【完結】転生した魔法使いが金髪の双子を育てる   作:大気圏突破

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松本君の初重賞制覇おめでとう


波紋使い?いえいえしがない喫茶店のマスターです

 双子たちが進学して数週間が過ぎた。別々の教室だがボッチになることはなくクラスメイトと仲良くしているのが晩御飯の会話で分かる。しかもルビーは芸能科にいるマルチタレントの不知火フリルと友達になり近々店に連れてくると口にしていた。アクアのアルバイトも順調で『東京ブレイド』の単行本に名前とアビ子が直筆したデフォルメ調の彼が紹介されている。そして

 

 

「ネタが浮かびません!」

「まだスランプなんですか?」

 

 

 鍛高譚の瓶を抱えながら狡嚙の前で涙を流すのは漫画家の吉祥寺だった。脚本を担当したドラマは近年では成功の部類である10%のラインを大きく上回り、彼女に対して賛辞の声がSNSに広まっている。しかし本業は漫画家であるため原稿用紙に向かってペンを持たなければならないが『今日あま』完結後、連載に向けてのネタが思いつかず店で飲酒する日々が続いている

 

 

「飲み過ぎですよ」

「大丈夫です。ウコンの力を飲んでますから」

 

 

 なお彼女は自宅で『ビッグマン』原液と『ウコンの力』を1:1で混ぜたスペシャルドリンクを愛飲し当人曰く”肝臓を壊す酒と修復するウコンでプラマイゼロ”と豪語している

 

 

「少女漫画ってやっぱり恋愛モノが主流なんですよね?」

「そうですね、ただ学園恋愛モノは下火でして使えるネタが枯渇してるんです」

「定番ですから、今どきパンを咥えて走る女の子はいませんし」

「そもそも効率が悪いですよね?口を塞いで走るなんて死にますよ」

 

 

 瓶を1本空にした吉祥寺は、カバンの中から八海山の瓶を取り出して自分でグラスに注いで一気飲みを3回繰り返す

 

 

「マスタぁ~何かネタになりそうなことありませんか?」

「絡み酒かよ、どんな漫画を描きたいんですか?」

「既存でありきたりなモノをぉぉ、ぶっっこわす~みたいに」

 

 酔いが回ってきたのか顔を赤くして若干呂律も怪しくなっている。その様子を見て狡噛はネットショッピングから酔い覚ましを購入しアイテムボックスの中に保管していく

 

 

「ならメインヒロインが結ばれない物語は?」

「どんなんでしゅか、もっとくわしゅく言って」

「女の子が、自分に好意を持ってる男の子に対してからかって赤面する反応を楽しんで縮まりそうで縮まらない関係を維持していくんですが、不意に発したひと言が原因で男の方から『もう二度と関わらないでくれ』と断絶されて、関係修復をしようにも今までの行動が仇になってしまい最後は彼が別の女の子と手を繋いで帰っているところを見てしまって」

「バットエンドですかぁ?」

「それでもいいですし、タイムリープでもさせて『やり直そう』でも展開はつくれますね」

「いいでしゅ~~ぅぅぅん」

 

 酔い潰れてカウンター席で寝てしまった彼女を、2階まで運び布団に寝かせた狡噛は近くにバケツとスポーツドリンクを置いて店に戻るのであった。なお彼の案は吉祥寺が執筆する前に別の漫画家が新連載のネタとして使っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁ~~~」

「どうしたんですか?金田一さん」

 

 狡噛の目の前には劇団ララライの代表を務める金田一敏郎が座り、コーヒーの入ったカップを持ったまま特大のため息を吐いていた。

 

 

「なぁ恋愛リアリティショーって見たことあるか?」

「男女がシェアハウスで暮らしていくやつだろ?最近のは知らないけど、ワゴン車で世界旅行するやつは見てたな」

「年齢詐称してないか?お前」

 

 あきれ顔の金田一は力なくツッコミを入れるが、彼は意に介さずお代わりを用意していた。カップの中を空にすると熱々のコーヒーが注がれる

 

 

「その恋愛リアリティショーがどうしたんですか?」

「俺のところにいる黒川がオファーされたんだよ」

「黒川?あ~1回だけ大輝君が連れてきた女の子だよね?髪が藍色でアクアたちの1つ上の」

 

 

 その言葉に彼は頷くとカップを置いて頭を抱えていた

 

「正直言って黒川にあんなバラエティーは合わないと思ってる」

「その理由は?」

「舞台役者としてはあいつは優秀だ!理詰めで演じる役を1から作りあげて体や精神に憑依させていく、真面目な性格だから妥協もしない」

「褒めるなんて珍しい」

「茶化すな!だからこそ台本の存在しないリアリティショーに向かない」

 

 

 背もたれに体重を預け、再び深くため息を吐いてしまうのを見て狡嚙は腕を組んで顎に手を当てていた。彼の頭の中には転生前に世間を騒がせた悲劇が脳裏に浮かび目を細めてしまう

 

 

「やっぱりそういった番組って台本が無いのか」

「いや、大まかな流れはあるが基本は演者任せだ!言わば状況判断が出来てアドリブが上手い奴がクローズアップされて中心になってく、逆に自己主張が出来ないと編集で切られてしまって出演時間なんて0に等しい」

「つまり、その女の子は?」

「後者だ」

 

 カップに残っていたものを飲み干して3杯目を要求してくると、店のドアが開かれ制服姿のルビーが帰って来た

 

 

 

「ただいま~って、金田一さんいらっしゃい」

「おう、もう終わったのか?」

 

 彼女はカウンター席に座る彼に挨拶をすると金田一もフランクに言葉を返す

 

「おじゃまします」

「不知火?なんでお前がここに?」

「フリルちゃんは高校の友達で、パパに用があって来ました」

 

 今をときめくマルチタレントの不知火フリルがルビーの横に立っていて、父親である狡嚙は娘の口にした言葉に首を傾げ2人を座らせる

 

 

「不知火さんでしたっけ?俺に用って?」

 

 

 彼は目の前にいるフリルに話しかけながら、ルビーたちに飲み物とお菓子を用意し金田一のカップに3杯目を注いだ

 

「恥ずかしいことなんですが、お父さんの若さの秘訣を知りたくて」

「は…い?若さの?」

「ご存知ないのですか?ここのマスターは不老不死って呼ばれていることを?」

「初耳なんだけど、太陽光や波紋の攻撃を受けたら死ぬのか俺は?」

「そういえば、お前と会って10年以上経ってるが全く老けないよな?」

 

 

 フリルの質問に金田一が乗っかり身を乗り出して聞いてきた。中年太りしたオッサンでも目の前にいる狡嚙の存在は異質に感じている。40が近いのに顔には皺どころかシミすらなく肌も綺麗で体形もスマートだ。自分は健康診断の数値で医者からネチネチ言われてストレスが溜まっている

 

 

「別に特別なことはしてないよ!食って寝て仕事しての繰り返しだ」

「いや絶対に秘密があるはずだ」

「人の生き血を啜っているとか、満月からパワーを貰っているとかないんですか?」

「君は俺を人外にしたいのか?」

 

 

 何もしていないと口にしていたが嘘である。まだアクアとルビーが小さい頃だった。子育てでクタクタに疲れてしまい試しに自分に対して最上級の回復魔法を施したところ、一瞬にして疲労が吹き飛んでしまった。当人も生活の役に立つ魔法だと思って疲れた時は使用していたが、その魔法は全身のダメージを0にするもので疲労だけではなく肌のトラブルや虫歯に巻き爪など疾患を治してくれる。しかし万能ではなくインフルエンザや肺炎などの病気に対しては効果はなく、吉祥寺の肝臓を修復することは出来ない

 

 

「入学式や参観日にパパが来た時って空気が変わるよね」

「他の保護者と比べると見た目が全然違いますし」

「俺は25歳で生活習慣病に気を付けろって医者から言われたぞ」

 

 

 3人はそれぞれの感想を口にするが、言われている本人は気にせずに聞き流して自分のカップに口をつけていた

 

「そうですか、ではもう1つ聞きたいことがあります」

「なんだい?」

漫画家の吉祥寺先生と結婚の予定はいつになりますか?

 

 その質問に驚いてしまい口の中に含んでいた液体が気道に入ってしまい、むせて咳き込んでしまい床を汚してしまう

 

 

「なんだお前たちそんな関係なのか?」

「パパとお姉ちゃんの仲が全然進展しなくて、いいかげん一緒になればいいのに歳だけとっちゃって、金田一さんもパパたちの背中を押してくださいよ」

「恋愛リアリティショーよりも大人の恋愛について興味深々です。もしかして若さの秘訣って初心な気持ちが作用して」

「アンタ等なぁ」

 

 狡噛は自分で汚したところ拭きながら怒りマークを頭部に生産していると、店のドアが乱暴に開けられる

 

 

「マスタ~~おつまみ作ってくださぁ~い!」

「お姉ちゃんだ」

「じゃあ、俺は帰るから仲良くやれよ」

「吉祥寺先生、お父さんとの馴れ初めは?」

 

 一升瓶を持った酔っ払いが襲来し、収拾がつかなくなった店内はアクアが鮫島家から帰ってくるまで騒ぎが続き、ストレスで胃に穴が開きそうになったが残念ながら回復魔法では胃のトラブルを解決することは出来なかった。

 

 

 

 

 

 スーツ姿の斉藤壱護は、狡嚙に頼まれた双子の母親探しと並行しながら騒動の発端となった元妻のミヤコの捜索も行っていた。別に寄りを戻そうなんて考えていない、アクアとルビーの世話を押しつけてしまいフォローすることが出来なったことを謝りたいと思っていた。持ち逃げした事務所の金については水に流さずケジメを取らせるつもりだ

 

 

「もう15年以上前のことだろ?知ってる奴の方が少ないぞ」

「じゃあ古くから店を構えている人を知らないか?」

 

 

 交友があった女性からミヤコがホストに貢いでいたことが分かり、目星をつけて虱潰しに都内のホストクラブへ向かい情報を集めていた。

 

 

「ここは出入りが激しいからな、店の金を持ち逃げして客の女と逃げて潰れることなんて両手を使っても数えきれない」

「そうか…時間を取らせてすまなかった」

「これってアンタの奥さんだろ?」

 

 その質問に頷くと男は自分の名刺にサインを書き込んで壱護に渡した。

 

「これは?」

「この名刺を『ベスパ』というクラブのボーイに見せろ、この辺を牛耳っている顔役がそこにいる。何か知ってるかもしれない」

「なんでこんなことを?」

「俺もアンタと同じ、妻に逃げられた身でね結局探すのを諦めちゃってな」

 

 彼は背中を叩いて雑踏の中に消えていった。その姿を見送った壱護はサングラスの内側に浮かんだ涙を拭いて教えられた場所へ向かう。ミヤコの背中に触れることが出来るかもしれない、期待を膨らませ彼は駆け出していく

 




「今ガチ」は放送されますがアクアが芸能界入りしていないので、その枠には別人が入ります。

一気にお気に入り数が増えて驚いています。読者の方々が満足できるモノを執筆出来るように頑張っていきます。

感想ありがとうございます。
誤字訂正もありがとうございます

これからもよろしくお願いします

次回作を作る時に途中まで原作と同じ流れだったら、すっとばしても良い?

  • OK 原作を知ってるから問題無い
  • NG やっぱり最初から全部読みたい
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