先生達がエリドゥに侵入してきて数時間、最初の攻防戦から撤退しリオの居る中央タワーにまで戻ってきた。
「ここまでは予定通り…この後は」
トキがアビ・エシュフを使って1度は撃退に成功するはずだから…
「妖狐様……」
「トキさん…そっちも一時撤退したんだ」
「はい、リオ様の指示で」
「先生達はすぐここへ来るはず…今のうちに準備しよう」
「はい…」
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妖狐が撤退した後、最後の抵抗を始めたアヴァンギャルド君を止めて私達はリオ達のいるエリドゥの中央タワーにまで到着した。
「"ここが要塞都市『エリドゥ』の中央タワー……"」
「アリスちゃんが…ここに…」
「……行こう!」
「うん!」
その後中央タワーの入口の手前でC&Cのみんなと合流し、トキとの戦いについてアカネから一部始終を聞いた。
そしてチヒロからの説明でアリスがこの中央タワーに居ることを説明された。
「つまり、後はこのバカデカいタワーを登りゃあいいんだろ?」
「"そうだね、後は登るだけ……」
「ただ、残念だけど──」
カツン…カツン…カツン…
「「「「「「「!!!」」」」」」」
「あの会長が、門番を用意しないわけないよね」
足音のする方にはふたつの人影があった。
「お待ちしておりました。先輩方、先生」
「何人かいないみたいだが…アヴァンギャルド君が頑張ったか」
「"やっぱり、トキと妖狐が門番なんだね……"」
「あっ!また会えたね〜!トキちゃんやほ!そしてあれがリーダーの言ってた!」
「あぁん?んだよ、さっきは尻尾巻いて逃げ出したくせに……」
「一体どのツラ下げてあたしらの前に現れてんだ?」
「戦略的撤退の可能性を考えなかったのか?ここに集めるのが目的かもしれないだろ?」
「あぁん?」
「そうよ、作戦を変更したのは、貴方たちだけだと思って?」
「……リオ」
リオが現れトキに「名もなき神々の王女」に対する切り札「アビ・エシュフ」の使用許可を出した。
「パワードスーツシステム「アビ・エシュフ」へ移行します」
トキがそう言うとたちまちに身につけている装備を脱ぎ…
ドゴォォォォォォン!!!
「わ、わぁ!?一体なに!?」
上から突如何かが飛来しトキの元へ落ちてきた。
土煙が晴れて視界が開けてくるとそこにはトキと飛来してきた物体があった。そして瞬く間にトキが搭乗した。
パワードスーツシステム「アビ・エシュフ」起動
「サポートはこっちでやる…トキさんは好きに動きな」
「ありがとうございます。妖狐様」
戦闘、開始します。
「"………来る!"」
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ドガガガガガガ!!!!
ドォン!ドォン!
ドカァァァァァン!!!
「…!!」
「"こんなに攻撃してるのに、傷1つつかないなんて……"」
ほんとアビ・エシュフって正面からやり合おうとするとチートすぎるよなぁ。
エリドゥの電力と演算機能をすべて集中する事で未来予知に迫る性能を搭載しトキが操作することでキヴォトスでもトップの実力を出す事ができる。
さすがリオが対名もなき神々の王女用の切り札として用意しただけはある。
その事は向こうももう分かったようで既に冷静に分析しているな。
「な、何それ!?そんなのラスボスが持ってる能力じゃん!?」
「それって、ただのチートじゃないですか!」
うん、分かるよ。敵としてこんなチート、相手するのクッッソ嫌だよね。でも味方だとすげえ頼もしいわこれ。
「そっちばっかり気を取られていいのかよ。私も居ること忘れるなよ?」
「チッ!人が嫌なタイミングで絶妙に攻撃してきやがって!」
「"一体…どうしたら"」
「先生…相手は、陸上専用の…」
「"!!"」
「"……ネル!戦う場所を変えよう!"」
へぇ…流石先生、気づいたみたいだな。
先生がネルに屋上へ行くように指示を出した直後ネルは先生を抱えて建物の上へと移動して行き私達はその後を追いかけるのだった。
「ターゲットを追撃、屋上へ到着しました。」
「よりによって建物の屋上だなんて」
「……狭いところであればトキとまともに戦える、と」
「そう判断したのですね。先生」
「"いや、狙いはそこじゃない"」
「"ネル!"」
「!!!…頭上だ!」
早く気づいたからか避けること自体は容易かったが…
「ハッ!確かに陸上なら避けれるだろうが…」
「空中ならどうだ?」
ドカァァァァァン!!!
「チッ…まじかよ!?」
ネルが仕掛けたであろう爆弾の爆発で私とトキは空中へとはじき出され重力にしたがって自然落下する事になった。
「妖狐様!」
「こっちは何とかする!気にするな!」
「はっ、妖狐と言えど空は飛べねぇよなぁ!?」
「チッ…してやられた。トキさん、来るぞ!」
「おら、来いよ!落下中でも私の攻撃、避けられるかどうか見てやるよ!」
クッソ、原作でもこうなるって分かってたはずなのに避けれなかった!こうなったら…
「はぁ!?なんだそりゃ!?」
リンドウがとった行動は纏雷による身体能力の向上を使い爆発によって周囲にある落下中の建物の破片を足場に空中を跳ね回るという荒業だった。
「ハッハァ!ダブルオーにはこんな事も出来ねぇのかぁ!?大した事ねぇなぁ!」
「あぁん!?上等だよ!やってやろうじゃねぇか!」
「おっしゃあ!かかってこいやこんちくしょう!」
「あの…私もいるんですけど」
こうしてアビ・エシュフが周りを高速で跳ね回る2人に挟まれるというシュールなシーンが完成したのである。
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「はぁはぁ……!3人とも一体どこ行っちゃったの!?」
「3人が向かった方角的にはこの辺のはずなんだけど……」
「……!!あ、あそこ!モモイ、上……!」
「おりゃああっ!!」
「どりゃああっ!!」
モモイ達の上にはアビ・エシュフの周りを跳ね回る2人と動きが早すぎて何も出来ず固まって動けずにいる1人が落ちてきていた。
「うわぁ!なにあれ!?どうやってんの!?」
「落ちてる破片を足場に?」
「人間技じゃないよね!?」
「あっ、落ちてくるよ!」
ドガァァァァン!!!
3人がほぼ同時に落ちてきて大きな土煙が巻き起こり誰が無事なのか判断できずにいた。
「"はぁ……はぁ……!ネル、大丈夫!?"」
「ああ、先生……あいつらはどうなった?」
「"2人の様子はまだ…というか、傷が!"」
「……ああ」
「こんくらい別に…」
「"ネル!?"」
ネルが倒れ心配する時間さえ無いというように無傷のアビ・エシュフに乗ったトキが先生たちの前に現れた。
「そんな…ビルから落ちたのに」
「傷1つついてないなんて…」
驚いているのも束の間、リオがアビ・エシュフはこの先訪れるキヴォトスの脅威に備えて作ったもの、要塞都市の能力を集結させ要塞都市そのものとも言えること、C&Cが裏切った時に備えて準備したものであることを話し…
「トキ、シャーレの先生を回収して」
「……イエス、マム」
万事休すかと思われたその時一瞬だけアビ・エシュフの動きが止まった。
「これは……機体に、ダメージが……?」
「隙あり……!モモイ!今だよ!」
「うん…分かった!」
「やあああっ!」
モモイが投げたのは閃光弾であり、視界が塞がれ光が収まり辺りを確認すると先生達の姿は無かった。
「目標の逃走を確認。追いますか?」
「いや、無理に追う必要はないだろ」
「!!!妖狐様、無事でしたか」
「トキさんとは違ってボロボロの状態だがな…だがまぁ動くこと自体は問題ない」
「そうね、無理に追う必要は無いわね」
「私たちの目的は、あくまで刻限までここを防衛することだから」
「……承知しました」
「だが、また戻ってくるだろ」
「ええ、そういう人たちだから」
「その時こそ──」
「すべてを終わらせましょう」
「とりあえず戻って休んでいいよな?1番ボロボロなんだわ」
「ええ、しっかり休んでちょうだい」
こうして2回目の攻防戦は先生達が撤退することとなりリオ達の勝利で幕を閉じた。
トキを中心に高速で跳ね回るリンドウとネル。
イメージとしてはスーパーボールを小さい部屋で思いっきり壁に投げた時の挙動を想像していただけると分かるかも?