「…ここは?」
目ざめたそこはとてつもなく広く永遠に続く浅い海だった
手を動かせば水が手を伝う
「死んだ…?」
現実味がないその空間は死後の国への川渡り中に落とされたのかと思うほどだ
「レノヴァさん、見つけましたよ」
ぴちゃりと右から水面をたたく音が聞こえ波紋が体にあたり消える
「ゼラニム…?」
「だめじゃないですかぁ、蒼天海に行くだなんて、まったく、どうしてたった数日で気づいちゃうんですかねぇ」
まさに悪役のそれといった話し方でゼラニムはくすくすと笑う
「わざわざこんな凝った手を用意して殺しに来るだなんてなあんたもプラナも、熾天使というわけ?」
「半分あたりです、前半だけ間違えてますよ」
「じゃあ何をしに来たんだ?」
「知りませんよ、急にここに飛ばされたんですからぁ」
「でもぉ、悪くないですねぇ、殺しはしなくてもここで犯してでもこちら側に引きずり込むっていうのも…」
「やめろ、こちとら恋人もちじゃ」
あまりに突飛でそれでいて馬鹿げた話をされて意味が分からない、そもそもここがどこなのかすら知らないのだ、まずはそれを知らなければ
「私もプロナリアちゃん意外としたくもありませんよ。ほら、立ってください、この場所に二人きりとか嫌ですので、早く出ましょう。あ、私のことはアリスと呼んでください、体が違うだけでお姉さまと私はほとんど同じですから」
そう言って離れていくゼラニム改め二人目のアリスを追うのだった
「歩いても歩いてもおんなじ景色ですねぇ、嫌になっちゃいますよ…」
「まぁ、こうするしかないし、仕方ないでしょう?そういえばアリスはどうやってここに来たの?」
「その辺を適当に歩いてたら白い光に包まれてきたんですよ、どうやってなんて私が知りたいくらいです、ちなみにそちらは?」
「こっちは懐かしく感じる白い石が目の前に浮いてきて、触ったらこうなった」
そう伝えるとアリスは顔の前に手を当て人差し指でこめかみを叩く
「変ですねぇ、それは私が人に大事なことを教えるときに使う魔法のようなものです、私は使っていないのに、なんでレノヴァさんのところに出たんでしょうか?」
私以外に使える人はいないはずなのに、と足を止めるアリス
「あれ、なんですか?」
そう言ってアリスが指をさした先には美しい海には似つかわしくない檻があった
「あ、待ってください分かりました、多分ここは蒼天海で確定なんですけど、あれは多分私が権限を奪ったおかげで閉じ込められた元管理者さんですね」
その檻の中にいたのは私とそっくりな女の子だった