【完結】転生した魔法使いが金髪の双子を育てる   作:大気圏突破

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けっこうガバガバな力技をやっている気がする


彼女を守る頼もしい味方、魔法使い動きます

【恋愛リアリティショー出演女優自殺未遂】

 

 

 恋愛バラエティー番組『今からガチ恋始めます』通称『今ガチ』に出演中の女優、黒川あかねさんが自殺未遂を図ったことが明らかになった。都内某所の歩道橋から飛び降りを図ろうとしたところを通行人の男性によって救助された。黒川あかねさんの無事は確認され五体満足であることが判明している。原因は判明していないが出演中の番組にて彼女の行動を非難する声がSNS上で飛び交い、それに伴う自殺未遂と考えられる。なおテレビ局側にコメントを求めたが沈黙を貫いている

 

 

「かなり話題になってるね」

「日本人メジャーリーガーの報道をするより数字が取れるから、マスコミは群がる」

「さっき、黒川さんの家の近くを通ったんだけど人で道路が埋まってたよ」

 

 

 居間で双子たちが騒動の成り行きをスマホ片手に話しあっている。アクアは自分の寝ている間に重要なことが決まったことに疎外感を受けていると思っていたが、自分で選択した結果なので納得はしている。当の本人は

 

「風呂の時間を決めてくれ、漫画のラブコメみたいなことを味わいたくない」

 

 と口にしている。若干不機嫌なのはアルバイト先で登場人物のコスプレをさせられ同じポーズを長時間させられたことによるもので、湿布とエレキバンが貼られている

 

 

 

「やっぱり迷惑では?」

 

 2人の近く座る黒川あかねは不安そうな顔で尋ねてくるが、ルビーは彼女の手を強く握り鼓舞するように語りかけて安心させるようにしている。黒川は報道される前に狡嚙家に訪れ匿われ、母親も遠く離れた他県の旅館に避難している。つまりマスコミたちは無人の家に群がり道路を占拠し、某YouTuberが『傍若無人なマスコミたち』というタイトルで動画を投稿し、彼らが捨てたゴミの撮影や道が通れなくなって困っている人たちへインタビューを行い、13万再生を記録した

 

 

「いいんですか私に教えて」

「先生のことを信用してますから、それに子供たちが学校で不在のときもあります。言い方が悪くなりますが見張っていてほしいんです」

 

 店内では狡嚙と吉祥寺が話し合いをしていた。当初は狡嚙家と黒川家に金田一の少人数だけで情報を共有するつもりだったが、彼の独断で吉祥寺を囲い込み大人の女性としてメンタルケアを頼む形となった

 

 

「マスターってアクア君たちを引き取ったり、黒川さんを助けて匿って、子供に対して過保護というか甘いと言うべきか」

「別に全ての子供を救おうなんて考えていません。ただ手の届く範囲で求める声があるなら手を差し出すだけですよ」

 

 彼の答えを聞いた吉祥寺は、出会った当初から変わらない優しさを感じ子供たちが幸せ者だと思うのであった。

 

 

 

「まだ製作側からは何も?」

『あぁ、だがこのままだんまりは無いはずだ!多分責任の論点をSNS側に押し付けて”自分たちも被害者”の立ち位置になる可能性もある』

「なぁ、手っ取り早く終わらせる方法ってないのか?長引けば印象が薄くなる」

 

 黒川が匿われてから3日が過ぎて、彼女も双子や吉祥寺に心を開くようになり明るくなってきた。家の手伝いをするようになり料理が上手いことが判明した。狡嚙は金田一と連絡を取り今後について検討をしているが、番組側が未だ沈黙を貫いている

 

 

『放送された映像が悪意によって編集されたものなら、元の映像があるはずだ!多分責任者が管理をしていると思う。下手に消去すれば自白しているのと同義だからな、そうだなあとは黒川に指示をしているところが分かれば決定的な証拠になるんだが』

「編集か…」

『あと大輝が心配してる。俺は教えないが店の方に来ても教えるな!口が軽いわけじゃないが確実にボロを出す』

「分かった」

 

 電話を切った狡嚙は、カウンターの椅子に座り腕を組んで顎に手を当てて思案している。その顔は険しいものだが覚悟が決まっていた

 

 

 

 

 子供たちが寝静まり時計の針が日付けを更新した頃だった。転移でテレビ局周辺に姿を見せた彼は某探偵アニメに登場する犯人のように全身黒いタイツを纏い透明化を施す。

 

「(タイツを買った意味なくね)」

 

 雰囲気づくりが大事なのだ!浮遊魔法で上昇しながら通気口のダクトに近づくと

 

小人化(ミクロ)

 

 

 手のひらサイズまで縮まりダクトの中から局内へ侵入する。そこから適当な廊下へ降り立つと探知魔法を展開させて周囲に人が居ないことを確認した。金田一が口にしていた”責任者が映像を持っている”という発言で、狡嚙は番組ホームページにある製作者一覧から『鏑木勝也』という名前を見つけ出していた。悪い噂や名前は吉祥寺から聞いていたので、前日の夜にテレビ局を張り込んで透明化の状態で彼の肩に触れて『マーキング』と『視野共有』の魔法を施した

 

 

「(確か、このフロアだったな)」

 

 視野共有によって鏑木のデスクとパソコンのパスワードは判明している。そして念には念を入れて室内の監視カメラに偽装魔法で別フロアの映像と連動させた

 

 

「(ファイルが多いな選別する時間も無いし、全部コピーだ)」

 

 

 パソコン内から全ての情報を抜き取った彼はログを消去しフロアから出てると、転移して自宅に戻り情報の選別作業に取りかかった

 

 

 

 

「(なんだこれ?)」

 

 1時間ほどで求めているモノは見つかった。事件後に鷲見ゆきが黒川あかねのことを許し、辛い演技をしていることに心を痛め抱き合っている映像だった。これ以外にもスタッフが彼女に指示を行って悪役へ煽動する内容も記録されている

 

 

「(献上リスト?タレントやセクシー女優の名前に◯☓の記号があるな、これは企業名と役職名ってことは怪しい接待ってやつか、現実にあるのかよ)」

 

 抜き出した中には表に出せないヤバいデータがいくつも存在し、これが明るみになれば企業のお偉いさんの顔が代わってしまうのは確実だ

 

 

 

「(これって?)」

 

 それは1番下に置かれていたフォルダーでタイトルには『星野アイ』と記されていた。もしかすると双子の母親を追う手掛かりになるのでは?と思いカーソルを合わせてクリックすが、中身は求めているものではなかった。

 

「(デビューから追っていたのか?接待に使うつもりで調べていた可能性があるな)」

 

 記されていたのはネットで調べれば出てくる内容で、鏑木の感想や壱護に対してプロモーションが下手など過剰書きで雑多なものが多く、足取りが掴める記述は無いと思いスクロールをしていると『劇団ララライ』の単語だけがポツンと置かれていた

 

「(ララライに所属していたのか?でも金田一さんから星野アイに関することなんて聞いたことがないぞ、まぁこれは後回しにするか)」

 

 全てのファイルに目を通しパソコンの電源を落とす

 

 

 

 

 

「(さて、どうする?)」

 

 これを黒川の父親に渡せば有効活用してくれると思うが、情報の出所を聞かれてしまうのはマズい、普通に非合法な手段で手に入れたものなので証拠として扱えない可能性がある。結局良い案が浮かばず朝を迎えてしまった。

 

 

 

「そういえば黒川さんって何で役者を目指したんですか?」

 

 朝食のパンを食べながらルビーは、対面にいる彼女に質問をしていた

 

「かなちゃん、じゃなくて…女優の有馬かなって知ってますか?」

「俺とルビーの通ってる高校の先輩だな、科は違うけど」

「あの人って凄かったの?」

「小さい頃、かなちゃんが出てた作品を見て自分もいつか同じ場所に立ちたいって、児童劇団に入って演技の勉強をして頑張ってきたのに…なんでこんなことに…」

 

 持っていたマグカップが震え、中身のコーヒーが揺れてこぼれそうになるが、アクアが両手で覆うようにカップを包んだ

 

「今は父さんたちを信じてほしい」

「優しいんだねアクア君は」

「父さんの子供だから」

 

 

 子供たちも彼女のケアや心の不安を取り除く為に出来ることをしている。だから大人は背中を見せてあげないといけない。湯飲みに口をつけていた父のスマホが鳴動するとディスプレイには金田一の名前が記されていた。

 

 

「何の用ですか?」

『朝早くからすまない、番組側の記者会見が明日の3時半から始まるのが分かった』

「平日の3時30分って中途半端じゃないか」

『連中はそれが狙いなんだよ、昼のワイドショーが終わる時間帯だから生中継をするのも難しい』

 

 

 番組側は自分たちが被るダメージを抑える為に姑息な手段に出た。ワイドショーが終わり夕方のニュースが始まる手前で終わらせてしまえば視聴者も生で見ることは出来ない。狡噛は3人に金田一からの知らせを伝え食器を片付けた

 

 

 

「(やるか‼)」

 

 覚悟を決めた彼はその日も一睡もせずにパソコンに向かいあっていた。

 

 

 

 

 

 

 会見が行われる都内某所では『今ガチ』の監督とチーフディレクターの2人が既に会場入りをしていた。しかし本来この場所に来なければいけないプロデューサーの鏑木が姿を現していない、イラつく2人は相談の結果、鏑木とSNS側に責任を負わせて自分たちも被害者の立場を振る舞うことで一致した。

 

 

「この度はSNSからの過剰な攻撃から出演者を守ることが―――」

 

 事前に作家から手渡された謝罪文を棒読みしながら、監督は会見が早く終わることを祈っていた。なんで自分たちが暴走したガキの尻拭いをしなければいけないんだ!という憤慨した気持ちに心が支配され謝る気なんてサラサラ無かった。

 

 

「編集で黒川あかねさんを悪役に…」

「そのようなことは決してありません」

 

 記者からの質問に答えていると会場内が変にざわつき始めた。記者たちがスマホに耳を当て慌てた様子で外に出ている

 

「そろそろよろしいでしょうか?」

 

 監督が状況を見て幕引きにしようとするが、1人の記者が手をあげ最後の質問者にすると

 

 

「今、番組公式ホームページとYouTubeに事件当日の映像が投稿されてます。編集は無いと発言されましたが、本編と投稿映像は全く違う印象を受けます!」

「えっ?っちょっとなにを言っているんだ?失礼じゃないか」

「分からないのであればご自身の目で確かめたらどうですか?」

 

 記者に促され自身のスマホで調べると、鏑木が所持している無編集の動画がアップされていた。そしてYouTube側にはコメント欄で番組を非難する文言が並び、更にスタッフが黒川に指示をしている動画も公開された

 

 

「おい、鏑木のSNSを見ろ‼」

 

 そこに書かれていたのは、上記と同一の動画と一緒に短い言葉だったが強烈なモノだった

 

『テコ入れのために黒川あかねに悪役をやらせることを指示したのは監督です』

 

 

 

 

 

 

 さて久々に時計の針を戻す展開にしよう。それは記者会見が始まる2時間前だったテレビ局のトイレで、昼食後に尿意を催した鏑木が小便器の前にいた

 

「(そろそろ準備して行くかな、スーツも用意しておかないと)」

 

 彼も責任者の1人として会見に出席する。事前に打ち合わせをしたように番組側も被害者として立ち振る舞い、彼女を攻撃したSNS側に責任をなすりつける。顔の見えない相手を訴えるのは労力と金が掛かる。黒川の父親が警察官なのは厄介だが逃げ切る自身はあった。ジッパーを上げると後ろの個室のドアが開かれ、人が出てくる気配がしたが何故か水道ではなく鏑木の隣に立ってしまう

 

 

「(誰だ?へんな)」

 

 顔を見ようと左側に首を動かすと

 

「えっ?なんで…俺が?」

 

 そこには自分がいた。彼は鏡を見ているのでは?と思った。全身の毛穴が開き冷や汗が止まらない、喉の奥から言葉を出そうとするが脳が拒んでしまう、1文字だけでも出そうと腹に力を入れた瞬間

 

「石化」

 

 鏑木の体は彫刻のように直立したまま固くなると、言葉を発した男は彼を個室の中に引きずり込んで中から鍵を掛ける。そしてポケットから彼のスマホを取り出し自分の指でも指紋認証が出来ることを確認した

 

「(まずは第一段階クリアと!)」

 

 お気づきですよね?魔法使いの狡嚙である。店は分身魔法で作ったコピーに任せ本人は数時間からテレビ局に潜入しこの機会を待っていた。番組に強い憤りを感じた彼は鉄槌を下す為に鬼と化した

 

 

「(記者会見まで90分、急ぐか)」

 

 個室の外に人が居ないことを確認すると転移でドアの外に出て鏑木のデスクに向う、実は睡眠魔法で彼を眠らせてもよかったが寝息が外にバレる可能性や途中で覚醒する不安要素もあった。石化魔法なら起きる心配もなく、フィクションのコールドスリープに近いものである

 

 

「(ホームページの編集にYouTubeの番組公式チャンネルもここから投稿出来る)」

 

 椅子に座った狡嚙は自身に軽めの認識疎外魔法を施し視線が向かないようにすると、持参してきた記憶媒体を差し込んで投稿する動画の編集作業を行う、特に黒川あかねに対して指示をしてきたスタッフには名称を入れている

 

 

「(あとは会見時間に合わせて予約投稿)」

 

 彼は全てを終わらせ時計を見るとまだ時間があったので、パソコンの中にあった『星野アイ』のファイルとセキュリティソフトを削除すると、複数の違法サイトやポルノサイトを閲覧しウイルスの感染を狙う。そしてスマホのSNSアプリに監督に罪をなすりつける文言を入力してから席を離れトイレに戻っていった。

 

 

「(やっぱりSNS側になすりつけてきたか)」

 

 固まった鏑木と個室で同居する狡噛は自身のスマホで記者会見を視聴していた。監督の態度に怒りを感じていたが場内がざわつくことを確認すると、スマホを返却し鏑木を小便器の前に置いて個室の中に戻り石化を解除し、転移魔法でテレビ局から姿を消した

 

 

 

「あれ?」

 

 元の状態に戻った鏑木は周囲を見渡した。さっきまで目の前に自分がいたはずなのに誰も居ない。首を傾げながら手を洗っているとポケットのスマホが鳴動を続けているが無視をした。廊下に出て記者会見へ向かおうとすると、若い局員が顔を真っ赤にさせて走って来る

 

「鏑木さん‼『今ガチ』の動画が外に出てます!」

「なんだい?もうちょっと詳しく言わないと―――」

 

 若者を窘めるように言葉を口にすると

 

黒川あかねの編集前の動画が流出してるんです‼

「えっ?なんだって!」

 

 

 

さぁ祭りの始まりだ!

 




とりあえず日本の芸能界でヤバいことが起きますね。醜い大人たちの泥の掛け合いに勝者なんていません。とりあえず次の更新は土曜か日曜を目指します

東海菊花賞の予想をしないと


感想ありがとうございます。
誤字訂正もありがとうございます
これからも頑張ります

次回作を作る時に途中まで原作と同じ流れだったら、すっとばしても良い?

  • OK 原作を知ってるから問題無い
  • NG やっぱり最初から全部読みたい
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