【完結】転生した魔法使いが金髪の双子を育てる   作:大気圏突破

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チャンピオンズカップは当たりましたが、やっぱりナルカミは中京が苦手ですな


幸せを掴む者・ワケルモノ・てばなすもの

「じゃあ契約に関する書類は明日でいいかな?」

「よろしくお願いします」

 

 

 寺田の言葉に頭を下げる有馬は、ようやく暗闇の中で光を手にした。フリーである彼女にとって事務所という後ろ盾を得ることが出来たのは僥倖だった

 

「ララライの方はあと数人に声を掛けている。そいつらの返答次第だから正式加入は後になるが稽古に来るのは問題無い」

「因みに誰をスカウトしているんです?」

 

 

 自分の他に誰に声を掛けたのか?興味を持ってしまうのが人の性である。やはり自身と同じように干された俳優や仕事を失った若手女優なのだろうか?仲間でありライバルとなる存在は気になる

 

 

「そうだな確定してるのは片寄だ!」

「かたよせ?……って女優の片寄ゆらですか?」

「あぁ、その片寄だ」

 

 

 金田一の口から発せられたビッグネームに彼女は放心していた。片寄ゆらといえば『天下の大女優』と呼ばれ、日本で生活していれば必ずどこかで名前や写真を目にする人物である。そんな彼女がララライに入って来るとは

 

 

「確か主演ドラマが製作中止になったんでしたっけ?」

「ダメ元でスカウトしてみたが即答でOKしやがった」

 

 

 彼女曰く役者としてレベルアップを図りたいと考えていたところ、金田一からのスカウトがありチャンスと思った片寄は悩むことなく了承した。この貪欲な精神が今の若手には欠如していると思う

 

 

 

「大輝君のお金どうしようか?」

 

 

 裸で置かれた5枚の1万円札を持つ狡嚙は彼の保護者である金田一に問い掛ける。泥でお風呂を汚したことや提供した料理代を差し引いても十分に余っている。普通に考えれば引いた残りの額を彼女に渡せば済む話だが財布に入れるには額が大きい、大輝なら”返してくれ”とは言わないはずだが

 

 

「ここに来る前に牛丼屋の袋を持っていたけど外食が基本なのか?」

「うん、スーパーの見切り品やタイムセールで安くなった弁当ばかりで」

 

 質問に答える有馬を見てアクアは手を顎に当てて何かを考えている。その様子はモデルのようにカッコイイ姿であり、金田一は”こいつが漫画家のアシスタントって世界のバグだろ”と思っていた

 

 

「父さん!」

「分かってるよ、でも決めるのは彼女だ強要しちゃいけない」

 

 

 息子の言おうとしていることを察して先に釘を刺す。阿吽の呼吸のようなやり取りに外部の3人は頭にクエスチョンマークを浮かべ首をかしげていた。その空気を打ち破るように有馬が声を掛ける

 

 

「あの~いったい?」

「ごめんごめん2人だけで完結させちゃって、アクアが言いたのはこの金額の1部を食費にしないか?ってこと」

「どういうことですか?」

 

 出てきた答えにまだ納得が出来ない彼女は不安そうな顔を浮かべる

 

 

「外食や出来合いの弁当だと栄養が偏る。だから父さんに作ってもらう」

「ここに食べに来いってことですか?」

「違う!」

 

 簡単に言えばアビ子にやっていることを有馬にも行うということだ。流石に届けに行くのは面倒なので取りに来てもらう必要がある。1から説明したアクアはコーヒーの入ったカップの中身を空にすると

 

 

「外食やコンビニ飯がダメとは言わない。だけど毎日はまずい」

「どうする有馬?店主の腕は分かっているだろ」

「でも迷惑じゃ…」

「1人増えても問題無いよ、アレルギーがあったら教えてね」

 

 

 結局、食欲に負けてしまった彼女は手持ちに2万円を財布に入れて残りは狡嚙の作る弁当代になった。店に置いてある小さな黒板には残高が書き残された。もちろん課金をすれば継続的に食事面の援助を受けることが出来る。有馬は洗濯・乾燥が終わった制服を受け取ると狡嚙家の2人に頭を下げて店から出て行った。『マーキング』もしてあるので迷うこともない

 

 

「じゃあ俺達も帰るから」

「アクア君も事務所に来てみるかい?」

「今が充実しているんで結構です」

 

 

 2人を見送ったところで遊びに行っていたルビーも帰宅し、テーブルを囲んで今回のことを話しながら晩御飯となった。

 

 

「お兄ちゃんがそんなこと言うなんて珍しいね」

「俺達の方に過失があったからな」

「パパは良かったの?もう1人増えるんだよ」

 

 娘の問い掛けに”問題無い”と答えた父はお茶碗にご飯を盛り付けて手渡す

 

 

「別に無料で奉仕をする訳じゃないしサブスクみたいなものさ」

「パパが納得しているなら良いけど、まさかあのドラマに出ていた学校の先輩が泥だらけで店にやって来るなんて」

「2人共、大事なことだから言っておく」

 

 真剣な表情をした父親の顔を見て、アクアとルビーは姿勢を正して顔を向けた

 

「車に乗ってきた大輝君に誘われたら一目散に逃げろ!近い将来絶対に大きな事故をやらかすはずだ!ルビーは最悪防犯ベルを鳴らしても構わない」

 

 

 その言葉を聞いて双子たちは噴き出してしまう。今日もこの一家は笑いが絶えない明るい日々を過ごしたのである

 

 

 

 

 

 

「さて行くか!」

 

 

 七夕の夜、晩御飯を済ませた彼は身支度を済ませて鏡で違和感が無いが確認をしていた。近くにいるルビーはニヤニヤと笑っているとアクアも訪れ

 

「父さんでも緊張するんだ」

「人の子だからな」

「ちゃんと短冊に相合傘で名前を書いたから大丈夫だって」

「短冊?竹や笹の葉なんて飾ってないけど」

 

 

 父親の質問にルビーは商店街に置かれた竹に吊るしたことを白状し、アクアがハリセンで妹の頭にツッコミを入れていた

 

 

「行ってくるよ」

「朝帰りしてもいいけどほどほどに」

「言うようになったな未成年」

 

 

 店から出て行った父親を見送り双子たちはヤレヤレとした表情を見せている。40歳手前と30代中盤の恋愛は歩みが遅くてもどかしいが、ようやく力強い1歩を踏み込んで前に進んだ

 

 

「お兄ちゃん、もしかしたら来年の今ごろには更に増えている可能性って」

「否定はしない!」

「妹が産まれたらいいな~」

「反面教師としてうってつけの姉だな」

「やだな~教師だなんて褒めないでよ」

 

 

 言葉の意味を理解していない妹を尻目に兄は自室に戻って行った

 

 

 

 

 

 

「待たせてしまいましたか?」

「いいえ、私も10分前に来たところです」

 

 

 約束した時間よりも30分早く着いた彼だったが既に吉祥寺が待ってベンチに座っていた。少し遠くに目を向けると曇り空ながら七夕の夜を満喫している家族やカップルたちが見てとれる。狡噛は認識疎外の魔法を展開し転移魔法で雲の上まで移動し前回同様に絨毯を出して2人は腰を下ろした

 

 

 

「あの日から友人や頼れる人たちに勇気を貰おうと相談してました」

「それで?」

「相談する前には心は決めていました。だからあと1歩だけ踏み出す勇気がほしくて、おばさんにも話しました」

 

 

 次の言葉を待っている彼は吉祥寺の目を見つめ瞬きをするのを止めていた

 

 

「おばさんは”誰かに促されて決めるのは止めなさい!でも道に迷ったらいつでも来ていいから”って、だから慎司さん」

「はい」

 

 

 

「不束者ですが、最期まで私と一緒にいてください!」

 

 

 

 それは彼が1番待ち望んでいた答えだった。言葉を聞いた瞬間に吉祥寺を抱きしめた狡嚙は絨毯の外に飛び出し互いに密着しながら夜空に輝く天の川の下でゆっくりと浮かび続けた

 

 

「これからは先生じゃなくて、頼子って呼んでください」

「はい先生!」

「もう!言ってるそばから」

 

 

 少しむくれたがすぐに元の表情に戻った頼子を見て次第に言葉数が少なくなる。互いの瞳を見つめ合い彼女が目を閉じて唇を前に突き出し狡嚙もそれに応じる。重なりあったモノは離れることなく長く合わさり、ここだけ時間の流れが外界と違うように感じた。

 

 

「じゃあ雰囲気を出しますか」

 

 指を鳴らすと彼女の服装が普段着から織姫の衣装に変わり自身も彦星の衣服を身に纏った。更に自分たちを隠していた雲を全て霧散させて街中にいる人達にも天の川が見えるように幸せのお裾分けをした。2人は手を取り合って夜空を飛び、最高の特等席で星空を見ながら再び1つになった

 

 

 

 

 

 

「おかしいわね」

「どないしたん?」

 

 芸能科の2人は街に繰り出して七夕を満喫していたが、スマホの画面を見つめるフリルは首を傾げていた

 

「お父さんのスマホに追跡アプリを入れたの」

「それ犯罪やね」

「バレなきゃいいのよ、この赤い〇印がお父さんいる場所なんだけど」

「うちらと同じ場所におらへん?」

 

 

 確かに狡噛たちはフリルたちと同じ場所にいた。違うのは地上ではなく上空で大切な人と素敵な時間を満喫している。誰にも邪魔されない2人だけの空間に野次馬は要らない

 

 

「みなみさん、ちょっとこれ」

「これってルビーちゃんの字やね」

「上手くいったかしら?」

「聞くだけ野暮やないの」

「それもそうね」

 

 

 

 七夕の奇跡、1時間前まで曇天模様だった夜空から雲が消え去り天の川が姿を現した。人々の願いが込められた短冊が星から照らされた光で輝くように見える。気象庁の人間は”こんなことありえない”と口にして現実から目を逸らした。星を見上げていた小さい子供たちは織姫と彦星が空を飛んでいると指を向けている。天気予報は前日まで降水確率100%だったが完全に外れたのであった

 

 

 

「私も魔法が使えるんですよ」

「どんな魔法ですか?」

「家族と幸せになる魔法です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 仄暗い地下で彼女は縛り上げられていた。猿ぐつわをされて足首には囚人が逃げ出さないように装着される鎖付きの鉄球をはめられている。ミヤコはここに来るまでのことを思い返していた。映画監督の島から現金を受け取った彼女は同様の手口で、落ちぶれている制作者にコンタクトを取ろうとした矢先、路地裏でサングラスと黒スーツの男たちに拉致られた

 

「(ここは?あれから何日経ってるの)」

 

 一応食事は提供されているが排泄物は完全に垂れ流しである。自身から出した臭いに鼻を顰めながら苦い表情をしていると、ドアが開いた

 

 

「神は信じないが、七夕らしく短冊に願いを書いてみたが」

 

 

 そこにはかつて自分と一緒に逃げたホストの雇い主である老婆が立っていた。そしてその隣にはアクアとルビーの資料を渡した島も佇んでいる

 

 

「ようやく会えたな、苺プロ元社長夫人のミヤコ!」




とりあえずオリ主と吉祥寺先生は結ばれました。脳が疲れた

あの問題児ロリッ娘をどうやって登場させようか…銀魂の年賀状のように「ずっとスタンバイ」してましたにしようかしら?

感想ありがとうございます。
誤字訂正もありがとうございます
これからもよろしくお願いします。

次回作を作る時に途中まで原作と同じ流れだったら、すっとばしても良い?

  • OK 原作を知ってるから問題無い
  • NG やっぱり最初から全部読みたい
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