龍とチェンソー   作:とある1人

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タツト君は誰とくっつくのがいいかなと考えたら姫野先輩かなと思いました。

 駄文です


6話 お出かけ以上デート未満

 

 柔らかな春の日差しを受けながら

 街路樹のある通りを特に行く当てもなく

 ぶらぶらと歩く

 

 時折香ってくる焼きたてのパンのにおいを

 辿ってみると住んでるアパートから

 かなり近いところでうまそうなパン屋があった

 

 「ベーカリー楠ねェ

  こんなところあったんかぁ」

 

 今日は仕事だらけの公安では珍しく一日休み

 家でゴロゴロつもりだったケド

 

 「たまには外に出ろ!」

 

 早川に追い出されてしぶしぶ家の外に出た

 仕事で出てるんだけどなぁ

 

 朝飯食べたばっかだが

 こうもいい匂いをさせている物を前に

 腹の虫が鳴いた

 

 カランカランと小気味よく扉のベルが鳴る

 鼻を通り抜ける焼いた小麦の香りは

 口の中のヨダレを増やした

 

 ぐるりと店内を見渡して

 目に付いた物を片っ端からトレイに乗せた

 

 「合計で1680円になります」

 

 少ぉしいい値段すっけどうまそうだからいいや

 

 「アザッス」

 

 店員から袋に入ったパンを受け取り店を出た

 手に持った袋をガサゴソと漁り

 一つ手にとってかぶりつく

 

 「うまァ!」

 

 サクッとした食感の後に甘さが口の中に広がった

 メロンパンというらしい

 ふと通りの反対側に目を向けると

 見たことのある眼帯をしている女と目が合った

 

 「ゲェ!」

 

 こちらを見た姫野は一目散に近づいてきた

 

 「タツト君じゃあーん

  こんなところで何してんのっ?」

 

 「早川に休みなんだから外出ろって追い出された」

 

 「で、それは?」

 

 俺の手に握られた袋を見ながら聞く

 ぜってぇわかってるだろと思いつつ

 

 「そこのパン屋で買ったやつ」

 

 「へぇ~パン屋なんてあったんだ」

 

 「そぉ、いる?」

 

 「えぇいいの?

  じゃあお言葉に甘えて、コレ!」

 

 そう言い姫野は袋からサンドイッチを発掘した

 

 切りそろえられた食パンに

 ベーコン、トマト、レタスが挟まれている

 この黄色は特製のソースか?

 シンプルだがうまそうなサンドイッチだ

 

 「朝ごはん食べたんだけど何か物足りなくてさ」

 

 と言いつつハムッと姫野は口に運んだ

 

 「おいしいねこれ

  私も後で買いに行こーっと」

 

 あっという間にに平らげた

 丁度いいタイミングだったから

 背を向けて歩こうとしたら

 

 「このあと暇?」

 

 「家でゴロゴロする予定があんだけど」

 

 「それって暇じゃん

  てか帰ってもアキ君に追い出されるでしょ」

 

 「アッそうじゃん

  えぇ〜どうすっかぁ」

 

 「じゃあさ買い物付き合ってよ」

 

 「え〜面倒くさ」

 

 「ついてきてくれたらキスしたげるよ」

  

 「そういうのに乗るのはデンジだけだぜ」

 

 「じゃあお昼ご飯奢っ」

 

 「行きます!!」

 

 「じゃあいこうか

  そのパンどうする?」

 

 まだまだ袋の中にはパンが残ってる

 

 「持って帰って食えばいいや」

 

 「そ、じゃあこっちだよ」

 

 姫野に連れられて通りを抜けていった

 

 _________

 

 「着いたよ〜」

 

 そう言ってタツト君の方を向く

 

 「へぇ結構デカイんだな」

 

 「こういう所来たことないの?」

 

 「おう」

 

 「へぇ~珍しいね

  はいこっちですよー」

 

 物珍しげなタツト君を連れて

 自動ドアを通り抜けショッピングモールに入った

 

 子供のように目を輝かせるタツト君の

 横顔をまじまじと見る

 

 うん、顔が良いなぁ

 

 最近入ってきたデンジ君も悪くないし

 アキ君は言わずもがな良い、でも

 

 薄い唇に鼻筋の通った主張しすぎない鼻

 パッチリとした奥二重の奥から覗く紅い瞳

 全体的にバランスの取れた顔に

 トドメの目尻の小さなホクロ

 

 いやイケメンすぎて

 

 おっといけない私にはアキ君がいるんだった

 まだ付き合ってないけどね

 

 あまりにもじっくり見すぎたようだ

 タツト君は視線に気づいて

 こっちを見て特徴的なギザ歯を見せて笑った

 

 ぎゃーその顔でその笑顔は反則でしょ!!

 そのギャップずるいずるい!

 

 顔では平静を装いつつ目的の店へと歩を進める

 

 「目的地はここでーす」

 

 着いたのはシンプルでお洒落かつ

 財布に優しいと話題の洋服屋

 間接照明が飾られている服を照らしていた

 

 「私が服着て見せるから感想おねがーい」

 

 「俺そういうの分かんねぇけどいいの?」

 

 「思った事をそのまま言ってくれればいいよー」

 

 何枚か服とズボンを手に持って試着室に向かった

 カーテンを閉めて着てきた服を脱いで着替える

 

 

 

 

 「これはどう?」

 

 「うーん…カワイイ!」

 

 

 

 「こっちは?」

 

 「美人!」

 

 

 

 「じゃあこれは?」

 

 「似合う!」

 

 そんな会話は5回ほど続いた

 

 「ありがとー参考になったよ」

 

 「お〜そりゃ良かった」

 

 「じゃあこれ、はい」

 

 「えっ?」

 

 タツト君に似合いそうな服をチョイスして渡した

 

 「いいから着てみて」

 

 「え〜俺もやんのぉ」

 

 「いいからいいから」

 

 渋々といった様子で試着室に向かっていった

 恐る恐る顔をのぞかせて出てきたタツト君は

 カーキ色のパーカーを着ていた

 

 「え〜めっちゃ似合うじゃん」

 

 「そ、そうかぁ?」

 

 照れた様子でポリポリと頬を掻いている

 

 (ぐぁぁぁぁ)

  

 その様子を見た私はまたもやギャップで

 やられそうになった

 

 その後試着室から出てきたタツト君は

 パーカーを棚に戻そうとした

 

 「そのパーカーもまとめて

  買っちゃうからちょうだい」

 

 タツト君からパーカーをひったくるように

 奪い取り素早くレジで会計をした

 

 パーカーの入った紙袋をグイグイ押し付ける

 

 「いやッホントに悪ィって」

 

 「いいからいいから

  どうせ服そんなにないんでしょ」

 

 タツト君は頑なに受け取ろうとしない

 

 (いやその困り顔可愛すぎるんだが…)

 

 「じゃあまた今度出かけるときに私に服選んでよ

  そしたらプラマイゼロでしょ」

 

 「いやァそーいうわけには」

 

 「ご飯食べるんでしょ、ほら早く受け取って!」

 

 「はァい」

 

 タツト君は渋々といった様子で受け取った

 

 

 丁度いい時間になったからレストラン街に向かった

 休みと言っても平日だから空いていた

 

 「何食べよっか?」

 

 「こーいうところ初めてだから

  何がうめェか分かんねぇ…」

 

 「ハンバーグとかは?」

 

 「んだそれ?食べたことねぇ」

 

 「じゃあ決定〜!」

 

 近くのハンバーグステーキ屋に入った

 さっきの服屋とは違って

 少し大人向けの印象を受ける

 荷物を置いてメニューに目を通す

 

 「私はステーキにするけどタツト君は?」

 

 「両方食いてぇケド

  どっちがうめェとかあんの?」

  

 「えーと両方のやつならあると思うよ

  あった!

  これならステーキとハンバーグ食べれるよ」

 

 「マジッ?」

 

 そんなキラキラした目で見ないでぇ!

 私にはアキ君、私にはアキ君、私には…

 

 (顔が良すぎる!!!)

 

 心の中で叫んだ

 

 「すいませーん」

 

 店員さんを呼んで注文を済ませた

 心を落ち着かせてタツト君に向き合う

 

 「タツト君ありがとねー

  買い物に付き合ってくれて」

 

 「いやぁ服も買ってもらっちまったし

  飯も奢ってもらっちまったから

  感謝すんのはこっちだぜあんがとなア」

 

 「前まではアキ君が一緒だったんだけど

  結構前から誘っても来なくなっちゃって

  一人で寂しかったからさー

  誰かと買い物するの楽しかったよ

  よかったらまた今度も付き合ってもらっていい?」

 

 「いいぜェなんか俺も楽しかったしなァ

  俺ァあんまこういうの好きじゃねぇんだけどな

  何でだろー姫野と一緒だからかなァ?」

 

 (ふ~ん私とだから楽しかったのかぁふ~ん//)

 

 「またまたぁ口が上手なんだから〜」

 

 「そう思ったのはホントだぜ」

 

 なんて

 くさいセリフを恥ずかしがらずに

 言ってくるのズルすぎる

 

 「そっそう…ありがと、、//」

 

 「なんか顔赤くねぇ?大丈夫か?」

 

 「……えっ大丈夫だよ大丈夫」

 

 「ならいいや

  あ〜早くこねぇかなぁ」

 

 気づかないうちに赤面してた?!

 くそくそくそくそなんか負けた気がする!

 

 何回も歯につくような台詞で口説かれてきたし

 体を重ねることだって多く経験してる

 タツト君より経験豊富のはずなのに!

 タツト君の褒め言葉がこんなに嬉しいのは

 なんでなんだろう

 くっそー何かやり返してやる

 

 こんがらがる頭を整理していたら

 目の前に料理が運ばれてきた

 

 「いただきまーす」

 

 「まーす」

 

 美味しそうにステーキを口に運ぶ

 タツト君を見てひらめいた

 

 「タツト君」

 

 「うん?」

 

 「あ~ん」

 

 切り分けたステーキをフォークで

 タツト君の顔の前まで持っていく

 

 「え?」

 

 「あ~んだよあ~ん」

 

 「ええ?」

 

 困惑して恥ずかしそうに

 差し出されたステーキを食べた

 タツト君を見て満足した

 

 (しめしめ、まだまだ私の方が上だな)

 

 ニシシ、と笑っていると

 

 「じゃあ俺もあ~ん」

 

 「え?」

 

 思考が止まった 

 まさかやり返されると思っていなかったから

 想定していなかった状況に固まる

 

 「えぇ?してほしかったんじゃねぇの?」

 

 「い、いや私はイイヨ…」

 

 「そお?まぁいっか」

 

 私の顔の前にあったハンバーグが

 タツト君の口に放り込まれた

 

 何も無い風を装っているが

 食べておけばよかったと

 実際はひどく後悔していた

 

 バレてないのを確認して

 気恥ずかしさをごまかすように

 ステーキと白米をかきこんだ

 

 「ごちそうさまでした」

 

 「したー」

 

 お会計をして店を出る

 

 「おいしかったねー」

 

 「初めてハンバーグとステーキ

  食べたけどうまかった!」

 

 「あんな美味しそうに食べてくれたから

  奢った甲斐があったってもんですよ」

 

 他愛のない話をしながら

 自動ドアをくぐって外に出る

 時間は午後2時半頃だ

 まだそういうことには早いけど

 たまにはそういうのもいいな

 

 「このあとどうする?」

 

 首を傾げながら聞く

 

 「うーんどうするかあ」

 

 悩んているようだ

 

 「……じゃあさ私のうち来な「まぁ帰るわ」」

 

 「へ?」

 

 「昼寝してぇし帰るわ

  今日はあんがとな!」

 

 そう言い残して歩いていってしまった

 残された私は断られると思ってなかったから

 ポカンとして立ち尽くした

 

 少しして恥ずかしさが込み上げてきて

 その場にしゃがみ込んだ

 

 数秒の間、火照った頬が冷めてきた頃に

 

 「帰ろ…」

 

 私も帰路についた




公安襲撃篇始まります
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