「レノヴァレノヴァ!もうすぐサンクトゥム帰ってきちゃうって!」
部屋のあちこちにみんなで飾り付けながら雑談しているとカルマが急いだ様子でそういう
「も、もう!?」
時刻は24時をちょうど過ぎたあたり、予定ではアリアが25時まで引き留めてくれるはずだったのでだいぶ前倒しになってしまう
「あと10分で着いちゃうってアリアが…」
「ちょっとみんな!集まって!」
部屋にいるみんなにそう呼びかけ集まってもらう
「予定が変わっちゃって、あと10分でサンクトゥム様が来ちゃうので、今からみんなで飾り付けじゃなくて担当わけてやっちゃいます」
ファントムとアリスに飾り付けクレメンタインに料理の盛り付けフェルニルに机上の用意を頼みカルマとケーキを盛り付ける
「だからもうちょっと早くから準備しよっていったじゃんレノヴァ君!」
「行けると思っちゃったんだって!」
「実際行けなかったわけだけどね?」
アリスとファントムに軽口をたたかれつつ作業を急ピッチで進める。今日はサンクトゥムの誕生日、実は14日がファントムの誕生日なのだがそのあたりはバタバタしていたし、ファントムから祝うのは来年からでいいと言われたのでここに来てから初めての誕生日会はサンクトゥムとなったのだ。
「カルマ、盛り付けはこんなものでどうだ?」
「んー?うんうんいい感じ!冷蔵庫のやつ大体サンクトゥムの好きなものを昨日作り置きしておいたのだからそれもあっためて盛りつけちゃって!」
「ふむ、この偉大なる国王にこんな雑務をさせるとは…」
「クレメンタインの親友の誕生日会だ、文句は言っているが内心祝えてうれしく思っているだろう」
机に白のシートを引きながらフェルニルがそう言う
「レノヴァ、もうそこの坂まで来てるって!」
カルマにそう言われケーキの盛り付けを任せ外に出る
クラッカーを一つアリアに渡す予定だからそれとなく合流しなければ散歩を装い庭の
星が良く見える場所で待つ。今日は満天の星空、素晴らしいくらい美しい星海が空を負いつくしている高天にいる神々もサンクトゥムの生誕をきっと祝っていることだろう、2分ほどで、話し声が聞こえてくる
「む?レノヴァ、夜遅いが、寝れぬのか?」
サプライズのために家の電気は消してみんなが寝ているように見せかけているので今の私は寝れていないように見えているのだろう
「寝れないというか、こんな星空、見逃すにはもったいないと思いまして」
指で画面のような四角を作ればその中は投影に記録される。サンクトゥムが少し離れた場所に座り、隣にアリアが座る、その瞬間にクラッカーを手渡す
「二人はずいぶんと仲良くなったな?距離が近くなっている」
「まあ、背中合わせて戦った仲ですし」
「レノヴァさんの相談に乗って差し上げましたし」
あの日以来結構仲良くなったアリアと少し笑って立ち上がる
「寒いですし、部屋に入りましょうか」
「そうだな、お前に風邪でも引かせたらカルマにひき殺されてしまう」
「私も、お風呂入りたいですね」
そう言って玄関の扉を開け、リビングへ向かう
「?なんだ、何かしていたのか?」
リビングの扉を開けると後ろにいるサンクトゥムが訝しんで聞いてくるそのタイミングで
「サンクトゥム!」「「「サンクトゥム様!」」」「サンクトゥム」「サンクトゥムさん」「お母様」
「「「誕生日!おめでとう!」」」「「「「誕生日おめでとうございます!」」」」
皆が飛び出しサンクトゥムにクラッカーを放つ
7色のテープとキラキラがサンクトゥムに放たれその顔に驚きの表情を作る
「!?なんと…」
「今日は星海歴で5月の28日、サンクトゥムのお誕生日だよ!」
「そうか、今日だったか、忙しくて忘れていたな…お前たち、ありがとう、すごく、うれしいぞ」
みんなを一通り見渡した後頭に乗っているクラッカーのテープを眺めてサンクトゥムはそういう
「ほら、主役はこれを付けないとね」
そう言ってカルマが本日の主役と書かれたタスキをサンクトゥムにかぶせる
「サンクトゥム様、ここに座ってください、お誕生日席ってやつです!」
アリアに案内されサンクトゥムが座る目の前にはこの世に存在する食べ物ならなんでも大好きなサンクトゥムのために7人で作ったいろいろな料理が並んでいる
「これを、私のために作ってくれたのか?これは…ふふっうれしいな」
「ならよかったです、みんなも座りましょう、今夜は長いですよ!」
そうファントムが言いほかのみんなが座るのだが
「あれ?1席余りますね?」
それぞれ好きな座り方をしたのだがカルマに座らないように言われた席だけ空いている
「ふっふー!ここで!特別ゲストさんだよ!!」
サンクトゥムどころか私たちも知らない情報を出されて少し戸惑う
「こちらの方です!」
そうカルマが言うとリビングの扉が開かれ長身の見慣れた男性…というか因縁の相手が入ってきた
「ぜっ!ゼーヴェン!?何しにここに!」
「おいおい、誰も説明してないのか?これじゃ感動の再開どころか血祭が始まるぞ?」
「かっカルマ!説明っ!」
そう言ってカルマの方を向いた表情をのちにカルマは「あの時のレノヴァ、あんな場面じゃなければ押し倒しちゃいそうなくらい良い表情だったんだ〜」と言っていた。コワイ
「いや、私から説明しよう、いろいろ誤解を招くことをゼーヴェンがしたのは謝るが…」
そう言ってサンクトゥムはゼーヴェンの近くまで近づき手を握って驚きの事実を突きつけてきた
「私の結婚指輪はゼーヴェンと契ったものだ」
…
「「「はあああああああああああああああああ???」」」
主に驚いたのは私とアリス、ファントムなので神たちは知っていたのだろう、知っていて教えなかったのだろう…は?
「なんで、教えなかったんですか」
カルマの方を揺さぶりどうにかして吐かせる
「あうあうあうあうあうあうまあうあうってあうあうええええあうあうあうぅ、やっとやめてくれたぁ」
「説明を、求める、カルマ」
「いや、教えたらいろいろ不都合なんだったのよ、彼は熾天使に潜入するために自分を神から人に一時的に落としてるの、それをはじめから知ってたら奴らに疑われちゃうでしょ?今日だってサンクトゥムのためにいろいろやってきてもらったんだよ」
今日という記念日にこんな情報を公開されるとは思ってもいなかったがまぁ納得するほかない
「ってわけだ、ファントムとアリスだっけか、いろいろ迷惑をかけたな、レノヴァ、また会ったな、見ないうちに関係が進展したみたいで何よりだ」
そう言って席に座ったゼーヴェンは穏やかな目でサンクトゥムを眺めるのだった