初のミッションは重桜の潜水艦たちを無事に重桜に帰すことだ。
―――翌日 19:42
アリコーンは真っ暗な深海を航行していた。
アリコーン「...暗いな。スキャナーがあってよかった」
アリコーン「にしても潜水艦達には悪いことをしたな...」
アリコーン「元はといえば俺が連れてきてしまったのが悪いんだが...」
アリコーン「...そろそろか。」
アリコーン「潜望鏡深度まで無音浮上。」
艦がゆっくりと浮上し始める。
―――数分後
アリコーン「...何もいないか」
潜望鏡には何もない海が写っていた。
アリコーン「...重桜は何処だ?」
ウィーン...ウィーン...
アリコーン「あれか」
陸地の上に大樹が生えていることがわかる。
アリコーン「何処かに入れそうなところは...」
アリコーン「良く見えんな...暗視モードをオンにするか」
キュィィィン...
アリコーン「よし。よく見える」
ウィン...ウィン...
アリコーン「...?あれは洞窟か」
アリコーン「丁度いい。あそこから入ろう」
―――数分後
艦が停止した。
アリコーン「着いたな」
アリコーン「AI、俺が戻るまで艦の制御を頼む」
AI「了解」
俺は艦橋を離れ、艦船収容室に向かった。
―――アリコーン 艦船収容室
アリコーン「...大丈夫そうだな」
収容室ではKAN-SENとロボット達がキビキビと準備を進めていた。
???「アリコーンさん、準備はほぼ完了です。いつでも行けます」
アリコーン「分かった。十分後には作戦を開始すると皆に伝えておいてくれ。」
アリコーン「頼んだぞ、伊58。」
伊58「了解です」
ちなみに他にいる子は二人とも伊号艦で、伊25、伊26である。
アリコーン「あ、そうだ。これ」
伊58「これは...?」
アリコーン「無線機さ。言っておくが分解しても無駄だぞ。カバーが外れた瞬間に自壊するようになってるからな」
伊58「流石にそんなつもりはありません。見たことのない物だったので」
アリコーン「まぁ持ってるだけで大丈夫さ。三個渡しておくから他の子にも渡しておいて。」
伊58「分かりました」
―――俺は艦橋に戻った。
カンッ...カンッ...カンッ...
伊58「皆さん、十分後には作戦開始だそうです。それまでに自艦に乗艦、離艦準備をお願いします」
伊58「あと、これは無線機です。一つずつ持ってください」
二人の前に無線機が置かれた。
伊25「無線機...ですか?私達のものとは随分違いますね」
伊26「あたし、こんな小さい無線機初めて見たかも」
伊58「それと、絶対にその無線機を分解しないようにしてください」
伊25「...?分かりました」
伊26「何で分解しちゃいけないの?」
伊58「分解しようとすると自壊するとか。とにかく作戦開始前に壊れてしまっては困るので分解はしないでください」
伊26「...わかった。」
―――10分後
アリコーン「そろそろ時間か」カチャ
アリコーン「これより浮上し、注水を開始する。」
アリコーン「各員自艦から出ないように」カチャッ...
俺は一呼吸置いて、
アリコーン「メインタンクブロー。浮上する」
ガンッ!ボシュッ!
気泡が船体の前後から上がり、艦が暗い夜の水面に姿を表し始める
アリコーン「収容室全封鎖。注水開始」
―――同時刻、艦船収容室
ザザァ...
大きな音を立てて注水が開始される。
―――数分後
アリコーン(無線)「注水完了。後部ハッチを解放する。衝突しないよう注意をはらいつつ一隻ずつ離艦せよ。」
伊58・伊25・伊26「了解(しました)(~!)」
ガゴンッ!ギギギギギギギギ...
ハッチが軋む音を上げて開く。
伊58「伊58、離艦します」
グオン...ザザァ...
一隻の潜水艦はゆっくりと離艦し、潜水していった。
伊25「伊25、離艦します。お世話になりました。」
―――
伊26「伊26、離艦するよ~!」
―――という感じで三隻全てが離艦し、海中に身を潜めた。
アリコーン「俺も行くか」
アリコーン「後部ハッチ閉鎖。メインタンク注水。潜航する」
キュィィィン...ザザァ...
巨大な影はまた海中に沈んでいった。
アリコーン「順調だな。もうそろそろ探知されてもおかしくないところだと思うが」
アリコーン「AI、周囲の反応はどうだ?」
AI「周囲半径200Mには友軍反応しかありません」
アリコーン「そうか。引き続き警戒を続けてくれ」
AI「了解。変化があり次第報告します」
アリコーン「ああ。そうしてくれ」ガチャ
アリコーン「各艦、警戒を怠らず島へ接近し、洞窟へ接近。そこから侵入する。」
皆(無線)「「「了解(です)(~!)」」」
―――数分後
俺達は洞窟に到着した。
アリコーン「ここが目的の洞窟だ。各艦まだ浮上するな」
アリコーン「潜望鏡で周囲の状況を確認する。安全が確認でき次第浮上せよ」
アリコーン「AI、潜望鏡の起動を頼む。暗視モードでな」
AI「了解。」
ピピッ...
AI「潜望鏡起動。映像を反映します」
ウィン!
アリコーン「全周囲の状況を確認して情報をまとめてくれ」
AI「了解。分析を開始します」
―――数分後
AI「分析完了。画面に表示します」
画面に表示された情報はこうだった。
・地形:岩石洞窟。玄武岩52%:安山岩26%:人工金属12%:その他10%
・洞窟奥に光源あり
・付近に生体反応はなし
―――
アリコーン「...ふむ。この人工金属ってのは何だ?」
AI「長い円筒状の形状から推測しますと、おそらくパイプの類かと思われます」
アリコーン「パイプか...AI、ここに上陸して生還できる確率は?」
AI「...98%です。」
アリコーン「随分と高いな」
AI「パイプの錆の状況からこの施設は相当年数使われていないものと判断しました。」
AI「しかし未知の技術による攻撃の可能性もあるため98%です。」
アリコーン「なるほどな」
アリコーン「で、上陸は大丈夫なのか?」
AI「はい。結論から言うと問題は無いでしょう。」
アリコーン「分かった。ありがとう」ガチャ
アリコーン「...洞窟の安全が確認された。全艦浮上し、上陸せよ」
伊58(無線)「了解。浮上します」
伊25(無線)「随分と暗いですね...注意しながら浮上します」
伊26(無線)「了解~!浮上するよ!」
アリコーン「よし。皆浮上しているな。」
アリコーン「じゃあ俺も浮上するか」
アリコーン「AI、ぶつけないように操艦しつつ無音浮上!」
AI「了解。浮上開始します」
―――
ザバァ...
静かに、そしてゆっくりと四隻が浮上する。
アリコーン「...よし。全艦停止。」
アリコーン「AI、俺が戻ってくるまでの間、艦の制御を頼む。万が一に備えておいてくれ」
AI「了解。」
アリコーン「それじゃ、行ってくる」
ガチャン!
―――重桜本島:洞窟内
コツ...コツ...コツ...
洞窟の中を歩く俺と三人のKAN-SEN。
歩いている時にほのかに感じた錆びた鉄の匂いから、ここはただの洞窟ではない気がしていた。
伊25「...この規模の洞窟が
伊58「この大きさになると誰かが気づいていてもおかしくないような...」
伊26「何か隠してる物でもあるのかな~!」
アリコーン「お、光が見えてきたぞ」
―――俺達は光の漏れている入口?へ入った。
するとそこにあったのは...
アリコーン「これはッ...!」
伊58「一体...何を...」
伊26「おっきい...」
伊25「セイレーン...でしょうか?」
―――そこにあったのは巨大な艦影。前世から忘れもしていない艦艇。
アリコーン「オロチ...」
「に゛ゃ゛あ!」
アリコーン「...まさか?」
伊25「今のって明石さんの声ですか?」
伊58「よりにもよって、何でこの時に...」
―――
明石「ま...マズいものを見てしまったにゃ...」
明石「急いで逃げないと...!」
???「そこで何をしている?」
明石「か...加賀!?」
明石「私は何もしてないにゃ!迷い込んじゃっただけにゃ!」
???「あら、見られてしまったかしら?」
明石「ヒィッ!?その声は赤城にゃ!?」
加賀「姉様。どうやら見られてしまったようです」
赤城「どうしようかしら?」
明石(マズいにゃ...非常にまずい状況にゃ...殺されるかもしれないにゃ...)
明石(にゃ?気づいてなかったけど人影があるにゃ...)
明石(こうなったら一か八かにゃ...!)
バッ!
加賀「ッ!?」
タッタッタッタッタッ!
明石「そこの人!助けてほしいにゃ!」
赤城「他にも居たのね」
―――
アリコーン「ああ...マズい。」
あっきらかな殺意がこっちに向いたのを感じた。
アリコーン「全員今すぐ自分の艦に戻って!急いで!」
全員が一斉に走り始めた。
明石「逃げないでほしいにゃ~!助けてにゃ!」
アリコーン「三人はすぐに潜水してここを出てくれ!俺は明石を救助してから逃げる!」
三人「「「了解(ですッ!)(ッ!)」」」
ザバァ...
三人はすぐさま潜水艦に乗り込み、潜水した。
アリコーン「急いでこっちに来い!ここを出るぞ!」
明石「助かったにゃ~!」
アリコーン「よっと」
明石「にゃっ!?」
俺は素早く明石を拾い上げた。
ガチャン!
アリコーン「AI!緊急出港だ!急いでここから離れろ!」
AI「了解。」
グォン...ザブブブブブブブ...
艦が一気に潜水する。
明石「助かった...にゃ?」
アリコーン「油断するのはまだ早いぞ」
アリコーン「全艦、ユニオンの場所は覚えているな?ユニオンへ向かえ!」
アリコーン「相手は本気で来るぞ!」
―――
赤城「...逃げられたわね」
加賀「艦隊を出撃させましょう」
赤城「駄目よ。下手に動いて内部に計画がバレたらどうするの?」
加賀「ですがみすみす逃してしまっては...」
赤城「良いのよ。情報が外部に渡ってもこの計画は止まらないわ。」
加賀「そう...ですか」
赤城「もうすぐ...もうすぐよ」
赤城は笑い、そう呟いた。
―――大体3時間後。ユニオン近海
アリコーン「全艦、無事か?」
伊58「安心してください。全艦無事です。」
伊25「まさか重桜にあんな物があるなんて...」
伊26「色々大変だったね~」
アリコーン「これより全艦浮上。当艦の収容室に収容する」
皆「「「了解(しました)(~!)」」」
アリコーン「AI、レーダーを一回回して周囲を確認してくれ」
AI「了解」
ウィン...
AI「周囲50km圏内に反応無し」
アリコーン「よし。浮上!」
ザッパァァァァン!!
アリコーン「収容を開始する。三隻横並びで艦の後ろに来てくれ」
―――といった感じで潜水艦を収容。
あとはユニオンまで一本道...というわけでもないが、俺達は帰路についた。
―――数時間後 ユニオン
クリーブランド「...無事に帰ってきてくれたのは素直に嬉しい。」
クリーブランド「でもさ...」
クリーブランド「何で人数が増えてるのさ!」
アリコーン「...これには深い訳というのがあってだな」
クリーブランド「ああ、それは指揮官と直接話し合ってきてくれ。」
アリコーン「指揮官?何でだ?」
クリーブランド「今、後ろにいるんだよ」
アリコーン「なるほど」
―――ユニオン 尋問室
アリコーン「失礼します」
ガチャン!
指揮官「来たか」
指揮官「そこに座ってくれ」
ギッ...
アリコーン「...」
指揮官「では、君が掴んだ情報を教えてくれ」
アリコーン「情報...ですか?」
指揮官「ああ。潜入任務は失敗したとはいえ、敵地には忍び込んだんだ。」
アリコーン「てっきりお叱りを受けるかと」
指揮官「叱り?...ああ、重桜の子たちのことか」
指揮官「あの子達の処遇...に関しては後ほど考えることにしている」
アリコーン「ここで保護することはできますか?」
指揮官「...可能だ。」
アリコーン「安心しました。」
指揮官「...前置きはここまでにして、情報を教えてくれ」
アリコーン「分かりました。」
―――と言っても、重要な情報なんて一つしか無い。
「オロチ」を秘密裏に建造していることだ。
俺はそれについて話した。
―――
指揮官「...重桜の超大型艦か」
指揮官「そいつの全長はわかるか?」
アリコーン「...少なくとも大和型戦艦以上の大きさです」
指揮官「...性能は未知数だな。」
アリコーン「はい」
指揮官「分かった。量は少ないが重要な情報だ。感謝する」
指揮官「もう席を外していいぞ」
アリコーン「はい。では、失礼します」ギッ
ガチャン!
指揮官「さて、主力艦隊が居ない今、どうするべきかなぁ」
次回はネタ入れます。
今回はネタ少なめでしたね...
あと、作戦は勿論失敗です