえ、朱鷺ちゃん。俺と、入れ替わりの血戦、しない?」

 

「(ピクッ)……なんですって〜?」

「(ギリッ)…貴様。新入りの分際で、いきなり弐に挑むとは、身の程を知れ」

「だってぇ、彼女、すごく強そうだしぃ、喰ったらもっと強くなれそうじゃない? それに、弐になれば、無惨様にもっと近づけるしね!」

 

その、あまりにも軽薄で、不遜な態度。 朱鷺の赤い瞳が、冷たく細められた。

 

「…よろしいでしょう。貴方のような、礼儀作法も知らない餓鬼には、『格』というものを、その身体に教えて差し上げますわ」

 

おっと! いきなり血戦開始です! 上弦の弐 vs 上弦の陸(新入り)! これは見ものですね!

 

 

無限城の一角が、血戦の舞台となる。 童磨は、扇子を一振り。

 

「血鬼術・蓮葉氷(はすはごおり)」 鋭い氷の蓮が、朱鷺を襲う。

 

「(ひらりとかわし)…冷たいのは、嫌いです〜」

 

彼女が、祈りのポーズを取る。 「血鬼術――告解ノ雨」

 

乳白色の酸の雨が降り注ぎ、童磨の氷を、ジュウウウ!と音を立てて溶かしていく。

 

「うわぁ! すごい術だね! でも、これならどうかな?」

「血鬼術・凍て曇(いてぐもり)」

 

冷気が空間を覆い、酸の雨を、空中で凍らせていく!

 

「(舌打ち)…面倒です〜」

 

相性が悪い! 『告解ノ雨』は液体! 童磨の凍結血鬼術は、まさに天敵です!

 

「アハハ! 困った? 困ったでしょ? もう君の雨は降らないよ!」

 

だが、朱鷺は、不敵に微笑んだ。

 

「…いいえ。『降らせれば』いいだけですわ」

 

彼女は、凍りついた雨粒に、さらに強力な酸性を持つ、自らの血を注ぎ込んだ。

 

バリバリバリッ! 凍った雨粒が、内部から酸によって融解し、結晶そのものが、強力な酸性を帯び始めた! それは、もはや雨ではなく、触れたもの全てを溶かす、酸の雹(ひょう)だった!

 

「うわっ!? 痛っ! ちょ、何これ!? 氷まで溶けてるじゃん!」

 

酸の雹は、童磨の身体を容赦なく蝕み、彼の再生能力を上回る速度で、その肉体を溶かしていく。

 

「さあ、終わりですわ。わたくしの『雨』は、まだ始まったばかりですのよ?」

 

彼女は、雨の勢いを、さらに強めた。 それは、もはや静かな雨ではない。 無限城の床を抉り、壁を溶かす、ゲリラ豪雨のような、圧倒的な破壊の奔流! 童磨を溶かすどころか、その濁流で押し流そうとする!

 

「ちょ、ちょ、待って! やばい! これマジで死ぬやつ!」

 

 

その、あまりにも激しい戦いに、割って入った者がいた。猗窩座だ。

 

「そこまでだ、朱鷺! それ以上やれば、城がもたん!」

 

彼は、朱鷺と童磨の間に立ち塞がった。

 

そこに、空間が歪み、無惨が現れた。

 

「…見苦しいぞ、お前たち。血戦は、中断だ」

 

彼の声には、明確な不快感が滲んでいた。

 

「あーあ、助かったぁ。無惨様、ありがとうございます!」

「…お兄さま。邪魔をしないでくださいまし。あと少しで、この不敬な餓鬼を始末できたものを」

 

無惨は、朱鷺をじろりと見た。

 

「朱鷺。貴様は、今日限りで、上弦の弐から外す」

「!?」

「無惨様! それは…!」

 

「勘違いするな。貴様の力を疑っているわけではない。むしろ、その逆だ」

 

彼は、溶けかかった無限城の壁を一瞥した。

 

「貴様のその血鬼術は、強力すぎる。万が一にも、貴様を失うようなことがあれば、それは私にとって大きな損失となる。 それに、これ以上、私の城を破壊されても困る」

 

無惨は、朱鷺の肩に手を置いた。

 

「よって、朱鷺。貴様は、これより私の側近として遇する。序列は、上弦の壱よりも上。 貴様の責任は、私にのみ負うものとする。…良いな?」

 

な、なんだってー! まさかの、序列トップへの大抜擢! これは、友好度『信頼』の効果と、無惨様が朱鷺ちゃんを失いたくないという『損得勘定』が合わさった、最高の展開です!

 

朱鷺は、その破格の待遇に、感謝の言葉を述べようとした。 だが、その時、無惨が猗窩座に向かって言った。

 

「猗窩座。貴様も、見苦しいぞ。女の戦いに割って入るとは。少し頭を冷やせ」

 

その言葉に、朱鷺の表情が一変した。

 

「お待ちくださいまし、お兄さま! 狛犬くんは、わたくしを助けようとして…! 彼を叱るのは、筋違いですわ!」

 

彼女は、序列トップになったにも関わらず、臆面もなく、鬼の始祖に食ってかかったのだ。

 

無惨は、一瞬、眉をひそめたが、すぐに、ふっと息を漏らすように笑った。

 

「(やれやれ…この兄妹ゲンカも、面倒だな…)」

 

彼は、朱鷺の頭を、ポンポン、と子供にするように撫でた。

 

「…分かった、分かった。もう良い。猗窩座も、許してやろう。…朱鷺、お前は、本当に、その男(猗窩座)のことばかりだな」

「(むぅ…)当たり前ですわ。わたくしは、狛犬くんのそばを離れませんから。絶対に、もう二度と、取りこぼしたりしませんから」

 

その言葉に、猗窩座は、何も言わなかった。 ただ、朱鷺が自分の隣にいることを、彼は、文句も言わずに、受け入れていた。

 

こうして、十二鬼月の序列は、大きく変動した。 朱鷺は、上弦の座を降り、無惨直属の側近という、絶対的な地位を手に入れた。 全ては、愛する男(猗窩座)のそばに、永遠に居続けるために。 彼女の、歪んだ愛の形は、鬼の組織の頂点に、新たな秩序(カオス)をもたらした。




朱鷺は、狛治を守るために、彼を鬼にしました。
それは、究極の愛であり、究極の裏切り。
彼女は、“生かす”ことで、“殺した”のです。

この矛盾こそが、彼女の運命。
そしてそれを背負ったまま、無惨の側近として生き続ける。
愛を誓った花火の夜も、涙を流した復讐の夜も、
すべてが「鬼の愛の証明」に変わっていく。

そして、童磨との戦闘――。
あれは、朱鷺が「人間としての愛」を失い、「鬼としての執着」に生まれ変わった瞬間でした。
彼女は、もう泣かない。
ただ、“愛するために”戦う。
その姿は狂気でありながら、どこまでも美しい。

あなたは、この朱鷺の選択をどう感じましたか?

「愛が壊すのではなく、愛が支えていた」

「彼女の罪は、愛ゆえに赦される」

「朱鷺は人間を超えて、人間になった」

――ぜひ、あなたの感じた“朱鷺の愛”を、コメントで教えてください。
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