【完結】転生した魔法使いが金髪の双子を育てる 作:大気圏突破
苺プロの社長婦人である斉藤ミヤコは限界だった。夫が社長を務める苺プロに所属するアイドルグループのセンターである星野アイが未成年でありながら双子の男女を極秘出産した。父親が不明で未成年が子供を産む、この2つが世間に露呈すれば大バッシング間違いない。彼女は不慣れな育児を頑張っていたが所詮は他人の子、男の子は静かだが女の子は毎日泣き喚き、精神と睡眠時間を削り続け、彼女は暴挙に出てしまう
”パシャッ、パシャッ”
赤ちゃんたちが昼寝をしていると彼女は2人の寝顔と、母子手帳の写真を携帯で撮影するとキャリーケースに最低限の荷物と事務所の運営費が入った銀行口座を持って出て行った。双子だけの室内の机には記入済みの離婚届と指輪が置かれていた。
ー未成年アイドル極秘出産ー
彼女は週刊誌に星野アイの情報を高値で売りつけた。出産時に双子を抱いて泣いている写真も提供し真実であることを裏付ける。また週刊誌が発売される当日の午前0時にSNSの捨て垢にて母子手帳の写真を投稿した。唯一の救いは名前と顔にモザイクを入れたことで双子たちの身バレを防いだこと。ミヤコは受け取った報酬を携え夜の街に消えていった。
「ミヤコのやつ、クソがぁ‼」
苺プロの代表である斉藤壱護は掛けていたサングラスを投げ捨て頭を掻きむしっていた。同じことを何度も行い皮膚が真っ赤になっている。妻だったミヤコが投下した爆弾によって窮地に立たされていた。毎日マスコミが訪れ『子供たちの父親は誰なんだ?』の大合唱に、アイを贔屓にしていたことで他のメンバーが溜め込んでいたイライラが爆発してしまい、彼に対して反旗を翻している。しかもSNSには
・子供たちの髪色が金髪ってことは社長が父親じゃないの
・うわっマジで引くんだけど、未成年のアイドルがオッサンに股を開くなんてキモイ
・これが芸能界の闇かよ、まだまだ隠してあるんじゃないの?
・実はB小町のメンバー全員子持ちで父親が社長ッてか
自称探偵による推理が過熱し双子たちの父親が壱護という認識が広まっている。どんな謝罪の言葉を並べても火に油を注ぐのは確実だ、潜伏して世間が忘れるのを願ったが活動資金の殆どがミヤコによって持ち去られてしまい八方塞がりである
「社長!」
事務所に残ってくれた唯一の事務員が慌てるように駆け込んできた
「どうした?」
「こんなのが部屋に」
渡された紙を見て壱護は膝から崩れ落ちた。汚い字で短く書かれていたのは
『アクアとルビーの3人で暮らしていきます』
渦中の人物が残した置き手紙は彼を壊すのに十分な威力を持っていた。そして時計の針を思いっきり巻き戻して、この爆弾が投下される約1年前まで遡る
「オッス、おら転生者の狡嚙!」
このふざけた挨拶をする男は自身の口から発したように転生者である。前世では競馬ファンであり馬券を買いながら推し馬や騎手を応援していた。車に乗って赤信号で停車していると後ろから居眠り運転のトラックに追突され、前方の大型トラックにサンドイッチされる形で挟まれてしまい、お陀仏になってしまった。天に招かれた彼は本来87歳で亡くなる予定だったが50年早く来てしまい、困った神様は彼に転生することを勧めた
彼は異世界転生モノのアニメや小説を好み嗜んでいた。神からは転生の特典を3つ与えると言ってきたので彼は
・魔法を十全に扱える能力
・ネットショッピング
・無限に入るアイテムボックス能力
を望んだ。彼は能力を使って異世界を満喫する気満々だった。能力を与えられた彼は光に包まれ転生先に飛ばされた。さぁこれからファンタジー世界で無双するぞ!と思っていたが、行き先を聞いてなかった。そこは
「日本じゃん!しかも過去の」
彼は2009年11月の日本に転生した。元の世界から約16年前である。免許証や銀行口座があるので戸籍があることを理解するが、所持金が転生前に持っていた4万円と小銭しか無かった
「20歳で名前と顔が変化してる。ってことはこの世界には前世の俺がいるのか?」
疑問に答える者は居ない。彼の持つ能力は現代日本において無用の長物であり、アイテムボックスを使って密輸入をするほど外道ではない。とりあえず当座の資金を確保しなければならない
「どうする?いっそのこと手品師で食っていくか?」
持っているスマホでニュースアプリを起動すると、京都でエリザベス女王杯が開催されることが書かれ2冠牝馬のブエナビスタが秋華賞のリベンジをするのか?という見出しが目に入った
「(確かこの時ってバカ逃げコンビが1着2着だったよな?)」
狡嚙は子供の頃に親に買ってもらったパワプロにハマると、外で野球をするのではなく選手の経歴や歴史について調べることに熱中した。特に往年の選手が当時のことを語るトーク番組は毎回録画するほどのめり込み、それが社会人になると野球から競馬になった
「(テイエムとスプマンテいるじゃん、あの調教師が現役だもんな)」
時計を見ると時刻は14時30分を過ぎた頃である
「(俺がいた日本と同じなら結果も)」
地図アプリを起動し馬券を買える場所を探した。場外馬券売り場に辿り着くと彼はマークシートと鉛筆を持って考えてしまう
「(馬券内の着順は分かるが3連単全額だとオッズが落ちるよな?それなら分散するか)」
結局、彼はスプマンテとプリキュアの馬単5000円、馬連10000円、ブエナビスタを入れた3連複ボックスを5000円、3連単を1000円、残りの額を1着2着馬のワイド馬券を購入した。
「やりましたー若武者ぁー、これが競馬の恐ろしいところ!逃げた二頭を舐めた訳ではありませんが、これが競馬の怖いところ!クイーンスプマンテ、テイエムプリキュアの1着2着、ブエナビスタはどうやら3着か、大穴というのは先行人気薄…」
馬券場では勝利騎手に対して拍手をする者や、逃げ馬を追走しなかった面々に怒号を飛ばし馬券を破るオッサン、カワカミプリンセスが道中捲ったことに関心するなど阿鼻叫喚である
「全部手渡しでお願いします!」
狡嚙は高額払い戻しの札を係員に返し袋詰めにされた札束を抱える。背後には歯抜けのジジイや赤ら顔で鬼のような形相をした作業服の若者、目の焦点が合わないオバサンが一定の距離を保って尾行している。
「(やれやれ、浅ましいな)」
奴らはこの金を狙っている。漏れ出している殺気は一般人でも分かるレベルだ!彼は急いでトイレの個室に駆け込むと鍵を閉めてアイテムボックスの中に現金を入れる。そして
「転移!」
光が包み込むように彼は個室から消えてしまった。追っていた3人は出てこない狡噛を不審に思い、中を覗いてみると誰も居ないことに恐怖し腰を抜かしてしまった。プリキュアお兄さんの消失と言われるのは10年ぐらい先のことである
「やれやれだね」
転移した先は高層ビルの屋上で、彼はアイテムボックスから出したパイプ椅子に座って現金を数えた。4万円が一気に1200倍の5000万円近くなり億万長者とは言わないがしばらくは遊んで暮らせる額である
「そういえばネットショッピングってどうやって使うんだ?」
試しに念じてみると目の前にウインドウが展開され自身のステータスが記載されていた。そこの欄にはプロフィールの他にネットショッピングの項目があり、押してみると生前に利用していたショッピングサイトの画面が出てきた
「0円か、どうやってチャージするんだ?」
アイテムボックスの現金をタップすると、別メニューが開き”チャージしますか?”と記されていたので100万円と打ち込むと金額の数値が変わっていた。
「さてどうするか?」
もちろん今後についての方針である。資金を調達することが出来たが家無しだ!
「ず~っと仕事ばっかで日曜は競馬の日々だったもんな、旅行なんて社会人になってから行ってなかったな、そういえば2009年ってことは」
彼はスマホで地方競馬場を調べた
「荒尾も福山もあるじゃん、あの番組みたいに競馬場巡りをしながら旅をするのもアリだな、旅行資金は馬券で稼げばいいし、年末は有馬記念でドリジャの単勝だな」
こうして狡嚙の旅は始まった。過去の日本に転生した彼は趣味と実益を交えた珍道中だが、西日本側のルートを選んだことによって、とある人物と出会ってしまう
・狡嚙慎司(こうがみ・しんじ)
推しの子の世界へ転生した30代だったおじさん。交通事故でトラック同士のサンドイッチの犠牲にとなった。本人はファンタジー世界に転生すると思い込んで能力を設定したが送られたのは過去の日本だった。競馬オタクの知識で活動資金を得て地方競馬場を巡る旅へ、見た目はサイコパスの狡嚙
能力説明
・魔法を十全に扱える能力
本人のイメージする魔法を扱う。ただし人を生き返らせることは出来ないが亡くなった人を生前の綺麗な姿に戻すのは可能、本人曰く「知っていることは出来るが何でもは出来ない」
・ネットショッピング
アマゾンです。どこでも買い物可能ですぐに届く
・アイテムボックス
容量は無限大だけど生きている者は入らない
次回作を作る時に途中まで原作と同じ流れだったら、すっとばしても良い?
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OK 原作を知ってるから問題無い
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NG やっぱり最初から全部読みたい