【完結】転生した魔法使いが金髪の双子を育てる   作:大気圏突破

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レガレイラって牝馬じゃないよ


それはとても甘い夢

「起きて!フリルちゃん起きて」

 

 

 ベッドの中で揺さぶられる彼女は眠い目を擦り起き上がろうとする。周囲は暗く手元にあるスマホをみると寝てから1時間も経過していない。自分を起こした不届き者を探そうと周囲を見渡すと某魔法学校のローブを纏った狡嚙ルビーが枕元に立っていた。

 

「ルビーさん?」

 

 まだ寝ぼけているのか?自分の部屋に同じ高校に通う友達がいるなんて思ってもみなかった。フリルは言葉を発しようとするが、ルビーが手を引っ張って立ち上がらせた

 

 

「出発する時間だから行くよ!」

「行くって?その前にどうやって部屋に?」

 

 手を繋いだ彼女が部屋のドアを開けて廊下に出た瞬間、フリルの視界は真っ白な光に覆われ目を瞑ってしまう

 

 

 

 

「ルビーさんここはどこ?ルビーさん?」

 

 光が収まり目を開けるフリルは手を繋いでいる彼女に問い掛けるが返事がない、彼女の近くには誰もいないどころか自分の着ている服も童話に出て来そうなメルヘンチックなモノに変化していた。

 

 

「いったい何が起きてるの?夢なの」

 

 周囲を見渡すと自分が木々で囲まれている空間にいることが分かった。生い茂る草木や花からは甘い香りが漂ってきている。彼女は状況を確認するため歩きはじめると遠くに建物が見えて駆け足で近寄った。

 

 

「これってお菓子の家?ちょっと待って!なんでこれが…」

 

 佇む彼女の目の前には童話やアニメで出てくるようなお菓子の家が実寸大で存在していた。数日前に友人の父親に語った夢が自分の目の前にある。彼女はクッキーで出来たドアに手を触れようとした瞬間

 

「おっマジかよ、お菓子の家って!」

「待って!なにここ?」

 

 振り向くとそこには舞台で共演した姫川大輝が木こりの恰好で駆け寄ってきている。その隣には『今ガチ』で世間から大バッシング受けたが番組側の自滅により評価を戻している黒川あかねがいた。

 

 

「フリルさん?ここはどこなんですか?」

「なぁ不知火、これ食べていいのか?」

「ちょっと待って!質問されても困るわ、私だって今来たばかりで」

 

 質問に困惑するフリルは2人にどうやってここに来たか問いただす

 

 

「俺は目が覚めたらここにいた」

「私はルビーちゃんに起こされてドアを通ったら」

「黒川さんは私と同じという訳ね」

 

 

 黒川が自分と同じように狡嚙ルビーが関わっていることを知ったが情報が少ない、家の中に誰かいるのでは?と思いドアを開けたら

 

 

「凄いですよアクア君、蛇口を右に捻るとカルピスが出て左はコーラが出ます。コップもコーンフレークの味がします」

「鮫島先生、なに満喫してるの?」

「だってお菓子の家ですよ!楽しむ以外の選択肢なんて無いですよ!」

 

 

 家の中にはネコの着ぐるみ姿のアクアと鮫島アビ子が台所に立っていた。アクアは蛇口を捻って遊んでいる彼女を窘めていると玄関にいるフリルたちに気付いた

 

 

「アクア君もルビーちゃんに?」

「あぁ『お兄ちゃんに楽しい夢を見させてあげる』って、気付いたら鮫島先生と一緒に」

「おい、アクア!この窓ガラスも飴細工で出来てる。これハッカ味だ!」

 

 

 外に出ていた大輝は中にいる面々に窓の味を報告してくるとフリルに頭を叩かれ涙目になっている。兄貴分の彼の姿を見て”やれやれ”とした表情をしながら情報の共有をするが真新しいことはなかった

 

 

「やっぱりこれって夢かしら?」

「でも5人揃って同じ夢を見ると思いますか?」

「その前にこんな大きなお菓子の家を作るなんて不可能だろ」

 

 

 フリル・アクア・黒川の3人は【きのこの山】の椅子に座り現状の把握に務め、大輝とアビ子は2階に上り家の中を探検している

 

 

「ルビーの姿を見たのって俺たちだけか」

「映画に出てくる魔法学校のローブを着てたわね」

「えっ?『フェイトちゃん』じゃないの?」

「ちょっと待て俺のところは魔女宅だったぞ!」

 

 

 連れてきたルビーの姿が一致しない3人は頭に多くのクエスチョンマークを製造し、アクアは金髪の頭を掻きながら混乱している。フリルはおもむろに立ち上がり壁にくっついているピンク色のマカロンを摘まんで一口齧る

 

「美味しい」

「おい、こんな怪しいモノを…んぅぅぐ」

 

 迫ってきたアクアの口に持っていたマカロンを押し込んで咀嚼させた

 

「甘い」

「夢なら、あの2人のように楽しまないと損よ」

「アクア君、あ~んしてくれる?」

 

 バウムクーヘンに粉末のチョコを振りかけたものを、彼の手前まで運んだ彼女は口を開けることを強要し、根負けしたアクアはゆっくり噛みしめる。甘ったるいと予想していたが口内に全く後味が残らない

 

 

「夢ならいいか」

 

 

 

 最後の砦だったアクアが陥落したことで全員好きなところへ散っていった。アビ子と大輝は3階まで駆け上がりホールに辿り着くと、そこには大きなクラッカーが机の上に置かれていた。近くには『好きな味をどうぞ』と書かれた紙が置かれ、彼が試しに引っ張ると大きな音と共にポップコーンが中から飛び出してきた

 

 

「姫川さん、これも引っ張ってください」

「任せろ」

 

 茶色のクラッカーからはキャラメル味のモノが勢いよく発射され、アビ子は顔を上に向けて落ちてくるのを口でキャッチしていく、大輝はホールに備え付けられている蛇口を捻り液体チョコをコップの中に入れて塩味をポップコーンをディップして口の中に放り込む

 

 

 

 黒川はアクアの手を引いて和室に入り、慣れた手つきで抹茶を点てて彼に振る舞う。彼は苦さに顔をしかめたが豆大福が実る盆栽に手を伸ばして苦味を消していく、それを見ていた彼女は笑みをこぼしながら自分の手元にある羊羹を口にする

 

 

「こんなに甘いものを食べたら太りそう」

「夢なんだから大丈夫だろ?」

 

 

 アクアはお腹をさする彼女と和菓子を食べさせあいながら笑顔を見せる。産まれた頃から波乱万丈だった彼は笑うことが稀だったが甘くて美味しいモノの前では自然と表情が和らぐ、楽しい空間をみんなと共有できることに心が満たされる。アイに捨てられた人生だったが血の繋がりがなくても父の愛情を受けた息子は真っ直ぐに成長している

 

 

 

 色々な部屋を巡り甘味を満喫したフリルは次第に眠くなり寝室のドアを開いた。綿菓子で作られたベッドにマシュマロの枕、部屋を照らす電球はリンゴ飴で出来ている

 

 

「こんなに楽しい夢は…はじ……めて」

 

 

 瞼が重くなりベッドの上で横になり、クレープの生地で作られた掛け布団を身に包ませて夢の空間で寝てしまう。子供の頃にテレビで見たお菓子の家に住むことが出来るなんて神様は粋なことをしてくれる。もしかしたら友人の父親は神様と友達なのかもしれない。

 

 

「夢が叶って……よか……た」

 

 

 

 

 

 

 

「みんな満足出来たかな?」

「お兄ちゃんが笑うところを久々に見た気がする」

 

 

 父と娘は家から遠く離れた場所で投映魔法を使って家の中にいるフリルたちのことを見ていた。全員が満足したような顔をして寝ているのを確認すると映像を停止させた。

 

 

「パパの魔法って凄いね、こんなことが出来ちゃうなんて」

「みんな頑張っているからね。奮発大サービスだ」

「小さくなればミニチュアの家も大豪邸になるもんね」

 

 

 

 今回の種明かしをしよう。お菓子の家は彼が市販品を購入し作り上げたミニチュアの家で、中身に備え付けられた1部のギミックは魔法を用いて作っている。そしてHUNTER×HUNTERのノブが使った4次元マンションの劣化版の空間魔法で森を創造した。あとはルビーと一緒に4人の家に出向いてドアを通るときに小人化の魔法が掛かるようにして、お菓子の家に招待したという訳だ!なお大輝は起きなかったので蹴り飛ばして中に放り込んだ

 

 

「『クローン(フェイト)』より『夜天の主(はやて)』の方が良かったかな?」

「『管理局の白い悪魔(なのは)』は嫌か?」

「だって悪魔って可愛くないじゃん」

「ルビーは小悪魔だろ」

 

 

 父親のツッコミに彼女はバルディッシュで攻撃をしようとするが、当然魔法は発動することなく空振りで終わってしまう

 

 

「さて、夢の時間は終わりにするか」

「そうだね、みんなを家に送らないと」

 

 

 指を”パチン”と鳴らしてお菓子の家から5人を近くに転移させると小人化の魔法を解いて、通常サイズに戻してから帰していった。

 

 

「壊すなんて、もったいないね」

「形あるものは崩れる。いつまでも置いておく訳にはいかない」

「また作ってよ、今度は遊園地にして」

 

 

 彼は手を叩いて家を崩すと、使えそうな部分を取り出して小さいサイズの家を作り5人の眠る枕元に転移させた。お土産の1つぐらい持たせても罰は当たらない

 

 

「さて、先生も返さないと」

「ワイン風呂って、匂いがキツかった」

 

 

 何故お菓子の家にルビーが居なかった理由だが、同じように作った空間に吉祥寺を招待し彼女が案内を務めていた。複数の酒風呂をハシゴした漫画家は生涯味わうことが出来ない経験に満足し、酔い潰れ大きなイビキをしながら爆睡をしていた

 

 

「残念だったね。お姉ちゃんと混浴出来なくて」

「ルビー、明日の朝食はお茶碗に盛られたマカロンでいいな?」

「すいません調子に乗りました」

 

 

 謝る彼女の頭を小突いて父は娘を撫でる。現実が辛くなった時や頑張った時に、また招待をして心を癒してあげよう。自分たちも店に戻り、お菓子の家があった空間を閉じる

 

 

 

 

 

 

「あれ?戻ってる」

 

 

 部屋が太陽の光で明るくなり目が覚めたフリルは周囲を見回した。綿菓子のベッドやマシュマロの枕ではなく、普通の寝具の上で意識を覚醒させると、さっきまで見ていたことを思い出そうとしていた、

 

 

「楽しい甘い夢だった」

 

 

 ベッドから起き上がりカーテンを開けるフリルは朝日を全身に浴びて体をほぐす。着換えようとパジャマを脱ごうとしたら

 

 

「えっ、これって?」

 

 

 枕元に置かれた小さな家には夢の中で出会った5人の男女がテーブルを囲んでいる。笑顔でお菓子を頬張る姿に彼女は驚くが、近くに残された紙に視線を向ける

 

 

『また夢で逢いましょう』

 

 

 

 奇妙な夢を見た5人は後日、増えた体重という現実と直面することになるが子供の頃に夢見た空間に足を踏み入れることが出来た。甘い夢で英気を養い活力をつけた若者たちの未来は未知なる世界だが、彼等の心に安らぎを与えた魔法使いは今日も誰かの来店を待っている

 

 

 




普通にエリ女を外しました。

ガバガバな文章構成ですが、これが自分の限界です。

感想ありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます

これからも頑張ります

次回作を作る時に途中まで原作と同じ流れだったら、すっとばしても良い?

  • OK 原作を知ってるから問題無い
  • NG やっぱり最初から全部読みたい
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