流星のロックマン Crystal Crest 作:Dylandy
場所は混沌とした場所だった。しいて言うなら周りは闇、乱れるノイズで溢れ返っていた。外から見ると異常な程の大きい黒渦が渦巻いている。そこには何もない。ただ黒い世界で何者の寄せ付けないような寂しさもありそうな場所だった。
その中にはある電波星人がいるという噂があった。
ある男はその男に無謀にも会いに行った。
――その男の名はシリウス。シリウスという男はブラックホールサーバーを管理する、唯一にして絶対の権力者。残虐無比な性格で、生命体から惑星まで、興味を持った優秀な電波体をブラックホール内に呑み込みながら、宇宙を漂流している。戦闘の際は、ブラックホール内に蓄積された無尽蔵の電波データを使用し、圧倒的な攻勢をかける。誕生の経緯や目的等は、完全に不明。
かつて一日でFM星やAM星を潰そうとした事もある。実力は未知数だ。自分の身を守る壁に標的の敵を倒そうとするビット。
最後にあらゆるものを破壊してしまうサテライトブレイザー。
これは彼が本気で撃てば小惑星など容易く宇宙の塵にできるらしい。
そこに一人の電波星人がいる。
その男はかつて滅びの道を歩んだという電波星人だった。その男はPM星の中でも上位クラスに匹敵する男だ。
――その男の名はストライク・デルタ。
見た目は普通の電波星人だった。
腰に二丁の銃をホルスターに収納して携えて、右腕には小さい盾がついてあり、頭は小さい角があった。見た目からして遠距離戦闘に見える。近接格闘のソードのようなものは一切所持していない。
「――貴方がシリウスですか………」
ストライク・デルタは電波変換した状態でシリウスという相手は絶対的な存在に話しかける。もちろん、彼がいるところはブラックホールサーバーの最深部。並大抵の体力と実力ではここにたどり着けるものは彼ら二人しか今のとこはいない。
ここにたどり着く前に彼がコレクション、つまり道具として収集されたウイルスや小惑星などが転がっていた。
ストライク・デルタが重々しい声で話しかけた瞬間、ブラックホールサーバーのエリアの最深部にいる絶対の覇者、シリウスが神々しく降臨した。その姿を見たストライク・デルタは思わず息をのんでしまう。最大の特徴はまず背中。まるで太陽のように美しく、綺麗に、そして見るものを魅力される力があった。だがそれは時としては星ひとつを落とそうとする破壊兵器にでさえ成り下がってしまう。
シリウスは何も言わないままおそらく電波を物質化して人工的に作り出した玉座に座りだす。
「―――久々の客人だな。ロックマン以来か………。私に何の用だ?無謀なる挑戦者よ………」
「――貴方にお願いがあります。私にそのブラックホールサーバーの一時的な管理権を私に譲渡してくれませんか?」
「このブラックホールサーバーの管理権をだと?」
「はい」
シリウスは一瞬沈黙する。そして小さな震えとともに天に向かって大きく嘲笑うように叫んだ。彼はまるで久々面白いことを聞けたのか満足したような顔で玉座に再び座った。
シリウスは冷たい目でストライク・デルタを見つめる。そしてシリウスは目を細めて彼を見つめる。
「……いやいやこれは失敬。突然君が面白いことを言うから久々笑わせてもらったよ。このブラックホールサーバーの管理権が欲しいだと? 笑止千万だな。ったく……私もこの短い間にかなりナメられたものだな………。そしていったい何が目的だ? ここにはもうなんにもないぞ………」
「それだけじゃない………」
刹那、ストライク・デルタが腰のホルスターから銃を抜刀させて狙いを一瞬で定めてシリウスの頭めがけて狙い撃った。
だが、ストライク・デルタの放った弾丸はシリウスには届かなかった。玉座に座ってブラックホールサーバーの管理権を保有するシリウスとその挑戦者のストライク・デルタの一直線上に薄い壁が出現し、その壁によって弾丸は止められたのだ。
「チッ!!」
ストライク・デルタは舌打ちをして銃を連射する。だがむなしくも無限に出現する薄い壁はストライク。デルタの攻撃を完全にシャットアウトしていた。まるで王を守るように存在する薄い壁。
指一つも触れさせてくれなさそうな壁は薄いのに威圧感はそれなりにあった。
「クックック……。私のウェーブウォールを敗れますかね……。無限に出現する壁。そして私は攻撃できる!! アサルトビット!!」
シリウスの背中から放たれた4機のビットが壁を通り越してストライク・デルタへと襲い掛かる。無限の壁に、複雑に動く4機のビット。そしてシリウスは玉座に座ったまま一歩も動かない。まるで絶対的な勝利を確信している表情をしている。だがその表情の裏にはつまらなさそうな顔を見えている。
アサルトビットはストライク・デルタへと襲い掛かる。だが彼は冷静だった。あの動く物に当たらなければ何も影響を及ぼさないためである。
「デルタモード。アクセスコード受信……。絶対防御(アイアンフォートレス)システム起動!!」
彼が言った絶対防御システム。データのダウンロードが完了すると彼の身に変化が起きた。突如、分厚い壁の要塞が彼の周りに纏わりついた。360度あらゆる視点から彼を見ようとしても彼は分厚い壁の中にいる。
極度に大きいっていう訳じゃないが全長はだいたい8メートル。その小さな奈落の要塞が目の前に訓練した。
そしてその要塞についている対空砲火が突如、火を噴いた。狙いの先はもちろん、アサルトビット。混沌の宙を舞うアサルトビットはストライク・デルタの絶対防御システムの対空砲火によって撃墜された。
そしてその対空砲火はシリウスへと向けて発射されるが弾丸、ミサイル、ビーム、熱源兵器、実弾兵器、爆発兵器、全てがシリウスのウェーブウォールによって無にへと返された。
しかもそのウェーブウォールはわずかの間によって復活してしまう。
「ほお、要塞か……上位クラスの防御に攻撃。少々見くびりすぎていたかな。 ならこれでどうだ。ダンシングカッター!!」
シリウスは右手をストライク・デルタへと向けて背中からカッター状の羽が発射される。
ストライク・デルタは無言で対空砲火で迎撃する。だがシリウスのダンシングカッターは実弾兵器、爆発兵器を容易く切り裂きながら一直線にストライク・デルタの絶対防御(アイアンフォートレス)の要塞の大きな壁へと向かって突き進んでいく。
ダンシングカッターが絶対防御の要塞の壁に激突する。だが虚しくもダンシングカッターは壁に激突して火花を散らしただけであった。壁には傷一つすら付けれていない。
しかし、これが彼の本気っていう訳ではない。あくまでもシリウスはストライク・デルタがどれくらいの実力者なのか見極めているのだ。
「そう易々と見縊られては困るな!! サテライトレーザー!!」
ストライク・デルタの要塞から細い熱源兵器、サテライトレーザーが青白く発行しながらシリウスへと発射された。
シリウスの壁は薄い壁。それに対しストライク・デルタの発射したサテライトレーザーは常に発射し続けるレーザー。ということは彼の発射したレーザーはシリウスのウェーブウォールが復活する前に威力を失わずに通過することになる。
サテライトレーザーは予想通り、ウェーブウォールを貫通してシリウスの背中の羽にあたって焼失させた。それを見たシリウスは不敵な笑みを顔いっぱいに広げる。その笑みは嬉しさなのか、怒りなのかはよく分からなかった。攻撃を喰らったシリウスは玉座から遂に立ち上がり宙に浮遊する。立場が変わった。シリウスはついに移動の行動を開始し、それに対しストライク・デルタは絶対防御開始してから一歩も動いていない。いや動く必要もないのだ。
絶対的な防御があるという確信があるため、彼はこのような能力を取り入れたのだ。
「これならどうです。バーストショット!!」
シリウスが右手を突き出した。そこから光が発生し、無数のエネルギー弾が発射される。エネルギー弾は小さいが数は相当な数だ。
シリウスの放ったバーストショットはストライク・デルタの絶対防御の要塞の壁に虚しくも爆発の轟音を立てるだけで阻まれてしまう。それを見たシリウスはまたも同じように奇妙な笑顔を広げている。ストライク・デルタは再び反撃を始める。宙を舞っているシリウスは対空砲火がある彼にとって今のシリウスは的にしか過ぎない。
彼はもちろん、一斉に発射した。宙に浮いているシリウスは表情の顔色一つも入らない。全くの無表情でいる。無論、彼らの一直線上には王を守る無限の壁、ウェーブウォールがストライク・デルタの対空砲火を阻む。彼らの間で無数の爆発と壁の誕生が生まれる。
「へぇ、これも防ぎますか。ならこれではどうでしょう」
シリウスは突然、天高く宙を舞った。そして背中にある羽を自分の手元へとリンクさせる。次の瞬間、シリウスの羽と手がリンクした瞬間、神々しく彼の手元は虹色に輝き始める。綺麗な反面、それは災厄の始まりという意味もあった。
ブラックホールサーバーが揺れ始める。あまりの圧力に巨大なブラックホールサーバーでさえ耐えれないのだろう。さらにシリウスの手元が輝き始める。
反面、ストライク・デルタは寡黙な目で見ていた。あらゆる視点からあらゆる攻撃を無効化にしてしまう絶対防御は災厄の一撃でさえ防いでしまうのだろうか。ストライク・デルタは額から汗が少し流れていた。
あんな圧力のある攻撃は見たことがなかった。攻撃の下準備とはいえ、足の力を抜けばシリウスの圧力によって吹き飛ばされそうなくらいになっている。けど彼は全く怯まなかった。
目の前の敵に集中し、敵の反撃に迎撃する。ただそれだけを考えていた。ストライク・デルタは腰のホルスターに収納してある銃に手をもって集中する。
刹那、さらに圧力は増した。ウェーブウォールが消えて、一直線上に遮るものは消えた。直後、虹色の輝きが一瞬大きな閃光をあたりにまき散らし、闇と暗雲に覆われたブラックホールサーバーを少しだけ昼間のような世界に塗りつぶし、そして闇に覆われた。
空気が揺らぐ。閃光と共に放たれたサテライトブレイザーはストライク・デルタの壁へと襲い掛かる。空間を飲み込んで発射される虹色のサテライトブレイザーが壁に激突し、軋む音を立てあげる。奇妙な音をたてて弾ける音をたてていた。
シリウスのサテライトブレイザーが照射終えた瞬間、ストライク・デルタの絶対防御は半崩壊しかけていた。壁は所々凹んでいた。貫通はしていないが、これではもう一度シリウスのサテライトブレイザーを喰らった瞬間、完全に崩壊するだろう。
「フフフフフ、さすがに私の最大の技、サテライトブレイザーには耐えきれませんか………。その壁では私の技をもう一度受けたら崩壊するのが定め……」
シリウスは笑顔を広げていた。サテライトブレイザーををまともに喰らって耐えきれないと予想していたのだろう。
「――果たしてお前にその技をもう一度撃つ機会が訪れるかな?」
直後、シリウスの背後を完全に奪取したストライク・デルタはホルスターに収納してある銃を取り出した。そして銃が火を噴いた。その弾丸はシリウスの腕と足と肩、それぞれ関節部分を綺麗に射抜く。
「なっ!? 貴様、いつの間に!!」
「簡単な事さ。アンタがそのサテライトブレイザーとやらを撃つ直前はアンタはかなりの力を溜める。その上、発射した瞬間はアンタを守るウェーブウォールが完全に消えるからな。しかもサテライトブレイザーはただも直射に発射するらしいな。なら話は簡単だ。発射した直後に俺はアーマーパージして素早くサテライトブレイザーをすり抜けてアンタの後ろをとった。ちなみにアンタ一度死んでるぜ……。俺が急所を外したからな……」
「フフフ、そうか貴様は絶対防御じゃなく観察力も相当って事か………」
「どうだ? 俺にブラックホールサーバーの管理権を譲渡する気になったか?」
「まだ足りないな……。だが貴様……面白い奴だな。私の背後を取るとは……。――いいだろうストライク・デルタ。貴様にブラックホールサーバーの管理権を一時的に譲るとする。だが、一体何の目的でブラックホールサーバーの管理権が欲しいというのだ? 私に教えてくれないか?」
「それは―――」
シリウスは一瞬だけ目を見開いてしまった。