【完結】転生した魔法使いが金髪の双子を育てる   作:大気圏突破

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普通に馬券を外しました


いつまでもあると思うなお金と居場所

 黒川あかねには秘策があった。MEMちょのスマホに追跡アプリをインストールしていたので、しばらく親の言うことを聞いて従順なフリをして頃合いを見計らって会いにいく計画を画策していた。親からは関わるなと言われているが関係無い

 

「(私がMEMちょを助けて芸能界に復帰させるんだ!)」

 

 

 

 しかし未成年の浅はかな計画は人生経験豊富な魔法使いによって無に帰してしまった

 

 

「(こんなところにMEMちょが)」

 

 

 親の監視が終わり自由を得た彼女は休みの日に現場へ向かった。追跡アプリの反応は無くなっていたが最後に示していた場所をスクリーンショットしておいたが

 

「(早く連れ出さないと)」

 

 

 彼女がそう思うのも無理はない。視線の先にあるのは貧乏芸人ですら敬遠しそうな木造のボロボロアパートで郵便ポストは茶色に錆びついている。こんなところに追い出した狡嚙に対して憎悪の炎を燃やす彼女は腐って”キィキィ”と音を立てる階段を上り角部屋のドアを叩くが、反応が無かったので意を決してドアノブを握って開けた瞬間

 

 

ぎゃ~~~

 

 

 部屋の中から目にしたくない虫ナンバーワンの『G』が押し寄せてきた。突然のことで尻持ちをついた彼女は、汚れるのを厭わずに後退るが奴等はお構い無しに迫って来る。素早い動きに翻弄され手提げ袋で応戦するが何匹かスネに纏わりついてしまったが激闘と末に退治することが出来た。結局このアパートには誰も住んでなかった。人生史上最悪の体験をした彼女は零れ落ちる涙を我慢しながら家路につくのであった。なおこのアパートは持ち主が数年前に死去したが相続の税金問題で放置されたもので、動物や虫たちの住処というオチであった

 

 

 

 

 

「吐きなさい!どこにMEMちょを隠したんですか?」

 

 

 後日あかねは首謀者の彼を問いただすべく店に訪れたが、運悪く仕事をサボっていた父親が目の前にいた。回れ右をして逃げようとしたが、初動が遅く肩を掴まれてしまいお縄となりカウンター席に座らされた

 

 

「質問に答える義理は無いが、言えるとしたら彼女の人生を邪魔する権利は、あかねちゃんには無いよ」

「だけど!」

「そもそも関わるなって話だろ?これはもう終わったんだよ」

 

 

 なおも食って掛かろうとする彼女だが隣にいる父親に制されてしまい勢いを削がれてしまった

 

 

「君がMEMちょを精神的に追い詰めた結果、SOSを出していたから、こっちの都合で手を貸しただけだ」

「追い詰めた?私が…?」

 

 

 どうやら自身のしでかしたことを理解していないようだ。『視野共有』で視ていたが、あかねのやっていたことをは治療ではなく強要と管理だった

 

 

「そもそも何で病院やカウンセリングに行かせなかったんだ?依存症の治療は素人が出来ることじゃない」

「それは…MEMちょの為に」

 

 

 彼の圧に少し言い淀んで戸惑うのを見て、更に畳みかけて彼女の心の芯を折るために狡噛は軽く息を吐くと鋭い視線で真っ直ぐに見つめる

 

 

「そもそもアンチが増えてファンから見限られて復活出来ると思うか?炎上系に路線変更すれば生きていく道はあったがMEMちょに悪役は似合わない。最優先は心と体の治療で専門家に診せることだ!それでどうやって治すつもりだったんだ?」

「えっと…ネットや図書館で調べて…」

「素人の生半可な医学で病気が治ったら医者は廃業だな、喉に長葱を巻いて風邪を治すより酷い」

 

 

 嫌われてもいい!飛び降り未遂から助けた彼女が今後誤った道を歩いてしまうより、今ここで方向転換させるべきである。自分の人生よりも目の前にいる女優には可能性という未来が待っている。だからこそ狡嚙は悪役を演じている

 

 

「あかね、何で彼女をここに連れて来たんだ?渦中の芸能人だから119番通報するのはマズイって思ったのか?」

「それは…だって」

「じゃあ仮に狡嚙さんが話を受けて匿ったとしよう、その間の生活費はどうするつもりだ?まさか”MEMちょを助けるんだからタダで協力しなさい”って訳じゃないよな?」

「でも、私のときは」

 

 父親に反論しようとするが

 

 

「黒川さんからは宿泊費名目で包んでもらったよ、まぁ常連や飲み仲間になってくれたから、そっちの方が嬉しいけどな」

「あかね現実は漫画やドラマのようにいかないんだ!それに治療が長期に及んだら負担は日に日に増えていく、もしそうなっていたら狡嚙さんは奥さんにプロポーズすることが出来たと思うか?期を逃して結ばれない可能性もあったんだ」

「頼子と結婚してデート中にMEMちょを見つけることが出来たからな家内は女神様だよ!バタフライエフェクトじゃないが、あかねちゃんが追い込んだことで助ける道が見つかった」

 

 

 大人2人で反論出来る言葉を全て封じていく、人生経験の差が如実に出てしまい彼女は拳を握って震えることしか出来なかった

 

 

 

「他人の心配をするよりも自分の心配をしたらどうだ?」

「えっ?」

「金田一さんから聞いたがララライに顔を出していないし、それにその様子だと何も知らされていないようだな」

 

 

 あかねは理由を聞こうとしたが狡嚙は答えずに”自分の目で確かめろ”と口にして最後に

 

 

「もうMEMちょは新しい人生と治療に向けて歩きだしたんだ!連れ戻して何が出来る?共倒れで終わる未来が容易に想像できる。もう彼女のストーリーに俺達は不必要なんだ」

「狡嚙さん…」

 

 

 言葉を返すことが出来なかった女優は父親に促される形で店を去り、慣れない悪役を演じた彼は椅子に深く座って息を吐いた。人生に正解なんて存在しない!歩んだ道で最大限の勝負を仕掛けていくだけである。しばらくしてLINEの通知が届きアプリを開くと馬に顔面を舐められるMEMちょの写真が複数枚送られて、少しだけほっこりするのであった

 

 

 

 

 

 

 

「ご成婚おめでとうございます」

「ありがとう不知火さん」

 

 

 悪役を演じてから数日が経ち、夏の日差しが若者たちの肌を焼き尽くす季節となった。学校帰りの不知火フリルは仕事が無いときはルビーたちと遊んでいるか店に来て狡嚙と談笑することが多い、鏑木騒動も次第に落ち着きを迎えたが未だにテレビ局の予算はカツカツだった。

 

 

「お父さん、姫川さんの出演した番組を見ましたか?」

「あのヒッチハイクのやつ?」

 

 その問い掛けに彼女は頷いた。珍しくバラエティ番組に出演した大輝は東京から熱海までヒッチハイクで先に到着した人が勝者となる企画に挑戦していた。身内以外にコミュ障な彼にとって地獄のような内容だが事務所の社長が”面白そう”という理由だけで受けてしまった

 

 

「でも、あれってアリなの?」

「別にルール違反をしている訳じゃありませんし」

 

 

 彼は意を決して一般人の男性に声を掛けて交渉したが、どうやら大輝のファンだったが仕事の外回り営業の最中で依頼を受けることが出来なかった。しかし彼は近くにあった営業車に書かれていた社名から電話番号を検索する

 

 

「すいません!姫川大輝です」

『はい?どこの姫川さん?』

 

 電話を掛けた先は男性の勤める会社で大輝は彼の上司に繋いでもらうと

 

 

「そっちの多々羅さんを1日お借りしてもよろしいでしょうか?」

『はい…ちょっと何を』

 

 

 彼は近くのカメラマンに電話を渡し今回の趣旨を説明させると、男性に頼まれたサインを書いて2ショット写真を撮っていた。

 

 

『貴重な経験だ!行ってこい』

 

 

 話の分かる上司だったのか彼に対して、出張という名目で大輝と一緒に熱海まで行くことになり道中の2人は、サービスエリアのグルメを満喫しながら熱海までの旅行を楽しみ温泉に浸かるのであった。会社としても宣伝になるので大きな器を見せるのは今後に繋がる好印象になると思っている

 

 

 

 

「ところで1つお願いというか、交渉したいことがあります」

「聞くだけなら」

 

 フリルの問い掛けに言葉を返す

 

「実は夏休みに旅行を計画してまして」

「それで?」

保護者として同伴してくれませんか?

 

 

 夏休み明けから止まっていた仕事が再開するフリルは両親と国内旅行をする計画を立てていたが、父親が仕事中に足の骨を折ってしまい入院している。当然母親も看病で通院しなければならないので計画は頓挫したが、娘の落ち込んだ顔を見て両親は1つ案を提示した。

 

 

「旅行費の一部を出すから保護者として来てほしいという訳か」

「新婚旅行もまだでしたよね?父の知り合いが宮崎で旅館を経営してまして、もちろんルビーさんとアクアも一緒に」

「云わば俺達の旅行に不知火さんが同行するみたいなものか?」

「ふざけたことを口にしている自覚はあります。もちろん断っていただいても」

 

 

 若干顔を暗くしたフリルを見て彼は思案する。新婚旅行についてはもう少し落ち着いてからを考えていたが別に2回行っても良いと思ってる。それに佐賀競馬の調教師に落札した馬についても聞きたいことがあったし、ここいらで一家全員で羽休みをするのもアリだ!

 

 

「とりあえず子供たちと妻の意見を聞かないと、俺だけの独断じゃ決められない」

「実はルビーさんには既に話してあって”任せてフリルちゃん”って」

「分かった!早ければ明日、遅くても今週末までには答えを出すよ」

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 炎上したYouTuberを救った狡嚙は久々の安寧を得る為に九州へ赴く、このさきの道中にいったい何が起きるのか?とりあえず今日はここまで




もう少しあかねちゃんとのやり取りをドロドロにして、修復不可能レベルまで考えていましたが、この辺で終わらせました。

感想ありがとうございます。
誤字訂正もありがとうございます

次回作を作る時に途中まで原作と同じ流れだったら、すっとばしても良い?

  • OK 原作を知ってるから問題無い
  • NG やっぱり最初から全部読みたい
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