眠る狐達の会談
「………………ここ、どこ?」
気づくと周りが真っ白の空間にいた。何を言っているか分からないだろうが、私にも分からん!
「私さっきまで寝てたはずだよな?……という事はここは夢の中か?」
夢の中なら頬をつねっても痛くないはず…
「痛くない……夢の中っぽいなぁ〜明晰夢ってやつかな?」
エデン条約前に明晰夢ってなるとな~………あれだよなぁ
わんぱくFOXもしくはセクシーFOXですまない…
「てか私妖狐の姿じゃないじゃん……夢の中でも能力使えるのかな?」
とりあえずなんか適当に狐火でも……ボッ おっ使える
使えるなら一応変化も使っとくか…鏡ないからちゃんとできてるか分からんけど
とまぁ今自分がどういう状態か判断できたところで……
「周り真っ白空間だからどうすればいいのか分かんないんですけど?」
とりあえず適当に歩いてみるか…こんな真っ白じゃ千里眼もいみないし
「目覚めたら目の前にとか気の利く事してくれたらいいのに……いやそれだと正体バレるからこれでいいのか」
独り言をブツブツ言いながら体感十数分ほど歩き続けると少しづつ真っ白空間から草原のような空間へと変わり虚無空間を歩き続けるよりかは多少マシになってきたところで…
「………なんかあるな、あれなんて言うんだっけ?ティーパーティーテーブル?あれは家具名なだけだったっけ?」
そこには丸いテーブルと3人分の椅子が設置されておりテーブルの上にはお菓子が乗ったケーキスタンドやカップが置いてあった
「これもう間違いなくあのFOXの夢と繋がってますねぇ…夢の中でスイーツとか食べても美味しいって思うのかね?」
それで味がするなら某正実副委員長が黙って無さそうだけど…まぁ夢だから忘れる可能性もあるけど
「でも今の所、私以外誰もいないな…」
まぁ私大分イレギュラーなんだろうなぁ、なんでここにいるのかも分かんないし
「ならなんでここに繋がったんだって話ではあるが…」
「それは私が君と話をしてみたいからだね」
「…………はぁ、まぁそうじゃなきゃここには繋がらねぇだろうな。」
声がする方向に振り向くとそこには金色の髪に狐の耳としっぽを持つトリニティの三大分派の1つであるサンクトゥス分派のリーダーでありティーパーティーのホストである百合園セイアが居た。
「立ち話もなんだ、座って話そうじゃないか」
セイアはそういうと椅子へ腰掛け私にも座るように促しティーカップに紅茶を淹れ始めた
このまま立ったままでも別に良かったのだがせっかくなので座ることにした
「それで?ティーパーティーのホスト様がしがない情報屋の私になんの用なんだい?」
「そうだね、話と言うよりは私が君に聞きたいことがいくつかあってね」
「聞きたいこと?」
セイアが私に聞きたいことねぇ…まぁいくつかは思い浮かびはするね
「まず1つ…君は一体何者なんだい?」
「私が何者か…私はただのしがない情報屋だよ。ブラックマーケットの近くに拠点を構えるよくいる不良と一緒さ」*1
「私が聞きたい答えはそういったものでは無いことを知っているだろう?」
「私たちは初対面だろ?あんたの事をよく知る訳じゃないんだ、抽象的な問いの本質を察しろは無理があると思うがね」
「なら分かりやすいように少し説明をしながら問うとしようか。」
「キヴォトスで名高い百鬼夜行の情報通に並ぶほど名が広まっている君なら私が未来予知の能力を持っている事も知っているだろう?」*2
「今までにも何度か予知はしたが共通している部分があってね……」
「どの予知も君が居ないのだよ。アビドスやミレニアムの出来事でもね」
「それにアビドスの梔子ユメ…私が見た予知では彼女はアビドスに居なかった、なのにどうだろうか?今彼女はアビドスに在学している…君が関わっているんだろう?」
「…………さぁな」
おそらくセイアが見た予知は原作と同じものなのだろう…ならば私というイレギュラーがいるこの世界ではその予知は似てはいるがどこか違うはずだ
「今のを話した上でもう一度聞こう……君は一体何者なんだい?」
「………ここが夢なら見せれるかもしれないな」
「なんだって?」
夢の中ならイメージすれば行けるはず…ブルアカを雰囲気でやってた私でもしっかり読んだあのストーリーを…
「な、これは一体…」
突如セイアの脳内に溢れ出した、存在しない記憶。
それはセイアが今まで見てきた予知とはまるで違うような未来だが…自身が未来を見る時と感覚が似ている事でそれを理解はすれど納得する事が出来なかった。
青く透き通っていた空が血のように不気味に染まり…
高くそびえ立っていたサンクトゥムタワーが空から落ちてきたであろう黒い柱に破壊され…
各地にも落ちたであろう柱を守護せんと暴れる人知の外の怪物達…
それはまるでキヴォトスの…世界の終わりを物語る絶望そのものだった
「どうだ?ちゃんと見れたか?」
「今のは一体なんなんだ!アレは、一体いつ起こる未来なんだ!」
「落ち着け、アレがいつ起こるかは私にも分からん…だがまだ猶予がある事は確かだ」
「なぜそんな落ち着いていられるんだ!あんな…絶望そのものと言える事が起きることを知っていて、どうしてそうも普通にしていられるんだ!!!」
未来を見る時の感覚と似ているからこそセイアはそれが避けられない事であるのを知っている。今まで見てきた悲劇とは比べ物にならない絶望を知っていて尚冷静にいれる妖狐は異常だと思うのも仕方がない事だった
「諦めていないからだ」
「なんだと?」
「奇跡は諦めない者の頭上にしか降りてこない」
「だから私はあの絶望を知りながら諦めようとしない」
「私が何者か…その問いに答えるなら、そうだな」
「特異点…とでも言っておこうか」
「特異点?」
「百合園セイア…君が見た未来には私がいないそう言ったね?」
「あぁ」
「ならば私はその未来を変えんとする特異点だ」
「私という特異点が存在するなら君が見た未来は違うものになるはずだ」
「私の予知が外れると?今までそんな事無かったのに?」
「君が見ている予知は数ある可能性のひとつだろう?」
「だが私が見た未来はこれまでに全て外れた事がないのだが?」
「それは変数がなかったからだろう?」
「変数だって?私だって最初は変えられると信じて色んな手段を使ったさ…だがその全てが無駄に終わったよ」
「自身が変数になるなら中途半端な変化じゃ世界の修正力によって意味を成すことは無い…変えたいのなら何かを捨てる覚悟が必要だ」
「なら君は捨てたというのかい?その変えるための何かを」
「………あぁ、捨てたよ。」
私が本来過ごしたであろう百花繚乱のみんなと過ごす日々、もしかしたらただのモブとしてストーリーに関わらずに済んだかもしれない可能性を捨てて、私はみんなの笑顔を見たいが為に私は百花繚乱の平和な日々を捨てて妖狐として罪を背負い…助けようとしているんだ
さっきまでのどこかふざけているようなとは違う真剣な声に変わった事でセイアは妖狐が並々ならぬ覚悟を持って未来を変えようとしている事を理解した。
諦めてしまった自身とは違いあの未来を知ってなおまだ諦めておらず、変えるためなら己の命さえも差し出さんとする覚悟をお面で見えないはずの隠れた目から感じたのだ。
「なるほど…それだけの覚悟なら確かに変えられるかもしれないね…」
妖狐の覚悟は理解した…だがセイアには新たな疑問が出てきた
「だが何故君はあんな未来を知っているんだ?君にも私と同じように未来を見ることが出来るのかい?」
自身と同じ未来予知を持っているなら彼女が知っている事にも説明がつく、だがそうでないならなぜあんな未来を知っているのが謎なのである
「………私にも能力はあるが、未来予知と言ったものは無い」
「なら何故知っているんだい?」
「………」
うーん、なんて説明するかなぁ…実はここはゲームの世界で私はそのゲームをしていたから知ってますなんて言われて信じられる訳ないよなぁ。私なら戯言として吐き捨てるし
転生している事を話すのもなぁ…どうしたものか…
…………………………………あっ!
「連邦生徒会長」
「え?」
「彼女から聞いたんだよ。あの超人の事だ…君のように未来が見えていても不思議じゃない」
「なるほど、連邦生徒会長が……」
よし!上手くごまかせた!悪いなシエル、これも仕方がない事なんだ*3
「聞きたい事はこれだけか?」
「いや、最後に聞きたい事があるんだ」
「君は…楽園の実在を信じられるかい?」
「………第五の古則か」
「あぁ、『楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか』というものだが…君の意見を聞きたいね」
「私としては……万人が受け入れる楽園は無い、とは思うね」
「それは何故だい?」
「そうだな…分かりやすい例えを出そうか。」
「例えば、そうだな……トマトが大好きな者にとってはトマトが大量にある場所はその者にとっては楽園とも言えるだろうがトマトが死ぬほど嫌いな者にとっては地獄そのものだろ?」
「ふむ…」
「今の例えだけに限らず誰かにとっての楽園は誰かにとっての地獄になり得る、楽園自体は実在するかもしれないがそれは本人にしか決めることが出来ない。よって証明は本人以外する事が不可能というのが私の意見だね」
「………君の人となりが少しわかった気がするよ」
「初対面の奴に分かられるほど私は単純じゃないよ、君の同僚のピンク髪とは違ってね」
「ふふ、彼女と比べたら大体の人が単純じゃなくなってしまうよ」*4
「それもそうか」
まぁあの子バカではないけどね、腐ってもティーパーティーのトップの3人のうちの一人だし
「これで君の聞きたい事は終わったみたいだし、もういいかな?」
「あぁ、そうだね。随分時間を取らせたみたいだ」
「夢の中だ、気にすることもないだろ」
そういえばこの後セイアってべアオバに色彩ぶつけられるんだっけ?どうにか防げないかな……うーん。
「どうかしたのかい?」
「うーん…まぁやるだけやってみるか」
「一体何を……え?」
何か考え事をしている妖狐を気にかけるセイアだが妖狐が急に立ち上がりセイアの頭に手を乗せた事で困惑していた
「な、なんなんだい?急に頭に手を乗せて…」
うーん…こう自分の神秘をセイアに少し移すイメージ…以前、蝋燭につけた狐火を別の蝋燭に移したあの時の感覚で…
困惑して動けないセイアと気にせず自分のやろうとしていることを淡々と進め手を退けようとしない妖狐という誰も止めることが出来ない夢での出来事が数秒続くとセイアの頭が一瞬だけ光った
「い、今のは一体…何か暖かいものが…」
「まぁ…上手く、出来たのか?」
「一体何をしたんだい?」
「ん?まぁ……一種の保険みたいなもんだ。気にするな」
「気にしないというのは無理ではないかい!?」
「説明も難しいんだよ…まぁあんたも無茶すんなって話だ」
「どうしてそうなるんだい!?」
荒ぶるセイアを宥めていると一瞬だけ自分の意識が揺れるような感覚を感じ自身が眠りから覚めようとしている事を何となく理解した
「どうやら夢から覚める時が来たみたいだな」
「もうそんな時間なのか…君と話せてよかったよ」
「できるなら次話す時は現実にして欲しいもんだな」
「あぁ、善処するとしよう」
「じゃあな、ティーパーティーホスト…百合園殿」
「下の名前で呼んでくれて構わないよ」
「そうか…じゃあまたな、セイア」
「あぁ、また会える日を楽しみにしてるよ妖狐」
そう言うと妖狐の姿がぼやけ始めゆっくりと消えその場にはセイアだけとなった。
「………なかなか面白い人だったね。一緒にいて楽しいとはこういう事を言うのだろうか」
「それに、奇跡は諦めない者の頭上にしか降りてこない……か。ふふっ」
最後に感じた暖かいものが自身に溶け込んでいく余韻をゆっくりとセイアは噛み締めるのだがそれを知るのはセイア本人以外居ないのだった。
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「………うーん、ただの夢で終わらせる事出来ないよなぁ」
眠りから覚め寝ている間に見た夢の記憶を思い出し
「セイアが接触してきたって事は…エデン条約がもう少しで始まるって事だよな」
悪役として動くと決めていたはずのエデン条約だけどなんかもう先生からしたら悪役のフリしてるとしか思われなさそうなんだよなぁ…勢いとはいえあんなムーブしてたらなぁ…そうなると噂流しても先生が「あの子はそんな子じゃないよ」的な弁明しそうだしなぁ…
悪役演じるの止めるか?でもそうなるとミカやアリウスの悲劇をどうするかなぁ…ミカは噂を流せば何とか誘導出来るかもしれないけどアリウスは実行犯になるから噂で誘導は難しいだろうし…
「そうなると…うーん、アリウス自体を上手く誘導………出来るかなぁ?」
あのクソババアが裏にいるからなぁ…変に誘導したらアツコをさっさと生贄にしかねない…
「まぁ、何とか頑張るしかないよなぁ。私って本当に行き当たりばったりで動いてるなぁ…よく今まで上手く行ってたもんだよ」
とりあえずはミカが黒幕バレするところから何とかしないとなぁ…仕事とかを早めに終わらせてエデン条約に集中出来るようにスケジュール立てないと…
セイアエミュが難しい!