なのはクローンの醜い人生   作:クローンにもなれない何か

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よく見るクローンものです。オリ主は最強です。ご注意ください


第一話

 本来であれば私がこうして生きている事は不可能だったらしい。

 私は元々とあるクローンプロジェクトを模して行われた出来損ないの実験から生まれてしまった成功体、との事だ。一度資料を確認したけど素人の私でもあり得ないような方法が書かれていてこれを実行した奴等にも生まれてきてしまった私にもドン引きしたものだ。

 予想外にも生まれてきた私だけど廃棄処分するのはもったいないという事でその研究所で飼われる事になった。糞みたいな実験で生まれたためか私は早熟でたった1年で2歳程成長している。思考もこうして早熟したおかげで私の現状がどれほど悲惨なのかを理解できてしまったのが辛い所だ。

 研究所の糞どもは私を人間扱いしていない。最初の頃は容赦なく採血とか言うレベルじゃない血を抜き取ったり肉を削ぎ落して何かの研究に使っていた。痛みは最初の1年で感じなくなった。何かをされているという事だけは分かるので気づかないうちに出血死、というようなことは起きない事だけが救いかもしれない。

 数年もすれば私の肉体は10歳程度にまでなった。このころになるとクローン元以上の魔力を有するようになったせいで最近開発されたというAMFとか言う魔法が使いづらくなる装置を埋め込んだ首輪と手枷、足枷を填めさせられた。おかげで私は魔力を操る事さえ出来なくなっていた。……こ(・)の(・)時(・)は(・)。

 

 だが、それはまだいい。その程度の事でへこたれる程私の精神は脆くはない。本当の地獄はこの時から始まったのだ。

 唐突だが私の容姿はとても良い。私自身そう感じるのだから客観的にみられる他者はより顕著だろう。そう、私はそんな彼らの捌(・)け(・)口(・)にされた。元々碌な人生を歩んだわけではない。いつかはこうなるかもしれないとは考えていたがあまりにも唐突過ぎて心の準備が出来ていなかった。

 最初の一人がラインを越えてくれば後は雪崩を起こすように全員が手を出してくるのは時間の問題だった。違法な研究所という事もあってかなり外部と隔離された彼らは溜(・)ま(・)っ(・)て(・)しまっていたのだ。男とは哀れな存在だなと私は凌辱の限りをつくされている中でそう思うようになっていった。

 

 私が彼らの捌け口となって以降私の扱いは使い捨ての道具以下の扱いとなった。加えて、彼らは私で更に楽しみたいと考えたらしく私と色んな生物を戦わせるようになった。基本的に10歳程度の私と同じ大きさの獣がメインであり、たまに私を丸のみできそうなワームとかプテラノドンのような生物も戦わされた。

 死んだらそこまで、生きれば私の扱いは継続する。そんな私の事なんてどうでも良いと考えているようで私は何度も生死の境をさまよったものだ。魔力は使えず、10歳程度の非力な肉体を総動員して戦わされるのは苦痛だった。それまで戦いなんて知らず、捌け口としての誘(・)い(・)方(・)くらいしか知らなかった私は死にたくない一心で一つ一つ戦い方を実戦で学んでいった。

 そうやって生き残っていた私だが研究員共は私が力をつけている事に危機感を持ったようで戦わされる時以外で私は厳重に拘束された。それも使(・)え(・)る(・)よ(・)う(・)に(・)だけはした拘束だから奴らは下半身に支配されている人間とは別種の生き物かもしれないと本気で思ったほどだ。

 

 どれだけ私を恐れているんだと思ったが彼らの危機感は正しいものだ。何しろ実際に私は彼らに反逆するタイミングを計っている最中だったのだから。

 だが、これ以上時間をかけることは出来ないと私は判断した。このままではいずれ拘束されたまま一生を過ごす事になりそうだったからだ。故に拘束されるようになった次の戦いで獣の突進を利用して観客席に突っ込ませた。奴らは馬鹿なのか私と獣の戦闘を映像越しではなく直接観戦していた。おかげで私が戦う時はほぼ全ての研究員が観客席で見ていると分かったから獣を突っ込ませるだけであとは簡単だった。

 私は練れる最大の魔力を利用して肉体を強化。何とか私の力を封じていた枷と首輪を外す事に成功した。途端にあふれ出す魔力にはさすがの私も戸惑ってしまった。軽く見てもSランク魔導師レベルの魔力があるが恐らくもっとあるだろう。

 どうやら私は魔力が封じられた状態でも魔力を秘密裏に使って鍛えていたおかげで莫大な魔力を手に入れる事が出来たらしい。これは僥倖だ。おかげで研究員たちを楽に殺す事が出来る。

 ……そう思っていたのだがどうやら獣が全てを終わらせてしまったらしい。私があふれ出る魔力に呆けている間に奴らは逃げるまもなく獣に皆殺しにされていた。死体は見る無残な姿となっている。

 殺しつくして満足した獣が私に向かってきたけど私は魔力を使って獣を瞬殺する。外の世界では非殺傷設定というもので殺さないように気を付けているらしいがそんなものを使用するつもりは無い。殺さなければこちらが殺されるのだ。私の安全を確保するには敵は皆殺しにして報復の機会を潰した方が良い。

 

 そうして研究所を掌握した私は暫くは研究所に籠る事にした。その時の私ははっきり言ってしまえば世間知らずのガキだ。外の世界に飛び出して生きていけるとは思えない。だから外の事、常識を知らないといけないと思ったんだ。幸いにも研究所からでもネット? という物に繋がる事が出来た。学習する方法はいくらでもあった。

 早熟な私はここでもそれを遺憾なく発揮できた。本来なら何年もかけて覚え、学び続ける事をたったの1年で学び終えたのだ。そうして出来た今の私なら外の世界でも常識はずれな行動をして目を付けられることはないだろう。見た目の問題はどうしようもないがな。

 肉体は成長限界を迎えたのか10歳程度の状態から変化はない。これがネットに転がっていた幼女体型に分類されるのかクローンとして生み出された副作用なのか、それとも別の要因があるのかは分からないが肉体の成長は期待しない方が良いかもしれない。

 

 一方で魔力についても鍛錬を怠らなかった。調べた限りこの研究所があるのは時空管理局というブラック企業が支配する管理世界の一つだが人がいない無人世界らしい。たまに観光やその他の理由で立ち寄る者はいるが本格的に人が住むようなことはないらしい。

 そうなると私が人の世界に紛れるにが転移系の魔法を使えるようにしなければならない。凄腕の実力者は惑星間の転移を可能としているらしい。私にもできるかは分からないが魔力だけなら十分なはず。となれば後は私の努力次第だ。

 そうして判明したのが私は天才という事だ。最悪の場合何十年もかかると想定していた転移系魔法の習得に立ったの十日。それもコツを掴んだその日に出来たのだ。他の魔法も同様であり、ネットの情報を基にあらゆる魔法を学び、自分のものにする事が出来た。そうなれば次にやるべきは自分オリジナルの魔法の開発だ。

 ネットに詳細が乗っている魔法というのはそれだけ知られており、対策がされている可能性が高いという事だ。並の魔導師ならともかく私がそれらをメイン攻撃として利用するのは危険と言える。故に対策が難しい私独自の魔法をメイン乃至切り札とするべきだ。無論、それらも使い続けていればいずれ多数の人間に知られて対策が為されるだろうがそれまでは大きなアドバンテージを得る事が出来るはずだ。

 

 この開発に終わりはない。一つ完成すれば派生型、進化型、上位互換型、魔力節約型など様々なバリエーションを考えていく。手の内は多ければ多い程私の力となる。それら膨大な魔法を使いこなせる知能も今の私にはある。万全とも言える状態に私は成る事が出来ていた。

 

 そうなれば最後に取り掛かるのは私が生きる意味だ。偶然の産物で生まれた私は望まれて生まれたわけではない。つまり、生きる意味がないのだ。普通の人間であれば好きなように生きて良いというだろう。人生は誰かに縛られていいものではないときれいごとを言うだろう。

 だから私も好きに生きる事にしたのだ。縛られるなというのならその通りにしよう。

 

「私は、私を……高町なのはを許さない」

 

 私の目標、それはオリジナルを殺す事だ。私が誰のクローンなのか気になり調べてみたが情報が簡単に見つかった。高町なのはは現在時空管理局で働くエースのようだ。一時期は魔導師として再起不能な怪我を負ったが見事に復帰してエース・オブ・エースと呼ばれる程の活躍を見せているらしい。

 私はそれを見て心が荒れた。私(クローン)はこんだけ酷い人生を歩んでいるのに私(オリジナル)はぬくぬくと育っている。それが許せなかったのだ。同じ私なのになんでこうも違うのか、と。

 

 だから私は高町なのはを殺す。私を殺して私の人生を取り戻す事に決めたのだ。きっと偽善者は言うのだろう。「オリジナルもクローンも関係ない。貴方は貴方だ」と。確かにそうなのだろう。クローンとは同じ肉体を持った他人でしかない。同じ人間ではないのだ。

 だが、それでも、同じ姿の私達のこの境遇の差は許せないのだ。恐らくこう思ってしまう私は狂っている。精神がイカレているのだろう。それも当然か。あのような人生を歩んでいながら壊れないなどあり得ない。それこそそいつは人間じゃない化け物と言えるだろう。

 

「私は私。いつか私の全てを取り返すの」

 

 そのための準備は終えた。この研究所に用はない。破壊するつもりは無いが反逆後のデータは全て消しておいた。これで私の出生を知る事は出来ても私の強さについては知られる事はない。同情は私が持つ見えない武器の一つだ。たとえ私がオリジナルに負けて犯罪者として裁かれる事になろうともこのデータがあれば情状酌量の余地が与えられるだろう。実際、高町なのはの知り合いにはそうして無罪同然で解放されている者が多い。時空管理局に努めなければならないだとかその職員に引き取られるだとかの枷を填められる可能性もあるが生きている限りチャンスはある。そうしてチャンスを掴んだ結果が今の私なのだから。

 

「先ずはミッドチルダに行こうかな。あそこは栄えていると聞くし必要な装備は整えられそうだしね」

 

 私はそう呟き、転移魔法を起動し、最悪の思いでしかない研究所を後にするのだった。

 




なのはクローン
小学生の夏休みの自由工作で原発が出来てしまうくらいあり得ない方法で誕生した個体。産まれるはずがない状況から誕生した結果悲惨な人生を歩むこととなり、精神がぶっ壊れる。その後、研究所を掌握してからはオリジナルの高町なのはを殺す事を人生の目標と定めた。
魔力量はSSオーバー。膨大な数のオリジナルの魔法と高い知能をフルに生かしたトリッキーな戦術を基本スタイルとしている。その気になればどんな戦闘スタイルにも変更して戦う事が出来る。
現時点でデバイスは持っていない。AIの補助なしでこれらを行える化け物。
容姿は無印のなのはと同じだが瞳から光は失われており、常に無表情。髪の半分くらいが真っ白になっている。見た目は10歳程度だが早熟の為に実際はそれよりも年齢が低い。今後も肉体は成長しない予定。
性格はドライで何事も冷静に考えられるが感情に対してもそれが適用されてしまう為に絆されるようなことは絶対にない。そう見えるような行動をする場合は必ず何か理由があっての事。その気になればどれだけ親しい間柄でも無常に切り捨てる事が出来る上に良心の呵責も発生しない。
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