絶対もらいに行きます
感想、評価モチベになるのでよろしくお願いします
刻々と色を濃くしていく夕日は
影を伸ばし、室内を橙に染め上げる
ふと窓から下の通りを見下ろすと
仕事終わりのサラリーマンたちが
自分の家族の待つ家に向かっている
マキマは書類の上を走るボールペンを止め
コトリと邪魔にならない机の端に置いた
ふとした時頭の中に浮かぶのは
地獄のヒーローチェンソーマン
支配の悪魔である彼女にとって
他者との対等な関係を築くことは
自らの悪魔としての性が妨げになり
叶うことのない夢のまた夢だった
しかし唯一チェンソーマンだけが
彼女と対等になり得る存在であり、
その特異な力を用いることができれば
『死』 『飢餓』 『戦争』
の存在を消し去り
人類を自らと対等な存在へと変えることができる
弱っていたチェンソーマンを保護し、
利用するために水面下で様々な策略を巡らせ
いざ、保護するという時に
彼は人間と契約してその人間の
心臓へと変わってしまった
その際の契約により迂闊に手を出せなくなったため
その青年を保護という名目で
監視下に入れることに成功した
ただ契約の穴を突いて破棄させて
チェンソーマンに会うことは
簡単だがその青年についてきた
『龍の悪魔』
が大きな障害となるのが目に見えている
地獄にいた際一度チェンソーマンを支配しようと
3人の姉たち、武器人間とで一度戦いを
挑んだことがあった
体を切り刻まれても
体を潰されても
体を吹き飛ばされても
心臓のエンジンを吹かして立ち上がってくる
チェンソーマンも流石に数の力と超越者に近しい
力を持つ私たちには厳しいものがあったのか
あと一歩というところまで追い詰めた
その瞬間に赫い
チェンソーマンとの間に割り込むようにして
墜ちてきた龍は
「大人数で寄って集って気に入らない」
と私たちに牙を剥いた
たかが一匹増えたところでと私達は応戦したが
死の悪魔の力で死んだとしても
再び動きだし復活を遂げる
永遠に脈動を続ける心臓
飢餓の悪魔ですら吸い尽くすことのできない生命力
戦争の悪魔の銃の悪魔の力でさえ
傷つけることができない
心臓を守る体を覆う堅牢な堅殻と鱗
尽きることのない無尽蔵の体力と
無限にも思える多様な眷属達の力を用いた攻撃が私達を襲った
勿論私の支配が効くはずもなく、武器人間は手も足も出ず
私達も大幅に削られた
一番酷かったのは戦争の悪魔で復活したチェンソーマンに体の一部を喰われたせいで本来の力の半分以下にまで弱体化してしまった
私も数え切れないほどの命のストックの殆どを殺し尽くされ本体へのダメージを肩代わりが厳しくなるほどになった
死の悪魔はいつの間にかいなくなっていたし
飢餓の悪魔はどこかに怯えて逃げていった
超越者を除けば個人戦力として最強格なのは間違いないだろう
しかし現世に来てから駒を増やすことに尽力し最近になってやっと使える駒も増えてきた
奴に気づかれる前に動くのが一番だ
だがまだその時ではない
奴の力をしっかりと見極めてから行動に移すことが吉だろう
日が沈みきって暗くなった部屋の中
冷めきったコーヒーを一口
「ふふ、今度こそ私のものにしてあげますからね」
その言葉は誰にも聞かれることなく
部屋の隅へと消えていった
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「どーしたんだろうなー」
「まああの人のことだから家に帰って呑んで
二日酔いかなんかで遅れてるだけだろ
実際のところかなり急だったしな」
呟いた独り言に早川が反応した
ウチで飯食って帰ったあとから
姫野の姿を今の今まで見てない
今朝の集合時間は早かったけど遅刻するほどでもない
つまり、何かがあったのは事実だ
だけど1人がいないってだけで今日は延期できない
今日の空は不安を表すみたいに
一応晴れてるけど薄暗い
ここは先日の襲撃犯達が立て籠もってるビルの
前の即席で作られた対策本部
俺等の他にも見たことない魔人と
お偉いさん達が定刻を待っている
突入15分前になっても姫野は来なかった
作戦もクソもないらしく
ただ特異4課を突入させて制圧するだけだ
特異4課といっても襲撃で生き残ったの奴らが
強制的に入れられただけだから
公安の全勢力VSヤクザどもって感じだ
特にすることもなくデンジ達と駄弁ってると
マキマが話し出した
一応上司だから聞いておく
「間もなく定刻です
事前に伝えた通り
早川アキ、早川デンジ、早川タツト、パワー
の4名は建物内に突入して制圧
その他の魔人達は地下のゾンビの対処
退魔2課と警察の方々は
地下からの出口と1階入り口の封鎖
という振り分けです、
それぞれ職務を全うしてください」
その言葉を皮切りに各自配置についた
俺達は正面の入り口の前で待っている
ビルの中には見える限りには人の姿は見えなかった
「もう行っていいかァ?まだか??もういいよな!?」
「中の奴らは皆殺しじゃあ!!」
口々に喚き散らしながら待つ姿はさながら
餌を前に「待て」と言われた犬たちだ
「まだだ、合図を待て」
俺らが犬なら早川は
リードを握ってる飼い主の様だ
マキマがそれぞれに確認を取って
合図を出す
「それでは開…」
「隠れてねぇで出てこいやぁ!!」
「皆殺しじゃあ!血祭りじゃあ!!」
いい終わるを待たずに
入口のガラスを蹴破って突入した
「ハァ、あいつら後で説教だな
すいませんマキマさん」
早川も続いた
その右目には何かの気配がした
バリケードにするためか机たちは
乱雑に横向きに倒され、元々机においてあったであろう何かの資料は
最近散り始めた桜の花びらに似て床に散らばっていた
表向きは建築会社の本社ビルとして使われていたのか公安の一階ロビーと
同じくらいに統一感あるデザインだ
机達を踏み越え正面のエレベータに向かう
踏みつけられた書類達には4人の足跡が承認印のように押されていた
真っ先にエレベータの前に向かった
デンジは自信満々に
「悪い奴ってのは大体上にいるって
テレビで見たから知ってるぜ」
「いやぁ?俺は下だと思うけどなぁ」
タツトは下ボタンを押した
デンジは納得いかないというふうに
「じゃあタツ兄勝負な
あのモミアゲマンかヘビ女
先にタイホしたほうが勝ちだ!!」
「イイぜ負けたヤツが今日のトイレ掃除な
モチロンお前らもやるよな?」
後から到着した早川とパワーも巻き込む
「くだらないこと言ってないで集中しろ
いつ何が起こるかわからないんだ」
嗜める早川を無視して
「ぜってぇ下だね!!」
「だから上だって!!
テレビが嘘言ってわけないだろ!」
段々ボルテージが上がってきた
襲撃犯の拠点の中だというのに
あまりの緊張感のなさに青筋をたてて
早川が怒鳴った
「うるせぇ!」
「ワシも上じゃ!」
静かになるはずがパワーも参戦したことで
もっとやかましくなった
早川はヒートアップする口喧嘩にげんなりとしている
チーン
エレベータがやってきた
「お先っ!」
開きかけのドアに素早く体をねじ込んで
下ボタンを押した
「ぁっ待て!俺らが先だぞタツ兄ィ!」
呆気に取られて動けなかったデンジを置いて
先にエレベータに乗り込んだ
無言で閉じるボタンを連打した
「さいなら〜」
エレベータは下に動き出した
タツトさん昔にチェンソーマン助けたことがあるけど本人は気まぐれだったから覚えてない