戦闘描写ってむずくないですか?
デンジの隣に降り立ったタツトは
改めて悪魔の姿を見た
名状し難いグロテスクな見た目をしたそれは
人間が溶けて混ざりあってまた固まったような
見た目をしていた
「キモチワリー見た目してんなぁ!」
そう叫びながら拳で殴る
しかし思ってたより柔らかく
しなって跳ね返された
「アレぁ!?」
「タツ兄ィ!殴っても効かねぇよ!」
「早く言えやぁ!!」
四方八方から伸ばされる腕をかわしつつ
後ろに跳び距離をとる
後ろの竜はまだうっとおしそうに
頭を動かすだけで目覚める気配はない
デンジは両腕のチェンソーを振り回して
群がる肉を切り裂いてる
そのたんびに悪魔から苦痛の声が上がる
しかしデンジも血がなくなってきたみてぇで
両腕のチェンソーは引っ込んだ
だけど悪魔は無限に増えてきてる…
どーしたもんか
「悪魔が恐れるデビルハンターはなあ…
頭のネジがぶっ飛んでるやつだ」
私の師匠の岸部さんが言う
私はその言葉に反応せず
遺体のない墓に花を供える
デビルハンターという職業柄
五体満足で遺体が残るほうが珍しい
ほとんどが悪魔に食われて
遺体そのものがなかったり
一部が欠損しているものばかりだ
いま花を供えた元バディの墓には
何も埋まっていない
それもそのはず
元バディは目の前で悪魔に食われた
その前はダルマにされた
その前は頭と両手片足を潰された
死ぬ直前の元バディの顔が
未だに脳裏にこびりついている
視界が霞みだした私を現実に引き戻すように
岸部さんは続ける
「まともなやつは悪魔の攻撃を怖がっちまう
恐怖が悪魔の力になるからな」
「まぁ、日々の積み重ねがネジを緩めるんだ
毎月バディの墓参りに来てるようじゃ
ネジは硬いままだぞ」
何も言えない私を見て師匠は
フーッっと溜息をついた
「俺は帰る
アキはまだまだザコだから鍛えとけ」
「…ゆっくりやりますよ」
絞り出すように答える
「ゆっくりじゃダメだ
アキの野郎本気で肉片集めてるだろ?
アイツぁそのうち銃野郎に辿り着くぞ」
体の動きが止まる
考えないようにしていたことを
無理やり考えさせられる
こんな状況で頭が働くわけがない
自分から短い呼吸音と
去っていく岸部さんの足音が
微かな音を立てていた
「嫌だ…
嫌だ嫌だ嫌だ」
籍を切ったように言葉があふれる
アキ君には死んで欲しくない
銃の悪魔と戦ったら絶対にアキ君は殺される
実力不足だからでもない
相手が一瞬で何百人も殺せる悪魔だからでもない
だって…だってアキ君は
かっこよくて真面目で優しくて
みんなみたいに普通の人だから
だから生きてほしい
復讐なんて忘れて普通に平和に生活してほしい
その生活に私も一緒だったらなんて…
そんなことは叶うはずないのに
でも……
「「ひらめいたぜ〜…」ちまったぜ〜!」
「テメエが俺に切られて血ィ流して!
俺がテメエの血ィ飲んで回復…!」
「無限に増えるっつうことはょぉ!
無限に喰えるっつうことだぁ!」
「永久機関が完成ししちまったなァァ〜!!」
「ノーベル賞は俺達んモンだぜぇ〜!!」
この2人なら…
最高にネジがぶっ飛んでるこの2人なら
銃野郎を殺せるかもしれない
タツトの口が首元まで大きく割ける
口の中には鋭利な牙が並んでいる
顎には無数の棘
その口はあらゆるものを捕食せんと
涎が溢れ出している
まさに貪食、恐暴、悪食
『恐暴竜』それは過剰なまでに食糧を追い求める
捕食対象はありとあらゆるものであり
目に映るもの全てを喰らい尽くす
また、龍エネルギーの精製機関があり
蓄えられたエネルギーを解放し
攻撃することもある
伸ばされた無数の手を引きちぎり
口元に運び咀嚼する
蠢いている肉片に飛び込み齧り取る
その度龍エネルギーが蓄積されていく
目に付いた肉片の顔に大口を開けて齧り付く
一口一口ごとに肉を切り裂く
ボリボリと骨を砕く
顔が悲鳴を上げるが気にしない
無数の顔が襲いかかってくるが右手で受け止める
残りは横から纏めてかぶりつく
「まだまだ喰い足りねぇなアア!!」
地面に広がる悪魔を顎の棘で
掘り返しながら喰らいつく
デンジの方も傷を負う度に悪魔の血肉を啜り
「完〜治!!」
チェンソーをふかして立ち上がり続ける
竜はうっとおしそうに尻尾を振り回している
更に苛烈になる悪魔からの攻撃をいなしつつ
咀嚼を続ける
「ゲェッッッップ!!」
タツトの口から
溜まった龍エネルギーが
ビームのように放出される
それは赤黒く染まっていて美しくも禍々しい
たった数秒ほどの間放たれたそれは
悪魔の体の一部から生命力を枯らし
黒く変色させた
「いイ加減くたバれ!!」
悪魔の攻撃が変化する
今までの無差別攻撃とはうってかわり
肉を収縮させてから解放し
銃のように的確にこちらを狙うようになった
「ギャアッッ!」
急に速くなった攻撃に
対処しきれなくなったデンジは
なすすべも無くモロに食らう
タツトは冷静に避けつつ距離をとる
放たれた攻撃をかわす
ギリギリで避けつつ挑発する
「そんなんに当たるやつがいんのかァ?
遅すぎて当たんねぇなぁ〜!」
放たれた一撃はタツトに躱され
後ろで寝ている竜に直撃した
「わざわざ起こしてくれてあんがとなア!!」
頭部に強い衝撃を受けた竜は
体を起こし、周りを見渡した
睡眠を邪魔され
竜にとっては、はたかれる程度の攻撃だが
明らかに怒っていた
そこに立て続けに攻撃が飛ぶ
タツトは攻撃が竜に当たるように誘導する
うっとおしそうに体を動かすが攻撃は止まない
そして、放たれた攻撃が頭に直撃した
遂にその怒りが頂点に達した
竜は怒りの咆哮を挙げ、悪魔を敵と認識する
体中の血管が怒張し頭と翼が紅潮する
棘のある脚で地面を踏み鳴らし
悪魔へと突進した
その圧倒的な瞬発力から繰り出される突進は
50km/hを超える速度で
人間が食らえば跡形も残らないだろう
それだけでなく体中の棘が
フックのように引っかかりを作り
広い範囲を抉り取る
「ギャアアアアアアア!!」
悪魔は苦悶の声を上げる
そんな声を聞きながらタツト達も
態勢を立て直し攻勢に移る
タツト達の攻撃を止めようと悪魔は
数多の手、顔、口を動かそうとする
だが、それは叶わなかった
突進をもろに受けた悪魔は猛毒を浴びていた
体の内側から焼かれるような毒と
体の自由が利きにくくなる麻痺毒が
同時に襲いかかっていた
毒によって
悪魔の一部がグズグズに崩れている
竜は突進を繰り返す
タツトは喰らい続ける
デンジも切り刻み続けた
どれだけ経ったかわからない
デンジのチェンソーは引っ込みかけてるし
疲れてほとんど回ってない
竜に至っては怒りが収まったのかまた寝ている
未だ元気なのはタツトだけだ
苦し紛れにタツトに向けて飛ばされた肉片を
全て叩き落して空中に飛び立つ
「しゃあ!!」
薙ぎ払うように龍エネルギーを放出する
悪魔の殆どが黒く変色し動かなくなる
溶け落ちた悪魔の体の内側に
心臓のようなものが見えた
そこに向けて火炎ブレスを吐き出す
爆発音と共に炸裂した
「デンジィ!!」
「りょーかい!!」
露出したそれをデンジがチェンソーで切り刻んだ
「出れた……」
悪魔を殺した俺達は階段を降りて無事外に出れた
銃の悪魔の肉片を回収して欠けること無く7人で
戦い始めて1日と12時間後のことだ
デンジは疲れて寝ちまった
俺もさすがに疲れた…
なんてことはなく
「ラーメン食い行こうぜ!
今日は味噌食いてぇ!」
「どうなってんだ…、コイツは…」
「2日動き続けただけで疲れてるとか無いわぁ~
てかお前らずっと待ってただけだろぉ
なんでそんな疲れてんだよ」
「お前が…異常なだけだ…」
「えーじゃあ一人で行ってくるわ」
「待って私も行く、他に行く人は?」
姫野の問いに答えるやつはいない
「じゃあ残った3人で
アキ君とデンジ君を病院に運んで報告よろしく」
そう言いこっちに向き直る
「どこのラーメン屋にする?」
「まあいつもんトコでいいんじゃねえ?」
「ここからだと歩いていけるから行こ!
私お腹ペコペコなんだよね」
「へーい」
姫野の横に並んで歩き出した
残された5人はあんな事があった後に
普通にご飯を食べに行く2人に呆然としていた
歩き始めて5分ほどで店に着いた
まだ昼前だからか店内は空いていて
スムーズに席に座れた
「うーん」
あんなのの後に金があるわけなく
所持金は1000円のみ
「味噌で700円でェ餃子は250円だろぉ
大盛りでプラス120円だからぁ
でもチャーシューつけてぇし」
ブツブツブツ
「好きなもの頼みなよ
ここは私の奢りでいいや」
メニューを眺めてブツブツ
呪文唱えるように独り言を
言ってるが俺を見かねて姫野が声をかけてきた
「いやぁそれはわりい…ですよ」
「いいよいいよ好きなもの食べな」
「さすがに申し訳ねぇ…ですし」
「じゃあ私と同盟組んで」
「同盟ぃ…ですか?」
「私とアキ君がくっつくのに協力してよ」
「そんなんでいいのか…デスカ?」
「そう!だから敬語もナシ!」
「うーん… まぁいいか 乗った!」
ラーメン食えんならいいや腹減ったし
「じゃあ今日から先輩後輩じゃなくて友達ね!」
「オウ!よろしくなァ」
姫野が差し出した手を握る
「で、結局何食べるの?」
「味噌ラーメン大盛りにチャーシュー2つ、
餃子2皿とライスで!!」
「ハハッ食べるねぇ」
注文を終え、ラーメンを美味しく食べた
うーん味噌も悪くねぇな
_________
ホテルに閉じ込められてから5日後
きらびやかな繁華街にある
居酒屋の座敷席にいた
「新人歓迎会ぃ?」
「そうだ4課ほとんどが来るからお前も来い」
「えー」
ホテルにいた悪魔の一件から
しばらくしてから言われた
「今日の夜あるから予定空けとけよ」
「はァ?今日?」
早川は有無を言わせず連れて行く気らしい
「てか何で今言うんだよ」
「どうせお前予定ないだろ
家にいても寝るか食うしかしてないし」
まぁ予定なんて元からねぇけどさぁ
「もっと早く言えよぉ〜」
そんな事がありつつもなんやかんやで
歓迎会には参加してる
ラーメンはなくてもしゃあないケド
餃子あんなら参加する価値はあったな
『カンパーイ!!』
始まった歓迎会は思ってたより楽しい
メニューを見てたデンジは
何かを思い出してみてぇに
姫野に近づいて話してる
あっなんか嬉しそう
そうこうしているうちに
自己紹介する流れになった
デンジ、荒井、コベニときて次は俺の番になった
「俺ァタツト
歳は、えぇーと多分デンジより高いから20とか
趣味は食うのと寝るの」
「えぇ~タツト君ハタチなの?
飲め飲め!」
デンジにくっついてた姫野が
ジョッキを押し付けてくる
それを受け取り、一気に飲み干した
「プハァ!」
「ひゅー!いい飲みっぷり」
ゴトリとテーブルにジョッキをおいて
唐揚げを頬張った
それを脇目に早川は誰かと話してる
「早川さんのところは楽しそうですね」
「そんなことないですよ
ところで伏さんのところの新人は?」
「残念ですか昨日亡くなりました」
「そんな簡単に死ぬんですか…?」
荒井がおそるおそる聞く
「民間で無理だった悪魔が公安に任されるからな」
「まぁバンバン死んでくよね
私の同期ももう公安にいないし」
荒井もコベニも黙ってしまった
しんみりした雰囲気の中
居酒屋の入口がガラリとひらいた
支配がやってきた
早川の隣に座った支配は
とりあえずというふうジョッキを空けた
(この餃子うめェ!)
そんなことを気に留めず餃子にがっつく
(いつものラーメン屋の
野菜多めのしっとりしたのと違って
肉多め、油多めでパリッと焼かれてる
こっちも悪くねぇ!)
いつの間にか皿の餃子はなくなってた
周りのやつがいろいろ頼み出したから
餃子も頼んどく
気づくと早川と姫野は
空になったジョッキの中に突っ伏した
支配は何でもないように飲み続けてる
さっきまで突っ伏してた姫野が
デンジに近づいてキスをした
…と思った
キスだったらどれほど良かっただろう
ゲロだった
デンジの口の中にゲロを吐いた
「ギャハハハハハッ!」
デンジには悪いがさすがに面白い
笑えていたのは一瞬で
あることを思い出した俺は顔が青ざめていく
「ツッマズイっ!」
パワーも気づいたようだ
「マズイぞ!
これはマズイぞ!あ〜あ!」
「デンジにゃあ
"口に入れた栄養になるモノを飲み込む"
癖があるッ!ヤベェ!」
気づいた時には遅かった
喉仏が『ゴクン』と音を立てて
上下運動をした
「あっ」
誰が言ったのかもわからない
でも誰かが出そうとして
出した声じゃねぇのがわかる
口にゲロ吐くのもヤベェし
それを飲み込むのもヤバい
ヤベェやつとヤベェやつが出会って
起きた奇跡みてぇなもんだろう
でも今、眼前に広がる光景は現実だ
顔を真っ青を通り越して白くしたデンジが
トイレに駆け込んでいった
荒井が介抱しに行った
今回ばかりは感謝する
しばらくして死にそうな顔しながら
デンジは帰ってきた
そんなこんなで歓迎会はお開きになった
店の前で解散して家に帰る
デンジはいなかったけど
「まァ大丈夫だろ」
ゲロを食べるってマジで地獄です(経験者は語る)