龍とチェンソー   作:とある1人

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8話 何度でも蘇る

 

 通りに面した入り口の風通しが

 良くなった店の中でデンジ達は

 タツトとモミアゲの戦闘音をバックに

 ヤクザの構成員との戦闘を繰り広げていた

 しかし遠距離の攻撃手段が姫野の契約悪魔しか無く

 劣勢を強いられていた

 

 「クソッ!バカスカ撃たれてるせいで

            動けねぇぞ!」

 

 デンジがスターターを引いて突っ込もうとする

 

 「お前が心臓を狙われてるのに

  出ていってどうする!」

 

 しかしアキによって制され悪態をついて引っ込んだ

 その間にも弾丸によって

 遮蔽物はどんどん削られていく

 

 一瞬、店の外から異様な気配がして

 そちらに注意が向いた

 その隙を見逃すはずはなく

 

 ガン!

 

 背中の刀を抜いて殴り倒した

 

 「釘…?」

 

 刀はよく見る日本刀とは違い

 藁人形に刺す五寸釘を

 そのまま大きくしたような形状をしている

 

 仲間が殺られたのに気づいたのか

 銃口がこちらに向けられる

 

 「アキ君!!」

 

 「ぐっ…」

 

 ここからでは遮蔽物に隠れようにも

 間に合うはずがなく

 次の瞬間にやってくる銃声に備えた

 

 しかし、かわりに聞こえてきたのは

 低いエンジン音と

 肉がぐちゃぐちゃに引き裂かれる音だった

 

 

 

 

 

 ヴヴン

 

 

 

 

 

 悪いヤツぁ好きだぜ〜?

 

 ぶっ殺しても誰も文句言わねえからなァ〜!!

 

 

 

 

 前腕を裂くよう回転するチェーンソー

 排熱口から爛々と覗く黄色

 血液(ガソリン)を燃やして轟音を響かせる

 

 「バカ!出てくんなって言っただろ!」

 

 静止も聞かず飛び出したデンジが

 構成員達を血祭りにあげる

 

 「ぎゃぁッ!イテェ!」

 

 勢いが良かったのは初めだけで

 策もなしに飛び出したために格好の的だ

 

 蜂の巣にされたデンジはその場に倒れ伏した

 

 「姫野先輩っ!」

 

 「任せて」

 

 見えない手がスターターロープを引く

 

 

 ヴヴン!

 

 

 確かに止まったはずの鼓動が再び刻まれる

 

 「イッテェなァ!

  そんなモン人に向けちゃいけないッて

  教わんなかったかぁ?あぁ!?」

 

 飛び起きたデンジが

 最後の一人の息の根を止めた

 

 「コイツら銃を使っていやがった

  日本では警察とデビルハンター以外

  入手は不可能なのに…」

 

 周りを確認しながら呟いた

 パワーはいつの間にかいなくなっていた

 

 

 ドガン!

 

 

 突然の爆発音に現実に引き戻される

 

 「タツ兄!!」

 

 デンジが駆け出した

 

 「待て!オイ!」

 

 デンジを追いかけて外に出る

 目の前にはタツトと思わしき怪物と

 まだ余裕そうな女が満身創痍で

 肩で息をしている男に

 庇われるようにして相対していた

 

 「おっ、いいタイミング」

 

 「その女は?」

 

 「モミアゲ男の仲間だな」

 

 「わかった」

 

 チャッと刀を構える

 

 「ッデンジ!!!」

 

 「おっと、お前の相手は俺だろ?」

 

 デンジを見て斬りかかろうとする男を

 タツトが一瞬で距離を詰めて蹴り飛ばした

 

 「早川ァ!そっちの女は任せるからなぁ!」

 

 そう言い残して、吹っ飛んだ男を追いかけていった

 

 改めて女と向き合う

 

 「諦めて降伏しろ」

 

 投降を呼びかける

 それを無視して

 

 「ヘビ  丸呑み」

 

 どこからともなく大蛇が出てきて呑み込もうとした

 辛うじて姫野先輩と俺は避けることができたが

 デンジは下半身を持っていかれた

 

 それを好機と見てかもう一度

 

 「ヘビ  丸呑

 

 女が言い切る前に

 右手の中指薬指親指で狐の形をとる

 

 

    コ ン

 

 

 何もない空間から

 幾つも目がある巨大な狐の頭が現れて

 女を噛み砕こうとした

 

 「クソッ」

 

 突然のことで反応が遅れたのか

 避けきれなかった女の片腕を狐が飲み込んだ

 無くなった左肩かの先からは

 鮮血が滝のように滴り落ちる

 失血で動けなくなるのは時間の問題だろう

 

 「諦めろ」

 

 一応警戒しながら身柄の確保しようとする

 

 「オイ!お前ら助けろ

  チェーンソーも回収だ!!」

 

 女を守るように銃を持った構成員が割り込む

 その隙に女は後ろに下がった

 握られている銃の頭はこちらに向けられている

 

 「またかよッ!」

 

 辛うじて店内に飛び込んで事なきを得た

 姫野先輩も無事だ

 デンジは下半身を失っているため動けない

 飛んできた銃弾がデンジの頭に食い込み

 頭のチェーンソーの動きが止まった

 

 その隙に男二人がデンジを抱えて車に運び込んだ

 追いかけようにもそれを守るように

 銃弾が飛んでくるため動くに動けない

 そうこうしていると全員乗り込み終わったのか

 車の扉がしまった

 

 「姫野先輩!」

 

 「無理だよ!密閉空間の中には出せない!」

 

 車のエンジンが掛かり動き出そうとした

 

 

 ヴヴン!

 

 

 車のエンジン音よりも低い音が響いた

 

 窓の内側に血が飛び散った

 くぐもった叫び声が聞こえる

 飛び散った血のせいで中の様子は見えない

 車の揺れが止まると

 バコンッ!と扉が蹴り開けられ

 チェーンソー引っ込みかけのデンジが出てきた

 

 「無事かっ!?」

 

 「見りゃあ…わかんだろ無事だぜ」ピース

 

 今にも倒れそうな様子で言う

 

 「でも…流石に…しんど…い」

 

 バタリと倒れた

 

 周りには姫野先輩とデンジ以外には死体しかない

 ヘビ女は刀男を助けに行ったようだ

 

 「あとはタツト次第か…」

 

 

________________________

 

 

 

 

 ガキンッ!ガキン!

 

 

 刀男が振り回す刀を逸らしつつ

 合間合間に空いている腕刃で斬り込む

 

 刀男は確実に傷を増やしている一方で

 タツトには傷一つない

 

 マトモに戦闘訓練を受けていないのは

 タツトも刀男も同じだが

 タツトの化け物じみた身体能力で

 ここまでの差ができていた

 

 「クソぉ!」

 

 初めの頃は構成員達が援護をしていたが

 今は冷たくなって地面に伏している

 

 体を一刀両断された者

 爆破されてグチャグチャな者

 心臓を貫かれた者

 

 死因は様々だが全てタツトによるものだ

 

 「ぐぁ"ぁ"」

 

 大振りな振り下ろしを

 地面を滑るように避けたタツトの

 カウンター右フックが炸裂した

 刀男の頭の刀にヒビが入った

 

 「撤回する気になったかぁ?」

 

 余裕綽々といった様子で問いかける

 後ろに吹き飛んだ刀男は

 倒れないように地面に両腕の刀を刺す

 

 「ならねぇよ!!」

 

 そう叫ぶと

 両腕を左に構えて腰を落とした

 

 瞬間、刀男の姿が一瞬にして消えたように見えた

 

 普通の人間にはそう見えただろう

 しかし、タツトの人外の動体視力には

 全て視えていた

 

 「初めから大人しく殺されてれば

  こんなこ…ぐっ…いつの間に…」

 

 タツトの後ろに立った刀男が話し始めた

 瞬間に男の右腕が二の腕から切り飛ばされた

 

 「俺ァ目がいいから視えるんだなぁこれが」

 

 余裕の笑みを浮かべた

 

 「ソレもできんぜ」

 

 予備動作も何もなくタツトの姿が消えた

 次の瞬間刀男の後ろにいた

 タツトの右手には刀のついた

 男の左腕が握られていた

 

 「は、?」

 

 何が起こったか分かってない刀男に

 

 「ほれ、返してやんよ」

 

 ポイッと左腕を投げ返す

 

 文字通り満身創痍の刀男は今にも死にそうだ

 

 「ヘビ  丸呑み」

 

 どこからか声が聞こえた

 

 咄嗟に鬼火で後ろに跳ぶ

 しかし狙われたのはタツトではなく刀男だった 

 出てきた大蛇は刀男を丸呑みして消えた

 声の主の姿も見えない

 

 「チッ、逃げられたか」

 

 

 早川逃がしてんじゃねえか!!!

 

 

 「てか蛇ッつってたよな  

  蛇って俺の眷属じゃァんなんで?」

 

 ハァ〜

 

 取り敢えず早川達と合流しに行くことにした

  




 サムソの居合くらいは見切ってもらわないと困るんで。

 蛇龍種がいるので蛇が眷属でもおかしくないなって
 思いました
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