「抱っこしてくださいマスター」
「リンドウちゃん!私も!」
現在どういう状況かというと私の目の前にはルナとアロナの姿のシエルがいる。何を言っているか分からねぇと思うが私も混乱しているのだ。何故なら
【数分前】
「マスター?起きてください」ペチペチ
「リンドウちゃ〜ん起きて〜」ペチペチ
「んん………ん?」
「おはようございます。マスター」
「おはよう!リンドウちゃん」
「おはようルナ…………………………ん?」
「どうかしましたか?マスター」
「どうしたの?リンドウちゃん」
「ちょ、ちょっと待って。なんでふたりが目の前に居るの?ここどこ?私はリンドウ?」
「ギャグかましてるって事はリンドウちゃん割と余裕あるね?」
「あ、バレた?でもここがどこか聞きたいのは本当だよ」
「マスター説明は後ほどしますのでその前に」
「先に説明して欲しいけどなぁ…どうしたの?」
「抱っこしてくださいマスター」
「リンドウちゃん!私も!」
という訳なのである。つまり私は今寝起きドッキリを仕掛けられたも同然の状態で2人に抱っこをせがまれているのだ。
「ルナはするの全然いいんだけど、シエルはなんでその姿になってんの?やっぱりそういう趣味が?」
「違うもん!ここだとこうなるんだもん!」
ん?ここだとこうなる?シエルがアロナの姿になる場所って言ったら…
「もしかしてここってシッテムの箱の中?ルナおいで〜」
「わ〜い」
「残念不正解。ここはリンドウちゃんのスマホの中?って言った方がいいかな?」
「は?私のスマホの中?どういう事?」
スマホの中って入れるものじゃなくない?シエルもしかして頭打って馬鹿になっちゃった?
「あ〜!今私の事馬鹿になったって思ったでしょ〜!」
「ギクッ………そ、そんな事無いよ?」
「マスター、シエルさんの言ってることは間違って無いですよ。ここはマスターのスマホの中で合っています」
「ルナがいうなら間違いないかぁ。私のスマホの中ってどういうこと?」
「ちょっと〜!なんで私じゃ信じなくてルナちゃんなら信じるの〜!?コホン…実は今回ルナちゃんのプログラムをアップデートしたのと同時にシッテムの箱と同じようにリンドウちゃんもこの空間に入れるようにしたの!」
「つまりここはシッテムの箱に似てはいるけど別の部屋って事か。あれ?そうなったら私の身体は今どういう状況になってるの?」
「あくまでここにはマスターの意識だけ入っている事になっているので現実でのマスターの身体は寝ている状態ですね。なので立った状態でここに入ろうとしたらマスターが突然寝たもしくは気絶したように見えるので気をつけてくださいね?」
「なるほど。じゃあ座ってる時か横になってる時にしとかないいけないのか」
あれ?チュートリアルの時だと先生立ったまま入ってなかったっけ?まぁシッテムの箱の方が高性能で立ったままでも大丈夫って思えばいいか。
「いよいよシッテムの箱と違う部分が減ってきたんじゃないか?で、なんでシエルがここにいるの?」
「え?前に言ったでしょ?いざって時の避難所にするって」
「それは知ってるけど別に今何か事件起きた訳じゃないでしょ。」
「まぁそうだけど〜」
「もしかしてまた仕事サボったんじゃ…」
「………チ、チガイマスヨー」
「ルナ、匿名でリンちゃんに連邦生徒会長サボってるってチクッといて」
「分かりました」
「あ〜待って待って!話があるの〜!」
「話?」
「うん……もう少しで私たち3年生になるじゃない?」
「そうだね……もしかして」
「うん、3年生になってしばらくしたら動くつもりなの」
「遂にか…なんだかんだ早いもんだね」
「そしてリンドウちゃんもそのタイミングぐらいで動くつもりなんでしょ?」
「そりゃあそうでしょ。何のために『妖狐』として活動する準備したと思ってんのさ」
「だから早めに報告してお互いが動くタイミング決めとこうと思って」
なるほど…シエルと全く同じタイミングで居なくなったら私とシエルに繋がりがあると思われるしそこから芋ずる式に『妖狐』の正体に気づかれる可能性もあるから動くタイミングは決めた方がいいよな。
「なら私はシエルが失踪してから先生が来る前に動く事にした方がいいかな?」
「うん、それがいいと思う。私が居なくなったってキヴォトスに知られる前に動くのがベストだと思うし」
「ならその予定で行きますか。それと時間的にそろそろ起きた方がいいかな。」
「そうだね。動く時は連絡するしその後の事頼んだよ?」
「マカセロリ」
────────────────────
「ん……今の時間……9時か。まだ朝だな、ヨシ!」
「ヨシじゃないよ」
「………アイエェェ!?アヤメ!?アヤメナンデェェェェ!?」
「なんでって今日朝から訓練あるのにリンドウが来る気配無いから迎えに来たら寝てるんだもん」
「あ、そういやそうだった…」
「ほら早く準備して行くよ」
「はーい」
[訓練所にて]
「ごめんね〜寝てて遅れちゃった」
「モグモグ…おはようリンドウ」
「朝から焼き鳥ってよく食えるね…」
「焼き鳥は何時食べても美味しい」キリッ
「朝からはさすがに重いでしょうよ」
「ほらほら早く訓練するよ」
「あ、そうだ。アヤメ委員長」
「ん?どうしたのリンドウ?」
「後ほど大事な話があります。お時間頂けますか? 」
「……分かった。訓練終わったら委員長室でいい?ナグサも呼んでおこうか?」
「うん、ありがとう。呼んでもらっていい?」
「了解、じゃあまずは訓練しようか」
「ほいほーい」
────────────────────
「うへぇ…訓練相変わらずしんど〜い」
「百花繚乱なんだからそれは仕方ないでしょ」
「それもそうだねぇ」
「……それで、大事な話っていうのは?」
「え?それ呼ばれたけど私も聞いてもいいの?」
「ナグサもある意味関係してるから聞いて欲しいかな。」
「そうなの?」
「まあとりあえずリンドウの話を聞こうか」
「そうだなぁ…結論から言うともう少ししたらしばらく武者修行に出たいと思ってる」
「武者修行?なんで?」
「理由はいくつかあるけど…主な理由はやっぱり今の役職に対して私は実力不足である事かな」
「実力不足?今のままでも十分リンドウは強いと思うけど」
「アヤメやナグサにとってはそうかもしれないけど私としては2人に全敗してるのは後輩達にも示しがつかないし私としても思うところがあるんだよね」
本来の目的は『妖狐』として動く為だが別にこれは嘘じゃない。事実として一般委員の子達からも「玖尾リンドウは委員長補佐として相応しくないのではないか?」という声は少なからずある。
「実際2人も聞いた事ぐらいあるでしょ?私がこの役職に相応しくないって言ってる子達がいる事」
「それは聞いた事あるけど…」
「でもリンドウが気にする必要ないんじゃ…」
「私が気にする必要無くてもそういった意見がある以上私が指揮する時に相応しくない奴が指示するな!って反発して作戦が失敗する可能性もあるんだよ。何かが起きてからじゃ遅い事もあるし…失敗する可能性なんてのは回避するのが1番だからさ。だからこそ…私は修行の旅に出て実力を付けてくる。」
「………分かった。許可するよ」
「アヤメ!?本当にいいの!?」
「リンドウが決めた以上私たちがどうする事も出来ないでしょ」
「まぁ武者修行と言っても全く帰って来ない訳じゃないよ。そもそも委員長補佐の仕事もある訳だし、定期的に帰っては来るよ」
「長期間空けるんだからちゃんと実力つけてきてよ?」
「まぁ頑張ってみますわな」
────────────────────
[こっちは何時でも動ける準備は出来たよ]
[分かった。こっちも動けるように準備始めるね]
[了解]
さて、これで準備は出来て後はシエルが動くの待つだけになった。
「ついに始まるのか…私にやりきれるかな。」
「大丈夫です!マスターには私がついてますから!」
「ハハッ…うん、そうだね。頼りにしてるよ?相棒」
「!!!…お任せ下さい!」