準備と言っても主な持ち物はティオに頼まれた甘いもののため、料理が完成するまでサンクトゥムとアリアはそれぞれの過ごし方をと言っておいた、カルマはというと…
「んにゃぴぃ」
レノヴァの作った甘いものなら私が味見しないと!と言って来たかと思えば、完成したら起こしてと机に突っ伏して寝てしまった。そんな彼女に薄めの布をかけて料理に取り掛かる、そう言えばティオからは甘味としか言われていないのだが、何がいいとかはあるのだろうか、何があってもいいようにちょっとだけ多めに作っていこうと思う。
「よっと」
一品目はアップルパイ、こればっかりは私の好みでもあるのだが、それもあって味は確実においしい。折角なのでパイの中をタルトのようにしてみる、リンゴはタルトにしてもパイにしても確実においしいのでこれも美味しいだろうという算段だ。
「レノヴァ、冷えた飲み物は、おっと、よさげな料理じゃないか」
アップルパイを作り終えて次の準備をしていたところに、外作業中らしいサンクトゥムが水分を求めてきた、とりあえず冷やしておいた水を差しだし、寝ているカルマの代わりに味見をしてもらう
「食べていいのか、ではありがたく…!これは、なるほど中をタルトにしているのか表面はパリッと仕上がっていてなかなか美味しい、いい発想をしたな、レノヴァ」
「わ、よかったですせっかく作るなら、ちょっと面白くしてみようと思いまして」
「流石の腕だな、私はアリアとこの船の整備をしているから、何かあったら呼んでくれ」
「あ、でしたらこれを、アリアさんにも持って行ってあげてください」
切り分けたアップルパイと冷えた水の入った水筒を二本を渡す
「お、ありがとうあいつも喜ぶだろう、ではまたやってくるよ」
そう言ってキッチンから離れていったサンクトゥムを見送り、二品目、今度はモンブランに挑戦してみる。前にやった時はちょっとぐしょぐしょになってしまい、誰にも出さずに個人的に消費したのだが、前より料理の経験を積んできたので、今なら割とうまくできそうな気がする。
「む、むずかしっ」
クリームを絞る時の強さが、いまいち掴めず終いではあったがまぁ、あまり気にしない程度にはなっているので、いつかリベンジを…ということにしておく。相も変わらず爆睡中のカルマが手で動かさないような位置に一つ置いてから、他の物を持っていくようにしまっていく、二品で三分の二ほどが埋まったのでこの調子ならあと四品は行けそうだ
三、四品目にミルクプリンと蒸しケーキを作り上げたところでカルマが目を覚ます
「んん…あ、おあよ、ねっむぅ」
最近朝昼晩と戦ってばかりなので流石に疲れたらしい彼女は、目の前に出来上がった4品を見て目の色を変える
「わっ!いっぱいできてる...!食べていい?」
「どうぞ、あと二品だけ作る予定だよ」
「んーんまんま、っていうかよくそんな作るよねぇ、えらいえらい、うん、どれもさすがの出来だね、やっぱレノヴァの作るものよこれがなきゃやってらんない」
「カルマも隠してるけど料理できるでしょうに、私としてはたまにはカルマのご飯も食べたいけども」
「ふーむ」
少し上を見て悩むように腕を組んだカルマは、チラッとこちらを見て笑う
「しょうがない、リクエストにお答えしちゃいましょうか!」
「まじか!嬉しすぎるかも、何時ぶりだっけカルマの料理」
「んー、半年くらいじゃない?レノヴァにいっつも作ってもらってたり買ったものだったり」
じゃあ半分キッチン借りますよとこっちに入ってきたカルマと肩を並べ料理をする
「何がいい?ごはん系でも、デザート系でもいいよ」
「んーごはんの気分だなぁ、じゃあ牛丼で!カルマの牛丼好きなんだ」
「りょーかい!レノヴァが作ってる間に気合入れちゃうよ~」
カルマの牛丼は出会ったころに一度食べただけだが、あの味が忘れられないほどには好みの味だった、あれがまた食べられるうえに彼女の手料理となった今はまさに最高級のごはんだ
「レノヴァの五品目は?」
「んーそろぼちネタ切れ、なんかない?」
「えー、あ、あれは?クッキーまだやってないんじゃない?」
「あ、いいね採用じゃあやっていきますかー」
お互い作業に入り10分ほどたてばカルマの方からいい香りが漂ってくる。隣に料理する人がいるのは新鮮な経験だし、たまに見ると普段は見れない表情のカルマがいるので楽しい
「レノヴァレノヴァ、ちょっと味見して」
そう言ってカルマが小皿に少しつゆを注いで渡してきたので少しすする、その味は出会ったころとは大きく変わったカルマでも味はそのままなことに嬉しくなる。
「うん、美味しい、あの時と変わらない味だ」
「そう?ならよかったいろいろ変わったから味変わっちゃってたら申し訳ないと思ってたんだよねぇ」
「じゃあちょうどこっちも焼けたから一個食べてよ」
「おおーあーむっ…うん、おいしい、美味しいが他より甘みがないせいで何か足りないかも…」
「んークリームをクッキーで挟んじゃったり?」
「あり寄りのありすぎる案だねいいじゃん、レノヴァさんや次は何を?」
「これまでで満足できなかった時のとどめの一撃でパフェです」
「おお、持ち運びのはずだよね?」
「そこはちゃんと考えてやるからご安心を」
「ふむふむ、じゃあ楽しみにしてみよっかな」
そんなこんなで完成した6品目のパフェはいちごとバニラアイス、ホイップクリームをふんだんに使ったもの、これを三段に分けることで持ち運びにも適したものにした、カルマの方はというと…
「久しぶりの料理が楽しくて作りすぎちゃった!」
寸胴鍋丸々一個分牛丼を作るとかいう作りすぎたとかのレベルではない量が出来上がっていた
「どうすんのよこれは…」
「とりあえず今日のお昼と夕飯で半分は飛ぶし、ティオにももってったげよ、甘いだけだとしょっぱいが恋しくなるかもだしね?」
カルマとティオの食べ物処理能力に賭けてみようかと考えていたのだが、そこで一つの案が浮かぶ。
「時の権能使って食べ物の時間止められないかな?」
「あ、考えたことなかった、えっと、こうかな?」
突飛な発案ではあったが意外とできたみたいで鍋の中身は固まっている
「じゃあサンクトゥム達を待ってお昼ご飯にしよっか、食べ終わったらいよいよ蒼天海!」