「まさか俺の時間を頂かれるとは思わんじゃん」
「ごめんね……」
どうも、シラホシです。
現在俺はシャーレの当番で先生の手伝いをしている。
「なんでこんなに書類溜まってんですか……俺も書類仕事苦手なの知ってるでしょ?」
「本当に申し訳ない………」
さっきから謝ってるこの人がシャーレの先生。このキヴォトスで数少ない俺以外の男の人だ。
爽やかな雰囲気を纏っているが童顔でわんこの様な可愛らしさのある容姿。これが色男というやつだろうか。
線は細いが流石に成人男性。適度に筋肉のある腕や肩は色気をさらにマシマシにする。
………こんなに語ってると俺がホモみてぇだな……………
そんなことはさておき、俺たちは互いの顔を確認できないほどに積められた書類に囲まれながら作業をしていた。
「先生っていつもは頼りになんのにこういう時は頼りねぇっすよね……」
「うっ……お詫びに後で何かスイーツ奢るよ……」
「やだなー先生!どんどん頼ってくださいよぉ!!」
「うわ現金」
「当たり前でしょ!俺にとってスイーツは何物にも変えられねぇんすよ!!」
雑談を交えながら作業を続ける。
同じ男ということもあってか好きなものや趣味などは結構合うため、話の話題はあまりなくならない。
「………?先生、なんか机のフィギュア増えました?」
「あ、やっぱり気づいちゃう?」
以前シャーレに来た時にはなかったフィギュアが数個増えている……。
でも最後に来たのってゆうて1週間前だよな……?
こんな短期間で複数のフィギュアが…………。
「……先生。」
「………………後悔はないよ。」
「(눈_눈)」
はぁーー、とため息を吐きながらフウカ先輩直伝(別に教わってない)のジト目で先生を見る。
先生はこの俺のジト目に耐えられなかったのか目を逸らした。
「全く……。あれほど散財には気ぃつけてくださいって言ったのに………。」
「う……だって!急に覆面ライダーセッヅの限定フィギュアが発売されたんだよ!?買うしかないじゃん!!」
「まぁ、気持ちはわかりますけど……。」
覆面ライダーというのは所謂特撮ヒーローだ。俺たちは覆面ライダーの大ファンであり数少ないライダー愛を語れる仲間でもある。
「いいっすよね、今回のフォーム。イカヅチサンダーは痺れましたね。」
「でしょ!?」
「でもそれはそれです。」
「えぇ〜」
んな子供みたいな反応するんじゃありません。大量に金使ったことには変わりないんだから。
「てか先生、給料日って割と最近でしたよね?」
「うん?そうだけど……」
「残りの金どんくらいあるんすか。」
「…………………」
「……先生?」
「……………毎日食パン一枚で過ごせば今月は乗り越えられるよ……………。」
「(눈_눈)」
二度目のジト目炸裂。
これはもう呆れざるを得ない。
「今月って……あと3週間はありますよ………。」
「なんとか頑張るよ………」
「大人の姿か…………これが……」
「返す言葉もございません…………!」
これが大人かぁ………(呆れ)。できることならこうはなりたくないもんだ。これじゃ教師は教師でも反面教師だなこりゃ。
「はぁ……しゃーないですから、今日は俺の弁当あげます。」
「いやいや!流石に生徒にそこまでさせられないって!!」
「生徒に財布握られてる人が何言ってんですか。」
「う………」
今日何度目かの先生の「う…」を聞く。
「でも本当にいいの?シラホシの分は………。」
「俺は大丈夫です。実は最近定期的にフウカ先輩が弁当作ってくれるんですけど、今日はその事忘れてて自分で作っちまったんすよね。だから先生には俺が作った方をあげます。」
「それなら良いけど………。フウカがシラホシに弁当を?なんで?」
「あー……ちょっと前に美食研絡みで色々あって………そのお礼だそうです。」
「………へぇー」
「?なんかしました?」
「いや、何でもないよ。」
先生が何か言いたげな顔でこっちを見るので問いかけるが何もないと言われた。絶対言いたい事ありそうだったけどな……。
(シラホシは罪な男だね……)
「つーか先生、またあの人に怒られますよ?」
「あの人?」
「ほら、すぐ後ろで殺気立ててる…………。」
「え?」
俺が警告すると、先生はギギギと音を立てながら振り返る。
「せーーーんーーーせーーーいーーー?」
「ユ、ユウカ……!?」
そこにいたのはミレニアムサイエンススクール2年生、早瀬ユウカさん。
またの名を「冷酷な算術使い」、「ミレニアムオオフトモモ」。
スリーサイズは上から100、125、135、20、20、70………。
あ、これ種族値だったわ。
「またこんなにお金を消費して……!!何故改善しないんですか!!!」
「ご、ごめん………。」
「はぁ……何も買ってはいけないとは言いませんが………買うならもっと計画的にしてください!」
「はい…………。すみませんでした…………………。」
これが先生の正妻候補代表、早瀬ユウカ……!!
圧倒的正妻力で他の生徒との先生強奪競争にて今一番大差をつけて独走中の実力者……!レベルが違ぇぜ………!!
「……あ、あら。シラホシ君、こんにちは。今日当番だったのね。」
正妻候補さんは今俺に気づき挨拶をしてくる。
「こんちゃっす。ユウカさんも当番ですか?」
「え、ええ。そうよ。あはは……、私達、当番一緒の時多いわね。」
ユウカさんの言う通り、俺たちは一緒に当番になる事が多い。
この当番制、基本的には先生がどの生徒を当番にさせるかを決めるのだが、生徒の日程に合わせて考えてるらしいので偶々生徒同士の日程が噛み合っているか、余程生徒側の強い要望がなければ何回も一緒になることはない。
「そうですね。かれこれ5回目くらいですかね。」
「あ、そんなに多かったのね……。」
「けど、今回ももう一人の当番がユウカさんで助かりました。」
「へっ……!?」
「ユウカさんがいると書類仕事がスムーズに進められますし………。ほら、俺ってこういうの苦手ですから。情けないっすけど、頼りにさせてもらってます。」
俺はマジでこういった書類仕事が苦手だ。そこに数字が絡んでくると尚更。だからユウカさんみたいな書類仕事にも数字にも慣れてる人が一緒だと本当にたすかる。
「い、いやっ!頼りにだなんてそんな……!私なんてまだまだだし……!」
「いや、ユウカさんは凄いですよ。俺理系とかからっきしですから。計算だの、確率だの、俺には難題すぎます。本当に尊敬します。」
「そ、尊敬………。はうぅ………///」
本心を話すとユウカさんは顔を両手で隠してしまった。
「シラホシ、そこまでにしとこうか……。」
「っだぁーーー!やっと全部終わったーーーーー!!」
「ふぅ……二人とも、お疲れ様。」
「先生もお疲れ様でした。……し、シラホシ君も…………。」
「うっす、お疲れ様でしたぁ……。」
最早壁とも言えた書類の山はユウカさんの助力もあり、予定よりもかなり早く終わらせることができた。
「つ…疲れた……。どっちかっていうと精神的に………。」
「二人ともありがとうね。お詫びに、二人でご褒美のスイーツでも食べてきて。」
そういうと、先生は何かの紙を手渡してきた。
「これは………。」
「最近オープンしたばかりのスイーツ店、その食べ放題チケットだよ。」
「YOU ARE GOD………」
手渡されたのはスイーツ店の食べ放題チケット、しかも俺のスイーツ情報網ではこの店はかなり評判が良いところだ。
「い、いいんですか!?先生!!」
「今日は沢山頑張らせちゃったからね。それに、チケットは2枚しかないし、私はそもそも行ける時間がなさそうだから。」
先生はそう言ってユウカさんのほうを見てウインクする。
「………!ありがとうございます、先生!」
ユウカさんは先生に感謝を述べ、俺の手を引っ張る。
「ほら、行きましょう!シラホシ君!!あなたの大好きなスイーツが待ってるわよ!!」
「ぃやっほーい!」
そして俺たちはシャーレを出る。
プルルルルルルルルル……………
「………?あ、俺のっすね。ちょっと失礼します………。」
「ええ、大丈夫よ。」
ユウカさんへの申し訳なさを感じながら電話にでる。
『〜〜〜〜〜〜〜〜!』
「………………。」
『〜〜〜?』
「………。」
(………誰からかしら……………。)
通話を終え、ユウカさんの元へ戻る。
「あっ…….シラホシ君、何かあった?」
「……すみませんユウカさん。風紀委員会の仕事が入りまして………。」
「……そ、そうなの。」
電話の主は風紀委員の仲間からだった。戦力が足りないらしく、応援が欲しいという旨の内容であった。
「本当にすみません!」
「しょうがないわよ。ゲヘナは治安が悪いし、風紀委員会も忙しいんでしょ?」
口ではそう言ってるが、ユウカさんは先程の明るい表情とは一転して残念そうにしている。
…………本当に申し訳ない。
「………あの。」
「?」
「ユウカさんが良ければ、後日、二人で予定合わせて改めて行きませんか?」
「え……。」
「ユウカさんが良いなら………ですけど。」
俺と行きたいかはわからないため、自信がなく言葉の歯切れが悪くなる。
けどユウカさんの様子を見るに、少しは俺と行きたがっていたと思う。
「え、ええ!良い!全然良いわよ!!」
「本当ですか!?良かった……。断られたら少しショックでした…。」
「なっ………!断るなんてする筈ないじゃない!折角シラホシ君から誘ってくれたのに………。」
「ん?なんか言いました?」
「っ!?いえ!何も言ってないわよ!?」
「そうすか……?あ、そろそろ行かないと………。」
「あっ…………。」
今も仲間が戦っている。応援に行かなくてはまた孤坂ワカモの時の様になってしまう。
「んじゃ俺、行きますね。」
「………うん。」
「あ、これ渡しときます。」
そう言って俺は何かが書かれた紙を渡す。
「俺の連絡先です。」
「え?あ……え!?」
「そっちの方が予定合わせやすいでしょ?じゃ、行ってきます。」
「えっ、ちょ………」
そうして俺は連絡のあった場所へ向かった。
「へぇー…そんなことが……。」
「はい………。」
シラホシ君と別れた後、私はシャーレに戻っていた。
「でも良かったじゃん。後でシラホシとお店に行けるし、連絡先も貰ったんでしょ?」
「………はい。」
シラホシ君の連絡先が登録されたスマホを見つめる。
今までずっと欲しかったけど、勇気を出せずに「教えて」って言い出せなかった。
「ふふっ………」
思わず笑みが溢れる。
まだ何も送っていないトーク画面。
これから何を送るのか、送られるのか、どんな会話をするのか。
想像するだけで幸せになってしまいそうだ。
「はぁ……」
だが、ライバルも多い。
今日だって、シラホシ君に弁当を作っていた給食部の部長も"そう"なのだろう。
これは計算通りになんていかない。
私の得意が通用しない。
けど諦めない。
「絶対に振り向かせるから……。」
この気持ちはどんな変数があっても変わることはないから。
刻一刻と周年が迫っていますね。皆さん貯蓄の用意は良いですか?え?
ドレスミチルとツクヨに脳を焼かれた?ミチルの性能が良い?そうですか……。俺は推しじゃないのでスルーですね。……そも天井分ないんで。
あ、先生はアニメ先生を想像して書きました。