【完結】転生した魔法使いが金髪の双子を育てる   作:大気圏突破

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作者が年齢設定を適当にしているせいか、年代を逆算するのが面倒くさい(特に斉藤夫婦やアビ子関連)2期の時点で東ブレが14巻ってことは少なくともアビ子は18歳で連載を持っていることになるし、アシスタントをやっていたのを1年間とすると在学中になる。14巻で5000万部ってエグイね


パパは頑張り屋さん

 双子たちは5年生になり体つきも段々と大人への階段を上るようになってきた。ルビーにとって近くに頼れる同性の相談相手がいることで身体に関する不安を吐露することが出来てメンタルも安定し、休みの日は2人で買い物に出向き初めてブラジャーを購入した。そして吉祥寺は自身の連載作品である『今日は甘口で』がアニメ化し、狡嚙家で盛大に祝った!

 

 

「先生、もう1杯どうぞ」

「ありがとうございます。ですが…」

 

 純米大吟醸をコップに注ぐと、彼女は顔を真っ赤にして酒瓶をひったくりラッパ飲みを披露する。瞬く間に中身は空となりお代わりを要求する姿をみた狡噛は冷や汗をかきながら対応を続けている。

 

 

「俺の顔をじっと見てどうしたの?」

「目に星があるのが気になって」

 

 ルビーは既に夢の世界に旅立ち、アクアの隣には今年度から吉祥寺のアシスタントを務める女の子が座っていた。ボサボサ頭の癖毛で背は小学生のアクアより小さい、しかし才能の塊でアシスタントの身でありながら投稿した作品が佳作に選ばれている。本来なら即デビューを考えるところだが独学を貫いてきた部分があるので、まずは基礎を学ぶ為に吉祥寺の下でアシスタントを務めることになった

 

 

「触ってみてもいいですか?」

「裸眼を直に触るつもりか」

 

 若干語気に怒りを伴い拒絶の意志を示しているが

 

「減るもんじゃないですし良いじゃないですか」

「じゃあ俺はそっちの目を触るぞ」

「やめてください漫画家にとって目は命より大切な商売道具なんです。それを触るだなんて非常識じゃないですか」

 

 アクアにとって話の通じない人間との会話が1番の苦痛である。キャッチボールなのに相手は160キロの高速ナックルを投げ込んでくるので会話にならない

 

 

「マスタ~~聞いてくださいよ、実家の母が『孫の顔は期待してない』って、私が結婚出来ないとおもって~~~、きいて~ます~~~?」

「あかん飲ませすぎた」

 

 この師匠にこの弟子である。波長が合う存在なら同じ空間にいても仲違いすることはない、翌日アクアとアシスタントの女の子は同じ布団で目を覚まし、二日酔いで顔を真っ青にさせる吉祥寺に味噌汁を作る狡噛であった。

 

「このケダモノぉぉ」

「誰が襲うか!」

 

 

 

 

 

 タイトルホルダーが連覇を狙った春の天皇賞、4コーナー手前で失速し京都競馬場にどよめきが起こりジャスティンパレスが制覇した春、中学の制服に身を包む2人をスーツ姿の狡嚙がカメラで収めている。波乱はあったが双子たちが無事に成長してくれたことに涙を流しつつ自分の年齢が転生前に近づいていた。

 

「アビ子ちゃんが週ジャンで連載するんだ」

「えぇ『東京ブレイド』という作品で、それぞれのクラスタに属する鬼たちが21本の刀を巡って争う内容でして」

「刀に能力があって駆使して戦うと」

「なんで知っているんですか?」

「ありがちな展開かなって」

 

 

 店内では狡嚙と吉祥寺が世間話をしながら近況を口にしていた。彼女のアシスタントだった鮫島アビ子は開花した才能を伸ばし、1年もしないうちに商業デビューとなった。

 

 

「弟子が巣立っていくのは嬉しいのですが、今までそこに居るのが当たりだったのに消えてしまうのが寂しくて」

「指導者や上に立つ人の定めですからね」

「マスターもアクア君たちが結婚して店から離れていったら寂しいですよね?」

 

 その問い掛けに狡嚙は昔ルビーに話したように

 

「親に甘えたいときや頼りたいときもある。いつでも帰ってこれるように店を開けて待ってますよ!ここは2人の帰る場所ですから」

「仲が良いですね」

 

 少し温くなった紅茶のカップに口をつけると吉祥寺は彼を見つめ

 

 

「実はマスターに1つ頼みがありまして」

「なんですか?」

「アビ子先生のことをフォローしてほしいんです」

「はい…?」

 

 彼女の言葉に狡嚙は頭にクエスチョンマークを複数作り出した。”フォローしてほしい”SNSのアカウントのことか?それを頼むっていったい?

 

 

「すいません言葉足らずで、生活の世話というか見回りというべきか」

「家事が全く出来ない?」

 

 その答えに彼女は恥ずかしそうに頷き深く息を吐いてしまった。それはアビ子がアシスタント時代の頃で夜食作りを頼んだらキッチンで火災報知器が発動するレベルの煙を発生させたり、炊飯器に入れる水の量が適当でカリカリorお粥になってしまい食べれる代物ではなかった。1度彼女の住む部屋にも行ったことがあるが、風呂場の浴槽に脱ぎっぱなしの服や下着が入っていた。

 

 

「よく親も一人暮らしを許しましたね」

「どうやら『上手くやってる』と言ってるみたいで」

「それを『上手い』と言ってしまったら、この世からゴミ屋敷は存在しなくなりますな」

 

 狡嚙の指摘に顔を下に向ける吉祥寺だったが

 

 

「それならアビ子ちゃんがHELPのサインを先生に出したら、アクアに料理を持たせて向かわせます。あの2人は猫とネズミのアニメじゃありませんが、波長は似ていますし」

「本当にすいません。頼れる人がマスターだけで」

「アビ子ちゃんも幸せ者ですね。師匠が優しくて巣立った後も気にかけてくれるなんて」

 

 

 なお学校から帰ってきたアクアにこの話をしたら露骨に嫌な顔を披露し、1回のアルバイト代として20000円を要求してきた。中1のバイト代としては高く交渉を重ねた結果、13000円をバイト代で5000円を移動費として決着した。この3日後に初出勤したが

 

「部屋が汚すぎる。バイト代を上げてほしい」

 

 と言ってきたが男の約束で決めたことは譲れない父である

 

 

 

 

 

「あそこに…しよう」

 

 くたびれてボロボロになったジャケットを着た金髪の中年男性は、明かりのついている店を見つけると傷だらけの革靴で足を引きずりながら歩いていく、それはまるで街灯に群がる羽虫のように見えた

 

 

「ねぇパパの幸せって何?」

「どうした急に」

 

 狡嚙はノートパソコンのディスプレイから娘の方に視線を向けた

 

「なんとなくかな?今まで聞いたことがなくて」

「父さんって自分のことをあまり語らないよね?」

 

 子供たちの問い掛けに彼は考えこんでしまう。この世界に転生して約14年が経過した。最初は全国各地の競馬場を巡る旅をしていたが途中で捨てられたアクアとルビーを発見し、2人の親になると肩書き欲しさもあるが喫茶店のマスターとなり毎日を楽しく過ごしている。だから『今が幸せ』であり『これからも幸せ』でありたいと願っている

 

 

「2人が無事に育って、それぞれの幸せを見つけてくれれば俺は嬉しいんだよ」

「え~結婚とか考えないの」

「奥さんよりも子供が先に出来ちゃったからな」

 

 ルビーの質問に笑いながら答えると店のドアが開いた

 

 

 

「表の看板が見えなかった?もう閉店だけど」

 

 この店は狡嚙の気分次第で閉店時間が変わってしまう。30分早い時もあるし1時間長く開いている場合もある。今日は定刻通りに閉めたのだが無法者がいたようだ

 

 

「頼む、何でもいいんだ!」

 

 入ってきた男は深々と頭を下げて懇願している。ボロボロのジャケットに穴だらけのズボンと傷だらけの靴を見て、少なくともまともな職に就いているようには見えなかった。

 

 

「おいっ‼アンタ」

 

 アクアが立ち上がり追い返そうとするが父が手かざして止めた

 

「簡単なモノならすぐに出すが食ったら早く帰ってくれないか?」

「あぁ構わない」

 

 

 その言葉を聞いた狡噛は、厨房に立って乾麺を茹でながらコンビニで売っている冷凍野菜を取り出すとケチャップと茹で上がった麺をフライパンの中に入れてナポリタンを作っていくが、来店した男はずっとルビーの方に視線を向けていた

 

 

「あいよっ」

 

 テーブルに置かれたナポリタンからは湯気が立ち、ケチャップの香りが鼻孔の中に迫ってくる。男はフォークで麺を巻き取ると貪るように食べ始めた

 

 

「父さん」

「みなまで言うな、力づくで追い返して変なことをされるよりマシだ」

「パパ、あの人ずっと私のことを見ていてキモかったんだけど」

 

 娘の言葉に嫌な予感がした。もしかしてルビーをストーカーして店に辿り着いたのかもしれない。危害を加えるのなら全力で排除しようと思っていたら、男は食べ終わり両手をグーにして前に差し出してきた

 

 

「おいおい無銭飲食かよ」

「すいません!娑婆での最後にどうしても…」

「アクア110番を頼む、ルビーは2階に行っててくれ」

 

 父は子供たちに指示を出した。警察の聴取になると晩御飯を食べる時間が遅くなってしまうと思っていたら

 

 

「アクア?…ルビー?お前いま!この2人のことを…何て」

「おい!いきなりどうした?」

 

 男がいきなり動いてアクアの目の前に立つと肩を掴み

 

「その瞳と髪色、アクアなのか?アクアなんだな?俺だよオレ‼」

「なにすんだよ」

 

 肩にある手を引き剥がそうとするが男の握力は強く、痛みでアクアの顔が歪んでしまうが後ろにいた父が無理やり引っ張り息子から遠ざけ、男を蹴り飛ばした

 

 

「俺の息子に何をしている。無銭飲食以外の罪状も追加するか?」

「アクア‼ルビー思い出してくれ、俺だ‼斉藤だ、苺プロの斉藤壱護だっ!」

 

 その言葉を耳にした瞬間、その場にいた狡噛家の3人は時が止まったように動けなくなってしまった。

 

 

 

「奥さんが事務所の金を持って逃げ、星野アイが残してあった現金を持ち去ってしまい資金を失った事務所は倒産し、所属していたB小町の他メンバーも消えていった」

「その通りです」

 

 店の床に正座する無法者は、アクアとルビーの母親である星野アイが所属していた事務所の社長だった。倒産した後に妻であるミヤコと双子を連れたアイを探していたが共に見つからず、所持金を殆ど持っていなかったので日雇い仕事で食いつないでいたが、年齢を理由に断られてしまうことが多くなり、ここに来たときは絶食4日目だった

 

 

「ムショに入る為に無銭飲食ねぇ」

「もう俺にはこれしか、すいませんでした」

 

 額を床に擦りつけて土下座をする壱護に追い打ちをかけるように語気を強めながら

 

「双子の世話を不慣れな奥さんに丸投げして星野アイを特別扱い、そりゃ不満も溜まる。その前になんで隠していたんだ?未成年が子供を身籠った時点でアイドルを辞めさせれば最悪の事態になることはなかった。アンタは全て選択肢を間違えたんだ」

「だがアイには可能性が」

赤ちゃんだった2人を段ボールに放置する母親に可能性もクソもねぇ!

 

 

 父の怒った姿を見るのは初めてのことだった。イタズラをして怒られた時もあったが比べ物にならないレベルで唾を飛ばしているシーンを見て困惑するが、自分たちの為に壱護を断罪する姿に胸が熱くなる

 

 

「この2人は星野アイの息子と娘じゃない!俺の大事な子供の狡嚙アクアと狡嚙ルビーなんだ」

「父さん」「パパ」

 

 その宣言は2人とって嬉しい言葉であり、星野アイに対する決別の意味が込められている

 

 

「2人共、俺はこのオッサンを警察署に叩き込んでくるから先に晩御飯を食べててくれ、聴取で帰って来るのが遅くなると思う」

「パパが帰ってくるまで待ってるから一緒に食べよう」

 

 娘の言葉を聞いてニッコリと笑った彼は床に座る壱護を無理やり立たせて、店外へ出て行ってしまった。

 

 

 

 

「オッサン、1つ頼みを聞いてくれるなら警察には行かずに金を渡す」

「えっ?」

 

 店から遠く離れた公園のベンチに壱護を座らせた彼は、見えないようにアイテムボックスの中から100万円の束を2つ出した。

 

「星野アイの行方を追ってくれ、これはその活動資金だ!」

「そんな、俺が持ち逃げするかもしれないぞ」

「別に構わない!それなら二度と”アクアたちの前に現れるな”という手切れ金にすればいい」

 

 

 結局のところ壱護は彼の頼みを聞き入れることにした。なお通信手段を持っていなかったので、偽名を使って郵送で店に送るように伝えた。

 

 

「人の死は望むものではないが」

 

 壱護と別れた狡噛は、時間を潰すように遠回りしながら独り言を口にする。今の2人に星野アイは必要無い、だからこそ生死の確認が必須になる。夜空に流れる星は彼の願いを叶えるだろうか?

 

 

 

 




アビ子先生と壱護の登場でした。

壱護はいつ登場させるか迷いました。陰の協力者として今後関わってくると思います


感想を書いていただき誠にありがとうございます

次回作を作る時に途中まで原作と同じ流れだったら、すっとばしても良い?

  • OK 原作を知ってるから問題無い
  • NG やっぱり最初から全部読みたい
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