【完結】転生した魔法使いが金髪の双子を育てる   作:大気圏突破

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3期のスケジュール発表されましたね。1クールなのか?


居心地の良い安心出来るところ

「うそっ…見間違いよね?」

 

 産まれた時と同じ姿で現実に直面する吉祥寺は額から大粒の汗を流していた。何かの間違いと思い深呼吸をして確かめるが現実は非常である。彼女は自身のお腹を触り違和感の正体に気付いた

 

「やっぱり…」

 

 

 単刀直入に言おう。彼女は太った!お腹のお肉が摘めるほどプニプニとなってしまい、バストも1サイズアップした

 

「だってマスターの作る料理が美味しくて、しかも甘えさせてくれるから」

 

 それは誰に向けて言葉なのだろうか分からない。ではなぜ彼女が太ってしまったのか順を追って説明していく

 

 

 

 吉祥寺の病気自体は除夜の鐘が鳴る前には回復した。しかし執筆続きで正月準備をしてなかった彼女は三が日を1人で過ごすことに寂しさを覚え、狡噛の厚意とルビーの懇願により新年を店で明けることになった。

 

「あけましておめでとうございます」

 

 正月の挨拶を済ませると、食卓の上には各地から取り寄せた料理が並び、彼女が飲める口というのが分かると彼はアイテムボックスに蓄えていた秘蔵の酒を振る舞ってしまった。実家にいるような気持ちで何もしなくても出てくる料理を食べ続ければ、太ってしまうのは自明の理だった。そしてそれは習慣にも表れてしまい手つかずの原稿が机の上に並ばれていた

 

 

「(今日まで休んで明日から頑張ろう)」

 

 

 

 日本酒を一気飲みする吉祥寺だったが、某賭博漫画の言葉を借りるなら『今日頑張った者にだけ、明日は来るんだよ』を送りたい

 

 

「アクア君アシスタントにならない?」

「なりません」

 

 結局、明日頑張ろうが延びてしまい狡噛家総出で彼女の原稿を手伝う羽目になり、アクアの手先が器用なことが判明した。

 

 

 

 

「何日も入り浸ってしまってすいません。本当にお世話になりました!」

 

 世間の正月休みが終わり原稿も一段落した彼女はようやく物理的に重い腰を上げ帰宅することを選択した。狡噛に対して何度も頭を下げては眼鏡を床に落とすこと繰り返し、その都度バレないように修復魔法を施していた

 

「子供たちも喜んでいましたし構いませんよ」

「お姉ちゃん、またいつでも泊まりに来ていいよ!」

 

 

 彼女にお土産として温めるだけで食べれる料理を紙袋で手渡し、迎えに来たタクシーに荷物を詰め込むと影が小さくなるまで手を振り続けた

 

「ところで冬休みの宿題は終わってる?」

「そんなものあったかな?」

 

 視線を明後日の方に向けて夏でもないのに、額からダラダラと特大の汗を垂れ流すルビーは、始業式が始まる直前まで机に齧りついて宿題を片付けるのであった。なお5分で書いた「お年玉」の書き初めは学年で銀賞の受けていた

 

 

 

 

 

「いらっしゃい」

 

 双子たちが進級しアルアインが皐月賞を制した頃だった。狡嚙が営む喫茶店に馴染みの2人がやってきた。彼等はカウンター席に座り

 

 

「俺はコーヒーで」

「大輝君にはいつもの砂糖たっぷりのココアだね」

「プリンも」

「了解!」

 

 注文を終えて作業に取り掛かる。髭を蓄えた大人の男性は金田一敏郎と言い、ララライと呼ばれる劇団の主催者である。そして彼の隣に座る少年が上原大輝で双子たちの4歳上になる。名字で分かるように2人の血は繋がっていない。大輝の両親が揃って他界してしまい孤独の身になってしまった彼を付き合いのある金田一が引き取って育てている

 

 

「おじさんアクアたちは?」

「おじさんって金田一さんより年下だぞ俺は」

「俺から見れば大人は『おじさん』だもん」

 

 気兼ねなく話してくるが初めて店に来た頃は人生に悲観したような顔で、この世の不幸を全て背負っているように見えたが、アクアとルビーと接することで次第に明るくなり2人のお兄ちゃんとして背中をみせているが天然ボケでポンコツである

 

 

「アクアは図書館、ルビーは友達のところに遊びに行ったぞ」

「つまんないの」

 

 ふてくされた顔をするが、目の前に注文された2つが届くと目を輝かせてスプーンを握った。

 

 

「しかしお前は凄いよな」

「なにがですか?」

 

 コーヒーをすする金田一が狡嚙の方を見ながら感想を口にする

 

「俺より全然若いのに店をやりながら双子を育てるなんて、こっちは大輝だけでも大変なのに、どんな育児方針なんだ?」

「別に何もしてないよ、2人が向かってくるのを全力で受け止めているだけさ」

「達観しているな」

 

 自分も淹れたコーヒーに口をつけ彼の質問に答える。狡嚙は転生前の世界では独身だったが年の離れた妹がいたことで育児に関しての知識は持ち合わせている。無論アクアたちが聞き分けのよい子供であることも要因の1つだが、同じ目線で考え褒めて伸ばすことを心情にしている。もちろん危険なことをしたときには叱っているが謝れば許している

 

 

「なぁカミキは…」

「亡くなる前に来たよ、少し話して出て行ったけどな」

「そうか」

「おじさん新しい手品教えてよ!施設のみんなに見せるんだ」

 

 

 彼のことを知らない大輝は口周りを汚しながら狡嚙にねだり、大人の2人はカミキの話題を口にするのを止めた。子供の前で亡くなった彼を憂うのはやめて前を向くべきだと思うのであった。

 

 

「ご覧ください500円玉が千円札を貫通してます」

「マジで貫通させる奴がいるか‼」

 

 

 

 

 

 

 ルビーが早退して帰ってきた。彼女は店の扉を乱暴に開けると一目散に2階へ駆け上がっていき部屋に閉じこもってしまった。店内にいた狡嚙と吉祥寺は顔を見合わせて目が点になっていた。彼女がルビーの話を聞くために2階へ上がる頃、スマホの着信音が鳴りディスプレイには学校と記されていた

 

 

『ルビーちゃんのお父さんでしょうか?』

「えぇ!娘が今さっき帰ってきましたが何があったんですか」

 

 電話の声はルビーのクラスを受け持つ先生で、まだ20代半ばで今年度から双子たちのいる学校へ赴任してきた女性である。

 

『実は…』

 

 歯切れの悪い声に狡嚙は嫌な予感しかしなかった

 

 

「ママが居ないのは『私を捨てて男と逃げた』って!」

「酷い、なんでそんなことを」

 

 

 きっかけは些細な口喧嘩から始まった。体育の授業終わりに全員で後片付けをするのだが、勝手に帰る女子生徒を注意したら反論され、売り言葉に買い言葉となり彼女が口にした上記のことを言い放ち『捨て子!捨て子‼』の大連呼でルビーが逃げてしまったのである。もちろんだが双子たちが捨てられていたのは周囲には知られていない、首謀者はドラマで放送された”父子家庭の子供は母親が浮気して逃げた”ということを鵜呑みにしてしまった

 

 

 

『向こうの親御さんからも謝罪したい旨の連絡がありまして』

「親が謝ったからと言って娘の傷は癒えません、なんで止めなかったんですか」

 

 狡噛の持つスマホはギチギチと音を立てて今にも握り潰しそうな状態である。しかし電話口の先生は初めての経験に言葉が出ず、しどろもどろになってしまい答えを出すことが出来なかった

 

 

 2階から降りてきた吉祥寺は電話で語られたことと同様の話を狡嚙に伝え、父親としてルビーの傍にいてほしいと口にした。結局のところ晩御飯の時間になっても部屋から出て来ることはなく、アクアも説得に向かったが成果0だった。

 

「ごめん父さん」

「大丈夫だ!俺は2人のパパだから」

 

 

 

 アクアを部屋に向かわせた狡嚙は息子に睡眠魔法を施し、朝まで起こさないようにさせるとルビーの部屋の前に立って

 

 

「ルビーちゃん、久しぶりに夜の散歩に行こうか?」

 

 その言葉に反応したのかドアをゆっくり開けて、父親の顔を見上げる娘の顔は昔のように弱々しく見えてしまった。

 

 

「どこに行きたい?」

「パパの好きなところ」

 

 箒を2人乗りする親娘は夜空を飛びながら行き先を検討していた。娘の答えに困った狡嚙は限界まで高く飛ぶと満月の大きさを直視できるところで静止した

 

 

「辛かったね」

「分かっているんだよ、アイツが言ってることが嘘だってことは…でもあんな風に言われて、捨て子って言われて」

 

 泣き出しそうになるルビーを抱き寄せて頭を撫でる

 

「パパは私やアクアの傍にずっと居てくれるよね?」

「もちろん!2人が大人になって誰かと結婚しても、店で2人の帰りを待っているよ」

「ありがとう」

 

 答えを聞いて笑顔になるルビーに父は1つ提案を持ちかける。その顔は明らかに悪い顔であることを娘は知っていた。

 

 

 

 

 

「あれ?ここは?って、なんで空を飛んでるの?」

 

 ルビーを罵った首謀者は目を覚ますと自分が上空で静止していることを理解した。当人は夢を見ているのだと思い太ももを抓るが痛みを感じてしまう。夢じゃない現実ということを悟り周囲を見渡すと

 

 

「お主がルビーを虐めた小娘か?」

 

 彼女が視線を上に向けると、金髪でグラビアアイドルのように胸が大きく扇情的な恰好をした女性が自分の前にいたが、しかしそれは人ではなかった。頭部からは2本の角が生えているのが分かり、背中にはコウモリのような羽が大きく展開していた

 

 

「だれなの?それになんで私は?」

「誰が口を開けてよいと許可をした?雑種」

 

 その威圧感にたじろいでしまい両手を口に当てて声を出さないように保護をした

 

 

「なぜルビーのことを罵った?」

「それはアイツが」

口を開けるな下衆が!

 

 理不尽の極みである。答えようとしているのに声を出すな!は矛盾している。手で口を塞ぐ女の子の目には涙が溢れている。どうして自分はこんなところで怒られているのか分からない

 

 

「全て見ておった。貴様が片付けをサボり注意したルビーを虐める様子を全て見ていた。娘は我が種族の姫である。王家の姫を侮辱した罪を味わってもらわねば民に示しがつかない」

 

 胸をゆらし全てを貫く冷たい瞳は、彼女を睨みつけ金縛りように動かなくさせてしまう

 

「だってアイツは」

「3回目だ!聞き分けのない小娘には躾が必要だな」

 

 彼女は平手で頬を3発叩き、少女の顔を真っ赤に腫れあがらせる。涙目の少女は恐怖でパジャマの下半身をアンモニアで汚してしまっているが気付いていない

 

 

「お前に1つ呪いを施した。呪いが発動すると全身の骨が粉々に砕け全身に強い痛みを生じさせる優しいものだが、いつ発動するのか私にも分からない。明日かもしれないし明後日かもしれぬ」

「どうしたら」

 

 再び平手打ちで頬を叩かれる女の子に彼女は笑みをこぼし

 

「分かっているのではないか?貴様がやることは1つしかない!我々は見ておるからな」

 

 

 大きな羽を動かして上昇すると彼女は紅く輝く月に向かって飛んでいってしまった。その瞬間に女の子の意識はブラックアウトしてしまい、自室に戻されてしまった。

 

 

 

「パパ見てた?私の演技凄いでしょ」

「あぁ、惚れぼれするほどに」

 

 少し離れた場所でハイタッチする狡噛と彼女だが、この女性はルビーである。変身魔法で彼女を大人の姿にさせると『ヴァンパイア』シリーズに登場する『モリガン』をイメージしたビジュアルに再度変身させ、ルビーに浮遊魔法を施すと自身は透明になって娘の演出をアシストしていった。複数の魔法を並列させて発動させるのは至難の業で、いつも以上に疲れているが娘の喜ぶ顔を見れば疲れなんて吹っ飛んでしまう

 

 

「これが私の成長した姿なんだ!胸も大きいな」

「あくまで可能性1つだな、完全一致という訳じゃない」

「ねぇ綺麗?」

「親子じゃなかったらプロポーズしたいぐらいだ」

 

 その言葉にルビーは大人状態まま抱き着いて豊満な胸を父親に押し付けるのであった。

 

 

「ねぇママってどうしているのかな?」

「さぁ生きているのかな?」

「神の味噌汁ってやつだね」

「神のみぞ知るだ!」

 

 2人で手を繋ぎ家路に向かう。ルビーとアクアには母親は居ないが2人のことを大切に想う父親が近くにいる。父は子供たちの為なら火の中・水の中、どこへでも駆けつける。双子の笑顔を守るため狡嚙は明日も頑張るのであった。




『今ガチ』編の構想は固まっているんですが、その前に有馬ちゃんをどうしようか考え中です。今まで自分の作品の中では彼女を救済してきましたが、今回もそれでいいのか迷ってます。(決まらなかったらアンケートにします)


感想を書いていただき誠にありがとうございます。執筆意欲の向上に繋がります

次回作を作る時に途中まで原作と同じ流れだったら、すっとばしても良い?

  • OK 原作を知ってるから問題無い
  • NG やっぱり最初から全部読みたい
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