【完結】転生した魔法使いが金髪の双子を育てる   作:大気圏突破

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物語がメイショウタバルの天皇賞秋レベル並みにスローペースで進んでます


明暗くっきり

 黒川あかねを悪役に仕立てあげた演出で大炎上した『今ガチ』の放送が途中で終了し、醜い大人たちによる責任の擦り付けにプロデューサーの鏑木が保管していた接待リストの流出により、テレビ業界は混沌の最中である。そして渦中の番組に出演していた若者たちにも影響が及んだ

 

 

 

 

「俺って影が薄かったのかな?」

 

 出演者の中で1番被害が少なかったのはバンドマンの森本ケンゴだった。少ないというより話題にならなかったのが正しい言い方である。番組開始当所は三角関係の中心にいたが受け身に回ったことでカメラに抜かれることが少なくなり気付いたら番組が放送休止になっていた。音楽活動にも影響がなく同業者に「『今ガチ』に出てた」と言っても信じてもらえず、「主題歌の楽曲提供として出たんですね」と言われる有り様であった。

 

 

 

「頼まれたモノ買ってきました」

 

 熊野ノブユキは黒川あかねの近くにいたことでSNSで攻撃をされてしまった。それは所属するダンスチームにも飛び火しメンバー内でも浮いた存在になってしまう。ノブユキを擁護する仲間もいるが少数派であり肩身が狭いことに違いはない、今は下がった評価を少しずつ上げる為に下っ端の仕事を率先して行い、裏方としてチームを支えようとしている

 

 

 

「ちょっと心の準備が」

「それでは発射します!」

 

 大量のペットボトルロケットを体に巻き付けられた鳴嶋メルトは空を飛んだ。僅か3メートルだがそれは人類にとって大きな一歩となる訳はなかった。彼も当初はSNSで叩かれたが「メルトが間に入ったら余計にこじれて最悪なことが起きていた可能性がある」という投稿に”11万のいいね”が押され世間も賛同した。事務所側としても鏑木との縁が切れたことに喜び、役者失格の烙印が世間から押されたことが重なり、番組で新たな扉を開いた彼は『リアクション芸が出来るイケメン』としてお茶の間を笑顔にするのは数年後の話である

 

 

 

 

 

「いらっしゃい」

「こんにちは、狡嚙さん」

 

 喫茶店に訪れた黒川あかねは店主の彼に挨拶をすると隣にいる女性を紹介しようとするが、ルビーが飛び出してきた

 

「ゆきぽんだ!」

「どっどうも」

 

 鼻息荒いルビーの圧にたじろぐ彼女は、ファッションモデルの鷲見ゆきで公開された編集前の動画で黒川が無理をして辛い演技をしていることを理解し、爪で傷つけられても抱きしめたことで評価が爆上がりした。『今ガチ』出演前は暇を持て余していた彼女だったが騒動後はスケジュール帳から白い空白が殆どなくなった。

 

 

「コーヒーにする?お菓子も用意するけど」

「飲み物だけでいいです」

「あかね~ダイエット?そういえば最近お腹がプニプニしているような」

 

 カウンター席に座った彼女は両手を動かして黒川の腹部を揉み込んで柔らかさを堪能し、顔を赤くする反応を楽しむようにしている

 

 

「鷲見さんはどうする?」

「カロリー控えめのってありますか?週末に向けて抑えておきたいので」

「寒天ゼリーなら冷蔵庫にあるよ、オレンジ味だけどいるかい?」

 

 

 その言葉に頷いた彼女を見て狡嚙はゼリーを取りに奥の部屋に入っていく

 

「あの人ってお兄さん?」

「やだな~私のパパだよ」

「えっ?ちょっと待ってパパって、狡噛さん私と同じ年だよね?」

「やっぱりそんな反応するよね」

 

 

 驚く彼女に胸を張るルビーとツッコミを入れる黒川あかね、同世代の女の子が集まれば姦しいとばかりにトークに花が咲く

 

 

「何歳なのあの人は?」

「あと2.3年で40歳になるって言ってたけど」

「あの見た目で40手前なんてありえないでしょ?絶対に年齢詐称してるって」

「姫川さんも似たようなことを口にしてて、昔の写真を見せてもらったけど全く変わってなくて」

 

 

 奥から彼が戻りテーブルに飲み物とゼリーを置いていく、鷲見ゆきはルビーの父親から若さの秘訣を聞き出そうとしたが求める答えは返ってこなかった

 

 

 

 

「連れてきてくれてありがとう」

「どういたしまして」

「あかねって、ルビーの双子のお兄さんにも会ったことがあるんでしょ?どんな人なの」

「かなりのイケメンだよ、アクア君は」

 

 店から出た2人は途中まで同じ道を歩きながら他愛もない話しを口にしている。以前は外を歩くだけで叩かれていた黒川の評価は『今ガチ』開始前の水準に戻り、ララライに苦情の電話や手紙が来ることは少なくなった。

 

 

「ねぇやっぱりMEMちょは…」

「ちょっと厳しいかな、助けてあげたいけど」

「別に悪いことをした訳じゃないのに」

「ちょっとタイミングが悪かったのがね」

 

 

 

 

 彼女たちが口するYoutuberのMEMちょが演者側として1番の被害を受けていた。記者会見中に編集前の映像が流出した直後に彼女も自身が撮影した写真や動画を公開し黒川の擁護に回ったが

 

 

『最年少のゆきが現場を1番理解していたの18歳は空気で草』

『知ってて助けないは加害者と同じ』

『結局これも再生数稼ぎの為のでしょ偽善者が!』

『安い魂胆が見えてる。今さら良い子ぶっても遅い』

 

 

 最初は少なかったMEMちょを非難するコメントだったが次第に勢力を増していった。無論SNSが原因で黒川あかねが追い詰められたという事実はあるが、誰かを叩かないと気が済まない現代人にとって最年長で同性の彼女はネット民から標的にされてしまった。

 

 

『MEMちょって隣のクラスにいた女の子じゃない?瞳と髪色が違うけど口の形や特徴的な八重歯がそっくりだもん』

『写真をダイレクトで送って、人相ソフトを使ってMEMちょの顔と合わせてみる』

『了解、因みに私は25歳だから』

 

 

 SNSにて上記のやりとりが公開されたのも痛かった。ソフトの診断結果は投稿されていないが公称18歳の彼女の実年齢が25歳という説が浮上し、続々と自称クラスメイトが登場しクラスの集合写真がネットの海に広がってしまった。

 

 

 

 

「また減ってるや」

 

 自室でパソコンを睨み付けているYouTuberのMEMちょは自身のチャンネル登録者の数を見て深く重いため息を吐いてしまう。番組開始前は40万人に迫り着実に数を増やしていったが、例の騒動により一気に抜けてしまい現在は11万人を割る手前まで来ている。しかし彼女を慕い応援するファンが11万人残っていると考えればマシかもしれないが収入減は否めない

 

 

「何をやっても攻撃されちゃう」

 

 過去に投稿した動画のコメント欄には過激な言葉が並ぶようになった。しかし彼女はそれを消去することが出来る立場だったが残していた。黒川あかねのように謝罪文を掲載したり自身に対して不利益なコメントだけを消せばアンチに餌を与えてしまい更に攻撃を受けてしまうからだ!過去に某競馬YouTuberも捏造が疑われた時もアンチコメだけを消してしまい大炎上している

 

 

「ゆき、あかね…どうしよう」

 

 

 唯一の救いがあるとすれば2人の弟に被害が及ばなかったことである。この手の問題では身内にまで火が燃え移り、イジメの対象にされてしまう恐れがあったが無事であることが確認できた。母親は娘の身を案じ毎日電話をしてくれるが息苦しい声が伝わってくる

 

 

「あっ!」

 

 ついに10万人の壁が崩れてしまった。薄暗い1人だけの部屋で空笑いでステップを踏む彼女は運営から贈られた銀の盾を自身の手で粉々に破壊してしまう。泣きながら笑い声をあげ感情がおかしくなる砕けた破片を握り締め、手のひらから血が出ているのにも気づかない

 

 

 

 

 

 

「ヤバい!ヤバい!どうしよう」

 

 番組出演者ではないが影響を受けた1人を紹介する。双子たちが通う高校の先輩である『有馬かな』だ!出演を予定していた地上波ドラマがファイルの流出が原因のスポンサー離れによって製作中止が発表された。そして懇意にしている鏑木勝也がトラブルの責任を全て押し付けられ失脚し行方知れずとなり、トドメに資産運用が大失敗した。金額を述べると生々しいことになるが総資産の桁の数が2つ減った。

 

 

「(どうする?予算の縮小で私が起用される可能性なんてゼロに等しいし、他の人みたいにYouTuberデビューって私生活を切り売りすることなんて出来ない!私の性格でアルバイトなんてもっと無理よ)」

 

 仕事がなくなったタレントはYouTuberとして活動を始めたが同じことを考える同業者は多く、内容も似たり寄ったりで真新しいモノがないのが実情で再生数も伸びていない。芸能科で彼女以上に逼迫している生徒は皆無だと思われる。他の生徒は仕事がなくても親に頼れば問題無い、家に帰れば温かい食事が待っているが、有馬の両親は離婚し親権を持つ母親は祖母の介護で田舎に引きこもってしまった。云わば孤立無援である

 

 

 

「ねぇ知ってる有名人が集まる喫茶店」

「知ってるよ、外からだけど母さんが俳優の姫川大輝を見たって」

「マジで?」

「あと、東京ブレイドの鮫島先生も」

 

 

 少し離れた先で普通科の2年生が話す内容に耳を立てた彼女はダッシュで駆け寄り、2人から店の場所を聞き出そうとしたが店名が分からなかった。しかし

 

 

「(有名人が集まる店ってことは業界関係者も来るはず。そこで売り込むことが出来れば)」

 

 

 転んでもただは起きない女優:有馬かな、彼女は無事に狡嚙が営む喫茶店に辿り着くことが出来るのか?それは筆者にも分からない。

 

 

 

 

 

「苺プロの社長さんですね」

「元社長だ」

 

 

 壱護はテレビの刑務所特集に映し出されていた菅野良介とアクリル板越しで対面していた。『B小町』が初期の頃から応援していたファンで壱護も顔と名前は覚えていた。アイの情報が途絶えている状況で頼るには心許ないないが小さな情報でも構わない。藁にも縋る気持ちで彼は口を開いた

 

 

「騒動後にですか?」

「些細な情報でも良い、アイが頼りそうな…」

「会いましたよ1度だけ」

「えっ?それはいつのことだ?」

 

 突然のことで立ち上がりそうになる壱護は気持ちを抑えて目の前にいる元ファンに問い掛けるが

 

「1つ約束をしてほしいんです」

「なんだ?」

「アイツを……アイを…いや、あのクソ女を断罪してください」

「何があったんだ?」

 

 

 近くにいた所員に注意された菅野良介は頷く壱護を見て、ゆっくりと話し始めた

 

 

 

 

 




今作のMEMちょには世間のバッシングを受けてもらいます。しかし彼女って免許取得を18歳でやったのかな?矛盾じゃないけど母親が倒れて看病しながら弟たちの面倒みながらバイトして自動車学校へ行ったのかな?

2期の時に免許を見せていたが普通車なのだろうか?そうなると写真を撮る時は素の状態で警察署か免許センターに行ってたのか?謎だ


感想ありがとうございます。
誤字訂正もありがとうございます
評価を入れていただき誠にありがとうございます

これからも頑張ります

次回作を作る時に途中まで原作と同じ流れだったら、すっとばしても良い?

  • OK 原作を知ってるから問題無い
  • NG やっぱり最初から全部読みたい
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