百花繚乱のお狐様   作:お狐コンコン

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勇者と従者の譲れないもの

「あ〜クソ…結構ダメージ受けちまった…」

 

2回目の攻防戦を経て先生達が撤退した後に私たちは次に備え手当と休憩をしていた。

 

「姉さん、大丈夫ですか?」

 

「ん〜少し休んでいたいところだけどね〜そうも言ってられないし」

 

「でもマスターもネルさんに相当ダメージ与えましたよね?それならしばらくは来ないのでは?」

 

「あの程度でリタイアするならダブルオーは名乗れないよ。ダブルオーは絶対にまた来るよ」

 

「ダブルオーというのはそれほどなのですか?」

 

「そうだよ。ミレニアム、そしてC&Cにおけるダブルオーは『約束された勝利の象徴』…ミレニアムがいくら武闘派が少ないとはいえミレニアムの最強はそんな安いものじゃない。」

 

「「…………」」

 

「だからダブルオーは次も絶対に出てくる…まぁ次の相手はトキさんがするだろうけど」

 

まぁ私が見せたアビ・エシュフの弱点に気づけるかな?私がいる事であの弱点はモロに出たはずだし

 

────────────────────

 

1度撤退を余儀なくされた私たちは近くの建物に逃げ込み大怪我で意識を失ったネルの抜けた穴をどうするか考えていた。

 

だが向こうにはネルに並ぶ実力者の妖狐とアビ・エシュフを身につけたトキという最強の門番に対して私たちは有効な手段を持ち合わせず途方にくれていた。

 

「このまま諦めるしか、ないの……?」

 

「……こんな……こんなバットエンドは……絶対……絶対に……!」

 

「んなもん納得できっかよ!!」

 

「うわああっ!?」

 

ネルが意識を取り戻した事に喜ぶのも束の間、ネルはかなりの傷を負って今にもまた倒れそうだった。

 

だがそんな満身創痍のネルがモモイ達に喝を入れた事で私達は妖狐が言っていた言葉を思い出した。

 

『お互い譲れねぇ意地があるんだ。何を躊躇う必要がある…おめぇらがあいつの覚悟を超えるって言うのなら』

 

『全身全霊で私達にぶつかってこいや!』

 

「はっ、あいつそんな事言ってたのかよ。」

 

「でもあんなチートキャラにネル先輩と並ぶ人が居るのなら…どうしたら」

 

「……それだが」

 

「あいつも結構傷を負ってるはずだ。なら私じゃなくても何とかなるかもしれねぇ」

 

「えっ…でもネル先輩が気合いで動くなら向こうも同じなんじゃ…」

 

「そうだよ、私は根性で何とか動けるってだけだ。だが向こうも同じなら根性で何とか動いてる状態だ。なら私じゃなくても足止めするなら十分なはずだ。」

 

「で、でも……」

 

「それに……」

 

「あいつ…落ちてる途中で動きが変わったみてぇだった。なにかタネがあるはずだ」

 

「でもタネがあるとしてもまたそれ使われたら…」

 

「あいつは全身全霊でぶつかってこいって言ってたんだろ?なら日和ってたら勝てるもんも勝てねぇぞ」

 

「次ですべてぶつけるんだよ。すべてをぶつけてチビを助けるんだ」

 

それから私達はユズが気づいたアビ・エシュフの弱点を元に新しく作戦を立て次で最後になるであろう攻防戦の準備を進めるのだった。

 

────────────────────

 

「………上手くやられたな」

 

私はリオとは別室の部屋で先生達の戦闘を見ていた

 

先生達がしてきたのはアビ・エシュフをエレベーターに閉じ込めアビ・エシュフの無敵と思われていた回避システムを麻痺させつつネルの得意な間合いに引き込むというものだった。

 

「こうなったらトキさんの勝利は怪しいな。手負いの状態とはいえダブルオー…しかも向こうの間合いともなれば勝つのは実力者でさえ困難。向こうの作戦勝ちか」

 

その結果は原作通りにネルの勝ちで終わりリオに残された手札はほとんど動けない重傷の私だけでありここから巻き返せるはずもなくリオ達の負けなのは誰が見ても明らかだった。

 

「………ケイ」

 

「なんですか?姉さん」

 

「ここから先生達はアリスを取り戻そうとするけど…ケイはどうするの?」

 

「…………やれるだけの事はやってみます。」

 

「そっか…ルナ」

 

「はい、マスター」

 

「頼んでいたエリドゥのハッキングの準備…どこまで進んでる?」

 

「概ね完了しています」

 

「リオにバレては?」

 

「いません」

 

「そう、なら……」

 

「準備していたハッキングの進捗をケイへと譲渡して」

 

「はい、了解しました」

 

「姉さん…」

 

「私たちができるのはここまでだよ…ケイ、ここからは」

 

「ケイのしたいようにしてみたらいいさ」

 

「…………はい」

 

────────────────────

 

リオの元へ着いたのも束の間、アリスが「Key」と名乗るものに体の主導権を奪われたのかエリドゥをハッキングしミレニアムで見た謎のロボット達も動き出し打つ手なしかと思われたが…

 

ユウカ達の手助けもありエリドゥが完全に奪われるのを阻止しアリスの精神世界に入りアリスが主導権を奪い返す事になったのだが…

 

「アリス!迎えに来た……よ?」

 

「”アリ……ス?”」

 

 

 

「王女は分かってません!進む道を示してくれて手を貸してくれる姉さんの方がいいに決まってます!」

 

「分かってないのはケイの方です!優しく頭を撫でてくれるお姉ちゃんの方がアリスはいいです!」

 

「姉さんなら頭も撫でてくれますしシュークリームだって買ってくれます!」

 

 

 

「えっと……何してるのかな?あれ」

 

「……姉妹喧嘩?」

 

「あれ…さっきまで名もなき神々の王女の何とかって言ってた子なの?キャラ違いすぎない?」

 

 

「王女は頭撫でてくれるしか言ってないじゃないですか!姉さんなら他にも色んなことしてくれます!だから姉さんの方がいいのです!」

 

「確かにアリスにはお姉ちゃんと一緒にいた時間は短いです!でも、暖かいぽかぽかしたものをアリスにくれました!それにお姉ちゃんはケーキも買ってくれました!」

 

「王女が何になりたいかは王女の好きにすればいいです!私も姉さんにそう言われましたから!でも姉さんの事だけは譲れません!」

 

 

「ならアリスは勇者になりたいです!でもお姉ちゃんの事も譲る気はありません!」

 

「…………私たち何しに来たんだっけ?」

 

「アリスちゃんの意識を取り戻しに来たんだよね?」

 

 

 

「うわーん!もうケイのわからず屋です!光よ!」

 

「え、王女!?それはずr」

 

「「「「”……………ええ....(困惑)”」」」」

 

 

 

気がつけばアリスは意識の主導権を取り戻しており、リオが起こした騒動はこうして無事(?)終わったのだった。

 

 

 

 

「むぅ…」

 

「失敗したんだね…ケイ」

 

「姉さんの魅力を王女に伝えきる事が出来ませんでした…」

 

「……………ん?何してたの?」

 

「姉さんの魅力を王女に伝えてました!」

 

「プロトコルATRAHASISを起動していたんじゃないの?」

 

「それもしてましたが姉さんの魅力をアリスに伝えるのが先です!」

 

「いや、それはどうでも良くない?」

 

「良くないです!」

 

「ええ....(困惑)」

 

「アリスも姉さんの妹にする予定が…」

 

ん〜…アリスもなんか妹になってるようなものだけど…言わない方がいいか

 

原作とは似ているようで少し違うパヴァーヌ編はこうして終わりを迎えることとなった……次はリンドウの『妖狐』として動く目的のひとつを大きく担う……

 

エデン条約編へと続くのだった。




アリスとケイの姉妹喧嘩が書きたかった!
お姉ちゃんっ子の2人のかわいい姉妹喧嘩が見たかった!
2人の譲れないもの…それは『どちらの姉の方が素晴らしいか』
なおどちらも同一人物なのは姉の本人しか知らない。
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