流星のロックマン Crystal Crest 作:Dylandy
プロローグ
「ハァ、ハァ、ハァ!!」
少女が激しく息を切らしながら足を動かして走り続ける。額には汗がにじみ出て、顔には疲労の色が濃く出ていて、身体からは血を流していた。
周りは電波で構築された世界。パルスワールド。電波を物質化されている。見た目は何もない森のようだ。だが、これは見かけだけで中身は何にもない。外見だけが完璧な物だ。
それをかいくぐるように少女は逃げて、身体の傷口から悲鳴をあげるような激痛と身体の全身から無限に湧き上がる疲労に耐えながらただ足を動かし、逃げ続ける少女。
「逃げるな!!この落ちこぼれで裏切り者のノルスヴァイドめ!!脱獄した罪の容疑で貴様を殺す!!」
突如、後ろから電波体が現れた。その電波体は片手に槍、片手に盾を所持し、身には鎧をまとっていた。恐らくこの電波体が所持している物、全てが電波を物質化した擬似的な物だろう。遠くから見るとまるで門番のような風格があらわになっていた。きっと、この少女を捕まえるためにこの追手は少女を追っているのだろう
「私は……私はこんな作戦……認めない……っ……。私は生きて地球に向かう!!」
少女は腹の底からありったけの力を振り絞って叫ぶ。だが余計に身体にのしかかる疲労を大きくしただけだ。負担が増え、身体の内部から逆流してきた血反吐と胃酸がでてくる。
呼吸も荒い、目の前が意識朦朧、そして目の前には自分を殺そうとする同じ電波体。
もう、ここまでかと少女は悟る。でも、まだ死んでない。死んでないという事はまだ己の事をやり遂げれるという事だ。あきらめるにはまだ早い。もがいて、もがいてまだもがく。命ある限り、もがける回数はいくらでもある。まだだ、私は死ぬのはまだ早すぎる。
『ユイ!大丈夫か!!』
恐らく少女の相棒であろう、電波体がその少女の名を呼ぶ。
それを聞いた少女は相棒を心配させないように必死で起き上がる。動く度に体から血が噴き出す。
身体を起こすだけで目眩が起こる。
「大丈夫……だよ。まだだ……フリースト……電波変換…しか……ない……」
『クッ……電波変換はユイの身体に負担が多すぎる!!ここで使うわけには!!」
「やらないと駄目だ!この……状況を……打開…す…るにはっ!!……電波変換しかないんだ!!」
もはやそれしかないとフリーストも理解していたようだ。だが電波変換というのはこの少女の肉体に大きな負担がかかるらしい。けど、やらないと死んでしまう。
少女の眼に迷いはない。相棒を手の上にのせて、電波変換をした。電波変換した瞬間、辺りは白い閃光に染められた。それにより追手の眼は白く焼かれてしまった。
いわゆる目くらまし。殺さずに逃走。視界を奪った瀕死の少女は即座に地球へ向かっていった。
相棒のフリーストと共に。
少女の電波変換の姿。それは全くどこにもない未知なる姿だった。
「うぐっ………」
場所は太陽系列木星付近コスモウェーブ。そこに電波変換したままの少女がいた。右腕を隠すかのように悶える少女。電波変換の反動で肉体が答えたのだろう。右腕に激痛が走り続けて少女を激痛の混沌へと誘っていた。
「でも……どうにか脱出……できたね……」
『あぁ……奇跡と呼ぶしかないな。運命の神様に感謝だ』
「さ、一分、一秒もったいない。早く地球へいかなくては」
そう言って少女と電波体は大いなる災いを起こることを知らせに『地球』という生命でありふれた惑星へと飛んで行った。