流星のロックマン Crystal Crest 作:Dylandy
刹那、一瞬の悲鳴と共に空気を切り裂く音と鈍器で何かを叩きつけるような重い音が星河家を突き抜ける。
悲鳴をあげたのは女性の声だった。顔を真っ赤にして自分の下半身と上半身を隠すようにしつつ、足で体重移動を上手く使い、『彼』の首元へと回し蹴りを叩き込んだ。
『彼』はけられる音と共に小さく悲鳴を上げて、床へ叩きつけられたと同時にワンバウンドする。強烈な一撃を喰らった少年は立ち上がることはなかった。その光景はあまりに覗きに匹敵するシーンだった。
だが、彼はその意思はなくたまたま鉢合わせしただけの不幸な物語。
彼女にとっても下着を見られるという汚点を残した不幸の物語。
彼が覚えていた記憶はそこまでだった。
「な、なんの悲鳴!?」
顔色を変えて部屋を訪れた人はあかねだった。
ドタドタを足音をたてて何事かと思ったらそこに映った光景はあまりにも無残で、不運で、悲しくて笑える現実だ。
その直後、ミソラの状態を見てあかねはにやけていた。
「へぇー、ミソラちゃんも何を考えてるのかは分からないけど意外と大胆だったり?」
「へ? え? あ…い、いや違いますよ!!」
ミソラは再び自分の状態と状況を再確認し、顔を赤くして急いで着替える。自分の状態にミソラは激しく戦慄する。
「そうかなー?」
「だから違いますって!」
ミソラをおちょくるあかねは笑顔だった。
「もう最悪……うぅ……」
そして一人はその場に崩れ去るように、一人は傷を負わされたように。
星河家の物語はこの女性によって終わりの幕が引かれた。
行間1
「うぅ……」
星河家2階、スバルの部屋から朝日が天窓から差し込む。その柔らかな朝日を鍵に目覚めた少年は声を小さくあげる。はっきりしない意識を繋げて、周囲を確認する。自分の部屋に自分のベットの上にいた。
僕は何故か風呂にいってあがって部屋に戻ろうとしてから以後の記憶が全くない。
それでも別に自分は気にならなかった。ただ単に一日が始まるだけなのだから。
だが首に違和感を覚えた。動かせないというわけではない。だが自分の寝相を知る限り、寝違えたという可能性は低いだろう。
―――だったら、なんだ? この首の違和感は。
―――まあいい。朝っぱらから考えるのはやめにしよう。
そう思って僕は少し痛む首をあげてベットからでて、青いスリッパを履き、テラスから部屋の階段をくだり、部屋をでようとする。
「ん? なんだあの布団? あそこにあったかなあ……」
ぼやける頭に思考と視界を繋げる信号を送る。そこに広がった視界は理解できなかった。
「え……?」
そこにいた姿はまだ寝息をたてている寝巻き姿の響ミソラだった。
僕は絶句した。何故、この少女が僕の部屋で寝ているということを。
――何故だ?
僕は戦慄する。僕は彼女を部屋に寝かせるという記憶がない。では、何故彼女が部屋にいるのか?疑問を抱いたが大体はすぐに答えはでてきた。
「スバルー? ミソラちゃーん? 起きてるー? 朝ごはんよー」
刹那、星河スバルの母親が朝食を作った後なのだろうか、エプロン姿でノックをして部屋に入ってきた。
この人だ。きっと彼女を僕の部屋に寝かせたのは。僕は歯をかみ締め確信する。
「母さん、ミソラちゃんを僕の部屋に寝かせたよね?」
「それは私よ。別にいいじゃない。スバルに問題があるの?」
「ありまくりだよ! 男の人の部屋に女の子を寝かすってどういうこと?」
「あれ? スバル、その言葉はある意味スバルがミソラちゃんに何かするっていう文面になってるけど?」
「そうじゃなくてさあ…」
スバルの部屋の扉前でしゃべっていた。
朝からスバルは大きく戦慄する。せっかく気持ちよく朝を迎えたというのにこの仕打ちをうけるとは。いや、僕だって別に彼女を部屋に寝かせるのは構わないが、一言ぐらいいってくれたっていいじゃないか。
何も言わずに彼女を僕の部屋に寝かせるってある意味どういう神経しているんだか。
「……お、おはようご、ございます……、おばさま…」
スバルの部屋でスバルが講義してた声が刺激されたのか先程まで寝息を立てていたミソラがいつの間にか起きてこちらを見ていた。
――刹那、ミソラは一瞬大きく目を開ける。
彼女がとった行動はまるで体を隠す行動だ。自分の体を覆っていた布団で自分の体を無造作に隠すようにしてスバルを警戒する。
「ミ、ミソラちゃん? 何してるの?」
風呂からあがった後の記憶のないスバルは完全にきょとんとしていた。
あかねはミソラに近づいて、あかねがスバルの状況をみて大体察したことをスバルに聞こえないように彼女に伝える。
「そうなんですか? スバル君の記憶が…?」
「ええ、そうよ。よかったわね貴方の下着姿をスバルが覚えてなくてね」
あかねは最後に余計な一言をつけてミソラをからかう。
突如、ミソラは顔を熱湯からあげられた蟹のように真っ赤にする。
スバルとミソラは切に思う。
――この人は謎だ。
「さ、いきましょ。朝ごはんよ二人とも」
そして彼らの一日がまた始まる。