流星のロックマン Crystal Crest 作:Dylandy
「あ~~~~~~~~暇~~~~~~~~~~~だ~~~~~~~~~~~~」
スバルは悶絶する。天気のいい空。花粉が舞ってない優しくほんのり暖かい風。
絶好のお出かけ日和だ。なのに少年は何にもすることがない。暇で暇で暇で暇で暇すぎて仕方なかった。やることないし、宿題は乗り気じゃない、てかやりたくない。なんか誰か来てくれないかな~~~とそんな願望を抱きつつ部屋で寝返りを打った次の瞬間。スバルのハンターVGからホップアップが現れた。
どうやらメールが来たらしい。期待を抱きつつ、メールの中身を見る。
「委員長かな?それともゴン太?キザマロかな?」
スバルが喋った3人はかけがえのない親友である。一人一人ちょっとした残念な部分があるものの、絆は深い。けど、メールの送信した人は委員長でもなく、ゴン太でもなく、キザマロでもなかった。
じゃあ、一体だれが?決まっている。あの有名なあの少女だ。
「ミソラちゃんからか………」
スバルが呼んだミソラという少女。彼女は響ミソラといい、ニホンでは有名なシンガーだ。何故、この時期に少女からメールが来たのか。それが気になり、メールの中身をダウンロードして拝見する。
電子メールの本文はこんな短い文章がつづられていた。
「久しぶり―スバル君。突然だけど遊びに来ていいかな?返信待ってます。byミソラ」
スバルは何故か朗読していた。しかも無意識に。同年代の女の子から。しかも有名で可愛いい少女から受け取った1通の電子メール。なんで自分は朗読しているんだと、羞恥心のなさに顔を真っ赤にするスバル。まあやることないし至って暇だし、来てくれるなら話し相手にでもなるだろう。
スバルは「遊びに来てもいいよ」と短い文と顔文字を文末に添えて返信した。
すると次の瞬間、ピンポーンと星河家のインターホンが鳴り響き、来客が来たと知らせる。
まさかと思いつつ、スバルは部屋からリビングへと向かう。予想的中、考えたことが現実になった。
「あら~ミソラちゃんじゃない。いらっしゃい。スバルならいるわよ~~」
そう、返信して間もないのに玄関の外にはあの少女が佇んでいるらしい。
スバルの母親、星河あかねはインターホン付近にいるミソラを自宅へ誘った。自宅のオートロックを解除してミソラを星河家へ招待する。丁寧に靴を脱いで、脱いだ靴を揃えて、スリッパを履いてリビングへと向かう。小学生にしてはマナーがしっかりとなっていた。
この少女の第一印象、まずは癖のない綺麗な桜色の髪、そして綺麗で透き通るエメラルドグリーンの大きな目。僅かに桜色に色づく唇に、真っ白い素肌。僅かだが大人の階段を登りかけている面影が見える。
そして次に目がいくのは背中にあるギター。自分がライブする時に使う自分専用のギターであり、特注な為、どこにもない。
だが、その少女のギターに幸福な思い出に反して、不幸な思い出も詰まっている。
「ミ、ミ、ミソラちゃん来るの早すぎるよ………」
スバルは唖然としている。それは当たり前だ。自分の電子メールを返信した3秒後に自宅のインターホンが鳴り響いたのだから。簡単に言えば、ミソラは星河家の前で待機し、スバルの時間が空いてるかとメールで問い合わせて、許可が出た瞬間に星河家を訪問した、ということになる。
この少女は星河スバルに淡い『恋心』を抱いているが、実際の所。星河スバルという少年は裏では英雄の威厳のないぐうたらでだらしのない人だ。
その事実を少女はまだ知らない。
「だって、スバル君とせっかく遊べるんだから一分、一秒も無駄にできないしぃ…。今日は私とスバル君でデートするつもりできたし……」
ミソラは顔をほんのり赤らめて、手を前で組んで下を向きながらそう言った。それを聞いた星河家の両親は含み笑いをしていた。スバルはさらに唖然。
さあ過去を振り返ってみよう。電子メールの内容を振り返ってみよう。『遊びに来ていいかな?』とメールの本文にはそう綴ってある。だが『デートしよう』という異性の子が和気藹々とするハッピーイベント的な事は全く書かれてなかった。確かにニホンの有名人とデート、しかも恐らく二度目のデートであるだろう。ロッポンドーヒルズ以来だ。
「え……?もしかしてデート……だめだった?やっぱり突然は悪かった………かな?」
ミソラは上目遣いでそう言ってきた。恋心を抱く一人の少女の信念は大地を揺るがすほどすごいらしい。スバルにとってこのミソラの上目遣いはギャラクシーアドバンス、インパクトキャノン3枚分の威力だった。その少女の可愛くて器用な気を誘うような仕草を見た両親の目はますます愉快でたのしい目をしていた。きっと二人の頭の中では将来安泰だなという気持ちとか、女を泣かせたら罪だぞという気持ちが心の中ででていた。
まあ、暇だしいいかと思っただらしのない英雄、星河スバル。
「まぁ……待ってて。すぐに必要最低限の道具を持ってくるから――」
そう言って、スバルは二階へと向かった。いや逃走した。緊張と健気な少女のはかり力抜群の仕草に耐え切れずにスバルはノックアウト寸前まで来ていたのだ。
部屋に辿り着いたスバルは心臓がかなり大きな鼓動を打っている。顔を真っ赤にしていた。
それを見たウォーロックは自分の思ったことを露わに言う。
『スバル………もしかしてお前、アイツの事好きなのか?』
一瞬の沈黙が部屋に駆け巡る。ウォーロックにしてはあまりにもストレートすぎる質問。スバルは挙動不審になっていた。手が震えていて、机の引き出しにしまってあった財布を上手く掴めずにいる。
「そ、そ、そ、そんなこ、ことない、い、よ!」
『分かりやすい奴………』
スバルは顔を真っ赤に染めて必死の言い訳をした。けど焦ってしまい、何回も噛んでしまった。ウォーロックはスバルの慌てた仕草に小さくボソッと呟いた。彼をこれ以上刺激させないために。これ以上刺激させたら失神してしまうかもしれないからである。
スバルはその場をとっととと立ち去るようにハンターVGと財布を所持して、余計な邪魔者をウィザードオフしてリビングに向かっていった。
「待ってたよ、スバル君!ささ、早くスピカモールに行こうよ。ウェーブライナーの乗車時間が過ぎるから」
「あ、待ってよ、ミソラちゃん!!」
少女はせかすように先陣を切って星河家を颯爽と出て行き、少年は消えた友達を追いかけるように家を出て行った。リビングでは二人の祝福の声が小さく上がってたりした。
そして、おいかけっこをするように二人はあっという間にウェーブライナーの停留所に辿り着いた。そして丁度よく、ウェーブライナーのバスが来る。
機械の排出音と共にウェーブライナーの乗車バスのドアが開く。そしてバスの中に乗った二人。
この最新技術で作られた交通手段。ウェーブライナーのバスは時速600Km以上の速さで目的地に僅かな時間で辿り着く。600Km以上もスピードも出てれば目の負担が大きいだろう。そこの配慮も考えて、バスの中の構造は負担が少ないつくりになっている。
僅か13分。本来ならかなり先にある大型ショッピングセンター、スピカモールもウェーブライナーのバスさえあれば余裕綽々に着く。
手ごろな時間で辿り着いた二人は適当に道を歩いた。まず向かった場所、女の子がいるなら当然絶対行く場所、それが洋服店だ。実はこのスピカモールは4階に洋服専門店が立ち並んでいる為、おしゃれ好きな人が結構集まっていたりする。ミソラもお年頃の恋を抱く一人の女の子。やはり外見を気にしていたようだ。
「ねえねえ、スバル君。この洋服どうかな?」
彼女が手に取ったのはかわいいワンピース。ミソラはきっとスタイルがいいのだろう。どんな服を着ても可愛く見えてしまう。4,5年後がちょっと楽しみだなといけない考えを抱いてしまった星河スバル。
だが、大概女の買い物は非常に長いもの。これはお約束的なことだ。デートで来たらそうなるだろう。女性が男性を引っ張って、強制的に付き合わされて、女性が好きな洋服で一人ファッションショーを開きかけたりなど、人によって時間の個人差はあるがデートというのはそういうものである。
そんな時間が1時間半も過ぎた。ミソラが会計に行っている間、スバルの視界にある洋服店の入り口で一人の『見たことのある金髪のツインテールでロールがかった少女』偶然うつった。
それを見たスバル。一瞬で頭の中の危険信号が緑から赤へと急に変わって、危険信号音がうるさく鳴り響く。
「あら、星河君。どうしたのこんなところで?家族とお買い物にでもきたの?」
「え………いや……」
スバルはその『見たことのある金髪のツインテールでロールがかった少女』に運悪く見つかってしまった。この少女は白金ルナという少女だ。金髪が最大の特徴であり、その独特な髪型が第二の特徴である。彼女は人の前に立ってやることをするのが非常に多い。そして短気で『ロックマン』に恋心をいだく一途の少女でもある。
だが、その短気っぷりは凄い。これまでスバルはその少女の飛び火を何度浴びてきたことか。恐らく両手の指じゃ足りないだろう。
スバルはうっすらとだが死の危機を感じていた。
「違うの?じゃあ誰と?」
「え………………いや…………だから………あの……その………非常に申しあげにくいんですが…」
「なんなの?」
ルナはさらに一歩前に出てスバルに近づく。何かを焦らすスバルにルナは若干イラついていたりした。
スバルも非常に言いにくい。あの国民的アイドルとデートでここに来ましたと言ったら、きっと彼女の地雷を間違いなく踏んでしまうだろう。恐らく右腕もっていかれるかもしれない。
そんな気持ちでいた世界の英雄。
―――そこに絶望の波乱を巻き起こす一人の美少女が割り込んでくる。
「スバル君!!会計終わったよ……ってルナちゃん!?お久しぶり~~」
「あ、ミソラちゃんお久しぶりね、元気にしてた?」
「さ、最悪だ――――!!!!!!僕の人生はバッド・エンドで終わるのか!!」
そう、最悪な事が目の前で起きてしまった。響ミソラがこの場に来てしまったのだ。非常にまずい。デートでここに来ていたとなったらあの少女はなんていうだろうか。
スバルは最悪な気持ちに浸ってしまい、心の中で人生、バッドエンドという結末が見えかけていた。
一体、何される?僕の舌出して、顎に向けてのアッパーカットの体罰か?それとも玉ねぎ皮むき500個かな?
「ところでミソラちゃん、どうしてここに?」
「えっと、それはね――――」
一瞬の刹那、三人の沈黙が走った後、少年は少女の地雷を踏んでしまった。
不幸で最悪だった。口で散々言われてしまった。もう学校に行きたくない、という気持ちになってしまった星河スバル。
そんな感じで二人のデートはいろんな意味で最悪かつ和気藹々とした結末で終えたのだった。
「はぁ………もう最悪だった…………」
『あのドリル女も分かりやすい奴だな――』
「ロック……他人事だと思って……」
『俺には関係ないし――』
時間は夜、すっかり日も沈んで、ミソラとも途中で別れてウェーブライナーバスでコダマタウンの停留所に下車したとこだ。
こんな時に限って相棒は何の役にも立たない。最近、スバルがちょっと愛想良くしたからって調子のってるかもしれないウォーロック。
無限に出てくる溜息と、無限に湧き上がる精神駅疲労が少年の身体を締め付ける。
「ちょっとコダマタウンの展望台に寄り道していくかな」
『分かった』
重い足取りで一歩、また一歩とスバルは足を運んで、綺麗な夜景が見られる展望台へと足を運ばせた。
展望台の入口を通って、階段を登り、テラスにあがりこもうとした瞬間、テラスの一人の少女がいるのにスバルは気が付いた。その少女の背中には大きな月が重なって月の光と夜の暗さで見えなかったが、っその少女は茶髪の髪をしてて、短い短髪の少女だった。スバルが展望台のテラスに来たと察したのか、少女はスバルに場所を譲るように消えて行ってしまった。
スバルはもしかして気に障ったと思ってしまったがその気持ちはすぐに消えてしまった。
今日も綺麗な空。あの座標にあの星は……あった。
「なんだろ?あれは?」
『どうしたスバル?』
スバルは北の空に一つの大きな青色の星が輝いているのが見えた。
あの座標にあんな不気味な星なんてないと思った宇宙マニアのスバル。
「なんか不気味だね……」
『あぁ……不吉な事なんて起きなければいいんだが」
二人はそんな心境で北で怪しく光る星を見つめていた。