流星のロックマン Crystal Crest   作:Dylandy

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強制参加

 

 

 時間は朝7時半。天気は快晴。出かけるには最高の環境だ。だが僕と彼女の気持ちは大雨、どしゃぶり状態だ。

 全くこの母親は何を考えているのだろうか。僕は理解できない。いじられてるというのは確実だ。

 リビングには母、あかねとスバル、ミソラしかいなかった。父親、大吾は早朝出勤で出かけたのだろう。そこには新聞を読んで、母親お手製のコーヒーを飲んでいる姿はそこには無かった。

 

 

 

 ――――いただきます。 

 朝食を食べる際、全員一緒に食べるのが星河家である。最近の家庭は共働きや、時間の都合上で一緒に食べれない家庭が増えてきているらしい。だが、この家庭はほぼ3人一緒に食べている。

 3人は箸を手にとってテーブルの皿の上に作られた朝食を食べていく。

 

 

「ねえ、スバル君」

 

 朝食の最初の均衡を崩したのがミソラだ。スバルの反対側に座っているミソラがスバルに話しかけてきた。

 

 

「ん……、何?」

「えっとね、せっかくのゴールデンウィークだしさ、わたしと一緒にこないだリニューアルオープンされたスカイランドにいってみない?」

「スカイランド…?」

 

 スバルは聞いたことがあった。確か、東京都周辺の天候をコントロールし、周囲の環境に合わせてその日の天候を変えることができるとか。

 過去にはスカイタウンという命名で、ウェザー君というコントロール装置もあったらしい。だが、そこは上空10000mであり、悲劇の事件も少なくはなかった。スカイタウン落下事件や、多数の事故があって、不要だという話もあった。

 そして、そこの付近にあったアミューズメントパークがあるらしく、そこがつい最近にリニューアルされたというニュースを聞いた。10週年記念祭とかで盛り上がりを見せている。

 

 

「でね、今日スバル君とそこに一緒に出かけたいなあって思ってるの。いいでしょ?」

「んーー、やることないし別にいいよ。でも、どうやって入場するの? 絶対人多いでしょ。それ以前に入場券とかどうやるの?」

「フッフッフッ、ミルクティーにハチミツいれたぐらいにあまいよスバル君。私が何をしているのかわかって?」

 

 急に変な態度になったミソラは余裕そうにハンターVGから入場券を確保しているということを見せ付けた。

 これが芸能人の力。

 

「うわあ…凄い」

 

 スバルは手際よいとか以前に何故かミソラに一歩ひいてしまった。

 

 

 

「というわけでそこに今日いきましょう! 期限は今日までなの! いくでしょ!?」

「唐突すぎる! って僕色々と用事があるんだけど…」

 

 スバルは彼女からの誘いというなの拘束から逃れるために僅か1秒未満で言い訳を考えた。

 ミソラはお構いなしにスバルのほうへと入場券を置いて、笑顔でこういう。

 

「答えは聞いてないよ。もう決定事項だもん」

 

 

 僕の選択肢と解答権はなかった。いやもとからなかったようなものか。

 思わずため息を吐いてしまう。だが、彼女が自分のために苦労…したのかは分からないが、せっかく入場券を僕に持ってきてくれたんだ。彼女の優しい行為を僕は踏みにじることができなかった。

 ここで断ったら、間違いなく母から何かしらの叱咤がくるだろう。その危険信号は僕の頭の中で小さく鳴っていた。

 

 

「うん、分かったよ」

 

 僕は戦慄した。個人的にはあんまり人は多い場所とかは好きではない。むしろ人がいなく、静かに落ち着ける環境が好きだ。たとえば深夜12時、周囲に宵闇が覆い、月と星が大地を優しく照らしてくれるあの静かな時間が僕の好きな時間だ。

 一度、シーサーじょうという施設にいった事があった。その場所で見た夜空は静かで綺麗だった。

 ――むしろ僕はそこに行きたい。

 

 

「んじゃ、いこっか!」

 

 彼女の明るい笑顔が僕に飛んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 行間1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――ザザーン、ザザーン。

 波が砂浜に打ちつける音がする。

 海面によって冷やされた潮風が僕たちの顔に優しく当たる。

 沖には海鳥の小さな鳴き声と大きなタンカー船。

 僕たちはスカイランドという場所にきていた。ここ、スカイランドの過去の名称はスカイタウンだったのだが、アミューズメントパークや、施設を作っていくうちにスカイランドという名称に変わったのだ。そして海岸から300メートル離れた距離にスカイランドへとつながるエントランスエリアに来ていた。

 

 

「スバル君、ここのエントランスホールのエレベーターホールから上空10000mまでいくみたいだね……ってスバル君!?」

「人多いや……」

 

 顔に嫌な汗を少したらしていたスバルの顔をみたミソラは少しだけ足を後ろに引いた。渋い顔でミソラはスバルと離れないように接近する。

 スカイランド、エレベーターホール前には上空のアミューズメントパークに足を運ぼうとしている客で沢山だった。

 エレベーターホール前は混雑防止用のために5基フル稼働している。エレベーターホール内部は利用者が足が疲れないようにとバスみたいに席が設置されてある。いくら最新鋭の技術を使っていたとしても上空10000mはかなりの距離がある。それに極端なスピードで上昇や下降をしてもエレベーターに乗っている客に負担の大きい重力を与えてしまうだけだ。

 しかし、安定させた速度ではかなり時間がかかってしまうし、安定させていても足には負担がのってきている。だが、そのデメリットにテコ入れをしたのがこの座席の設置である。

 これを導入したことにより、エレベーター移動中の足の疲れなどの問題点が解消されたのだ。

 

「まだぁ?」

「だ、大丈夫? 後もう少しで私たちが乗れる番だから、がんばって」

『コイツ、どこまで人ごみが嫌いなんだよ』

 

 スバルは半分目が解けているような顔をしていた。

 ミソラは渋い顔でスバルを励まそうとするが、彼の耳には彼女の声など全く聞こえていなかった。スバルは前傾姿勢になって、口をあけたままにしている。それらの様子をみていたウォーロックは完全に呆れていた。

 そうしたのも束の間、ようやくスバル達を乗せるエレベーターの便が彼らを迎えに来た。

エレベーターの中には乗務員さんがいた。恐らくお客さんを上まで運ぶ人なのだろう。  

 相当、つらいだろう。なんせあのエレベーターの中で何回も上昇、下降を繰り返しているんだ。身体、精神面は相当削られているだろう。

 

 

「ほら、スバル君行こうよ」

「う……」

 

 スバルは成すがままだった。ミソラに片腕を捕まれて引っ張られるようにしてエレベーター内部に乗る。そして、座席がある二人用の個室に入ってスバルを座らせた。万が一のために。運がよかったのか、このエレベーターは個室が何箇所か、ついていたらしい。

 席に座ったスバルとミソラは安全のためにシートについているベルトをつけて安全装備する。

 

 ―――ピンポーンパーンポーン。

 

 

「後1分ほどで上昇します。お客様はお席に座りになり、シートベルトを着用のうえ、身の安全に備えてください」

 

 

 直後、乗務員さんのアナウンスが大きなエレベーター内部に響く。

 ミソラは自分の座席の近くにあった窓を見て、目を輝かせる。

 

「うぅ………」

 

 スバルはまだ人ごみ嫌いの後遺症が残っているのか、まだ顔色が悪かった。ハンターVGの中で待機しているウォーロックは『コイツ、どんだけ人ごみ嫌いなんだよ』とみたいな表情で呆れて両手首を外側に広げて完全に参っている。

 

「もう、スバル君ったら!」

 

 ミソラは半分笑いながら、萎れているスバルに笑顔で見る。それをみたハープは『あれが三度すくった英雄?』と冗談を醸しながら笑っている。

 ミソラはスバルにどうにか元気づけさせようと右手で左肘を押さえ、左手の人差し指で自分の下唇にあて、考える。

 そして、閃いた顔で人差し指を上に向ける。

 完全に弱りかけていた隣に座っているスバルにできるだけ近づいて。

 

『え…?』

 

 ハープは目を丸くした。

 

「スバル君! どうだー!」

 

 ミソラがスバルに思いっきり抱きついた。

 突然、彼女が自分に抱きついて、思わず目を丸くした。スバルは慌てて、自分の体に抱きついている彼女を引き剥がそうとするが何故か力が入らない。

 その上、女性独特の優しい香りがミソラから漂ってくる。シャンプーとか何使ってるんだろうという余計な概念が僕の頭をよぎった。だが、それは一瞬で消え去った。危機的状況はそれだけではない。さらにミソラの腕なのか服なのか、パーカーにしまっている持ち物なのか何かが自分の体に当たってさらに力が入らなかった。

 

「ミ、ミソラちゃん!?」

「えへへー、どう? 元気でたでしょ?」

「そういう問題じゃないでしょ!」

「えー? でもスバル君なんか声でてるから元気になったみたいだね」

「そ、そういえば…」

 

 

『ミソラ…なんて大胆…』

 

 

「さっ、今日一日楽しみましょ」

 

 ある意味、僕にとってはある意味危険すぎる行為が引き金になって僕は少し元気になれた…のかもしれない。

 だが、それも彼女が僕が具合悪そうだから元気付けさせようとしてくれた思いなのだろうか。としては少々強引すぎるが。

 

 そんなこんなで時間は1秒ずつ流れていった。

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