「ん、ん、ぷはー。やっぱ昼間っから飲む酒はサイコーだね!」
ボク達は今、お姉さんに連れられて酒場にいる。
「君達も飲め、楽しく行こう!」
「えっと、じゃあ、いただきます」
ボクは近くにあったブランデーに手を伸ばしたが、
「それより、仕官出来る方法を教えてくれよ」
とタツミが怒鳴ったので、びっくりして手を引っ込めてしまった。ああ、ボクのブランデー。
「ああ、それはつまり。………人脈と金だな」
お姉さんはさっきまでの陽気な雰囲気とは変わって、怪しげな雰囲気をかもし出した。
「ん………金?」
「私の知り合いに軍の奴がいてな、そいつに小遣い出せばすぐだすぐ!」
(胡散臭い話だな。まあタツミなら、いやでもさっきもダメだったし、ここは言っておこうか)
ボクはお金を出そうとしているタツミに言った。
「タツミ、こんなうまい話あるわけないよ。騙されちゃ駄目だよ!」
でもタツミは聞く耳を持つことなく、
「何言ってるんだ、こんな美人な人が俺達を騙すなんてないだろ」
と言って、ボクの話をスルーした。
「で、これだけあれば足りるか?」
「おお、足りる足りる!」
「金なら、危険種狩って褒美もらってたからな」
「ふ~ん、強いんだ………これなら即決で隊長だな」
(ボクの耳には「大量大量!ラッキー」としか聞こえないけどね)
「もうどうなっても知らないよ」
そんなボクの声も耳に入らないくらい、夢中になっていた。
「私との出会いは色々勉強になると思うよ、少年。じゃあ話付けてくるから、そこで待っててね」
と言い残し、お姉さんは去って行った。それから閉店まで、ボクとタツミは待ったが、お姉さんが戻ってくる事はなかった。
「気づいてたんなら先に言っておいてくれよ」
「ボクは何度も言ったよ。それを全部無視した挙句、ボクの所為にしようとして、気づかなかったの?」
「き、気づきませんでした。俺の田舎じゃこんな嘘つく奴なんていないから」
「はぁ」
ボクとタツミは暗い川沿いの道を歩いている。そして、橋の柱に座って言った。
「じゃあ、今日はここで寝るか」
「まあ、寝る所無いからね」
ボクとタツミが寝ようと丸まっていると、馬車が一つ、ボク達の前で止まった。
「もし、泊まるあてが無いんだったら私の家に来ない?」
馬車から降りてきた少女が、ボク達の前へ来て言った。
「俺達、お金持ってないぞ」
タツミが言うと、少女はクスっと笑い、
「持ってたらこんな所で寝ないわよね」
と言った。
「なあユウキ、どう思う?」
タツミが小声で聞いてきた。
「大丈夫だと思うけど………」
「けど?」
「ううん、なんでもない。ホントにお邪魔してもよろしいのですか?」
「ええ」
「じゃあ失礼して」
ボクとタツミはアリアと名乗る少女の家へお邪魔させてもらうことにした。それから何日か、アリアの家にお世話になった。そして夜、
「ユウキ、おいユウキ!」
「どうしたの、タツミ?」
ボクはタツミに起こされた。
「逃げるぞ」
「え、ちょっと待ってよ」
走るタツミを慌てて追いかけた。
「見てみろ、奴らだ」
タツミが止まって窓の外を見ていた。ボクも覗くと、月光に映し出された5つの影。木々から張られたワイヤーみたいな物の上に佇む男女。
「ナイトレイドか」
買い物の際、護衛の人から聞いた話の中に出てきた奴らだ。富裕層や帝都の重鎮を狙う殺し屋集団。特に手配書に載っている黒髪の少女、アカメと「妖刀村雨」には気をつけろと言われていた。
「タツミ、アリアさんは何処?」
「たぶん倉庫だ、行くぞ!」
「うん」
ボクとタツミは急いで離れの倉庫へと向かった。
「とりあえず、離れの倉庫へ!あそこなら安全です」
「見つけた!」
ボクとタツミはどうにかアリアと護衛を見つけた。
「ちょうど良い所に来た、俺達は倉庫の中で警備隊が来るのを待つ。その間敵を食い止めてくれ」
「ちょ、無茶な………」
そうこう言っていると、アカメが追いついてきた。
「ち、こうなったらやるしかねえ」
「はあ、なんでこうも付いてないかなあ。でも、やるよ!」
「おう!」
ボクとタツミは突っ込んだ。が、
「お前達は標的ではない」
と易々突破され、あっという間に最後の護衛がやられた。
「葬る」
「そうはさせないよ」
ボクはアカメに斬りかかったが、簡単に弾かれる。混戦になると悟ったボクは、タツミに言った。
「タツミ、隙あらばどんどん斬りかかって。大丈夫、剣はボクが受けるから」
「わ、分かった」
「さて、ナイトレイドのアカメ。やろうか」
「葬る」
アカメが斬りかかり、ボクは受け流す。一進一退の泥沼戦、どっちも一歩も引くことなく時間が過ぎる。
「中々やるね」
「そちらもな」
「ところで、なんで富裕層の人を狙うの?金目当てか何かなんでしょ?だったらアリアさん一人なら見逃してもいいんじゃない?」
「標的を見逃すわけにはいかない。斬らせてもらう」
「交渉決裂か、まあ仕方ないね。こうなったら次の一撃で決めようか」
「いいだろう」
ボクはマザーズ・ロザリオの体勢に入り、アカメは突きの姿勢をとった。剣が赤いエフェクトに包まれていく。
「葬る」
突っ込んでくると身構えたとき、
「待った」
とアカメの襟を後ろから引っ張る人が居た。
「何をする」
「この少年少女には借りがあるんだ。その借りを返してやろうと思ってな」
その人物をよく見ると、あのときのお姉さんだった。