「こんな治安が終わっている学園で! 女子を殴る俺にラブコメの主人公を!?」 作:明るく楽しく暴力系ヒロインを!
炎王院から告白された翌日。いつもの様に教室に向かおうとするが、周囲には女子生徒。皆、殺気立っている。その内の1人が出て来た。
「お前、炎王院のスケになったらしいな」
「試用期間だけどな。もしかして、お姉さまとして狙っていたタイプか?」
「誰があんなゴリラを慕うかボケぇ! アイツにはボコされた恨みをテメェで晴らしてやらぁ!!」
なるほど。本人に挑む勇気は無いが、迷惑を掛けたいというバイ学の模範生みたいな性根だ。だが、相手を間違えた。
「残念だったなァ~! 俺も強ェんだよ!」
ワラワラと群がる与太者達を打ち倒しながら、教室へと辿り着いた時には制服やら髪がボロボロになっていた。結構時間が掛かってしまったのか、宮本、江口、それと夜本が先に到着している程だった。
「大西君!? どうしたの!?」
「今日は一段と絡まれてよぉ~。皆、炎王院を取られたことでオカンムリみたいだぜ。アイツ、大人気だな」
ちなみに髪が乱れて、服が破れているだけで怪我などは無い。本人から暴力が無くても巻き添えを食らうとは。
「それで、身体が持つのか?」
「問題ねぇ。いつものバイ学だ。第一、本人じゃなくて関係者に攻撃するという卑しい根性の持ち主は殴らないと気が済まねぇンだ」
朝からいい運動と言う訳ではないが、コレで俺に絡んでも無駄だということは分かっただろう。
「待ちなさいよ。それだと、さらに下に来てアンタの関係者ってことで私達も狙われる可能性があるんじゃ?」
「お遣いクエストの典型的パターンじゃん」
「冗談じゃないわ! アンタといれば学園生活が楽に過ごせると思ったのに!」
なんて卑しい根性の持ち主だ。江口は先日の一件から大丈夫だと思うけれど、宮本と夜本が心配だな。と考えたのが伝わったのだろう。
「そうだ! ボク達が襲われる可能性があるから、暫くは大西君と一緒に行動することにしようよ! 炎王院さんには悪いけれど、仕方ないよね!」
「そうね。アタシも危ない目に遭う可能性があるしね」
「アンタら頭の中がピンク過ぎでしょ!」
夜本を除き、逆境に強いヒロイン。禍を転じて福と為すというコトワザが脳裏をよぎった。
ちなみに、クラスメイト達の顔を見たが、皆から一斉に中指を立てられた。自分達にまで迷惑かけるなボケナスと言われている様だった。
「そうだな~。安全の為には仕方ねぇよな。昼休みに炎王院と一緒に飯を食うつもりだったけれど、仕方ないか。夜本はどうする?」
「なんで、サラッと私を除け者にしようとしてんの!? 同行するに決まっているでしょ!!」
加入したばかりなのに、厚かましいな。バイ学で誰かと付き合う。と言うことは思った以上に難しいのかもしれない。本人だけではなく、周りにまで影響を与えてしまうのだから。
「(だとしたら。炎王院も友達とか作るのは難しそうだよな)」
もしも、彼女が誰かと仲良くなりと思っても、こんな風に八つ当たりでボコられまくったら友達とかもできないだろうに。
……もしかして、俺にそういうのを期待しているのかも? と思いつつ、担任からの連絡事項を聞き流していた。
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「1人で会いに来るようにとは言わなかったが」
昼休みになり、屋上に集まった俺達は弁当を突くことにした。開放されているスペースであるが人気はない。
煙草の吸い殻が転がっていたり、ゴミに混じってよく分からない物と言うか、理解したくない物が落ちていることもある為だ。
「悪ぃな。宮本達を危険な目に遭わせる訳にはいかねェからよ」
「構わん。当然の心配だ」
こうして5人で談笑をしつつ昼食を食っていると、ここがバイオレンス学園であることを忘れてしまいそうになる。
「炎王院さんは、どうして大西君のことが気になったの?」
「我と相対しても、不遇な環境に置かれても折れない心。今朝の話は聞いた。件の連中には躾けて来た」
暴力の使い方をよくご存じの様で。ここら辺は何と言うか、俺よりもプロと言うか先達感があるな。
「んで。俺とお付き合いって何すんだ? 言っとくけど、トレーニングとかは付き合わねぇからな。面倒臭ェ」
「心配いらん。貴様達もやっていた奉仕活動だ。ラリだけではなく、我の実益も兼ねている有意義な物だ。報酬はそれなりに高いぞ」
なるほど。趣味と相互理解を深める為に奉仕活動は打って付けだ。ただ、実益も兼ねているとなれば……。
「もしかして、学園の障害になる奴をヤるとか?」
「誰がそんな始末屋みたいな真似をするか。この学園には欠かせぬものだ」
と、炎王院は俺達の弁当を指差していた。なるほど、確かにかなりの重労働になりそうだ。コレには宮本と江口も手を上げて、参加意思を表明していた。
「夜本はどうだ? ラリ欲しいだろ?」
「嫌よ。私、そう言う面倒臭いのはやりたくないの」
まだまだ、彼女との距離は開いたままと言うことか。いや、だからこそ。彼女は以前にあんなことをしようとしていたのかもしれない。
その後も、炎王院は多くを語らず宮本と江口から話される、俺についてのことを傾聴していた。その際の顔は非常に穏やかな物だった。