百花繚乱のお狐様   作:お狐コンコン

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【百鬼夜行のとある1日】

「リンド〜ウ♡お姉ちゃんが会いに来ましたよ〜あら?」

《しばらく旅に出るので留守にしています》

「そ、そんな、留守…しかもしばらく帰ってこないなんて…」Orz

「なんかリンドウの家の前で項垂れてる人がいる…」


リンドウ「私はヘルメットモブY」

 

ブラックマーケットのすぐ近くの二階建ての建物、そこはリンドウが妖狐として活動する為に準備した場所であり表向きは1階が情報屋&傭兵【妖狐】のオフィスとして2階が居住スペースとして使われている。

今までは百花繚乱にいたこともあり普段はオンラインで仕事のやり取りをしている為客が来る事はほとんど無いが今回は珍しく客が来ている。

 

「こうやって実際に顔を合わせるのは久しぶりだな。便利屋68の皆さん方」

 

「えぇ久しぶりね。」

 

「コンコン元気にしてた〜?」

 

「ムツキさんは相変わらずのようだね。そちらも変わらないようで何よりだよ。」

 

「ごめんね妖狐、急に来ちゃって」

 

「問題ないさカヨコさん、ここに来たという事は仕事の依頼だろう?少し待っていてくれ。お茶でも淹れよう」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「それで?情報か傭兵どちらの仕事だい?」

 

「今回は両方よ。アビドス高校について情報が欲しいのと今度そこを襲撃するから参加して欲しいの」

 

セリカ誘拐事件が解決したからそろそろだと思ってたけどまさか私を雇おうとはねぇ…まぁ傭兵してるからこうなる可能性は考えてはいたけどまさか本当に起きるなんて思うわけないよね。

 

「アビドス高校か…あそこは私も詳しい情報は持ってないんだがなぁ」

 

「え?そうなの?」

 

「あそこはほかの学園と違って6人と生徒がとても少ない。それ故に普段使ってる生徒に紛れて調べるといった手法が取れないんだよ」

 

「なるほどね、じゃああまり情報の方は無いんだ」

 

「そうなるな、戦闘に関しても1度遠目で確認した程度で確実な情報は無い。まぁ他には…」

 

リンドウがおもむろに便利屋の前に出したのはアビドスと書かれたファイルの数々だった

 

「これは?」

 

「アビドスを狙う勢力と外からでも分かる情勢をまとめた資料だ。それに、今回の襲撃はその勢力……大方、カイザーからの依頼だろう?」

 

「ギクッ……さ、サァナンノコトカシラ〜」

 

「少しはポーカーフェイスを覚えた方がいいぞアル社長?」

 

「それはそうと傭兵の仕事だったな。日程と集合場所を教えてくれれば当日そこに向かおう」

 

「えぇ、頼んだわよ」

 

引き受けたはいいけどお面の状態で行ったらまずいよなぁ……どうしよう。

 

「なななな、なっ、何ですってぇーーーーー!!!???」

 

「ん?あぁラーメン食い終わったのか。」

 

という訳で襲撃当日になりました。例のBGMが流れてそうな声も聞こえてくるしそろそろ襲撃開始ですかね〜

 

「準備は出来てるわね?」

 

「もちろん。何でもいいけど、残業は無しでね。時給も値切られてるし。」

 

「細かい事は今は置いといて!さあ、行きましょう!アビドスを襲撃するわよ!」

 

「……あれ?妖狐は?」

 

「ここだよ。カヨコさん」

 

「うわ、いつものお面じゃないね。どうしたの?」

 

そう!今私が身につけているのはヘルメットモブが被っているのとほとんど同じヘルメット!つまり今の私は唯のヘルメットモブ!中身が妖狐だからヘルメットモブYとでも名乗ろうか。

 

「ちょっとね〜お面じゃ都合が悪い事あって」

 

「へぇ…まぁ詮索はしないよ」

 

「アザッス」

 

「そろそろ着くわよ!しっかりしなさい!」

 

「さて、気合い入れますか…」

 

────────────────────

タタタタタタッ!!

 

パパパパパパッ!

 

ドカァァァァァァン

 

(やっぱりアビドス組のレベルが高いのもあるけど先生の指示が的確だな…)

 

戦闘が始まって数十分、日雇いの子達も数の有利はあっても少しずつ押されてきている。

 

ノノミがマシンガンで全体を牽制、ユメ先輩が盾で守りに徹してヘイトを買っている間にホシノ、セリカ、シロコが各個撃破、アヤネと先生が後ろから援助、

 

(傭兵の子達じゃ1人抑えるのも苦労してるな…なら)

 

「アル社長、私が1人受け持つ…他は任せていいかな?」

 

「わ、分かったわ。頼んだわよ」

 

「あくまで引きつけるだけで撃破は期待しないでくれよ?」

 

さすがに最強格相手にタイマンなんて勝てる気しないからね…

 

「それじゃあ少し遊んでもらおうか」

 

「うへ〜?おじさんの次の相手は君かなぁ?」

 

「………」(やっぱりホシノの相手は怖いです。早まったかもしれません)

 

「だんまりかな?でもうちを狙った以上覚悟はしてね?」

 

「……前とは随分変わったな」

 

「え?」

 

「隙あり」

 

ズドンッ!初手でリンドウはホシノの一瞬の隙を見逃さず先制を取った…が、

 

「うへ、危ないなぁ」

 

ホシノは難なく躱し距離を詰める、相手にリロードをする暇を与えること無く目の前の相手をさっさと倒しみんなのサポートに回ることを既に頭で考えていた。そう考えていた次の瞬間…ホシノの身体に痛みが走り後ろによろめいた。

 

ドカッ!

 

「ガハッ…」

 

「………」

 

(とりあえず最初は狙い通りって所かな…)

 

リンドウが取った行動はリロードでも後退でもなく後ろ横蹴りという反撃だった。

 

リンドウは初撃がホシノに当たる事に微塵も期待していなかった。事前にホシノの戦闘を見ていた為、ホシノに当てること自体がまず困難である事、自身の銃と相手の相性が悪い事、それが分かっていた為にリンドウは初撃ではなく次の一手を確実に決める為に至近距離の格闘戦を選んだ。

 

「いてて…まさか蹴りを入れてくるなんて予想外だったなぁ」

 

目の前にいる相手は他の傭兵とは明らかに強さが違う、適当に戦っていて勝てる相手じゃない。今日初めて攻撃を食らったホシノがそう思うほどにリンドウの蹴りは強烈だった。

リンドウの目的はあくまでホシノの足止めなので最初に重い一撃を与えて自分に集中させる事が狙いなのだがそんな事をホシノは知る由もなく

 

「君…強いね。」

 

「………」(わーおホシノに強いって言われちゃった。)

 

「私も、少し本気で相手してあげるよ」

 

「………」(やっべぇ…少しやり過ぎたかも。ここからは予定通り時間稼ぎに徹するとするか。)

 

注意を引くどころかホシノのスイッチを入れてしまったリンドウなのであった…

 

────────────────────

 

「嘘でしょ?あのヘルメットのヤツ、ホシノ先輩相手に1人でずっと耐えてる…」

 

「ん、あいつ強い」

 

襲撃開始から結構な時間が経ちお互いが一進一退の状況の中ホシノとリンドウは…

 

ズドンッ!

 

「うへ、今のは結構危なかったかもお返しにこれはどうかな〜?」

 

ズドンッ!ズドンッ!

 

「………!!!」(あっぶな!?時間稼ぎするとは言ったけどここまでヒリつくのは想定外なんだけど!?)

 

二人で恐ろしい鬼ごっこをしていた。もちろん鬼側がホシノで逃げているのはリンドウである。

 

(うへ〜まさか結構本気でやってるのにここまで耐えられるとは思ってもいなかったなぁ。それに…)

 

ズドンッ!

 

(いやらしい事に踏み込もうとしたタイミングで反撃して撃って来るなぁ。リロード中狙おうとしたら最初のように痛いの貰うかもだし…)

 

「なかなか攻めづらい構図になっちゃってるなぁ」

 

「………」(結構時間も経って来ている…そろそろか?)

 

「!!!…隙見せたね?」

 

「!?しまっ…」

 

リンドウのわずかな隙をホシノが見逃すはずもなく、リンドウがやられると思った次の瞬間…

 

キーンコーンカーンコーン

 

「………あ、定時だ」

 

「今日の日当だとここまでね。あとは自分達でなんとかして。みんな、帰るわよ。」

 

「は、はぁ!?ちょ、ちょっと待ってよ!!」

 

「終わったってさ」

 

「帰りそば屋でも寄ってく?」

 

「こらー!!ちょ、どういうことよ!?ちょっと!帰っちゃダメ!!」

 

終わりを知らせるチャイムが鳴り他の傭兵達は仕事が終わったと言いながら帰って行った。

 

「………うへ?終わり?」

 

「………」(よっしゃぁ耐えきったァ)

 

「あ……うぅ……」

 

「アル社長、この人数じゃ分が悪過ぎる…一旦引いた方がいい。」

 

「そ、そうね」

 

「こ、これで終わったと思わないことね!アビドス!!」

 

「待って!……あ、行っちゃいましたね」

 

「うへ〜逃げ足速いね、あの子たち」

 

「ん、ホシノ先輩があのヘルメット早く倒してたらこっちが勝ってた」

 

「ご、ごめんってシロコちゃん。おじさんちょっと楽しくなっちゃって…」

 

「”とりあえずみんなお疲れ様、まずは戻ろうか”」

 

「うん、そうだね」

 

一方、襲撃場所から離れた場所に退却したリンドウと便利屋は…

 

「もう!どうしてこうなるのよぉ!!」

 

「予想以上にアビドスが強かった…それだけだろ」

 

「そ、そうだけど…」

 

「まずはここを離れるぞ。向こうが追いかけて来ていたら見つかるしな」

 

「そうだね。早く離れよう」

 

「ここからだとうちのオフィスの方が近い、とりあえず来な。反省会するなら自由にしていいから」

 

「ありがと〜コンコン」

 

「……それにしても」

 

先生の指揮能力、想像以上だな…ホシノを抑えていれば十分こちらにも勝機はあったのに崩せなかった。

 

────────────────────

 

アビドスを便利屋が襲撃してきた次の日、先生達は昨日の襲撃の件で話し合いをしていた。

 

「私達を襲ったのは「便利屋68」という部活です」

 

「ゲヘナではかなり危険で素行の悪い生徒たちとして知られています」

 

「便利屋とは頼まれた事を何でもこなすサービス業者で…」

 

「部活のリーダーの名前はアルさん」

 

「自らを「社長」と称しているようです」

 

「彼女の下には3人の部員がいて、それぞれ室長、課長、平社員の肩書があるとのことです。」

 

「うへ?3人?4人じゃなくて?」

 

「はい、3人で間違いないと思います。」

 

「……そっかぁ」

 

「ホシノちゃん?なにか気になる事でもあるの?」

 

「昨日最後まで私が相手をしていたヘルメットの子…あの子はただの傭兵じゃない気がするんです。」

 

(それに最初のあの言葉…前にどこかで会ったことがある様な言い方)

 

「私も気になって調べたんですけど、他の傭兵の人達については分かったんですが、ホシノ先輩が相手をしていたヘルメットの人に関しては何も情報が見つからなかったんです。」

 

「え?ひとつもですか?」

 

「はい、おそらく雇われた傭兵であろうという事しか分かっていません。」

 

「でもあの子たちが雇っていたという事はあの子たちなら知ってるんじゃない?」

 

「なら次は取っ捕まえて取り調べでもするか〜」

 

「はい、機会があればぜひ……」

 

その後セリカを誘拐したヘルメット団について話し、ブラックマーケットに何か手がかりがあるかもしれないという事で、一同はブラックマーケットへ向かい調べる事になった。

 

「ゾワッ……な、なんか今寒気しなかった?」

 

「そう?私はしなかったけど」

 

「アルちゃん風邪ひいちゃった〜?」

 

「どうでもいいんだけど、うちに1泊する必要あった?」

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