流星のロックマン Crystal Crest   作:Dylandy

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最悪の一日

 

 今、僕は非常なほど嫌だ。 

 しいていうなら今すぐこの場を立ち去りたい。いや消え去りたいと言った方が妥当だろう。

 昨日から何回思った事か。もう最悪だ。とある訪問者のせいで僕の有意義に過ごせそうだったゴールデンウィークは泥沼ウィークと化しそうなぐらいだ。もうあれだ。仮想現実に逃げ込みたいぐらいだ、と思うぐらい戦慄する。

 全てはあの少女、響ミソラが自宅――星河家に訪問してから僕の休暇の時間が狂い始めたのだった――――。

 現在はまたまたいつもの場所スピカモール。前も、その前も、そのまた前もここに来たような気がするようで気がしない。

 僕は『彼女』に気付かれないようにため息をついてしまった。何故ここにいるかというと時は昨夜に戻る。

 

 

 

 

 

「――今夜は泊ってくんでしょ?ミソラちゃん」

 と唐突に母、あかねはミソラに含み笑いで話しかけてくる。

「もちろんです! スバル君のお母さん! 着替えもばっちりこのリュックの中に入れてきてます!!」

「…………………………………………へ?」

 

 ミソラはこの為にスバル君の家に来たんです!! というような顔をして自分の胸をドンと叩く。

 スバルはきょとんとした顔でリビングにいるミソラとあかねを見ていた。彼の周りだけ時間が停止していたように感じられた。いや彼だけがそう感じていた。例えば1秒が10秒に。

 20秒硬直した。

 

 な、なんで?

 ――僕はそう考える。

 だ、だって有名なあの少女が僕の家にお泊りだなんて。

 い、いやこれは夢だ、僕はきっと変な夢にうなされつつ、現実の世界に覚醒したくないという僕の無意識な感情がこの状況を作り出していると僕はそう考える。そうそう、大体にして僕は今、ミソラちゃんに会いたいという感情はそんなに大きくない。それに彼女はお仕事で忙しいはずだ。

 と、僕はそう目を瞑り、決め顔でそう首を縦に振る。

 

 

「ス、スバル君? どうしたの? 首を縦に振っちゃって?」

「え? これは夢じゃないの? 現実なの?」

 

 謎の行動をとるスバルに対し、その行動が理解出来なかったミソラはスバルの行動に疑問を抱く。

 僕は、目を開いて、綺麗なピンク色のセミショートヘアーに帽子付きのパーカー、可愛い緑色をしたホットパンツを着ているミソラがいるということに再び目を瞑る。

 だが目を開けてもそこには首を傾けて、何をしているのだろうと自分に興味を抱く彼女の姿が目前にあった。

 僕はこれは夢だと確信し、思い切って自分の頬を思いっきり抓ってみる。

 

 そこには頬の皮膚の感覚神経が痛いと伝え、その信号が自分の体にしっかり伝わってきた。

「げ、現実だあぁぁ!?」

「な、何言ってるのスバル君!?」

 

 一人で勝手に仰天しているスバルに対し、一人で仰天していたスバルをみていたミソラは唐突に驚きだしたスバルを見て、一歩後ずさる。

 その様子をみたあかねは呆れてため息を漏らす。

 

「ま、まあ僕は先に風呂にいってくるよ…」

 

 スバルの足取りは重かった。体をフラフラさせながら彼は自分の部屋への階段を登って、着替えと取りにいく。

 

「まあ今夜は泊まっていきなさい、ミソラちゃん。大丈夫、気にしないであげてね」

「は、はい!」

 

 部屋の時計の針は9時半をさしている。

 時間的には色々と厳しいかもしれない。こうして彼女は星河家にお泊りすることになった。

 

 

 

 

  行間1

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…なんでこういう事になるかなあ」

 

 自宅の風呂の湯船に浸かりながらスバルはただ事を漏らす。全身を湯に疲らせて無心で天井を見る。

 気分的にずっとここにいたいなあと僕は思う。女の子が一人家にくるだけでこんなにやりずらい感覚は始めてだ。かといって、意固地になって彼女を悪い気分にさせるわけにはいかない。僕はそう思いつつ、冷水を含んだフェイスタオルを顔にかける。火照った顔に冷水を含んだフェイスタオルがいい感じになって心地よい。

 ――と、直後に『彼』が部屋に入ってきた。

 

『よう、色々あったようだなスバル』

 

 

 ――現れた来訪者は相棒、ウォーロックだった。

 何かを察した表情で半分笑っていた。状況と彼の表情を見れば簡単に悟れるだろう。色々とあったことはほぼ間違いない。だからこそ、彼、ウォーロックは自分にも飛び火が降りかかってこないように待避していたのだが、相手はそれを悟ったのがまるでわかってる様に自分の場所へと来た。

 ――自分の無意識に発する周波数を特定されていたんだがな。

 

 

「もう何かと大変だよ…ウォーロック」

『まあ頑張るんだな。俺も色々と被害にあったし』

「ウォーロックも? 喋らなくても大体理解できるけど」

「『はぁ……』」

 

 二人は同時にため息を漏らす。彼二人は身内以外の女性に対しあまり免疫がないためどう対処していいのが全くわからない。

 戦慄する。浴室にある風呂の電子時計は9時56分をさしている。

 

『俺はVGに戻るわ。じゃあなスバル』

「うん、僕はまだ色々と大変になりそうだけど」

『そっちもそっちで頑張りな』

「全く、ウォーロックったら他人事だと思って……」

 

 

 その言葉を言い終わる前に彼はいなかった。

 またため息を漏らしてしまうスバル。今日だけで何回漏らしただろう、別に彼女が家に来るのはかまわないが、泊まっていくってどういうことだ。

 まあ、一日だけだろうし一日だけ我慢すれば解放されると思い、ぬるくなったフェイスタオルをタオルがけに掛ける。

 そして僕は湯船からあがり、頭から少しぬるめのシャワーを浴びて浴室からでて、バスケットに入っているバスタオルを片手にとり自分の裸体に付着した水をふき取っていく。そして体についた水を十分にふき取った後、寝巻きをきていく。

 

「ま、いいか。気楽にいけば」

 

 そう独り言をいいつつ自分に念じたのだった。そして自分の部屋へ向かい階段を登っていく。

 

 

「ミソラちゃん、うちは狭くて部屋がないからスバルのお部屋でいいかしら?」

「え!? ……ま、まあいいですよおばさま」

「無駄に広いのよね、スバルのお部屋は」

「私も始めてスバル君のお部屋に入ったときはそう思いましたね」

 

 

 スバルが湯船に使っている間、ミソラと母、あかねはミソラの寝床をスバルの部屋と勝手に決めていたのである。確かにスバルの部屋は広い。恐らく6畳以上あるであろう広間に本と衣服を収納できるスペース。さらに階段を登った先には天窓付きの広い寝床。

 その寝床は一人ではなく2人で寝れるスペースがあり、一人で部屋を使うにはもったいないほどである。さらにはパーソナルコンピューターを使うスペースもある。

まさに一人で使うにはもったいない。

 

 

「この広間のここでいい? ミソラちゃん」

「はい。寝れれば私はどこでも」

「そう? ならスバルと一緒の布団で寝てもいいのよ?」

 

 あかねは最大限の含み笑いを用いてミソラをからかってくる。

 

 

「ちょ、お、おばさま!! 何を言ってるんですか!? ス、スバル君のと、隣に…、し、しかも一緒のお布団に寝るだなんて!!」

「あら? 私は冗談で言ったつもりなのになんでそんなに慌ててるのかな? ミ、ソ、ラちゃん?」

「うう……」

 

 

 完全に踊らされているミソラ。あかねの冗談の一言に顔を真っ赤にして慌てふためくミソラをみてあかねはある程度は察してしまった。

 顔を真っ赤にしているミソラはあかねを見ないようにして布団を綺麗にスバルの部屋に敷いて行く。枕元の付近に肩にかけるショルダーバックを置く。

 この中に彼女の着替えとかが入っているのだろう。 

 

 

「では、いい夜をね。ミソラちゃん」

「な、何なんですか!?」

「何者でもないわよ、私はただのスバルの母親よ」

 

 と、あかねは捨て台詞を言って、この場を去っていってしまった。

 

「はぁ……、なんでスバル君のお母さんはあんなに厄介なのかしら」

『ポロロン…。苦労しているようねミソラ』

「あ、ハープ。さっきまで何処にいってたの? 私はもう散々だよ……」

「フフ、私も一部始終は見せてもらったわよ。かなりのつわものね』

 

 ハープも色々と察していたようだ。

 

 

「さて、スバル君がいないうちに私もお着替えしよっと」

『ポロロン…私も寝るわね。色々とあってもう眠たいの』

「そう? お休み、ハープ」

『おやすみなさい、ミソラ』

 

 

 ミソラは自分の衣服を脱いで着替えていく。身につけてるのが黒色の上下の下着だけになったミソラは着替えた衣服を綺麗にただんでショルダーバックにしまう。

 そして、バックの中から寝巻きをとりだしていく。

 

 

 

「ふう、いいお風呂だった」

 

 スバルは首元にハンドタオルを巻いて、自分の部屋へと入った。

 

「ス、スバル君!?」

「ミ、ミソラちゃん!?」

 

 

 完全な悪運。黒の上下の下着セットだけ身に着けていたミソラと鉢合わせしてしまったミソラの姿をみたスバルは思考が完全に停止し、その場で呆然としてしまう。

 刹那、ミソラは顔の血が沸騰しているのではないかと思うぐらいに急に顔を真っ赤にする。両手で胸と下半身を隠し、下を向く。彼女の細い腕は下着は完全に隠せれてない。

だが、それ以前にスバルは完全に硬直している。

 

 

「い、いやあああああああああああああああ!!!!」

 

 ミソラの悲鳴が部屋いっぱいになり響き、その後部屋に鈍い音が部屋中を突き抜けた。

 

「スバル君に私の下着姿みられた……」

 

 彼が覚えていた記憶はここまでで、彼女が最悪な記憶を覚えてしまった。

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